catharsis
「catharsis」の意味・「catharsis」とは
「catharsis」とは、ギリシャ語の「カタルシス」から派生した英語の単語である。心理学や芸術学の領域で頻繁に使用され、感情の解放や精神的な浄化を指す。特に、強い感情を経験することにより、その後の心地よい安堵感や解放感を表現するのに用いられる。例えば、映画や劇の終わりに観客が感じる感情の高揚や解放感を「catharsis」と表現する。「catharsis」の発音・読み方
「catharsis」の発音は、IPA表記では/kəˈθɑːrsɪs/となる。IPAのカタカナ読みでは「カー・ソー・シス」となる。一方、日本人が発音するカタカナ英語では「カーサーシス」と読む。「catharsis」の定義を英語で解説
英語で「catharsis」を定義すると、「the process of releasing, and thereby providing relief from, strong or repressed emotions」である。これは、「強いまたは抑圧された感情からの解放、それによって安堵感を提供するプロセス」という意味になる。「catharsis」の類語
「catharsis」の類語には、「purification」、「cleansing」、「release」などがある。これらの単語も同様に、感情の解放や精神的な浄化を指す言葉である。「catharsis」に関連する用語・表現
「catharsis」に関連する用語としては、「emotional release」、「psychological relief」、「therapeutic release」などがある。これらの表現も、「catharsis」同様に心理的な解放や安堵感を表す。「catharsis」の例文
1. The movie provided a catharsis for her pent-up emotions.(彼女の抑圧された感情に映画がカタルシスを提供した。)2. Writing in a journal can be a form of catharsis.(日記を書くことはカタルシスの一形態である。)
3. The play's tragic ending gives the audience a catharsis of emotion.(劇の悲劇的な終わりは観客に感情のカタルシスを与える。)
4. The therapy session was a catharsis for him.(セラピーのセッションは彼にとってカタルシスであった。)
5. She experienced a catharsis after a long, heartfelt conversation with her friend.(彼女は友人との長く心からの会話の後、カタルシスを経験した。)
6. The novel's catharsis leaves the reader feeling both relieved and cleansed.(小説のカタルシスは、読者に安堵感と浄化感を与える。)
7. The act of forgiveness can bring about a catharsis.(許しの行為はカタルシスをもたらすことができる。)
8. The concert was a catharsis for her, allowing her to release all her stress.(コンサートは彼女にとってカタルシスであり、ストレスをすべて解放することを可能にした。)
9. The tragic play provided a catharsis for the audience.(悲劇的な劇は観客にカタルシスを提供した。)
10. The act of crying can be a catharsis, releasing pent-up emotions.(泣く行為はカタルシスであり、抑圧された感情を解放することができる。)
カタルシス
文学におけるカタルシスは、古代ギリシャの哲学者アリストテレスが『詩学』において提唱した概念である。アリストテレスは、悲劇や喜劇を通じて観客が感情移入し、主人公の運命や物語の展開によって喚起される恐怖や憐れみ、喜びなどの感情を共有することで、心の浄化が図られると説いた。このような文学作品や演劇におけるカタルシスは、観客が現実世界の悩みやストレスから解放され、心の安らぎを得る効果があるとされる。
カタルシス
カタルシスとは、精神的な緊張や抑圧された感情が解放され、心の浄化や安らぎを得る状態を指す。古代ギリシャの哲学者アリストテレスが『詩学』において、悲劇の鑑賞を通じて観客がカタルシスを体験することを説いたことから、文学や芸術の分野で広く用いられる概念となった。
カタルシスは、感情の解放や心の浄化を促す効果があり、ストレスや抑圧された感情を緩和する役割がある。悲劇や映画、音楽などの芸術作品を通じて、観客や聴衆が感情移入し、作品に描かれた登場人物の喜怒哀楽を共有することで、自身の抱える感情を解放し、心の安らぎを得ることができる。
また、カタルシスは心理学の分野でも研究対象となっており、フロイトの精神分析学やアドラーの個体心理学などの理論にも取り入れられている。これらの理論では、カタルシスは感情の発散や心の浄化だけでなく、自己理解や自己成長にも寄与するとされる。
カタルシスの効果は個人差があり、感受性や状況によってその体験の度合いが異なる。また、カタルシスを通じて得られる心の浄化や安らぎは一時的なものであり、根本的な問題解決には至らないこともある。しかし、カタルシスは人間の心理的な健康に寄与し、ストレスや抑圧感情の緩和に役立つことが多い。
カタルシスは、文学や芸術の分野だけでなく、心理学や精神医学の研究にも応用されており、その概念や効果についてさまざまな視点から理解されている。カタルシスを通じて得られる心の浄化や安らぎは、人間の感情や心理の健康にとって重要な要素であると言える。
カタルシス
「カタルシス」とは、イライラする気持ちや何かを不安に思う気持ちといった私生活に影響を与えようなネガティブで淀んだ感情を浄化することのことを意味する表現。例えば心理学や精神医学の用語として学問的に用いられたり、旅行や読書といった息抜きを伴う行動を通じてリラックスをするという文脈でも用いられたりする。看護の現場の使用例では慢性疾患を患う患者が感じている心のしこりを取り除き、痛みや苦痛を緩和する療法のことを指す。
カタルシスはギリシア語の「katharsis」が由来となっている言葉で「排泄」「浄化作用」などの意味があると言われている。ギリシアでは、オルペウス教やピタゴラス教団の宗教用語として扱われており、殺人などを犯した人の穢れた魂を浄化するお祓いのことを指している。また、古代ギリシアでは医学用語としてもカタルシスを用いており、体内の異物を取り除くために薬物などによって嘔吐させたり、下痢を起こさせることで体内の不純物を排泄するという意味ももつ。
心理学・精神医学の分野では、抱え込んでいた気持ちを吐き出して「心が浄化されること」という意味があるが、カタルシスを最初に発見したのは精神学者のブロイラーである。ブロイラーのクライアントであったアンナは、手足の麻痺や視覚障害、言語障害などのヒステリー障害に悩まされていた。さらにコップの水が飲めないという悩みを抱えていたが、ある日昔嫌いだった家庭教師がコップを使って犬に水を与えているのを見たことを思い出したとブロイラーに告白する。このことがきっかけでアンナはコップの水を飲めるようになり、ブロイラーは無意識に心の中に抑えつけられていた感情を意識することで症状が消失することを発見した。その後、精神科医であるフロイトが精神療法と催眠療法を合わせた「悲しい話を聞いて泣くことで精神を開放させる療法」に発展させ、心理学・精神医学の分野でもカタルシスが使用されることになったと言われている。
語源をたどるとカタルシスは、宗教用語や医学用語として専門的な場面で使用される言葉であったが、現在は一般的に耳にする機会がある言葉として広まっている。そのきっかけとなったのは、古代ギリシアの哲学者アリストテレスが『詩学』の中で悲劇の効用としてカタルシス論を展開したことだと言われている。『詩学』の中で、人は悲しく痛ましい物語を鑑賞すると心のなかに恐れや哀しみの気持ちが生まれ無意識に心の奥にしまわれていた辛く悲しい感情を解放して心を浄化することができると表されており、悲劇の物語に感情移入したあとに心がスッキリするのはこの作用によるものと考えられる。
「カタルシス」の熟語・言い回し
カタルシスを感じるとは
カタルシスを感じるとは、心の中に押し殺していた感情を解放してスッキリとした気持ちを感じることである。カタルシスを感じる方法には、美しい景色を眺めたり読書や映画などで登場人物に共感するなど様々な方法がある。
カタルシス効果とは
カタルシス効果とは、心の中に無意識に抑圧していた感情を解放することで心がスッキリとする効果のことを表す。ネガティブな感情がもつパワーを溜め込んでしまうと心や身体に悪影響を及ぼしてしまうことがあるため、誰かに話しを聞いて貰ったり、紙に書き出したりと自分の心の中を言葉で表現して吐き出すと精神のバランスを保つことができる。
カタルシス効果は、心理療法として看護の現場などでも取り入れられている。特に慢性的な疾患や慢性疼痛を抱えている患者は、心の中に不安や苦痛などの心理的なダメージを抱えている場合がある。負の感情を心の中に押し込めて我慢している場合もあるが、中には無意識のうちに心の中に感情を押し込んで抑圧していることもあり、このような精神的な影響が痛みや症状に関与していることも少なくない。看護の現場では患者が抱えている負の感情を言葉で表現して話してもらうことで、心の中のしこりを外部に表出させて精神を楽にする効果があるとされている。
効率よくカタルシス効果を引き出すには、聞き役との信頼関係を築く必要がある。患者が心の中に抱えている悩みや苦痛、不満などは他人には打ち明けにくいと感じている場合が多い。したがって、他人から会話を引き出すことに長けた人であっても、相手の人物から信用されていないと引き出すことは難しい。
また、基本的に話を聞いているときには相手を否定するような言葉を発してはいけない。相手の考えていることを話しているときに否定するような言葉を言ってしまうと相手は自分をわかってくれないと感じてしまう。なかなか話してくれないからといって無理に聞き出すのも避けるべきである。打ち明けにくい内容を話すため、なかなか話が始まらなかったり、話している最中に度々沈黙してしまうこともあるが、それだけ相手が話をしにくい内容である可能性が高いため決して急かしてはいけない。このような行為は、せっかく築き上げた信頼関係を損なう原因となってしまうため注意が必要である。
カタルシスの解放とは
カタルシスの解放とは、心の淀みとなっている過去のトラウマや苦悩から解放されて心が晴れた状態になることである。カタルシスを解放するには、自分の心の中に普段は口に出せないような辛い体験や感情を外に吐き出す必要がある。具体的には家族や友人などに話を聞いてもらったり、紙に書くなどの方法があるが、言葉で表現するのが難しければ絵やコラージュなどの創作物を作り、自分の心の中にある言葉にできない自分の気持ちを表現しても良い。
カタルシスを得るとは
カタルシスを得るとは、心の中に溜まっているもやもやを一気に外に解放したときに快感を得ることである。人が悩みや苦悩を信頼できる人物に相談すると心の中がスッキリするが、その他にも思いっきり笑う、怒鳴る、泣くなど感情を外へ出すことでカタルシスを得ることができる。
ブラックバードカタルシスとは
『ブラックバードカタルシス』とは、2021年11月3日にThe BirthdayがリリースしたEP『CORE 4』の中に収録された細かく刻まれるギターサウンドが印象的なロックナンバーである。モノクロの映像が印象的なMVでは楽曲テーマでもある輪廻転生が表現されており、リリース日にYou Tubeでプレミア公開されたことでも話題となった。
最後のカタルシスとは
『最後のカタルシス』とは、人気アイドルグループNMB48が2012年05月09日発売した『ナギイチ』のtypeAの中に収録されている楽曲である。フロントと後ろのメンバーでダンスの振り付けが違うことが大きな特徴である。
「カタルシス」の使い方・例文
・今日、初めてカタルシスという概念を知った。・過去の辛い出来事をノートに書き出したらカタルシスを感じることができた。
・先月から負け試合が続いていただけに、今日の試合でのホームランにはカタルシスを感じた。
・カラオケで大声で歌うとカタルシスを感じることができる。
・マーケティングや人材採用などビジネスシーンで積極的にカタルシスを取り入れている企業がある。
・NMB48白組の『最後のカタルシス』のMVを見て楽しんだ。
・音楽の美しい音色を聞いてカタルシスを解放することができた。
・カタルシス療法を受けたので、心の中がスッキリした気持ちになった。
・カタルシス効果には、ビジネスにおける効果と日常生活における効果が期待できる。
・『ブラックバードカタルシス』は、ロックファンにはぜひ一度聞いて貰いたい楽曲である。
誤った使い方の例には、「悲劇のヒロインが最後に王子様と結ばれて幸せになったときにカタルシスを感じた」などがある。特に演劇などの場合のカタルシスは『詩学』に由来するため、観客がヒロインに憐れみを感じ、泣いたり怒ったりして感情を解放することである。したがって、主人公のヒロインが最後に報われている様子をみてスッキリした気持ちになることがカタルシスというわけではないので使い方には注意したい。
カタルシス【(ギリシャ)katharsis】
カタルシス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/02 06:47 UTC 版)
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カタルシス(古希: κάθαρση[1]、英: catharsis)とは、哲学および心理学において自身の本当の感情を解放することによって得られる精神の「浄化」を意味する[2]。アリストテレスが著書『詩学』中の悲劇論に、「悲劇が観客の心に怖れ(ポボス)と憐れみ(エレオス)の感情を呼び起こすことで精神を浄化する効果」として書き著して以降使われるようになったが、アリストテレス自身は演劇学用語として使った[3]。
現代においても、映画や演劇、小説、漫画の批評などにおいて、この表現が用いられている。
概要
ギリシア語の語幹 κάθαρ[4]は「不浄を祓う清めの儀礼」を指す語であり、もともとはセム語で燻蒸を意味する qatar に由来している。つまり、古代ギリシアで不浄を祓う手段として、東方からもたらされた、硫黄などによる燻蒸の儀礼が採用されていたことに起源する語である。[5]
オルペウス教などで「魂の浄化」を指す語として使用され、プラトンも『パイドン』などで同じ意味で使用している。
アリストテレスが演劇学用語として使ったのちに、医学用語として転用され、薬剤を用いて吐かせたり、下痢を起こさせる治療行為を指した。アリストテレスは、『詩学』内で悲劇の効用としてカタルシス論を展開し、効果のひとつとしてカタルシスに言及するが、これが劇中の出来事ないし劇中の登場人物についていわれるのか、それとも観客についていわれるのかについては、明確に言及しておらず、諸説がある。語源は「排泄」、または「浄化」という意味を持ち、それぞれ体内の有害物質を排出することや宗教的な浄化を意味することから、その定義をめぐってはその両説のほかにもさまざまに憶測されている[3]。
近世フランス詩学においては、アリストテレスのカタルシス論は悲劇論の中核をなすものとして理解され、カタルシスは、観者の魂に「怖れと憐れみ」によって浄化を起こすものと理解された。
精神科医のジークムント・フロイトがこの語を採用したことから、カタルシスは代償行為によって得られる満足を指す心理学用語としても用いられるようになった。フロイトは、ヒステリー治療において催眠療法と「悲惨な話を聞いて泣く行為」を併用し、その除反応を「カタルシス」と呼び、以降精神医学界では一般に精神療法用語として定着する[3]。
嫌だった思いを人に話すと、話しただけで気分が楽になることがあるが、これをカタルシス効果と呼ぶ[6]。
脚注
- ^ 古代ギリシア語ラテン翻字: katharsis
- ^ 前田なお『本当の声を求めて 野蛮な常識を疑え』SIBAA BOOKS、2024年。
- ^ a b c 三省堂ワードワイズウェブ
- ^ 古代ギリシア語ラテン翻字: kathar
- ^ 岡田 (2008) pp.61-62
- ^ 『大人も知らない?ふしぎ現象事典』2021年 マイクロマガジン社 36頁
参考文献
- 前田なお(2024)本当の声を求めて 野蛮な常識を疑え、SIBAA BOOKS.
- 岡田 泰介 (2008), 東地中海世界の中の古代ギリシア, 世界史リブレット, 94 (1st ed.), 東京: 山川出版社, ISBN 978-4-634-34932-2
関連項目
外部リンク
「カタルシス」の例文・使い方・用例・文例
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