量子コンピュータ(りょうしこんぴゅーた)
物理状態の重ね合わせという量子力学の基本原理を利用し、並行してそれぞれの計算を同時に処理するといった高速コンピュータの研究開発が進んでいる。実用化に成功すれば、現在のスーパーコンピュータの1億倍にも及ぶ処理能力が発揮できるとされている。
従来型のコンピュータが「0」または「1」のビットを基本単位として動作するのに対し、量子コンピュータでは2つの状態を重ね合わせて情報を表現する。この情報の単位をキュービットといい、複数の素子をつなげることにより、莫大な数の組み合わせを実現できる。それぞれの状態に計算処理を分散させることで、計算の高速化を図る。
量子コンピュータの理論的なアイデアは、朝永振一郎と同時にノーベル物理学賞を受賞したことで知られるファインマンによって、1982年に提案された。その後、1990年代に入ると実用化へ向けた基礎研究が急速に発展し、現在、世界中で開発競争が過熱している。
量子コンピュータの利用方法としては、主に暗号の生成と解読、そして数値計算による気象予報などが想定されている。特に、暗号は既存のものを容易く解読してしまうだけでなく、先行者が決して破られない暗号を生成できるとあって、注目が集まっているようである。もちろん、ゲノム情報の解読にも威力を発揮するはずである。
(2001.02.12更新)
量子コンピュータ
別名:量子コンピューター,量子計算機
【英】quantum computer
量子コンピュータとは、量子力学の原理を応用した超並列処理により、超高速処理を可能とするコンピュータのことである。2008年現在は実現しておらず、研究が進められている。
量子とは、物理量に関する最小の単位であり、古典力学では把えられない性質を多数持っている。例えば、精確な観測ができない不確定性原理や、異なる二つの状態を保持できる「量子力学的重ね合わせ」の現象などがある。
現在のコンピュータでは、電子回路のスイッチのオン・オフによって0または1を表し、2進数のデジタルデータとして情報を処理している。データの単位はビットであるが、量子コンピュータとの対比においては「古典ビット」と呼ばれる。なお、量子コンピュータにおいては、情報の最小単位として「量子ビット」(qubit)が用いられる。
古典ビットは、常に0と1のいずれかの値のみ持つことができる。これに対して、量子ビットでは、「量子力学的重ね合わせ」により、1ビットにつき複数の0と1の値を保持することができる。これを利用することで、1ビット当りでの並列処理が実現される。また、処理の際に扱えるビット数を増やせば増やすほど、大量の情報を並列処理することが可能になる。
量子コンピュータは、現在のコンピュータとは比較にならないほど高速な処理を実現するとされる。現状では解読に数千年を費やす必要があるとされる暗号化アルゴリズムも、数分から数時間程度で解読可能になると言われている。
しかしながら、量子コンピュータの実現には多数の課題を抱えており、依然として実現はされていない。例えば、不確定性原理による量子の状態変化を起こさないように量子ビットを集積する技術や環境が必要である。また、実際に演算処理を行わせるためには、現在のコンピュータとは異なる独自のアルゴリズムを適用する必要もある。これらの困難の解決と、量子コンピュータの実現に向けて、世界各国の研究機関によって研究が進められている。
参照リンク
量子工学の世紀へ~超伝導量子コンピュータを目指して~ - (Japan Nanonet Bulletin インタビュー記事)
電子スピン量子コンピュータのメモリー特性 - (NTT先端技術総合研究所 研究成果ライブラリー)
「光半導体素子を用いた量子シミュレータを開発 ― 新タイプの量子コンピュータへ道 ―」 - (国立情報学研究所)
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量子コンピュータ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/15 04:47 UTC 版)
量子コンピュータ (りょうしコンピュータ、英: quantum computer)は量子力学の原理を計算に応用したコンピュータ[1]。古典的なコンピュータで解くには複雑すぎる問題を、量子力学の法則を利用して解くコンピュータのこと[2]。量子計算機とも。極微細な素粒子の世界で見られる状態である重ね合わせや量子もつれなどを利用して、従来の電子回路などでは不可能な超並列的な処理を行うことができる[1]と考えられている。マヨラナ粒子を量子ビットとして用いる形式に優位性がある。
- 1 量子コンピュータとは
- 2 量子コンピュータの概要
量子コンピュータ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/03/11 07:23 UTC 版)
「EDEN 〜It's an Endless World!〜」の記事における「量子コンピュータ」の解説
量子コンピュータの項を参照。量子のコヒーレント(重ね合わせ)状態を利用した演算システムを持つコンピュータの総称。現在の電子を用いた第3世代コンピュータでは実現できないような、演算処理の並列性を実現する。プロジェクト・プレーローマによって生み出されたプログラム「マーヤ」は、この量子コンピュータでしか起動することができない。
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「量子コンピュータ」の例文・使い方・用例・文例
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