通信の秘密
手紙や電話などの方法による通信の内容を他者に知らせず,また知られないことをいう。基本権としての表現の自由の保障を確保するためにも,通信の秘密は侵してはならないものとされる(憲21条,郵便法9条,電通4条)が,一定の場合に一定の手続を経てこれを侵すことを認めている場合もある(刑訴100条,222条の2,破190条,関税122条,通信傍受3条など)。電話の傍受等も通信の秘密と個人のプライヴァシーを侵害するが,重大な犯罪に係る被疑事件につき,被疑者が罪を犯したと疑うに足りる十分な理由があり,かつ,当該電話により被疑事実に関連する通話の行われる蓋然性があるとともに,傍受以外の方法では重要かつ必要な証拠を得ることが著しく困難であるなどの事情が存する場合には,侵害される利益の内容・程度を慎重に考慮したうえで,なお傍受を行うことが犯罪の捜査上真にやむを得ないと認められるときには,法律の定める手続に従ってこれを行うことも憲法上許されるとした判例(最判平11・12・16刑集53巻9号1327頁。ただし,通信傍受法施行前の事例。)がある。
(注:この情報は2007年11月現在のものです)
通信の秘密
【英】secrecy of communications
通信の秘密とは、手紙や電気通信をはじめとする個人間の通信において、当事者以外の第三者が通信の内容を知らないことである。または、憲法その他の法律に基づき、秘密が保護・保証されていることである。
通信の秘密は、日本国憲法第21条、電気通信事業法第4条、郵便法第8条などにおいて、「通信の秘密は、侵してはならない」または「通信の秘密は、これを侵してはならない」と規定されている。ちなみに、日本国憲法第21条は「検閲の禁止」や「表現の自由」などを保証している条文である。
通信の秘密は、犯罪捜査・犯罪阻止を目的とした通信傍受や、電気通信事業者によるメールフィルタリングソフトの提供などにおいて議論に上っている。犯罪捜査のための通信傍受については、1999年に「通信傍受法」として別途規定が成立している。
参照リンク
日本国憲法 - (e-Gov)
電気通信事業法 - (e-Gov)
郵便法 - (e-Gov)
関係法令: | 電気通信役務利用放送法 電子計算機使用詐欺罪 電子母子健康手帳 特定電子メール法 特定電子メール 通信の秘密 有償著作物 |
通信の秘密
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/27 17:20 UTC 版)
通信の秘密(つうしんのひみつ)とは、個人間の通信(信書・電話・電波・電子メールなど)の内容及びこれに関連した一切の事項[要出典]に関して、公権力や通信当事者以外の第三者がこれを把握すること、および知り得たことを他者に漏らすなどを禁止すること。通信の自由(つうしんのじゆう)の保障と表裏一体の関係にある。
- ^ a b c d e 樋口陽一、佐藤幸治、中村睦男、浦部法穂『注解法律学全集(2)憲法II』青林書院、1997年、85頁。ISBN 4-417-01040-4。
- ^ a b 阿部照哉 編『憲法 2 基本的人権(1)』有斐閣〈有斐閣双書〉、1975年、161頁。
- ^ 大阪高判昭和41年2月26日高刑集19巻1号58頁「憲法は思想の自由や、言論、出版等の表現の自由を保障するとともに、その一環として通信の秘密を保護し、もって私生活の自由を保障しようとしている」
- ^ 新版 体系憲法事典 p534
- ^ a b 芦部信喜『憲法学III人権各論(1)増補版』有斐閣、2000年、544頁。
- ^ a b 佐藤幸治『現代法律学講座(5)憲法第3版』青林書院、1995年、576頁。
- ^ 阿部照哉 編『憲法 2 基本的人権(1)』有斐閣〈有斐閣双書〉、1975年、139頁。
- ^ 郵政省『続逓信事業史』1961年、ほか。
- ^ a b c d e 樋口陽一、佐藤幸治、中村睦男、浦部法穂『注解法律学全集(2)憲法II』青林書院、1997年、86頁。ISBN 4-417-01040-4。
- ^ a b 佐藤幸治『現代法律学講座(5)憲法第3版』青林書院、1995年、577頁。
- ^ a b c d e “通信の秘密、個人情報保護について”. 総務省. 2016年8月13日閲覧。
- ^ 樋口陽一、佐藤幸治、中村睦男、浦部法穂『注解法律学全集(2)憲法II』青林書院、1997年、86-87頁。ISBN 4-417-01040-4。
- ^ a b c 樋口陽一、佐藤幸治、中村睦男、浦部法穂『注解法律学全集(2)憲法II』青林書院、1997年、87頁。ISBN 4-417-01040-4。
- ^ 平野龍一『法律学全集(43)刑事訴訟法』有斐閣、1958年、577頁。
- ^ 佐藤幸治『現代法律学講座(5)憲法第3版』青林書院、1995年、579-580頁。
- ^ 鈴木秀美「通信傍受法」『法学教室』第232巻、有斐閣、2000年、29頁。
- ^ [1]深刻化するマンガ海賊サイト、ブロッキングの是非は 福井弁護士に聞く
- ^ マンガ海賊版サイトへのアクセス遮断は違法か?弁護士に聞いた
- ^ 『出版業界気になるニュースまとめ2017』鷹野凌
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