メインストーリーにおける犯罪者(第1部)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 16:48 UTC 版)
「サイコメトラーEIJI」の記事における「メインストーリーにおける犯罪者(第1部)」の解説
遠藤 菊男(えんどう きくお) / メビウス 「CASE1:殺人鬼メビウス」の犯人。映児が通う高校の数学教師。校内では至って普通の教師として過ごしているが、その正体は制服を着た少女を標的とする猟奇殺人鬼。特に被害者の衣服を逆さまに着せ直し、紙で作った「メビウスの輪」を現場に残すという異常性を示すことから、警察関係者から「メビウス」と呼ばれる。作中で判明している中では5名の女子学生を殺害している。 小学生の時、従姉のカヨに勉強を教えられ仄かな恋心を抱くが(メビウスの輪もカヨから教えられたもの)、遠藤がトラックに轢かれそうになったところを庇ってカヨが轢死してしまう。その際の首が折れて顔が背中側を向くという無残な死体を見て、恐怖を通り越して性的興奮と錯覚してしまう。加えて、異常なほど過保護な母親の下で育ったため、恋愛経験に乏しく、マスターベーションなどの性的衝動も健全に解消できず、過去の錯覚が矯正されずに異常な人格が形成されたのではないかと志摩は推測している。 犯行を重ねる中で章吉に濡れ衣を着せようとするなど警察の捜査を撹乱するが、プロファイリングを用いる志摩には通用せず、さらに現場に残したメビウスの輪をサイコメトリーした映児によって、2人による捜査の手が伸びていく。新たな標的として恵美を狙い、気絶させた彼女をマネキンの廃工場に連れ込むものの、恵美の救出に向かった映児に踏み込まれ、激しい乱闘の果てに志摩に逮捕される。 沢木 晃(さわき あきら) / アップル 「CASE2:時計じかけのリンゴ」の主犯。 →#レギュラーの犯罪者 荒井 弓子(あらい ゆみこ) / サイレント・ストーカー 「CASE3:サイレントストーカー」の犯人。西洋人形を模したアイドルグループ「スクエア・ドール」の女性マネージャー。32歳。おしゃべりだが、タレント想いの良きマネージャーで、アイドルの西洋人形を模した特徴も彼女によるもの。だが、その実は後述する幼少時のトラウマによって西洋人風の美少女に固執していた心理が露出した結果であった(映児曰くストーカーにとって天職)。ところがメンバーのフロント争いに端を発する赤樹リエへの暴行事件と、その暴露を知って完全にトラウマが蘇って狂ってしまい(トランス状態となり)、その加害者側の少女たちを舌を切り取って殺して行くという連続猟奇殺人を行い始める。切り取った舌は保存してあり、シリアルキラーの特徴である「スーベニア(記念品)」と見なされる。また、トランス状態の時は舌が異様に伸びる特徴がある。 幼少時はパリに住んでいたが、父の再婚によって一緒に暮すことになった西洋人の義姉たちに虐められる日々を過ごすこととなる。西洋人形のような美しい顔立ちの義姉たちに対して醜いアジア人の自分という対比と共に、かつて噂好きの女性を懲らしめるために作られた拷問用の仮面(かなり舌が長い特徴があり、「お喋り女の舌を抜け」という文句で誹謗される)をつけられるという虐めと、その果てに10歳の時に長姉を殺してしまったことが強いトラウマとなる。 事件が始まった当初は、熱狂的なファンによるストーカー事件と考えられたために、マネージャー、しかも女性という盲点によって志摩のプロファイリングにすら引っかからず、加害者メンバーへの犯行を重ねていく。ただし、この中には実際には加害者ではなかったタカシの姉・清水晶子も含まれ、編の最終盤では暴走して被害者だったリエも殺そうとする。しかし、沢木の助言で真相に気づいた志摩に現場に踏み込まれ、逮捕される。 ドラマ版では4人の義姉を皆殺しにしており、裏の人格は男の人格と明確に説明されている。 三浦 良和(みうら よしかず) / ポイズン 「CASE4:笑う死体」の犯人。映児の同級生。臆病な性格でパシリになりやすいタイプの青年。天文部所属。「CASE4」の前日談において映児に助けられる。後述の経緯からシャーマンのような能力を獲得し、「ポイズン」を名乗って「レッドパラソル」という幻覚作用のあるドラッグをバラ巻いていた。摂取した不良たちを束ねる一方で、自分を虐めていた女子生徒らをドラッグの錯乱状態下で裸にさせ、自殺させていた(死体は笑った状態で発見される)。また、カシオペア座を星座の王として、そのWのようなマークを自分のシンボルのように使っていた。 「CASE4」の少し前、自分を虐待していた母親を衝動的に殺害してしまい、その後、自殺するために隠れた体育館の床下で発見した幻覚作用のあるキノコを食べる(後のレッドパラソルの材料)。その際、精神疲労などで心が弱っている人間の心理を感じ取った上、逆に自分の思念を送り込むことで相手の精神や行動を支配するというシャーマンのような能力を獲得する。そこでクッキー上のドラッグ「レッドパラソル」を摂取し、幻覚作用で錯乱状態になった相手を操るようになり、上記の事件を引き起こす。ただし、深層心理では自分の犯した事件に怯えており、その意識から逃避するための暴走であった。 編の終盤、恵美にドラッグを摂取させて拉致し、映児をも自分の支配下に置こうとする。ところが、映児がサイコメトリーで読み取った自分の心理を、その能力で読み取ってしまう。上記、自分のトラウマを突きつけられる形となって錯乱し、ナイフで自傷して倒れる(そのまま逮捕される)。 第2部において、志摩のセリフから精神異常を鑑みて罪を問われなかったことや、既に出所していることが示唆されている。 ドラマ版では設定が大きく変わっている。裕介と同じ東大生で、犯行動機も海外留学の権利を獲得するためという利己的な理由になっている。また、使用したドラッグの名も「α(アルファ)」になっており、幾島が関わっていた。 玉置 弘志(たまき ひろし) / ジャスティス 「CASE5:殺人鬼ジャスティス」の犯人。警邏係の巡査(制服警官)。生真面目な性格で勤務態度は良好。父も警官で幼少より強い正義感を持つが、母親の不倫現場を目撃してしまいトラウマとなる(その際、後に凶器となる父から貰った十手で不倫相手を殴りつけている)。その後、成長し警官となるが、生真面目な性格が災いして強いストレスを受けるようになり、ドラッグに手を出し始める。そしてその副作用の幻覚症状や被害妄想と、過去のトラウマが結びつき、殺人鬼ジャスティスとして一連の事件を引き起こす。 援助交際や、AVへの出演など不純な性行為を行っている長髪(ドラマでは蝶のペンダント)の若い女性や少女を標的とし、ゴミ袋扱いのスーパーやコンビニなどのビニール袋を頭に被せて、(袋の中身がグチャグチャになるくらい)十手で頭部を殴打して殺害する。標的に対する正確な事実関係はまったく関係なく、あくまで玉置本人の思い込みであり、騙されてAVに出演させられた百瀬ジュンや、イタズラで援助交際募集の案内板に貼られた恵を標的とした。また、殺害した相手の髪を切り取って持ち去り、それを風呂に入れて入浴するという性癖がある。 被害者の百瀬ジュンが、想い人かつ、実は犯行現場(彼女のアパート)を訪れていたのに勘違いで犯行を防ぐことができず後悔したトオルに狙われる。めぐみを標的として襲ったところでトオルに正体がバレ、めぐみを人質に形勢逆転を狙うが、荒事に長けるトオルに勝てるはずもなく、拳銃まで奪われ追い詰められる。そして志摩の制止を振り切ったトオルに撃たれ倒れるが、実は1発目が空砲で恐怖から気絶しただけであり、そのまま志摩に逮捕される。 千堂(せんどう) / ユダ 「CASE6:ユダの黙示録」の犯人。プロテスタント系の牧師。生真面目かつ実直な性格で敬虔な人物。ミッション系高校で聖書の授業を担当している他、留置所への説法も行い、多くの凶悪犯を改心させた実績を持つ。しかし、心の内では強い残虐性を秘めており(副人格ユダ)、それに気づいた沢木によってユダを覚醒させられるのと同時に、殺人の司令を与えられ罪を犯し始める。標的は自分が知る信仰心のある善良な者であり、それを「偽善者」とみなし、イエス・キリストの12使徒に擬えて殺害していく。後に沢木によれば、自分を脱獄させる約束でユダと契約したという。犯行時は「きよしこの夜」を逆さに歌うなどの異常行動を取る。 映児のサイコメトリー能力を逆用した沢木の策謀で志摩の捜査が狂わされ、犯行を続ける。編の終盤で映児に犯行を妨害されると共に正体がバレると、残りの「使徒」を殺害するため留置場を襲撃し、看守を斧で惨殺した後、奪った拳銃で次々と改悛した凶悪犯たちを殺害していく。最後に沢木に拳銃を向けるが、上記の通り沢木は最初からユダの協力者であり、沢木の脱獄に手を貸す形で自ら拳銃自殺を遂げる。 中谷(なかや) / 屍桜 「CASE7:蒼ざめた手」の犯人。海林寺高校の体育教師。水泳部顧問。当たりが良く教師の鑑のような中年男性。妻帯者。生徒たちにも慕われていたが、そのうち、女子生徒の一人と男女の仲となっていた。曰く付きの校庭の桜「屍桜」に首吊り自殺に見せかけて、同高校の女子生徒や女性教師を次々と絞殺する。「CASE7」の犯人であるが、後述するように白雲山の霊に憑依されて犯行に及んだような形となっており、中谷自身には犯行の記憶がなく、当然ながら動機や、きっかけとなる過去のトラウマのようなものも無い。 編の少し前、切り倒そうとすると祟られるという曰くがあり、工事関係者も躊躇する「屍桜」を自らチェンソーで斬り倒そうとする。その際に、その樹液を浴びて倒れ、この時に白雲山の霊の取り憑かれてしまう。以降、自分と交際していた女子生徒など、次々と自殺に見せかけて絞殺していく(正確には、頸動脈を上手く抑えることで手の跡が残らないように綺麗に絞め落とし、鑑識や検死官でなければ首吊りとしかわからないような殺し方である)。 編の終盤、元凶が「屍桜」と判断した映児が桜を焼き倒そうとすると、それを妨害するために現れ映児と戦うこととなる。白雲山として相撲取りさながらの力や技を駆使して映児を追い詰めるものの、かつての奉行所での白洲の記憶を読み取った映児が、奉行の断罪のセリフを繰り返したことで、怯えて屈する。その後、映児によって屍桜は焼かれ、呪いは消える。 ドラマ版では、関係を持った生徒から脅迫されたという中谷自身の動機も追加されている。 白雲山の霊 / 屍桜 「CASE7:蒼ざめた手」の実質的な犯人。江戸時代の力士で、その逞しい両腕で遊女などを好んで絞殺していた殺人鬼。最終的には奉行所に裁かれ、死刑に処されるが、その前に両腕を斬り落とされ、それが映児の高校にある「屍桜」の根本に埋められていた。その白雲山の霊魂ないし思念が、栄養として吸われた「屍桜」に宿っており、「CASE7」における一連の事件を引き起こす。 「CASE7」は基本的に白雲山が憑依した中谷の仕業であるが、一方でサイコメトリー能力で白雲山の記憶を読み取った映児にも影響を与える。また、中谷や映児を介さない超常現象と呼べるものも引き起こしている(映児の部屋の窓に、桜の樹液による白雲山の手形が残るなど)。また、中谷自身は中肉中背の中年男性ながら、白雲山の憑依中はまさに力士といった膂力を発揮し、技などを駆使する(そもそも両手で首を締めて、綺麗に締め落とすなどは素人には不可能)。 幾島 丈二(いくしま じょうじ) 「CASE8:屍の街」の主犯。 →#レギュラーの犯罪者 安岡 辰巳(やすおか たつみ) 「CASE8:屍の街」の犯人の一人。3年前、トオルと幾島によって渋谷から追い出されたイカれた不良。痩けた頬に赤い長髪が特徴で、葉巻のハバナを好み、よく吸っている。目的のためであれば卑怯なことなどまったく気にせず、トオルからは「狂犬」と評される。「CASE8」におけるコカイン市場を巡る陰謀の首謀者と思われていたが、実は黒幕である幾島の共犯者であった(正確には安岡も幾島によってコカイン中毒にされており、彼の言いなりであった)。 3年前はトオルを、本編では映児を唐突にナイフで刺し、機先を制するなど、とにかく手口が汚い。自らが、コカイン市場の商売敵である渋谷でのドラッグのディーラーグループ「69」の仲間であるように見せかけて「リーグ」に潰させ、コカイン市場の独占を図る。編の終盤では、アジトに乗り込んできた映児を部下達と共に返り討ちにしようとするがまったく敵わず、ほとんど殺されかけた状態で警察に捕まる(赤樹の霊が映児を止めたために、トドメが刺されなかった)。 「BREAK52:復讐の下手投げ」で再登場し、少年院を脱獄して映児とトオルに復讐しようとする。実は中学時代は相撲部で、全国大会で準優勝したほどの力量であったが、それを読み取った映児らが、相撲で決着をつけようとしたため、呆然としてしまい、そのまま再逮捕された。 青木 義男(あおき よしお) / 殺人シェフ 「CASE9:殺人シェフ」の犯人。レストラン用品のクリーニング屋。その正体は「料理を冒涜した」と考える料理人を拘束し、自らの料理を食べさせ、満腹で食べられなくなると激昂して殺すという殺人シェフ。幼いころからフランス料理に憧れを持ち、また人並み外れた嗅覚を持っていた。化学系の大学を卒業後、その嗅覚を生かして食品メーカーに就職し、商品の開発チームに配属される。そこで冷凍食品の魚でも焼き魚の香りがする香料の開発などを行うが、同時にそれが料理への冒涜と深い自責の念を持つようになり、最終的に精神を病んで退職し、実家のクリーニング屋を継ぐ。自ら趣味で料理研究をする傍ら職業柄、様々なレストランを訪れるため、そこでゴミを漁って分析までしていた。しかし、そこで顧客の1つがかつて自らが開発していた香料を使っていることに気づき、それが過去のトラウマと結びついて殺人を繰り返すようになる。 上記の通り、標的は化学調味料の香料を使うなどして「料理を冒涜した」と考える料理人であり、それに自らが調理した「本当の料理」を味わわせることを目的とする。見た目は高級料理に慣れた志摩も感嘆するほどの出来栄えであり、標的に食べさせる際には隠し味などを細かに説明するなど、自分の料理に絶対の自信を持つ。ところが、実は個人研究で料理をやっていたがために、ビネガーはプロとしては賞味期限が切れたものを使ったり、水は水道水であるなど、しょせんアマチュアだった。 自身が料理人として高く評価していた顧客・透流の母親(江川瞳)が、例の香料を使い始めたことに気づき、標的とし他の被害者たちと同じく、自分の料理を振る舞う(これは正確には誤解で、彼女が雇った新しいスタッフの河原崎が勝手に香料を使っていた)。ところが、そこで上記の欠点を次々と彼女から指摘され、最終的に単なる見掛け倒しだと料理人失格の烙印を押される。そのショックで発狂し、自らの身体を切り刻み倒れ(映児曰く自分自身を料理してしまう)、逮捕される。 第2部において、精神異常を鑑みて罪を問われなかったことが示唆されており、ピザ屋のバイトとして登場している。 ドラマ版では「川辺(かわべ)」という名前で登場し、少なくとも料理の腕は高かった(見掛け倒しの料理は河原崎に設定が変わっている)。 轟 省吾(とどろき しょうご) 「CASE10:テロリストの挽歌」の犯人。定年間近の少年課の刑事。年相応に非常に温厚そうな初老の男だが、実はかつて「ミスター捜査一課」と呼ばれた捜査一課の伝説的な刑事。武道、射撃(拳銃、狙撃両方)、捜査能力共に優れており、過去にはオリンピックに出場して銀メダルを獲得し、海外で教官を経験したこともある。また、捜査一課時代は、新人だった志摩の上司で教育も担当しており、彼女が頭の上がらない一人だった。ある事件で志摩を助けるために犯人の少年を射殺し、轟に落ち度はまったく無かったが、自責の年から拳銃を捨て、少年課に異動したという過去を持つ。孫娘の加藤舞を強姦の末自殺に追いやった5人の少年達に復讐するため、「復讐に燃えるテロリスト」として一連の事件を引き起こす。 舞の自殺後に、初めて事件のことや彼女が自分に相談しようとしていたことを知り(少年課の刑事とはいえ、未成年保護の観点から事件を知らなかった)、激しい後悔に襲われる。そして昔のツテで手に入れたトカレフ拳銃で自殺しようと街を彷徨っていたところ、偶然にも犯人の少年の1人に出くわし、そこで彼らが反省していないどころか、自らを「鬼畜系」と称して新たな事件を起こそうとしていることを知り、そのまま激昂して射殺する。そこで孫の復讐を遂げることを決意し、ドラグノフ狙撃銃なども用いて、残りの4人を殺害するための行動を起こす。途中で志摩に犯人とバレ、妨害を受けるものの、彼女の想定を超える狙撃術などで標的達を葬っていく。最後のリーダー格の1人を追い込み、恐怖のために重傷を与えたところで、駆けつけた映児や志摩の妨害を受ける。志摩との激しい銃撃戦の末に、彼女に対して有利に立ったように見えた瞬間にSATの一斉射撃で死亡する。実は自身の銃弾は既に尽きており、有利に見えたのはブラフであった。死の間際に自分の記憶を映児に読み取らせ、詳細な動機を伝える。 若竹 夏美(わかたけ なつみ) / イムタン 「CASE11:騒霊の館」の犯人。画廊経営者。青池蘭の熱烈なファンである壮年の女性。実は病魔に冒され余命間もないために心理が不安定な状態となっており、自殺願望のあるリストカッターであった。その中で青池の絵と出会い、自分の最後の命を敬愛する彼女のために使おうと考える。そこで青池から彼女が憎んでいる人間(飛行機事故の生存者)を聞き、一連の殺人を犯す。標的を殺した後、喜怒哀楽を示す濃い化粧(歌舞伎の隈取のようなもの)をさせるのが特徴(館内での殺人では化粧に加えてポルターガイストによる人形の殺人ように演出した)。標的全員を殺害した後、手首を切って自殺する。 殺人者「イムタン」は、夏美のアナグラム(ローマ字の逆読み)である(NATUMI→IMUTAN)。また、若竹自身がイムタンを名乗ったわけではなく、犯人を知る青池が犯人はイムタンと言ったことによる。 青池 蘭(あおいけ らん) 「CASE11:騒霊の館」の主要人物で、実質的な黒幕。17歳の若き美人洋画家。14歳で画壇デビューし、見る者に感銘を与えるような風景画を描くため、人気を博し、ファンが多い。かつて13歳の時に航空機墜落事故に巻き込まれて唯一の生存者となり、そのショックで感情を失い心を閉ざしている。また、常に車椅子で西洋人形マリアージュを膝に抱えており、その人形を使った腹話術によって意思表示する。同事故で両親を亡くしたため、その後、叔父夫妻に引き取られ、人里離れた森の中の洋館で暮らす。 飛行機事故の際に、ある種のサイコメトリーのような能力によって、201人の犠牲者たちが最期に思い浮かべた風景が自分の中に流れ込んでくる。彼女の描く絵の正体は、実はこの風景であり、死の間際の人間が思い出すほどの印象深い風景ゆえに見る者に感銘を与えていた。その中で実は喜怒哀楽の表情の隠し絵も書き込んでいた。 偶然搭乗を見合わせたために飛行機事故を免れた人たちがインタビューで喜ぶ姿を見て、強い憎しみを抱くようになる(この中には叔父夫妻も含まれる)。その感情を自身のファンだった若竹に吐露したため、彼女が一連の殺人を行うこととなる。だが、実は飛行事故被害者には青池の想い人であった家庭教師の大学生がおり、実は若竹がキャンセルしたため同乗し事故に巻き込まれていた。その先生の最期の風景は、絵を描く青池の姿であり、実は両想いであったことを知る。そのため、青池にとって最大の憎しみの相手は他ならぬ若竹であり、若竹に殺人者という最大の汚名を着せることが最大の復讐だったのではないか(初めから若竹が殺人を行うよう仕向けていた)、と沢木は指摘している。 犠牲者全員の絵を描き終わったこと、復讐が完了したことで、編の最終盤で喜怒哀楽を取り戻し、編の最後ではこれからは自分の描きたい風景を描くと宣言するシーンで終わる。 カンナビス 「CASE12:カンナビス」の敵役。 →#レギュラーの犯罪者 ヤコブ カンナビスの部下の男。癖のある長髪に髭面、三白眼という怪しい風体の男。カンナビスの正体が明らかになるまで、あたかも彼がカンナビスであるかのように描写される。実際のところは、カンナビスの部下として道具や誘拐した一馬の身柄を運ぶ程度の仕事で、裏の人間とはいえ、カンナビスや幾島のような人間離れした異常性はない。 能条 蓮治(のうじょう れんじ) / サイレント・ボマー 「CASE13:サイレント・ボマー」の犯人。花火師の青年で、映児と国光の幼馴染かつ親友。映児や国光とは対象的な冷静で落ち着いた性格。サイレント・ボマー編の前段において、自らが済む下町が悪徳不動産会社の地上げの被害に遭い、この事件は映児と国光の活躍で片付く。しかし、それから間もなく、強く尊敬する花火師としての師匠でもある祖父が亡くなり、その原因を地上げ屋達の行為に求めて復讐を誓う(逆恨みではなく、実際に地上げ屋らの睡眠妨害などで祖父の体調が悪くなったなどの描写がある)。そして花火師としての知識を活かし、地上げに関わった人物らを次々と爆殺していくが、他に被害を出さないために事前に徹底的に相手を調査し、さらに子供達が凄惨な死体を見ないように煙幕を張るなどの配慮まで行う。その爆発物に関する知識・技術は当初、プロファイリングする志摩に軍事のプロと勘違いさせるほどだった。 復讐の途中で正体が発覚するも、映児や志摩、そして国光を出し抜き、復讐を完遂する。一時は捕まってしまうも、自らの片腕を焼き切って逃亡するなど執念で行動し、最後には一連の騒動の中で、真の悪はもっと上の政治家たちと考えるようになり、革命と称して国会議事堂に爆弾を仕掛け、自爆する共に国会議員らを皆殺しにしようと企てる。しかし、蓮治を助けたい映児と国光が下町の仲間(若者)を誘って衆議院議会場を占拠するという前代未聞の事件を引き起こし、そして彼らの説得によって出頭する(爆死を免れた政治家たちの口添えで映児らも免責される)。また、失った腕は保管されており、その後手術で元に戻る。 一連のエピソードが国光が政治家を志すきっかけとなり、後にスピンオフ『クニミツの政』につながる。また、特例で花火造りを許されており、同作中では刑務所内から彼が製作した花火玉が送られている。 第2部「Case.8」で再登場し、爆発物のプロとして、映児と志摩に助言する。 ドラマでは未登場で中性的な容貌がB.Jに継承された他、幾島がサイレント・ボマーを名乗っている。 大清水 宏(おおしみず ひろし) / MELA 「CASE14:サバイバル・ゲーム」の犯人。映児の同級生で、同学年における優等生グループの一人。沢木に唆される形で、彼の助言を受けながら、名門大学の推薦枠を狙うライバル達を殺すという一連の殺人事件を起こす。ただし、基本的に自分が行うことは後述のように下準備のみで、実際の殺しは同じくライバルの灰島を操作するという形で進め、大清水自身が直接手を下したのは返り討ちという形での灰島の殺害のみであった。その上で更に幼少時に理不尽に自分をイジメた恨みの対象である章吉に罪をなすりつける。MELAはリンゴのイタリア語で、章吉をハメるため「芽衣羅」という名前も使った。 「CASE14」の事件の仕掛けや構造は特殊である。まず、沢木が、特殊な命令を受信すると強力な電磁波を発する違法携帯電話を開発し、標的たちが持つように仕込む。電磁波に反応して発火する金糸の入ったアクリルのセーター(アクリル自体が燃えやすい面もある)を合格祈願品のような形で口コミ(優等生の親のコミュニティーなど)で標的に着させ、さらにただ服が燃えるだけでは効果が薄いため、予め事件現場の酸素濃度を高くしておく(これはすべて大清水が行う)。大清水はMELAとして灰島を唆し、灰島は標的の携帯電話に着火の命令送信を行う(灰島は命令送信するだけで、着火する仕組みは知らない)。以上は沢木にとって罪の意識を希薄化させる心理実験であり、また携帯電話による暗殺は、「CASE11:騒霊の館」によって得た電磁波の知見と共に次編「CASE FINAL:罪と罰」における標的暗殺の実験でもあった。 沢木の思惑通りに計画を進め、基本は灰島に殺させること、その灰島殺害はあくまで正当防衛という形にすることで罪の意識が希薄だった。また、実際に犯行の証拠がまったくない完全犯罪であり、志摩も諦める。しかし、理不尽な決着に納得がいかない映児と裕介、トオルから、犯行方法はすべてバレていること、さらに目的であった推薦枠を自分より成績優秀な裕介が狙うと予告されたことで精神を強く動揺させられる。そして、携帯電話1つで容易く人を殺せるという事実から、駅のホームで電車を待っている際、周りの着信音で今度は自分が殺されるのではないかとパニック状態になり、そのままホームに転落して電車により轢死する。 灰島 和良(はいじま かずよし) 「CASE14:サバイバル・ゲーム」の実行犯。映児の学校の優等生グループの一人。名門大学への推薦枠を狙う中で、自分より成績上位のライバル達を「MELA」と名乗る人物のメールでの指示を受けながら次々と焼き殺していく。灰島自身がやったことは基本的に着火源となる改造携帯への特殊命令送信だけで、酸素濃度を上げるなどの前準備はすべて黒幕のMELAこと大清水が行っていた(加えて、灰島自身はあくまで命令を出せば標的が焼け死ぬという事実しか知らず、違法携帯電話が暗殺の道具とは知らなかった)。「CASE14」は、灰島が実行犯と読者に明らかにされた形で物語が進む。 実は大清水よりも成績は1つ上であったが、MELA(大清水)から教えられた成績順位は逆であった。そこで大清水も灰島にとって標的となり、最後の殺しとして特殊命令を送信をしようとする。そこをあくまで心理的には正当防衛という形で、逆に大清水から携帯に命令発信がなされ、焼き殺されてしまう。 長尾 / レイブン 「CASE FINAL:罪と罰」の犯人グループの主要人物。神奈川県警の刑事。志摩の同期。頭脳明晰で志摩も認めるキャリア組の若手刑事だが、先輩の立花や赤樹には敵わないと感じて警視庁ではなく県警を選択したという。「CASE FINAL」の冒頭のロシア人娼婦殺しを担当し、被害者が志摩が立花に送った自分の名前が彫られたたペンダントを持っていたため、志摩に事情を聞きに来る。実は警察内クーデター勢力の幹部であり、ボスであるエレファントの右腕。クーデター勢力を倒すために立花や志摩と行動するように見せかけ、自分たちの存在に気づいた立花を殺害するために志摩を囮に使うのが目的であった。また、沢木からサイコメトリーの防御方法を教えられており、映児の能力から正体を隠し通せていた。 ドストエフスキーの『罪と罰』を引用して、自分を選ばれた人間とし、理想的な国家を作るためとして、自分らの犯罪行為を肯定する(これを沢木からはアドルフ・ヒトラーと同じ考えと評される)。また、もともと沢木と交友関係を持ち、沢木をクーデター勢力に誘った張本人である。ただし、自分は革命家で、沢木は犯罪者だと一線を引く。 あくまで味方の側を装い志摩らと行動を共にする。しかし、立花には薄々正体がバレており、最終的には彼の策で尻尾を出すことになる。最後、アジトの戦いにおいて志摩や阿部を牽制するも、重傷を負った阿部と相討ちになり射殺される(阿部は一命を取り留める)。 近藤 / バッファロー 「CASE FINAL:罪と罰」の犯人グループの殺し屋。警察内クーデター勢力の幹部。片耳を欠損している。一時期は立花の部下だったともある元刑事で、ノンキャリア。射撃、格闘術に関して超一流の技術を持ち、組織の戦闘部隊を指揮する。赤樹を殺した張本人であり、「CASE FINAL」冒頭では立花の協力者であったロシア人娼婦を殺害する。 祖父は特攻隊員、父親は政治家のSPという家系で、人一倍愛国心が強い。幼少時に父親が護衛対象を暗殺から庇って殉職し、その後でその護衛対象が汚職で捕まったことに強いショックを受ける。そのためにクーデター勢力に加わっており、その正義心から協力者である沢木のことも毛嫌いしている。 同編において序盤から犯人グループの一員として登場し、作中を暗躍する。終盤、アジトで立花にサシの勝負を挑む。自信をもっていたが、立花の方が一枚上手であり、機転を効かせた立花に破れ、射殺される。 警視総監 / エレファント 「CASE FINAL:罪と罰」の犯人グループのボス。年配の男。現在の日本の政治状況を悲観し、警察権力が背後から政治家の弱みを握って支配するという「静かなるクーデター」を企てる。長尾や近藤から敬服され、長尾からは偉大なカリスマとまで評される。立花は警察内の大物と見立て、作中でも同編初期から登場していたが、最終盤まで公的な役職は明かされておらず、編の最終話にて現役の警視総監であることが判明する。最期は警視総監室に乗り込んできた立花に射殺される。
※この「メインストーリーにおける犯罪者(第1部)」の解説は、「サイコメトラーEIJI」の解説の一部です。
「メインストーリーにおける犯罪者(第1部)」を含む「サイコメトラーEIJI」の記事については、「サイコメトラーEIJI」の概要を参照ください。
メインストーリーにおける犯罪者(第2部)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 16:48 UTC 版)
「サイコメトラーEIJI」の記事における「メインストーリーにおける犯罪者(第2部)」の解説
美影 潤(みかげ じゅん) / ピース 「Case1:ピース」の犯人。映児の同級生(映児、章吉と共に3年時に留年)。映児からはミカジュンと呼ばれる。グラフィティが得意で、おっとりとした性格の青年で、同じ留年組として映児や章吉と仲良くなり、共に深夜の街でビル壁に落書きをしていた。後述の過去から母親に強いトラウマを持ち、別人格「ピース」を生み出し、被害者をジグソーパズルのピースに見立てて針金で成形し、そこにスプレーで絵を描く(被害者たちを組み合わせると1つの絵になる)という猟奇殺人を繰り返すようになる。 裸の状態でベランダに出されるなど、幼少より画家だった母から強い虐待を受けていた。5歳の時に、おそらく抵抗した時に偶然にナイフが母の首に当たり、彼女を殺してしまう。以降、殺人の記憶も強いトラウマとなり、母と殺人に関する記憶を喪失し、父子家庭で生活していた。しかし、高校に入って一人暮らしを始めた際に孤独感から引きこもりになり留年する。そこでカウンセリングを受けるが、そのカウンセラーが未熟で退行催眠による母殺害の記憶を呼び起こさせてしまい、その強いトラウマを受け入れられず別人格「ピース」を生み出して、母から命令されるという形で殺人を起こすようになる。このため、普段の状態では犯行の記憶がなく、映児と志摩の捜査にも協力していた。 最期は恵美を誘拐し、殺害しようとしたところ、真相に気づいた映児と志摩に阻まれる。トランス状態で「マジェンタ(マゼンタ)が必要」と暴走した末に、自らの頸動脈をナタで斬り自殺する。死の間際に自分の血で自分の身体に最後の絵のピースを描き、息絶える。 植松(うえまつ) 「Case2:処刑の塔」の犯人。鳶の親方で江戸っ子らしく気風が良い。映児のバイト先の雇用主で、龍兵を実の息子のようにかわいがっている。後述のように「CASE2」の冒頭で娘・佐知子を無残に殺され、その際の犯人らの冷酷な相談を電話越しに聞いていたため復讐を誓う。実は若い頃は、フリークライムの世界チャンピオンになったという経歴を持ち、ほとんど掴まる場所のないようなビルの外壁をよじ登ってしまう。これによって外壁から標的の部屋に向かって犯行を行い、あたかも密室で殺人が起きたかのような事件を繰り返す。 「Case2」の冒頭において、娘・佐知子が医学生の青年ら3人による不注意の運転で交通事故に遭った上に、まだ生きているにも関わらず、隠蔽工作のために線路に捨てられ殺されてしまう(飛び込み自殺を図ったように見える)。これら一連の出来事(青年達の会話)を、通話中であった娘の携帯電話からずっと聞いており、あまりにも外道な所業に警察には任せず、自らの手で復讐することを決める(そのため、知っていた犯人の名などを警察には教えなかった)。 最後の標的を殺そうとするも、真相に気づいた映児と龍兵によって土壇場で妨害される。その際に龍兵の説得(植松が殺さずとも相手は死ぬ)を受け、大人しく現場に駆けつけた志摩に逮捕される。最後の標的は、その後、龍兵の予測通りに事故によって死亡する。 渡辺 一夫(わたなべ かずお) / 明智川耕助 「Case3:殺人名探偵」の犯人。アパートのオーナー兼管理人である中年男性。幼少からのミステリーマニア。過去のトラウマから現実とミステリーの境界線が曖昧になり、探偵「明智川耕助」を名乗って自分が起こした殺人事件を推理し、その容疑者たちを次々に殺すという連続殺人事件を起こす。事件現場では糸や氷を使っていかにもミステリーチックなトリックを仕掛けるが、そんな面倒なことをしなくても容易に密室は作れるために警察からはまともに相手にされず(事件の報道で密室が構築されていたなどの情報がまったくない)、他にも稚拙なダイイング・メッセージを無視されるなど(犯人が行ったものとあっさり見抜かれる)、結果、フラストレーションが溜まり、より暴走していく。トランス状態では「ぬっ?」「ぬぬ?」という感嘆詞が特徴。 小学校時代、同級生や憧れの女の子から「探偵」と呼ばれ有頂天となっていた。そんな折、給食費の盗難が発生し、探偵として解決しようとしたところ自分のカバンの中から盗まれたお金が見つかる。これによって評価が反転すると共にイジメの対象となり、不登校になって引き篭もるようになる。家業のアパート大家を継いだために裕福で、社会経験は乏しい。 自身が管理しているアパートの一室で強盗殺人が置き、それによって探偵として犯人を捕まえなければならないという強迫観念に襲われるようになる(実際には犯人は逮捕済み)。その時の野次馬の一人を犯人と決めつけ、以降、思い込みによる滅茶苦茶な推理で行動し、自分が探偵として認められないと逆上して相手を殺すという犯行を繰り返す。名前に「光」に関係する字が入っている者を疑い、編の終盤では偶然にトイレで男装したヒカルを目撃して彼女を次の容疑者と見なし、自宅に監禁する。しかし、既に映児と志摩の捜査の手が伸びており、最後はサイコメトリーで情報や思考を読み取った映児に説得され、自分自身を犯人と推理して逮捕するという形で大人しく捕まる。 湊 麒一郎(みなと きいちろう) / 痢遺愚狩り 「Case4:痢遺愚狩り」の主犯。通称「キイチロー」。 →#リーグ関連 庵 賢三(いおり けんぞう) / 心臓コレクター 「Case5:心臓コレクター」の犯人。個人診療所「庵医院」を経営し、「渋谷の赤髭先生」と呼び慕われる禿頭の名医。「Break.10」で登場。患者を第一とする生真面目な人格者であり、開業医になる前は「神の手」と呼ばれた優秀な外科医。実は第1部「CASE14」で生命の危機となるほどの重体となった章吉を外科手術で救ったのも彼だという。後述の理由から、かつて自分が命を助けた者を襲い、その心臓を奪って代わりにカップ麺の中身を詰めるという連続猟奇殺人を起こすようになる。またトランス状態の際には「ひゃくつ」という擬音のしゃっくりを繰り返す。 上述の通り、元々優秀な外科医であったがメスを握るとしゃっくりが止まらなくなる心身症を患い開業医となる。その後も、自分の時間を削って1日置きに大病院の当直を務め、自分の食事はカップ麺のみで過ごすなど、患者のみならず同僚の医者からも尊敬されていた。ところが、重度の心臓病を患いドナーを待っていた一人娘が亡くなったこと、さらにはかつて自分が心臓手術で一命を取り留めた元患者が心筋梗塞で大きな交通事故を起こしたことが重なって起こる。その結果、娘を助けるためにはかつて自分が助けた患者を殺してその心臓を奪っても良いという狂気に陥り、5日で5人というスピードで一連の連続殺人を起こしていた。また、娘の死体は引き取った後、まだ生きているかのように思い込んで蘇生措置を続けていた。 龍兵の知り合いで、やはり過去に命を助けたことがある女植木屋・想空(そら)を襲い、自身の医院にて殺そうとするが、その現場を映児と志摩に踏み込まれる。最期は自らの左胸をメスで指し、自分の心臓を提供するから娘を助けてくれと遺言して亡くなる。 河合 アリサ(かわい アリサ) / 黒いサングラスの男 「Case6:黒眼鏡の死神」の犯人。映児とや裕介とバンドを組み、ギター兼コーラスを担当している黒髪の美人。母子家庭の育ち。「黒いサングラスの男」に付きまとわれている上に、電車内のマナーが悪かった相手をその彼がホームから線路に突き落とす連続殺人の目撃者となる。だが、実は「黒いサングラスの男」は実在せず、マナーが悪く死んで欲しいと思った相手を自身が無意識の内に殺害していた。 まだ赤ん坊の頃に一緒にいた父が電車内のいざこざで相手の大学生にナイフで刺し殺されたという過去を持つ。父は「黒いサングラスの男」と同じ容姿で酷いクレーマーであり、キレやすい性格であった。当初はこの時の殺人を赤ん坊の内に目撃し、無意識下でのトラウマになったと思われていた。しかし、真相は父は偶然によって大学生のナイフでは殺されておらず、その直後に父が赤ん坊のアリサの泣き声にキレて線路上に投げようとしたため、母がそれを止めるためにナイフを奪って刺殺したというものであった。この母が自分を守るために犯した殺人の記憶が真のトラウマの原因であり、映児は、マナーの悪い者や父のようなクレーマーから母を守りたかったのではないかと予想している。 3つ目の事件を真相に気づいた映児に防止されるが、錯乱してホームから線路に飛び込む。これも映児に助けられるが、そのまま3日間昏睡状態となってしまう。トラウマを解決できなければ殺人を繰り返す恐れがある中で、最終的に志摩経由で催眠治療のエキスパートである沢木に助力を求め、彼の退行催眠と映児のサイコメトリーで、アリサの赤ん坊のときの記憶を書き換え、母の殺人は目撃していなかったことにする。志摩によれば心神喪失状態での殺人のため、罪には問われない可能性があるという。 吉川 久代(よしかわ ひさよ) / 世直し新聞 「Case7:殺人新聞」の犯人。進学塾の女性事務員。収賄の当事者や悪徳宗教の指導者といった世の悪人を殺害し、殺害現場に標的の悪事を糾弾した「世直し新聞」を残す連続殺人鬼。事件を起こす際は、フルフェイスのヘルメットを被った新聞配達員の格好をしている。また、女子柔道の五輪強化選手に選ばれた過去を持つほどで、華奢な外見に反して類まれな身体能力を持ち、大の大人を二人まとめて絞め殺すといった技術を持つ。 小学生の頃、テロ組織の爆弾で殺された大手新聞社の記者であった父を強く敬愛しており、元はジャーナリスト志望であった。しかし、新聞社の面接は不採用となり、記者のマネごとをしつつ塾の事務員として生計を立てていた。そんな中で偶然、収賄事件を目撃し、ネタを自分の作った新聞に書いて新聞社に売り込みに行くものの迷惑者扱いされ、警察沙汰となって記者となる道が完全に閉ざされてしまったことが動機の1つとなる。また、元々女子柔道の五輪強化選手であったが、練習での頭部打撲で脳に血腫ができて選手生命を断たれた過去を持ち、この血腫が脳を圧迫してトランス状態になった可能性も作中で指摘されている。 新聞をサイコメトリーした情報から早々に務めている進学塾の関係者であることがバレるものの、女の地味な事務員という意識されにくい人物であったため犯行を続け、エスカレートしていく。しかし、悪人ではない善人を思い込みで殺害するなど暴走を始める。さらに塾のコピー機で「世直し新聞」を刷っているところを塾生の恵美に目撃されてしまい、正体を隠すために都合、恵美ら5人の生徒たちを気絶させ、自己正当化した上で、彼らが放火して事故死したというシナリオで塾に火をつける。自身は被害者を装って建物から逃げようとするも、そこに駆けつけてきた映児と偶然に触れて記憶を読まれ正体がバレてしまう。その体術で映児を追い詰めるが、彼から目撃者を殺害しようとした自己正当化や責任転嫁などを、新聞記者としてあるまじき態度と糾弾されてトラウマを刺激され、最後は異常な興奮状態で先述の脳の血腫が破裂し、昏睡状態となった状態で逮捕される。志摩によればこのまま意識回復せず、植物状態となる可能性があるという。 南雲 将次(なぐも しょうじ) / 東京シティゲリラ 「Case8:狼たちの残照」の犯人グループ「東京シティゲリラ」のリーダー。飯島タカシの祖父。孫想いの好々爺で、年相応に安穏とした暮らしをしている。全共闘世代で、実はT大の首席合格者として過激派グループの1つを率いていたカリスマ的なリーダーだった。当時、大規模なテロ計画を企てたが失敗し、海外で数年ほとぼりを冷ました後は目立たないように生活をしていた。老人ながら最新のハイテク技術にも精通する。かつての戦友の海谷が、宇田川署の田浦署長らに連続婦女暴行犯の濡れ衣を着せられ自殺したこと(さらに家族は孫含めて一家心中した)に憤怒し、かつての仲間らと「東京シティゲリラ」を名乗って復讐を企て、海谷逮捕に関わった悪徳刑事に対する一連の爆破テロ事件を引き起こす。 標的の刑事3人を爆死(一人は重傷)させた後、田浦の署長室に密かに爆弾を仕掛けた上で、さらに婦女暴行事件の真犯人である彼の次男を誘拐する。中東のテロリストさながらに次男を拷問しながら尋問する様子をインターネット上に公開し、事件の真相を白日の下に晒す。既に死ぬつもりであり、最期は警察の包囲を受ける中で、次男にナイフに見せかけたスプーンを突きつけてわざと機動隊に射殺される。 峰見 勝也(みねみ かつや) 「Case8:狼たちの残照」の犯人グループの一員。大手建設会社「鹿馬建設」の常務。外見は大手企業の重役らしい腰の低い初老の男。映児のサイコメトリーによって最初に容疑者として足が付いてしまう。最後の計画には1人だけ加わらず、南雲に健闘を祈って最後の会話を交わす。実は、計画後に田浦署長とその次男が罰せられない場合の保険要員であり、その場合は南雲が署長室に仕掛けたダイナマイトを遠隔操作で爆破させ、彼を殺す予定であった。しかし、志摩から田浦の次男が婦女暴行を行っていた証拠が見つかったことで近い内に手が回ると教えられたために安心し、最後に田浦に爆弾を仕掛けていた旨を連絡して彼を恐怖させ、そのまま出頭する。 霧島 洋子(きりしま ようこ) 「Case8:狼たちの残照」の犯人グループの一員。飲料会社の配達員である初老の女性。最初の爆破事件の目撃者であったが、実は彼女こそが爆弾の起爆者であった。東京シティゲリラの最後の計画にも参加し、抵抗はせず、そのまま逮捕される。 篠木 龍馬(しのき りょうま) 「Case8:狼たちの残照」の犯人グループの一員。高校の英語教師である初老の男性。2件目の爆破事件の起爆者。東京シティゲリラの最後の計画にも参加し、抵抗はせず、そのまま逮捕される。 9J 「Case9:ラスト・ドラゴン」の敵役で、「Case4」や掌編における黒幕。 →#レギュラーの犯罪者 ジェイソン 「Case9:ラスト・ドラゴン」の敵役の一人。「リーグ」の幹部(四天王)。 →#リーグ関連 牧野 幸一(まきの こういち) / マッキー 「Case9:ラスト・ドラゴン」の実行犯の一人。登場は「Break15:パープル・ヘイズ」からで、以降「Case9」に繋がる番外編にしばしば登場する。音楽スタジオの従業員でトオルとは旧知の仲であったが急に他人行儀になり、間もなく行方をくらましてしまう。実は9Jに洗脳されており、「SGDプロジェクト」の実行犯チームのリーダー「牧野軍曹」として、カンナビスなどから軍事訓練を受けていた。 「Case9」においては、カンナビスの訓練中に偶然遭遇したサバイバルゲームのチームを命令のままに殺害するなど、他の仲間と共に殺人への抵抗自体を無くしていく。特に中盤の牧原暗殺計画のチームリーダーを務め、牧原邸を襲撃するが、牧原本人とトオルの抵抗に遭う。トオルを庇った牧原を銃撃することには成功するも、その場でトオルに取り押さえられ、牧原も一命を取り留める。事件後は洗脳されていたとはいえ、いくつかの殺人に加担していため、実刑は免れないことが示唆されている。 氷室 馨(ひむろ かおる) 「Case9:ラスト・ドラゴン」の犯人グループの一人。「FSD」の副リーダー。化け物のような顔に整形している青年。FSDのメンバーらしく9Jの命令には従うものの、実は9Jの洗脳を受けていない。9Jからは顔が面白いやつとして幹部に据えられていただけであったが、ギャング幹部としては普通に暴力的。 9Jの側近として第2部「Case4」からしばしば登場する。基本的に実行犯としては事件に関わらない。「Case9」の終盤でトオルの襲撃を受け、9Jの居場所を吐かされる。事件後は、上記の通り実行犯ではないため特に逮捕されず、行方不明になった9Jに代わってFSDの新しいリーダーになった。 真野 和美(まの かずよし) / ペニス・コレクター 「Case10:ペニス・コレクター」の犯人。女性ものブティックの店長。外見はお淑やかな美女だが本来の性別は男。戸籍上は性転換手術を受けて女になっている。名前の「和美」の読みから主人格を男の「カズヨシ」、副人格として女性の「カズミ」を持つ多重人格者。後述の過去から男でも女でも無いことにトラウマがあり(イソップ童話の『卑怯なコウモリ』のコウモリに自身を例える)、雌雄同体を完全体とみなし、執着する。真に愛し合った男女であれば、女に相手のペニスがくっつくと信じ、そこで愛し合っているカップルを襲い、男は殺してペニスを切り取って持ち去り、女は誘拐してペニスを縫い付ける外科手術を行っていた。当然、くっつくはずもなく、ダメだったことを確認すると女も殺していた。また、男の被害者にはLGBTの意味があるλ(ラムダ)の印を額に残す。トランス時は親指を「チュパチュパ」としゃぶる癖がある。 美人の医者というエリートの母を持つ。父は平凡な男だったが、真野の幼少時に愛人を作って逃げていた。このため高いプライドを傷つけられた母から、父に似ているという理由で虐待を受け、さらには少年時にペニスを手術で切り取られてしまう。愛人とのセックスを見せつけられた母から、お前はもう愛し合うことはできないと罵られたことで、母と愛人を殺害し、その後、その愛人のペニスを切って接着剤で自分の局部につけようとした。その後、まだ少年だったことと、ペニスの切除など母の過剰な虐待が発覚して同情され、母の遺産で子供時代を過ごす。 映児と志摩に正体がバレた後、アジトに帰るところを尾行されるが、途中で気が付き、逆に映児を誘拐する。監禁中の美女・羅々亜(ララア)と、映児が脱走しようとしている現場を見て、二人が愛し合っていると勘違いし、映児を殺害して、そのペニスを羅々亜につけようと暴走を始める。映児との攻防中に、現場に到着した志摩によって逮捕される。 藤村 一郎(ふじむら いちろう)/ ブラック・ゴート 「Case11:黒い山羊」の犯人。自動販売機の補充員。真面目で母親想いの青年。ネットの掲示板において「ブラック・ゴート(黒い羊)」を名乗り、ブラック企業の告発及び大量殺戮の予告を行う。その後、この予告が本気であることを知らしめるため、無差別殺人に見せかけた毒を使った連続殺人事件を起こし、予告した大量殺人に向けて行動する。 化学系の大学を出た真面目な青年であったが就職難から自動販売機の補充員に就職する。ところが上司や客先の理不尽なクレームや、同僚が早々に辞めたことから、作業量が増し、深夜1時に帰宅し、早朝5時に出勤するという状態となる。それでも真面目な性格ゆえに無理に続けていたが、同居する母親がかなり前に死んでいたことに気づき(つまり同居人が死んだと気づかないくらいハードな生活だった)、悲しみから狂ってしまう。そして復讐のために行動を起こす。 無差別殺人に見せかけていたことや、自販機の補充員という意識に残りにくい職業であったため、志摩と映児の捜査を上手くすり抜けていく。そして予告した大量殺人の直前に正体がバレ、志摩の銃撃を受けながらも、毒ガスを発生させるが、結局は失敗し、逮捕されてしまう。
※この「メインストーリーにおける犯罪者(第2部)」の解説は、「サイコメトラーEIJI」の解説の一部です。
「メインストーリーにおける犯罪者(第2部)」を含む「サイコメトラーEIJI」の記事については、「サイコメトラーEIJI」の概要を参照ください。
- メインストーリーにおける犯罪者のページへのリンク