パウリ‐の‐はいたげんり【パウリの排他原理】
パウリの排他原理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/28 23:31 UTC 版)
パウリの排他原理(パウリのはいたげんり、英: Pauli exclusion principle)とは、2つ以上のフェルミ粒子は、同一の量子状態を占めることはできない、という原理である[1]。1925年にヴォルフガング・パウリによって提唱された[2]。パウリの定理、パウリの排他律、パウリの禁制、パウリの禁則などとも呼ばれる。
パウリの排他原理はフェルミ粒子について成り立つ法則であり、ボース粒子については成り立たない(ボース粒子は、複数の粒子が同一の量子状態を占めることがありうる)。
スピンの発見と命名
ナトリウムのD線の実験において、磁場がない場合は単一波長の光が観察されるはずであったが、予想に反してD線が2本に分裂することが発見された。それを受け、1924年にヴォルフガング・パウリは、電子が2値の量子自由度を持つ可能性について言及した。
1925年にウーレンベックとゴーズミットは、この電子の自由度の由来について、電子が自転しているという仮説をたてた[3][4]ため、この自由度はスピンと呼ばれるようになった。しかし、電子が自身のスピンに相当する角運動量を自転によって得るためには、光速を超える速度で自転しなければならず、相対論に反する。そのため、パウリによってこの仮説は否定されたが、スピンという名称は残された。
スピン座標
これまで電子の状態を表す波動関数は、空間座標のみの関数と考え、

- 朝永振一郎『スピンはめぐる』(新)みすず書房、2008年7月30日。ISBN 978-4-622-07369-7。
- 原康夫『量子力学』岩波書店〈岩波基礎物理シリーズ 5〉、2009年11月5日。ISBN 978-4000079259。
- 小出昭一郎『量子力学 (I)』(改訂)裳華房〈基礎物理学選書 5A〉、2012年2月20日。ISBN 978-4785321321。
- 村上雅人『なるほど量子力学 (III)』海鳴社、2008年2月。ISBN 978-4875252498。
- 河原林研『量子力学』岩波書店〈現代物理学叢書〉、2001年2月15日。ISBN 978-4000067539。
- 中嶋貞雄『量子力学 II』岩波書店〈物理入門コース 6〉、2009年10月15日。ISBN 978-4000076463。
関連項目
外部リンク
- Wolfgang Pauli,“Exclusion Principle and Quantum Mechanics ”, Nobel Lecture, December 13, 1946; パウリのノーベル物理学賞受賞時の講演。パウリの排他律を発見するに至る経緯が記されている。
「パウリの排他原理」の例文・使い方・用例・文例
- パウリの排他原理ではなく、ボーズ・アインシュタイン統計に従う粒子
パウリの排他原理と同じ種類の言葉
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