フラストレーション
フラストレーション(英: frustration)とは、欲求がうまく叶えられずに不満感が生じている状態のことである。「フラストレイション」とも表記する。
英語frustrationは、挫折させる、いらいらさせることなどを意味する他動詞frustrateの名詞形であり、一般に計画の挫折や頓挫なども意味するが、日本語の日常語としては「フラストレーション」はもっぱら上記の意味で用いられる。『学術用語集 心理学編』では、frustrationには「フラストレーション」「欲求不満」および「要求阻止」「欲求阻止」の訳語があてられている。
「フラストレーション」の類義語の「不満」が個々の物事に対して物足りなく思うことをも指すのに対し、「フラストレーション」は物足りなさのために不満感を抱いている状態を指している。したがって「不満を口にする」「待遇に不満がある」とは言えるが、「フラストレーションを口にする」「待遇にフラストレーションがある」とは言えない。
また、「フラストレーション」の類義語の「ストレス」は、肉体的・精神的な負担のために心身に生じるよくない変化を意味しており、欲求が満たされないことにより生じるとは限らない。また、「ストレス」は「ストレスを加える」「仕事がストレスになっている」のように、心身に負担を生じさせる物事も指すが、「フラストレーション」は日常語では不満感の要因を指すものではない。
用例:「フラストレーションを感じる」「フラストレーションがたまる」「フラストレーションを解消する」
「フラストレーション耐性(フラストレーション・トレランス)」は、心理学者ローゼンツワイクの用語で、その人がフラストレーションにどれだけ耐えられるかを表す尺度のことである。
(執筆:稲川智樹)
フラストレーション
「フラストレーション」とは、欲求が満たされない状態や欲求が満たされずに起こる心理的な不安・不満などのことを意味する表現。
「フラストレーション」とは・「フラストレーション」の意味
「フラストレーション」は、日本語で「欲求不満」とも表現される。英語の「frustration」をカナ表記にしたもので、「挫折させる」、「妨げる」などの意味がある他動詞の「frustrate(フラストレート)」の名詞形である。また、ドイツ語で「frust(フラスト)」は、欲求不満を意味している。フラストレーションは、オーストリアの精神科医で、心理学者でもあるジークムント・フロイトによって考えられた概念である。フロイトは、フラストレーションを「不安や不満から発生する性的興奮」だと考えた。娘のアンナ・フロイトは、ジークムント・フロイトの考えをまとめて、フラストレーションが発散されない状態が続くと、人間は心理的な安定を求めようとして「防衛機制」が働くと提唱した。この防衛機制には、「抑圧」「合理化」「投射」「逃避」「同一視」「昇華」などのパターンが存在する。
フラストレーションと混同されやすい言葉に「ストレス」がある。どちらも心理的にネガティブな状態を指す言葉であるが、引き起こす要因が異なるという点で区別される。フラストレーションは、主に自己の内面にある欲求が満たされないことが要因で引き起こされる心理的にネガティブな状態を指すが、ストレスは、主に外的要因によって引き起こされる心理的に緊張した状態を指す。しかし、フラストレーションとストレスの原因には関係があることも多く、フラストレーションやストレスという言葉が広い意味で用いられることもある。
J・ダラードとニール・E・ミラーは、フラストレーションがたまると攻撃的になるという「フラストレーション攻撃仮説」を提唱した。フラストレーションがたまって心理的にイライラすると、それを発散させるために攻撃的になるという仮説である。ビジネスにおける具体例を取り上げると、部下との人間関係でフラストレーションがたまった時に、部下に対して攻撃的な口調になったり、冷たく接したりするのがこれにあたる。また、相手が上司だった場合、直接的には攻撃できないため、対象を置き換えて部下に八つ当たりしたり、悪口を言ったりすることでフラストレーションを発散しようとすることもある。
このように、フラストレーションがうまく発散されないと攻撃的になることが分かっている。また、いわゆる赤ちゃん返りのような「退行」、無気力になったり無意味な行動を繰り返したりする「固着」などの行動を起こす人も見られる。これらのネガティブな行動は、人間関係の構築や社会生活を送る上で問題になることがあるため、フラストレーションへの耐性を高めたり、フラストレーションを発散する方法を身に付けたりすることが大切である。
「フラストレーション」の熟語・言い回し
フラストレーションがたまるとは
「フラストレーションがたまる」とは、何かをしたいのにうまく行かない「欲求不満の状態になること」を意味する言い回しである。
「フラストレーション」の使い方・例文
「フラストレーション」の使い方・例文としては、以下のような文章が挙げられる。例1コロナ禍で自粛生活が続き、フラストレーションがたまった。
例2雨が降っていて外で遊べないからフラストレーションがたまる。
例3今日はハンドルキーパーだから、せっかくの飲み会なのにお酒が飲めなくてフラストレーションがたまるよ。
例4フラストレーションがたまってくると、発散しようとしてつい食べ過ぎてしまう。
例5今日は思い切りショッピングを楽しんで、フラストレーションを解消しよう。
例6あまりフラストレーションをためない方が、健康にいいよ。
例7フラストレーションを解消するためには、スポーツでいい汗を流すのが一番だと思うよ。
例8最近フラストレーションを感じることが多くて、なかなか寝付けない。
例9彼は、フラストレーションを感じやすい気質なんだね。
例10社内の人間関係が、フラストレーションの要因になっている。
フラストレーション【frustration】
フラストレーション
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/12 19:16 UTC 版)
フラストレーション (frustration) とは、欲求が何らかの障害によって阻止され、満足されない状態にあること。また、その結果生じる不快な緊張や不安、不満。「欲求不満」、「欲求阻止」、「要求不満」、「要求阻止」などと訳される。
- ^ Jeronimus, B.F.; Laceulle, O.M. (Jan 2018). “Frustration”. In Zeigler-Hill, V., Shackelford, T.K. Encyclopedia of Personality and Individual Differences. New York: Springer. p. 1-8. doi:10.1007/978-3-319-28099-8_815-1
- 1 フラストレーションとは
- 2 フラストレーションの概要
フラストレーション
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2011/08/24 10:54 UTC 版)
磁気相転移をはじめとする相転移は、物体が高いところから低いところに落下するように、それぞれの温度において、スピンなどがより低いエネルギーの状態をとろうとして、その結果として巨視的な様相の変化が起きるものである。 しかし、ある種の結晶においては、低温においてもスピンの配列がうまく噛み合わず、全てのスピンにとって最も低いエネルギー状態を取ることができるような単一の状態に収束しない。 このような場合には、同程度のエネルギーとなる複数の状態が並存することとなるため、わずかな熱の揺らぎによって状態が変化してしまい、著しい低温まで冷却したのに自発磁化を生じないなどといった独特の性質を示すようになる。これはフラストレーションまたはフラストレートしているといわれ、研究の対象となりやすい現象である。
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フラストレーション
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 07:03 UTC 版)
「ケビン・ガーネット」の記事における「フラストレーション」の解説
2004年のミネソタの熱狂は翌2004-05シーズンまで持続することはなかった。ウォーリー・ザービアックは健康を取り戻したが、サム・キャセール、ラトレル・スプリーウェル、トロイ・ハドソンの3人はうまく共存することができず、再びウルブズ内には不和が蔓延することになり、ガーネットの孤軍奮闘の日々に逆戻りとなった。ガーネットは6年連続平均20得点10リバウンド5アシスト以上となる22.2得点13.5リバウンド5.7アシストを記録し、2年連続のリバウンド王、オールNBA2ndチーム、オールディフェンシブ1stチームに輝き、リーグ1位となる69回のダブル・ダブルを達成、フェニックス・サンズとの試合ではキャリアハイとなる47得点を記録したが、ウルブズは前年より大きく勝率を落とす44勝38敗の成績に終わり、優勝を争うどころかプレーオフ出場すら逃した。ガーネットにとってはルーキーイヤー以来となるプレーオフ不出場だった。 チームは急速に崩壊していき、2005年のオフには3年2,100万ドルのオファーを蹴ったスプリーウェルがチームを去り、さらにキャセールもトレードに出され、代わりにやって来たリッキー・デイビスやマルコ・ヤリッチらは2人の穴を埋められるほどの選手ではなかった。2005-06シーズン、ガーネットは3年連続リバウンド王に輝く平均21.8得点12.7リバウンド4.1アシストの成績を残し(6年続けてきた平均20得点10リバウンド5アシスト以上の記録はついに途切れる)、オールディフェンシブ2ndチームに選出されるも7年連続選出されてきたオールNBAチームの選考からは漏れ、チーム成績は33勝49敗と更に下降する。 2006年のNBAドラフトでは全体6位指名でブランドン・ロイを指名するが、ウルブズは直後にランディ・フォイとの交換でロイをポートランド・トレイルブレイザーズにトレードに出している。ちなみにロイはこのシーズンの新人王に輝き、その後リーグ有数のシューティングガードに成長を遂げる逸材であった。目立った補強の無いまま始まった2006-07シーズン。ガーネットは平均22.4得点12.8リバウンド4.1アシストと例年通りの成績を残して4年連続のリバウンド王に輝くが、チーム成績は下降の一途を辿り、この年は32勝50敗に沈んだ。自身は全盛期の真っ只中にありながらチームは益々上位戦線から遠ざかる日々は彼を打ちのめし、チームに対して常に忠誠的であったガーネットについに「トレード」を口走らせた。プロ12年目、すでに31歳となっていたガーネットは勝てるチーム、優勝できるチームでのプレーを望んだ。
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「フラストレーション」の例文・使い方・用例・文例
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