通信の秘密の意義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/16 10:23 UTC 版)
通信の秘密には、第一に、公権力によって通信の内容および通信の存在自体に関する事柄について調査の対象とはされないこと(積極的知得行為の禁止)、第二に通信業務従事者によって職務上知り得た通信に関する情報を漏洩されないこと(漏洩行為の禁止)の二つの面を有している。 積極的知得行為の禁止積極的知得行為の禁止は一般には通信の検閲の禁止として理解されているものであるが、その禁止は通信の存在じたいに関する調査にも及ぶから本来の「検閲」の概念よりも広い。 郵便法は第7条で郵便物の検閲の禁止を定め、第8条第1項で日本郵便株式会社の取扱中に係る信書の秘密はこれを侵してはならないと定めている。 電気通信事業法も第3条で電気通信事業者の取扱中に係る通信の検閲の禁止を定め、第4条第1項で電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密はこれを侵してはならないと定めている。 漏洩行為の禁止漏洩行為の禁止は通信業務従事者は職務上知り得た通信に関する情報を他に漏らしてはならないことを意味し、その漏洩行為の相手方は公権力たると私人たるとを問わない。 郵便法第8条第2項は「郵便の業務に従事する者は、在職中郵便物に関して知り得た他人の秘密を守らなければならない。その職を退いた後においても、同様とする。」と定める。 電気通信事業法第4条第2項も「電気通信事業に従事する者は、在職中電気通信事業者の取扱中に係る通信に関して知り得た他人の秘密を守らなければならない。その職を退いた後においても、同様とする。」と定める。 さらに漏洩行為の禁止については、法がある者をコモン・キャリアたる通信業務従事者と位置づけた場合には、憲法上の通信の秘密についての不可侵の要請が当然にその者に及ぶと解されている。 なお、憲法第21条の通信の秘密は、公権力による積極的知得行為の禁止と通信業務従事者による漏洩行為の禁止について定めているが、通信の秘密は個人の私生活の自由を保障する上でも自由なコミュニケーションの手段を保障する上でも大変重要であることから、憲法第21条第2項の趣旨を受けて、電気通信事業法などではこれらの事項について広く通信当事者以外の第三者が正当な理由なく故意に知ったり、自己又は他人のために利用したり、第三者に漏えいすることに対しても刑事罰を定めている(#電気通信における通信の秘密を参照)。
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