さんせい‐けん【参政権】
参政権(さんせいけん)
政治に参加する権利を参政権という。選挙に行く選挙権と、立候補する被選挙権が中心だ。このほか、憲法改正のときの国民投票や、最高裁判所裁判官の国民審査もある。
選挙権
選挙に行って投票できる権利のことだ。日本では、20歳以上の国民全員に選挙権がある。
被選挙権
議員や首長選挙に立候補できる権利のことだ。衆議院議員・地方議会議員・市町村長に立候補できるのは25歳からだ。また、参議院議員・都道府県知事に立候補できるのは30歳からだ。
憲法改正の国民投票
憲法を改めるには、国会で発議されたあと、さらに国民投票で過半数の賛成が必要だ。
国民審査
最高裁判所の裁判官に対し、適任かどうかを国民が審査する。具体的には、総選挙のときに国民投票を行う。これで、投票者の過半数が「裁判官に向かない」と判断した場合、その裁判官はやめなければならない。
(2000.10.14掲載)
参政権
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/18 02:17 UTC 版)
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民主主義 |
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用語 |
関連事項 |
図表 |
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参政権(さんせいけん、英: Franchise/Suffrage)とは、国民が政治に参加する権利の総称である。
参政権の類型
国民が政治に参加する制度には、直接的なものと間接的なものに分けられる[1]。前者の例としては公職就任のほか国民発案(イニシアティブ)や国民表決(レファレンダム)、後者の例では選挙や国民解職(国民罷免、リコール)などの制度がある[2][3]。
直接的参政方法
- 公職就任
- 公職に国民が自ら就任することである[1]。公務員に就任する権利を公務就任権という。特に、選挙によって議員その他の公職に就く権利については被選挙権を参照。
- 外国人については公務員への就任資格が制限されていることがあり、特に被選挙権については否認されていることがある[4]。
- 国民発案(イニシアティブ)
- 国民表決(レファレンダム)
間接的参政方法
- 選挙
- 国民解職(国民罷免、リコール)
請願権
従来、請願権は請願の受理を求める権利であるとの理解から国務請求権(受益権、いわゆる請求権)に分類されてきたが、現代の請願は民意を直接に議会や政府に伝えるという意味が重要視されており参政権的機能をも有するものと理解されている[9]。請願権を参政権に分類する学説もあるが、請願権は国家意思の決定に参与する権利ではない事から典型的参政権とは異なる補充的参政権として捉えられることがある[10]。
日本における参政権
選挙権
日本国憲法第15条「公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。」と規定する[7]。
公務就任権
明治憲法は「日本臣民ハ法律命令ノ定ムル所ノ資格ニ応シ均ク文武官ニ任セラレ及其ノ他ノ公務ニ就クコトヲ得」(第19条)と定め、公務就任資格の平等について定めていた[11]。
日本国民の公務員への就任について、日本国憲法にはこれについての直接の規定がないが、日本国憲法第14条の「政治的関係」において差別されないに内包され保障されている[11]。また特に国会議員の被選挙権については日本国憲法第44条で「両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない」と定められている[11]。
外国人の公務就任権について最高裁は「日本の国籍を有しない者は、憲法上、国又は地方公共団体の公務員に就任する権利を保障されているということはできない。」とし、地方公務員については「公権力を行使することなく、また、公の意思の形成に参画する蓋然性が少なく、地方公共団体の行う統治作用にかかわる程度の弱い管理職」であれば我が国に在住する外国人を任用することも国民主権の原理に反するものではないとする(最大判平成17年1月26日民集59巻1号128頁)[12]。
なお、公務就任権のうち選挙によって議員その他の公職に就く権利(被選挙権)については、日本の選挙を参照。
国民発案・国民表決・国民罷免
- 国民発案(イニシアティブ)
- 国民発案(イニシアティブ)の制度は、日本では国政レベルでは採用されていない[11]。地方レベルでは、地方自治法で、普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者は、政令の定めるところにより、その総数の50分の1以上の者の連署をもって、その代表者から、普通地方公共団体の長に対し、条例(地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するものを除く。)の制定又は改廃の請求をすることができると定められている(地方自治法74条)。
- 国民表決(レファレンダム)
- 国民罷免(リコール)
- 国民罷免(リコール)の制度は、日本では国政レベルでは採用されていない[8]。地方レベルでは地方自治法で地方公共団体の長・議会・議員の解散・解職の請求が定められている(地方自治法76条以下)[8]。
- なお、日本には最高裁判所裁判官国民審査の制度があるが、国民の請求を受けて実施されるものではなく一定の時期に行われるものであるため、典型的な国民罷免の制度とは区別される[8]。
国別の選挙権・被選挙権
国 | 選挙権年齢 | 選挙権資格 | 被選挙権年齢 | 被選挙権資格 |
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18歳 |
日本国籍保持者 |
衆議院議員・市町村長:25歳 |
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:20歳 | |||
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18歳 | 選挙人登録を行った米国民 |
大統領被選挙権資格者は、生まれながらの米国民[13]で14年以上国内に居住している者 | |
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18歳 | 23歳 | ||
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18歳 | 英国内に在住する英連邦市民 | 18歳 | 英連邦市民 |
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18歳 | 18歳 | ||
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18歳 | 25歳 | ||
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18歳 | 18歳 | ||
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18歳 | 18歳 | ||
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18歳 | (義務投票制) | 21歳 | |
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18歳 | 18歳 | ||
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18歳 | 18歳 | ||
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18歳 | 中華人民共和国国籍保持者[注釈 1][注釈 2] | 18歳 | 中華人民共和国国籍保持者 |
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19歳[注釈 3] | 25歳 | ||
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18歳 | 18歳 | ||
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18歳 | 18歳 | ||
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18歳 | 18歳 | ||
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18歳 | 30歳 | ||
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18歳 | 18歳 | ||
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18歳 | 21歳 | ||
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18歳 | (義務投票制) | 18歳 | |
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18歳 | 18歳 | ||
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17歳 | 17歳 | ||
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16歳 | (義務投票制) | 21歳 | |
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16歳 | 18歳 | ||
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21歳 | 25歳 | ||
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15歳 | 26歳以上75歳以下 | イスラム法学者による事前審査を経た者 |
脚注
注釈
出典
- ^ a b c 小嶋和司、立石眞『有斐閣双書(9)憲法概観 第7版』有斐閣、2011年、155頁。ISBN 978-4-641-11278-0。
- ^ 小嶋和司、立石眞『有斐閣双書(9)憲法概観 第7版』有斐閣、2011年、155-162頁。ISBN 978-4-641-11278-0。
- ^ a b c “「国民投票制度」に関する基礎的資料”. 衆議院憲法調査会事務局. 2020年6月7日閲覧。
- ^ 小嶋和司、立石眞『有斐閣双書(9)憲法概観 第7版』有斐閣、2011年、89頁。ISBN 978-4-641-11278-0。
- ^ 小嶋和司、立石眞『有斐閣双書(9)憲法概観 第7版』有斐閣、2011年、155-156頁。ISBN 978-4-641-11278-0。
- ^ a b 小嶋和司、立石眞『有斐閣双書(9)憲法概観 第7版』有斐閣、2011年、157頁。ISBN 978-4-641-11278-0。
- ^ a b 小嶋和司、立石眞『有斐閣双書(9)憲法概観 第7版』有斐閣、2011年、158頁。ISBN 978-4-641-11278-0。
- ^ a b c d 小嶋和司、立石眞『有斐閣双書(9)憲法概観 第7版』有斐閣、2011年、162頁。ISBN 978-4-641-11278-0。
- ^ 樋口陽一、佐藤幸治、中村睦男、浦部法穂『注解法律学全集(1)憲法I』青林書院、1997年、353頁。ISBN 4-417-00936-8。
- ^ 樋口陽一、佐藤幸治、中村睦男、浦部法穂『注解法律学全集(1)憲法I』青林書院、1997年、354頁。ISBN 4-417-00936-8。
- ^ a b c d 小嶋和司、立石眞『有斐閣双書(9)憲法概観 第7版』有斐閣、2011年、156頁。ISBN 978-4-641-11278-0。
- ^ 小嶋和司、立石眞『有斐閣双書(9)憲法概観 第7版』有斐閣、2011年、78頁。ISBN 978-4-641-11278-0。
- ^ Natural-born citizen
- ^ “中华人民共和国全国人民代表大会和地方各级人民代表大会选举法”. 中華人民共和国中央人民政府 (2010年3月14日). 2017年10月19日閲覧。 “2010年3月14日改正版(→国立国会図書館による当該法規の日本語解説)”
- ^ “中华人民共和国国籍法”. 中華人民共和国中央人民政府 (2005年5月25日). 2017年10月19日閲覧。
- ^ 佐藤令、大月晶代、落美都里、澤村典子『主要国の各種法定年齢 選挙権年齢・成人年齢引下げの経緯を中心に』(PDF)国立国会図書館調査及び立法考査局〈基本情報シリーズ(2)〉、2008年12月。ISBN 978-4-87582-676-7 。2017年10月19日閲覧。
関連項目
外部リンク
参政権
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 13:49 UTC 版)
詳細は「女性参政権」を参照 1920年8月18日、テネシー州がアメリカ合衆国憲法修正第19条を批准する36番目の州となり、女性の参政権が認められた。選挙権における平等は女性の権利運動で画期的な時となった。
※この「参政権」の解説は、「狂騒の20年代」の解説の一部です。
「参政権」を含む「狂騒の20年代」の記事については、「狂騒の20年代」の概要を参照ください。
参政権
「参政権」の例文・使い方・用例・文例
- 女性の参政権に対する抵抗をなくすまでには長い歳月がかかった
- 急進的な婦人参政権拡張論者のグループ
- この法律は女性に参政権を与えた。
- 婦人参政権を認めるように憲法が修正された。
- 婦人の参政権を認めるように憲法が修正された.
- 婦人参政権論者
- 女子に参政権を与えるの可否
- 婦人参政権
- 全国民参政権
- 参政権拡張論者
- 女子参政権
- 女子参政権運動者
- 女子参政権反対者
- 参政権の停止
- 婦人参政権の女性支持者(特に20世紀初頭の英国の過激な支持者)
- 米国の婦人参政権論者(1820年−1906年)
- 米国のフェミニストで、女性参政権運動において活発であった(1819年−1910年)
- 米国の婦人参政権論者(1820年−1905年)
- 米国のワイオミング州の婦人参政権論者(1814年−1902年)
参政権と同じ種類の言葉
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