自粛
自粛とは、自粛の意味
自粛とは、自らすすんで行動や態度を慎むこと。過ちを犯さないよう慎重に物事を進めることである。たとえば、軽はずみな言動をしないようにする、度を越さないよう節制するときなどに使われる。自粛の英語表現
自粛の英語表現は、「自主的に」の意味をもつ voluntarily、「慎む」の意味をもつ refrain from を合わせた voluntarily refrain from である。自粛の語源、自粛の対義語
自粛の「自」は、音読みで「ジ・シ」、訓読みで「みずか(ら)」と読む。「自」には自分という意味があり、自粛以外にも「自身」や「自活」、「自己」などに使われる。よって対義語は、他人や他意などに使われる「他」となる。この「自」という漢字は、鼻に指をさして自分を指す行動を捉え、目と鼻の形から成り立っている。一方、「粛」は、音読みで「シュク」、訓読みで「つつし(む)」と読む。「粛」は、読みの通り、つつしむという意味をもつ。そのほか、厳かな、きびしい、取り締まるといった意味もある。ひっそりと静かにといった意味をもつ「粛粛」や、心が引き締まる真剣なさまを表す「厳粛」といった単語からもわかるように、「粛」という漢字を使うときは真面目であったり、静かであったりする様子が伺える。
「粛」は、「肅」の略字である。「肅」は、2つの漢字を合わせた「会意文字」で、「肅」の上の部位は「竿を手に持つ」象形を表し、下の部位は「迫りくる両岸のフチ」の形を示している。これら2つの象形を合わせ、川岸のフチに竿を挿すことをつつしむといった意味からこの漢字が成り立った。
自粛の類語、類義語
「自粛」の類語には、自分の気持ちや欲望をこらえたり、抑えたりすることを意味する「我慢」や、気持ちや欲を自分で抑える「自制」、さらに、自分自身をコントロールする「自己制御」がある。そのほか、自粛と同じ「自身の行動をつつしむこと」の意味をもつ言葉には、「自重」や「自戒」などが挙げられる。ただし、これらは似たような言葉ではあるものの使い分けが必要である。たとえば、営業を自粛することを「営業を自重する」や「営業を自戒する」とはいわない。自ら控えたり、遠慮をしたりするといった意味で行動をつつしむ「自粛」に対し、慎重にかまえて行動をつつしむ「自重」や、自分自身を戒めるために行動をつつしむ「自戒」とでは微妙に意味合いが異なる。つまり、自粛には場の雰囲気を配慮する、周りの空気を読んで行動するといった意味合いが含まれるのである。なお、「自粛」を単純に反対言葉にすると「自らつつしまない」となる。そのため、「軽率」や「軽はずみ」、「奔放」などが自粛の対義語として挙げられる。
自粛の語の使用例、使い方
小学校の卒業式で和装を着る子どもが増えている。しかし、経済的な理由等で和装を着たくても着られない子どももいるため、小学校から自粛するよう保護者に要請した事例。命令はできないが、保護者に配慮を求める、遠慮してほしいといった使い方である。
友人の方から「今は飲み会には誘わないで」等の断りがある前に、自ら判断して飲み会を開催しないよう配慮した様子。このように、相手の気持ちを考えて行動をつつしむときにも「自粛」を使用する。
災害等の暗いニュースがあった際、バラエティ番組や面白いコマーシャルなどが放送されなかったり、被害者への気持ちを考慮して明るい話題を避けたりすることがある。このように、被害者に配慮して楽しむことを遠慮するといったときにも「自粛」は使用される。
ダイエットをしているときに、ケーキを食べないよう自制する様子。食べたい気持ちを我慢する、自分の欲求を抑えるといった意味で使われている。
自己検閲
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自己検閲(じこけんえつ、英語: self-censorship)とは、社会心理学の用語で、周囲の反応により、自分の意見の表明を控える事を指す。
また表現の自由に関して、書籍、映画、テレビ番組、楽曲、その他の表現や作品の作者自身が、政府や社会などの非難に晒される前に、論議を呼びそうな部分やある種の集団の感情を害しそうな部分を自分で削除してしまうことを指す。こうした自己検閲は、作者に無断で映画プロデューサー、映画会社、テレビ局、出版社、新聞社などが行う場合もある。自我審査(じがしんさ)ともいう。
概要
宗教や倫理上タブーとされる内容、自国の関わる戦争、領土問題、マイノリティ、有力者への批判など、微妙な問題についてはしばしば自己検閲が行われる。
中華人民共和国やシンガポールやロシア連邦など、文化産業が市場経済化されているが権威主義的な政府のある国で目立っていたが、ポリティカル・コレクトネスの観点から、自由主義国家でも目立つようになってきた。「政治的に正しくない」とされる表現を自主規制したり、内容自体を削除させる、逆に政治的に正しいとされる表現を盛り込むなどである。これらは政府の命令ではなく、苦情の殺到や糾弾行動を恐れ関わりを持ちたくないために自主的に行うことが多い[要出典]。(言葉狩り、放送禁止用語、キャンセルカルチャーも参照)
社会集団内における自己検閲
例えば、PTAの総会で、ある保護者はA先生を信頼しているが、他の保護者からA先生に対する解任案が提出されたとする。
挙手の結果、解任案に反対する保護者が、自分1人であった場合、その保護者は、普通は解任反対の手を下ろしてしまう。解任推進派である圧倒的多数から、仲間外れにされるのが怖いからだ。
ただ、この保護者が、非難にめげず、A先生支持を続けた場合、行動の一貫性という事になり、A先生を嫌う圧倒的多数に、亀裂を生じさせる可能性もある。解任推進派に亀裂が生じれば、A先生は解任を免れる事もある。(「十二人の怒れる男」)
日本人の自己検閲
第二次世界大戦終結後に連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)が行った検閲によって日本の新聞社や出版社などは自主的に占領軍の検閲に触れるような内容の出版、用語の使用をしなくなった。江藤淳は、これを「日本人の自己検閲」と呼んだ[1]。GHQは日本の公文書で「大東亜戦争」や「八紘一宇」などの用語を使用することを禁止(神道指令)し、公教育でも使用されなくなり現在に至っている。
脚註
- ^ 『閉された言語空間』占領軍の検閲と戦後日本 文春文庫 文藝春秋 ISBN 4167366088
参考文献
- 江藤淳『閉された言語空間:占領軍の検閲と戦後日本』文春文庫、1994年。ISBN 4167366088
関連項目
自粛
「自粛」の例文・使い方・用例・文例
品詞の分類
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