蓋然性
蓋然性とは、ある事象が起こる可能性や確率を示す概念である。統計学や確率論において頻繁に用いられる用語で、特定の結果が生じる確からしさを数値化したものを指す。蓋然性は、事象の起こりやすさを評価するための重要な指標であり、科学的な予測や判断を行う際には欠かせない要素である。 蓋然性は、具体的な数値を持つことが多く、0から1までの範囲で表される。0は事象が全く起こらないことを、1は事象が必ず起こることを示す。例えば、コイン投げにおける表が出る蓋然性は0.5となる。このように、蓋然性は不確定な事象を理解し、予測するための有効な手段である。
蓋然性
蓋然性(がいぜんせい)とは、ある物事や事象が実現するか否か、または知識が確実かどうかの度合いのことである。
「蓋然性」の「蓋」は「蓋し(けだし)」と訓じ、「おそらく」「たぶん」といったニュアンスである。蓋然性の「然」は「然り(しかり)」と訓じ、肯定や同意を表している。「性」は「物事の性質や傾向」を示している。このことから「蓋然性」とは、「おそらくは当然そのようにそうなるだろう」という推測の度合いを表す言葉と言える。
「蓋然性」は、英語の「probability」に対応する語。初めて「蓋然性」という言葉が使われたのは、明治時代に出版された日本初の哲学用語辞典「哲学字彙(てつがくじい)」の中で「probability」の訳として掲載された時だと言われる。
「蓋然性」という言葉は、数学、統計学、哲学などに用いられるほか、投資、特許、会計、法律用語などでも使用される。蓋然とは、必然と偶然の中間に位置する概念で、「たぶんこうなる」と推測する際に「蓋然性が高い/低い」「蓋然性が認められる」といった用法で使われる。法律においての「蓋然性」は、訴訟の勝敗を決める要素として用いられることもある(例:原告の主張の蓋然性が相当程度認められた場合、有罪判決が下る可能性がある)。
「蓋然性」の類語には「可能性」「確率」などがある。「可能性」はその確率がゼロでない限り存在するのに対し、「蓋然性」は一定以上の度合いで起こりうるかどうかを示すときに用いられる。「可能性」は「あるかないか」が論じられ、中間的な度合いの高低はない。一方、「蓋然性」は「高いか低いか」が論じられる。しかしながら、両者の用法はしばしば混同されている。「確率」は蓋然性を数量的に表す場合に用いられる。
・私が総理大臣になる可能性はあるが、蓋然性は極めて低い。
・現場検証から、出火原因が放火である蓋然性は高いと言える。
「蓋然性」の対義語には「必然性」などがある。「蓋然性」が物事や現象が起こることが一定以上予測されるという意味であるのに対し、「必然性」は必ずそうなり、それ以外にありえないといった意味合いで用いられる。
「蓋然性合理主義」とは、確率に基づいて合理的に行動することを好む考え方である。「蓋然性説」とは、刑法総論において犯行が故意か否かを見極める際に、行為者が犯罪実現の蓋然性を相当程度認識しながら犯行に及んだ場合、それは故意であると認める学説である。
がいぜん‐せい【蓋然性】
確率
(蓋然性 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/20 03:24 UTC 版)
確率(かくりつ、英: probability)とは、偶然起こる現象に対する頻度(起こりやすさの指標)のことである。確率の定義は、統計的確率、数学的確率・理論的確率・古典的確率(意味はどれも同じ)、公理的確率の3つがある。
注釈
- ^ マックス・ボルン宛の1926年12月4日付の手紙 原文:独: Die Quantenmechanik ist sehr achtunggebietend. Aber eine innere Stimme sagt mir, daß das noch nicht der wahre Jakob ist. Die Theorie liefert viel, aber dem Geheimnis des Alten bringt sie uns kaum näher. Jedenfalls bin ich überzeugt, daß der Alte nicht würfelt.(直訳:量子力学にはとても尊敬の念を抱いています。しかし内なる声が私に、その理論はまだ完璧ではないと言っています。量子力学はとても有益なものではありますが、神の秘密にはほとんど迫っていません。少なくとも私には、神はサイコロを振らないという確信があるのです。)
出典
- ^ a b c ラプラス 1997, 解説.
- ^ 片野善一郎 『数学用語と記号ものがたり』裳華房、2003年8月25日。
- ^ 松宮哲夫「確率という用語の由来 : その発案者と定着の過程 : 佐藤良一郎先生の思い出に捧げる」『数学教育研究』第21巻、大阪教育大学数学教室、1992年、 103-109頁、 ISSN 0288-416X。
- ^ aサロン(記者ブログ)_科学面にようこそ_藤沢利喜太郎 生誕150年 [リンク切れ] 中塚は、当時の保険学関係の雑誌に、大学内で「確率」と決定した旨の藤沢からの通知文が載っていたことなどから、「藤沢に端を発した訳語」と考え、自著『応用のための確率論入門』で解説している。
- ^ 『歴史と統計学 人・時代・思想』p.94 竹内啓 日本経済新聞出版社 2018年7月25日第1刷
- ^ 『歴史と統計学 人・時代・思想』pp.97-99 竹内啓 日本経済新聞出版社 2018年7月25日第1刷
- ^ 『歴史と統計学 人・時代・思想』p.101 竹内啓 日本経済新聞出版社 2018年7月25日第1刷
- ^ 「歴史と統計学 人・時代・思想」p.105 竹内啓 日本経済新聞出版社 2018年7月25日第1刷
- ^ 『歴史と統計学 人・時代・思想』p.128 竹内啓 日本経済新聞出版社 2018年7月25日第1刷
- ^ 「歴史と統計学 人・時代・思想」p.349 竹内啓 日本経済新聞出版社 2018年7月25日第1刷
- ^ JIS Z 8101-1:1999, 1.1 確率.
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