ポピュリズムとは?

ポピュリズム

英語:populism

ポピュリズムとは、ポピュリズムの意味

ポピュリズムとは、労働者貧農都市中間層といった市民階層を「大衆」と位置づけ大衆対す所得再分配政治的権利希求する政治思想のこと。また、ここから転じて政治家大衆の抱く感情情緒寄り添う形で政治を行う手法や、そうした大衆基盤に立つ運動も指す。日本語では人民主義衆愚政治反知性主義などの訳語が用いられることが多い。

ポピュリズムの語源

ポピュリズムの語源は、1891年アメリカ設立された政党アメリカ人民党」の構成員支持者を指す「ポピュリスト」である。アメリカ人民党ノースカロライナ州アラバマ州カンザス州といった、アメリカ南部中西部の諸州で貧困にあえぐ農民支持基盤として勢力伸ばした。エリート層や鉄道会社銀行などに対して経済的対抗することを掲げ、農本主義を掲げる政策主軸としている。人民党自体1896年民主党選挙協力を受けたことをきっかけ活動衰退した結果解散し、ポピュリズムの運動衰退している。

ポピュリズムは、利益大衆帰属させるという観点から、個は全体従属すべきという権威主義全体主義同義ととらえられることがある。これは本来民主主義とは対立する観点ではあるが、民主主義政体において最大多数占め集団対す利益追求し、少数派無視する政策安易に行い続け場合には、ポピュリズムが権威主義全体主義転じていく可能性大いにある。21世紀に入ってからは、複雑な政治上の対立構造単純化して大衆直接支持訴える、いわゆる劇場型政治」を繰り広げる政治家活動思想に対して用いられることが多くなり、大衆迎合政治衆愚政治反知性主義といった意味合い付与されるようになった

ポピュリズムの反対語としては、19世紀用例に対してエリート主義21世紀以降用例ではリバタリアニズム自由至上主義)、哲人政治知性主義などが挙げられる。

ポピュリズムの歴史

ポピュリズムは元来アメリカで起こった運動であったが、類似する運動として1860年帝政ロシアで起こったナロードニキ運動がある。ナロードニキロシア語人民主義者の意味であり、農奴解放目指していた。この運動は後にポリシェビキに引き継がれ、ロシア革命原動力となる。アメリカロシア19世紀に起きたポピュリズムは、どちらも農業経済から工業経済への移行期発生したものであり、過激活動伴っていたことが共通している。

ヨーロッパにおいては19世紀発生したロマン主義が、従前知識人主体とする合理主義知性主義対抗する概念として生まれた。時は下って1930年代から40年代にかけて展開されたムッソリーニファシズムや、ヒトラーナチズムといった運動は、大企業知識人外国資本社会主義者共産主義者といった集団に対して明確に反抗しており、また民衆に対して利益もたらすことを約束したことから、ポピュリズムに分類される。

21世紀入りアメリカイギリスフランスなどの欧米諸国では、テロとの戦い移民問題ブレグジットなどの様々な要因から保守路線政党大衆感情迎合した政策を掲げることが多くなった。間接民主制腐敗などで十全機能しなくなった場合や、目下危機現在の政治では対応が出来ない場合にはポピュリズム政党対す支持増える傾向にある。

日本においては2000年代に「聖域なき構造改革」を掲げて、反対する政治家抵抗勢力名指し批判し、対決姿勢で臨む劇場型政治繰り広げ小泉純一郎ポピュリスト政治家認識され、ポピュリズムが日本浸透始めていった。また、地方自治体では、市民直接選挙によって知事市長を選ぶため、東京都における石原慎太郎小池百合子大阪府における橋下徹のような、タレント性の高い政治家登場し、人気取りのために大衆迎合した政策を掲げる傾向見られる。このことから、地方政治においてはポピュリズムがより浸透しやすい土壌が作られていると考えられる


ポピュリズム


ポピュリズム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/21 15:22 UTC 版)

ポピュリズム: populism)とは、一般大衆の利益や権利を守り、大衆の支持のもとに、既存のエリート主義である体制側や知識人などに批判的な政治思想、または政治姿勢のことである[1][2][3][4]。日本語では大衆主義(たいしゅうしゅぎ)や人民主義(じんみんしゅぎ)[5]平民主義などのほか、否定的な意味を込めて衆愚政治大衆迎合主義(たいしゅうげいごうしゅぎ)[6][7]などとも訳されている。




  1. ^ populism (The Free Dictionary)”. The American Heritage. 2012年7月18日閲覧。
  2. ^ populism – Cambridge Dictionary Oline
  3. ^ populist - Oxford Dictionary online
  4. ^ a b 今村仁司、三島憲一、川崎修「岩波社会思想事典」 岩波書店、2008年、p298-299
  5. ^ 蒲島郁夫竹中佳彦「現代日本人のイデオロギー」p402、東京大学出版会
  6. ^ 小学館「デジタル大辞泉」
  7. ^ 三省堂「大辞林 第三版」
  8. ^ Populist Mobilization: A New Theoretical Approach to Populism, Robert S. Jansen, Sociological Theory, Volume 29, Issue 2, pages 75–96, June 2011
  9. ^ Ideology, Public Opinion, and Media - Glossary - American Politics
  10. ^ Julius Caesar (William Shakespeare, Marvin Spevack) 2004, p70
  11. ^ Larousse, Le Petit Robert, des noms propres, 1997, <populisme> の項
  12. ^ Ferkiss, Victor C. 1957. "Populist Influences on American Fascism." Western Political Quarterly 10(2):350–73.
  13. ^ Dobratz and Shanks–Meile 1988
  14. ^ Berlet and Lyons, 2000
  15. ^ Fritzsche, Peter. 1990. Rehearsals for Fascism: Populism and Political Mobilization in Weimar Germany. New York: Oxford University Press. ISBN 0-19-505780-5: 149–150.
  16. ^ Latin America - The return of populism - The Economist
  17. ^ 直明, 岡部. “日経ビジネス電子版” (日本語). 日経ビジネス電子版. 2020年11月14日閲覧。
  18. ^ トランプはかくも「アメリカの民主主義」を毀損した 超大国が走ったポピュリズムのツケを背負わされる米国民と世界 | JBpress(Japan Business Press)” (日本語). JBpress(日本ビジネスプレス). 2020年11月14日閲覧。
  19. ^ 反エリート、本能的…「トランプ政治」源流は2世紀前に:朝日新聞デジタル” (日本語). 朝日新聞デジタル. 2020年11月14日閲覧。
  20. ^ トランプが劣勢の「フロリダ」で大逆転した真因 | アメリカ大統領選2020” (日本語). 東洋経済オンライン (2020年11月7日). 2020年11月14日閲覧。
  21. ^ 【米大統領選の病巣】トランプ「反知性主義」が支持される理由 講談社 今日のおすすめ”. 講談社 今日のおすすめ. 2020年11月14日閲覧。
  22. ^ トランプ大統領はなぜいまも、白人労働者階級に支持されるのか | HBR.org翻訳リーダーシップ記事” (日本語). トランプの米大統領就任から1年が経ち、支持率は低迷している。しかし、白人労働者階級のトランプに対する忠誠心は、いまだ堅調だ。その要因を、トランプの選挙演説におけるレトリックから読み解く。. 2020年11月14日閲覧。
  23. ^ The Irish Times. O'Halloran, Marie. http://www.irishtimes.com/news/ff-education-bill-a-populist-stunt-says-government-1.963336 January 21, 2013
  24. ^ Twenty-First Century Populism”. Palgrave MacMillan. p. 3. 2018年3月18日閲覧。
  25. ^ 「ポピュリズム」を「大衆迎合」や「衆愚政治」などの意味で使用した書籍の例には以下がある。「日本型ポピュリズム:政治への期待と幻滅」(大嶽秀夫、中央公論新社、2003年)。「ポピュリズム批判:直近15年全コラム」(渡邊恒雄、博文館新社、1999年)書籍の帯は「大衆迎合は国を滅ぼす。新世紀を斬る。」博文館新社の経済・社会。「自治体ポピュリズムを問う:大阪維新改革・河村流減税の投げかけるもの」(榊原秀訓、自治体研究社、2012年)
  26. ^ 橋下・大阪市長らの政治手法を批判する際に使われる「ポピュリズム」って何? - 読売新聞
  27. ^ 吉田徹『ポピュリズムを考える』NHKブックス、2011年
  28. ^ Christie, Stuart, Albert Meltzer. The Floodgates of Anarchy. London: Kahn & Averill, 1970. ISBN 978-0900707032


「ポピュリズム」の続きの解説一覧



固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ポピュリズム」の関連用語

ポピュリズムのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ポピュリズムのページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
新語時事用語辞典新語時事用語辞典
Copyright © 2021 新語時事用語辞典 All Rights Reserved.
実用日本語表現辞典実用日本語表現辞典
Copyright © 2021 実用日本語表現辞典 All Rights Reserved.
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのポピュリズム (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2021 GRAS Group, Inc.RSS