ボーム解釈とは? わかりやすく解説

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ボーム解釈

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/18 14:38 UTC 版)

ド・ブロイ=ボーム理論による二重スリットを通過する粒子の軌跡

ボーム解釈(ボームかいしゃく)とは、1952年アメリカ合衆国生まれの物理学者デヴィッド・ボームによって提案された量子力学の解釈であり、非局所実在論のひとつである。

概要

ボーム解釈は量子力学において主流である非決定論的かつ非実在論的なコペンハーゲン解釈と異なり、実在論的な解釈であり、ボーム自身はこれを因果律的解釈、のちには存在論的解釈と呼んだ。ボーム解釈は隠れた変数理論に基づいており、その源流は1927年のルイ・ド・ブロイによるパイロット波理論である。このことから、ボーム解釈はド・ブロイ–ボーム解釈とも呼ばれる。

ボーム解釈は1960年代から1970年代にかけて、主流派の純粋な確率論的解釈と区別するため因果律的解釈として発展、後にボームは決定論的・確率論的両方の解釈を包含するように拡張した。その最終的な形にはジョン・スチュワート・ベルらの成果が取り入れられ、存在論的解釈としてボームとB. J. Hileyとの共著[1]にまとめられた。その中では「オブザーバブル(可観測量、observable)」ではなく「ビーアブル(可存在量、beable)」という概念が導入され、認識論的なコペンハーゲン解釈と決定的な違いを見せる。この形式は、因果律的ではあるが非局所的、非相対論的である。

ボームは当初、自身の解釈が局所性、因果性客観的実在性英語版を満たし、シュレディンガーの猫波束の収縮などの量子パラドックスを解決しうるものになることを期待したが、局所的な実在論は量子力学の予言全てを再現することはできないことを示すベルの定理ベルの不等式の破れが決定的な役割を果たす)により、これを実現することが不可能であることがわかった。

ボーム解釈はコペンハーゲン解釈などその他の量子力学解釈と同様、あくまで「解釈」にすぎない。ボーム解釈の予測する結果は全て、ほかの量子力学解釈と全く同等であり、すなわち理論的には同等のものである。量子力学そのものが否定されない限り、ボーム解釈は反証されることもない。

理論的枠組み

原理

ボーム解釈は次の原理に基づく。

  • 粒子はひとつに定まった経路を運動する。
    あらゆる時刻において、粒子の位置運動量はひとつに定まっている。
  • 観測者はその経路を完全に知ることはできない。
    観測者による位置および運動量の測定には、常に古典的不確定性(すなわち測定誤差)がともなう。
  • 粒子の配置状態は、配置空間上で定義される、粒子の運動を先導する場によって決定される。
    ド・ブロイはその場をパイロット波と呼び、ボームはψ場と呼んだ。ψ場は粒子の運動を先導し、また「量子ポテンシャル」 カテゴリ



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