ヘルニア
ヘルニアとは、臓器(体内の器官)がもとの位置から脱出・逸脱している状態を意味する医学用語。症状の発生する部位に応じて「鼠径ヘルニア」(俗にいう脱腸)や「椎間板ヘルニア」などのように呼び分けられる。
「ヘルニア」の語源はラテン語であり、もともと「突き出た臓器」という意味の語である。
ヘルニアの代表的症例である鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)は下腹の鼠径部で、腹腔の隙間から腸が飛び出している状態である。小腸、大腸、膀胱なども飛び出る場合がある。
同じくヘルニアの代表的症例である椎間板ヘルニア(ついかんばんヘルニア)は、背骨の構成要素である軟骨組織(椎間板)が本来あるべき位置から逸脱している状態である。
ヘルニア【(ラテン)hernia】
鼠径(そけい)ヘルニア(脱腸,だっちょう)
お腹の中にある臓器(小腸,大腸,大網という膜,女児であれば卵巣,卵管)が飛び出してきて,鼠径部が腫れてくる病気を鼠径ヘルニア(脱腸)といいます.こどもの外科手術では一番多い病気です.発生率はこどもの1〜5%とされています.
原因は腹膜鞘状突起という腹膜の出っ張りが鼠径部に残っていることにあります.腹膜鞘状突起は,胎生期後半に精巣が腎臓の下あたりから鼠径部に下降して来る時に,腹膜が鼠径部に伸びてできたものです.女児に精巣下降はありませんが,同じ現象が発生します.精巣が陰嚢内に下降した後は,多くの場合は自然に閉鎖してしまいます.右にも左にも出ることがあり,両側に認めることもあります.片側の鼠径ヘルニアの手術後,反対側に鼠径ヘルニアが出てくる確率は10%程度といわれています.性別では男児だけでなく女児にも同様にみとめます. ヘルニアのとおり道には狭い場所があり,飛び出した臓器がこの狭い場所で締め付けられ,飛び出した組織の血流が悪くなることがあり,これをヘルニア嵌頓といいます.一度,ヘルニア嵌頓を起こすと脱出した臓器はむくみ,硬くなりお腹の中に戻りにくくなります.こどもは痛みのため,不機嫌になります.このような時は両親が,慌てずに抱っこなどして泣かさないようにしてから,時刻に関係なく直ぐに主治医に連絡してください. 年少児の鼠径ヘルニアは自然に治ることもあるといわれていますが,自然に治ることを過度に期待して手術時期を遅らすことは良くありません.原則として,嵌頓傾向のないこどもさんの場合,施設により異なりますが生後4〜6ヶ月以降に予定手術としますが,少しでも戻りにくい場合は早期に手術しても問題はありません.入院期間は1-5日程度で,日帰り手術の施設もあります.手術はヘルニアの原因になっている腹膜の出っ張りをなくし腹圧がかかってもお腹の臓器が脱出しないようにします. 鼠径ヘルニア手術は,簡単な手術のように考えられがちですが,専門的には難しい側面が多く,小児専門施設での治療が不可欠です. |
ヘルニア
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/30 03:55 UTC 版)
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ヘルニア(歇爾尼亜[1]、羅: hernia)とは、体内の臓器などが、本来あるべき部位から「脱出・突出」した状態を指す。体腔内の裂隙に迷入したものを内ヘルニア、体腔外に逸脱したものを外ヘルニアと呼ぶ。腹部の内臓に多くみられ、例えば腹壁ヘルニアは、腹壁に生じた裂け目から腹部の内臓が腹膜に包まれたまま腹腔外に脱出するものである。
一般的に多いヘルニアは、鼠径ヘルニア(脱腸)、臍ヘルニア(でべそ)、椎間板ヘルニアなどである。
アスリートでは、前屈みの姿勢が多くなる自転車競技選手、特に競輪選手でヘルニアに悩まされている選手は多く(これが原因で結果が残せず引退する選手もいる)、職業病のようになっている。
また、嵌頓ヘルニア(かんとんヘルニア、英語: incarcerated hernia / incarceration of hernia)は、脱出した臓器などが脱出穴で締め付けられた状態を指す。締め付けられた状態が長期に及ぶと、血液循環障害により脱出した部分が壊死ないし壊疽に至る場合がある。多くは激痛を伴う。
代表的なヘルニア
- 脳ヘルニア - 頭蓋内腫瘍などの占拠性病変などにより、脳が圧排され偏位した状態
- 頸椎ヘルニア
- 椎間板ヘルニア - 椎間板の一部が線維輪を破り突出した状態
- 横隔膜ヘルニア
- 食道裂孔ヘルニア - 胃が横隔膜の食道裂孔を通じ、縦隔側へと脱出した状態
- Bochdalek孔ヘルニア
- モルガーニ孔ヘルニア
- 外傷性横隔膜ヘルニア
- 内ヘルニア
- 腹壁ヘルニア - 腹膜で包まれた臓器が腹壁外へと脱出した状態
- 臍ヘルニア - 俗に言う出べそ。
- 鼠径ヘルニア - 俗に言う脱腸。
- 外鼠径ヘルニア
- 内鼠径ヘルニア
- 大腿ヘルニア - 大腿管でおこる。
- 閉鎖孔ヘルニア
- 嵌頓ヘルニア - 普通のヘルニアは押すと凹むが嵌頓ヘルニアは押すと元に戻る。
脚注
関連項目
「ヘルニア」の例文・使い方・用例・文例
- 私の妻は椎間板ヘルニアで苦しんでいます。
- ヘルニアを治すために手術を受けました。
- 椎間板ヘルニアは背骨の間にある椎間板という軟骨が飛び出すものです。
- 椎間板ヘルニアをわずらっています。
- 椎間板ヘルニアになる.
- 彼は昨年椎間板ヘルニアになったが徐々に回復しつつある.
- ヘルニアは絞扼性
- 非還納性ヘルニア
- 100ポンドを持ち上げようとしたとき、彼は、ヘルニアにかかった
- 膣に突き出ているヘルニア
- 管状臓器(特にコロン)の筋肉壁のヘルニア
- 腹部器官が臍帯を押し込む出生時における臍ヘルニア
- 胃の一部の横隔膜からの突出から生じるヘルニア
- 腸の係蹄が鼠径管に入るヘルニア
- 膀胱が膣の壁を通じてはみ出るヘルニア
- 膣への直腸の突出またはヘルニア形成
- 角膜のヘルニア
- 腹部を通じたヘルニア
- 臍の近くの腹壁のヘルニアから腸と網が突出しているもの
- ヘルニアという臓器一部が突出する病気
ヘルニアと同じ種類の言葉
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