りょうし‐もつれ〔リヤウシ‐〕【量子×縺れ】
量子もつれ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/01 02:28 UTC 版)
量子もつれ(りょうしもつれ、英: quantum entanglement)は、一般的に「量子多体系において現れる、古典確率では説明できない相関やそれに関わる現象」を漠然と指す用語である。しかし、量子情報理論においては、より限定的に「LOCC(局所量子操作及び古典通信)で増加しない多体間の相関」を表す用語である。後者は前者のある側面を緻密化したものであるが、捨象された部分も少なくない。例えば典型的な非局所効果であるベルの不等式の破れなどは後者の枠組みにはなじまない。
- ^ より正確には、相互作用表示で見て不変。すなわち、相互作用が切れたのち、 全系のハミルトニアンは粒子A及びBのハミルトニアン、の和になっているので、 及びで回転している座標系で見れば状態は変わらない。
- ^ 「同時に」という概念は、特殊相対性理論では注意が必要である。ある観察者 a にとって事象 E1 と事象 E2 が同時に起こったとしても、異なる慣性系にいる観察者 b にとっては同時ではない。しかしながら、特殊相対性理論においても、2つの時空点の間が空間的に離れているか時間的に離れているかという概念は異なる慣性系から見ても変わらない。前者では直接の因果関係はありえず、後者では因果関係がありうる。よって、ここでは「同時に離れた」と書くのではなく、「空間的に離れた位置にある」と書いておけば特殊相対論の枠内でも問題がないが、簡便のため本文では「同時」という表現を使った。
- ^ “「量子もつれ」の瞬間を世界で初めて画像に記録、英研究チームが成功”. wired. 2019年7月17日閲覧。
量子もつれ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/07 09:21 UTC 版)
詳細は「量子もつれ」を参照 量子力学において、量子もつれと呼ばれる量子状態が存在する。量子もつれ状態とは、ある複合的な系の部分系に対して測定を行った際に、直接測定されていない他の部分系の情報が得られるような状態のことをいう。 観測者が複合系全体の状態を知ることができる場合、量子もつれ状態にある系の部分系に対して測定を行う前後で、被測定系以外の部分系と直接的に相互作用をしていないにも拘らず、被測定系の測定結果を得るのと同時に他の部分系の量子状態が変化していることを知ることができ、あたかも非局所的な遠隔作用が被測定系を通じて他の部分系に働いているように見える。このように、量子もつれ状態にある系は、特殊相対性理論の光速不変の原理に一見反するかのような状況を作り出すため、量子力学における測定理論の黎明期には、量子力学の中にある重大なパラドックスとして論じられた。 最も有名な例は、ニールス・ボーアとアルベルト・アインシュタインの間に起こった量子力学の基礎を巡る議論の中で、1935年に発表されたEPR論文に端を発するものである。EPR論文においてアインシュタインは、量子もつれ状態によって生じる非局所的な相関、いわゆるEPR相関について論じ、この非局所相関が同論文内で要請された物理的実在性を破壊することを示し、このEPRの実在性と量子もつれ状態との間に生じるパラドックスを量子力学の理論的な不完全さを示すものとして指摘した。 このEPRのパラドックスは後にスチュワート・ベルによってより一般化した形で議論され、EPRが示した局所実在論的な測定理論が満たすべき条件として、ベルの不等式を導いた。
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