他の解釈など
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/25 09:45 UTC 版)
量子力学について、コペンハーゲン以外の解釈をいくつか挙げる。 多世界解釈 エヴェレットの定式化に現実的意味[疑問点 – ノート]を与えようとする試みの一つ。コペンハーゲン解釈では射影仮説というシュレディンガー方程式に含まれない処理が必要であるが、多世界解釈ではシュレディンガー方程式から予測される重ね合わせ状態は全て実現し、干渉性を喪失した世界が分岐していくと考えることで波束の収縮を回避する。多世界解釈はある意味で決定論的であり、初期条件が与えられれば未来の分岐する全ての世界の重ね合わせに相当する量子状態は一意に決定される。 意識解釈(英語版) 「人間の意識が量子の状態を決める」とする解釈。量子力学と哲学を関連づけて考えている者もいる。「人間が状態を認知した瞬間」が「量子の状態が決まる瞬間」であることを前提としているが、その前提には理論的裏付けがなく、実験による確認もされていない。複数の検証不可能な仮定の積み重ねに基づいており、科学理論としての要件を満たしているとは言い難い。量子コンピュータにおいて、外部から侵入した光子や電子の影響によって量子ビットの状態が確定してしまう(と考えることもできる)量子エラーは人間の意識とは無関係に生じる。また、量子テレポーテーションでも同様のエラーが実験の障害となる。これら意識とは無関係に状態が確定すると考えることもできる。 ド・ブロイ=ボーム解釈 「パイロット波」なる未知の波が粒子の運動に影響を与えているとして、量子力学を古典力学の枠内で説明しようとする試みであり、シュレーディンガーの猫の問題は完全に解決できる。一時は成功したかのように見えたが、二個以上の粒子の運動を想定すると古典力学にない非局所的長距離相関が強く現れることが分かり、現在では完全に下火となっている。 確率過程量子化 古典論の粒子の酔歩によって波動性を説明する立場。酔歩の統計的性質は波動関数を再現するよう設定される。 粒子の波動性は一つの粒子に対する観測を幾千回、幾万回くり返し結果を集積することで現れる統計的性質に過ぎず、観測されなくても粒子一つ一つは必ず空間上のどこか特定の場所に存在していると考える。そして波動関数はその粒子の運動経路を確率的に表現するものと解釈する。この解釈の下では、量子論での1個の粒子の波動性は古典論での幾万もの粒子の挙動を平均化することで生じた錯覚ということになる。 素朴実在論ではあるが、決定論というわけでもない(決定論と解釈することもできる)。 客観的収縮理論(英語版) この理論ではシュレディンガー方程式を修正することで、波動関数の収縮が観測とは無関係に客観的に起きるとする。収縮がランダムに生じるとする自発的収縮理論や、重力により重ね合わせ状態が収縮するとするとするペンローズ解釈(英語版)がある。これらは標準的な量子力学とは異なる現象が生じるので、実験的な検証ができる可能性がある。
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