ベル‐の‐ふとうしき【ベルの不等式】
ベルの不等式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/20 13:18 UTC 版)
ベルの不等式(ベルのふとうしき)とは、隠れた変数理論などの局所実在論が満たすべき相関の上限を与える式である。 1964年にジョン・スチュワート・ベルによって導かれた。この不等式は実験に適していないので、後に多くの研究者がそれとは少し異なる形の不等式を導いた(ベル型の不等式と呼ばれる)。この不等式の実験的検証により、局所的隠れた変数理論は否定された。
注釈
- ^ これは2値測定ならどんな測定でもいい。例えば2つのサイコロ、のどちらかをランダムに選んで振り、偶数なら+1、奇数なら-1としてもいい。普通のサイコロを使って実験すればS=0に収束する。A、Bとも必ず偶数が出るイカサマサイコロを使えば、測定値は必ず+1なのでS=2になる。 他にも例えばを気温、を気圧として、ある閾値以上で+1、閾値未満なら-1というようにしてもいい。閾値は自由に設定できる。閾値を十分に下げておけば測定値は必ず+1となり、その場合S=2となる。
出典
- ^ a b “特集:量子もつれ実証”. 日経サイエンス2019年2月号.
- ^ Pearle, Philip M. (1970). “Hidden-Variable Example Based upon Data Rejection”. Physical Review D 2 (8): 1418–25. Bibcode: 1970PhRvD...2.1418P. doi:10.1103/PhysRevD.2.1418.
- ^ 筒井泉「ベル不等式 : その物理的意義と近年の展開(<小特集>量子もつれ)」『日本物理学会誌』第69巻第12号、2014年、836-844頁、doi:10.11316/butsuri.69.12_836。
- ^ Fuchs,Christopher A. and Mermin,N. David and Schack,Rüdiger (2014). “An introduction to QBism with an application to the locality of quantum mechanics”. American Journal of Physics 82 (8): 749-754. doi:10.1119/1.4874855 .
- ^ アニル・アナンサスワーミー 『二重スリット実験 量子世界の実在に、どこまで迫れるか 』白揚社、2021年、p288
- ^ ショーン・キャロル『量子力学の奥深くに隠されているもの コペンハーゲン解釈から多世界理論へ』2020年、p130-131、p212-214、p287-288
- 1 ベルの不等式とは
- 2 ベルの不等式の概要
- 3 解釈
ベルの不等式と同じ種類の言葉
- ベルの不等式のページへのリンク