軍事政権
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軍事政権(ぐんじせいけん、英語: military dictatorship)は、軍隊が直接的に政治を執行する統治形態[1]。
概要
近代国家の原理では、軍隊は国家体制の存立を担保する強制装置ではあるが、議会政治の後景にあって『軍隊の政治的中立性』を保つべきことを建前としている[1]。しかし、現実には軍隊指導部(軍エリート)は政治的に重要な地位を占めやすい。近年の戦闘技術の発展は、軍事技術と産業技術との相互依存関係を不可欠に作り出しており、軍エリートと財界指導部と高級官僚層の統合が進み、いわゆる「軍産複合体」になっている[1]。そのため軍エリートの「政治的中立性」はほとんど建前のみとなり、重要な政治的役割を果たすことになる[1]。ただ議会政治や政党政治が安定している中においては議会政治原理の建前から軍エリートの政治行動は基本的に影の部分で行われるのが一般的である[1]。
しかし議会支配による国民統合や秩序維持が困難に陥った時、『軍隊の政治的中立性』のイデオロギーから軍が直接に政治的統合・秩序維持を行うことがある。これが軍事政権である[1]。「軍隊の中立性」をイデオロギー的背景にした軍エリートが政治的統合の役割を果たす事例は、第二次世界大戦後のフランスのシャルル・ド・ゴールの大統領就任演説など西欧にもその例はみられるが、西欧においては基本的には例外的統治形態である[1]。
一方、1950年代に植民地から独立して国民国家形成を開始した、「第三世界」「発展途上国」と呼ばれている国々では、軍事政権が比較的発生しやすい傾向がある[1][2]。小田英郎はアフリカで軍部の政治的台頭が頻発する要因について、アフリカでは大統領制や一党制など、中央集権的政治体制が多いためクーデターによる政治交代が頻発する傾向が強く、その根本原因は、急速な近代化と国家建設による政治的・経済的・社会的緊張にあるという[2]。また、専門家集団や利益集団といった近代的な外部社会集団の成熟が緩慢であることが一因という。
これらの国々では伝統的部族対立や旧宗主国との結び付きなどによって議会政治の腐敗が起こりがちで、軍隊は相対的にその社会の中で最も急速に近代的・集権的集団となりやすい[2]。また軍備の立ち遅れから軍エリートは対外関係にも敏感になりやすく、国際感覚もその社会の中で相対的に進んだ者たちであることが多い[1][2]。この軍エリートの相対的近代性が発展途上国で軍事政権が日常化する傾向を生んでいる[1][2]。
現在の軍事政権指導者
例
- 現在、軍事政権となっている国
- ミャンマー - 2021年2月1日発生、2021年ミャンマークーデター
- マリ - 2021年5月24日発生、2021年マリクーデター
- ギニア - 2021年9月5日発生、2021年ギニアクーデター
- スーダン - 2021年10月25日発生、2021年10月スーダンクーデター
- ブルキナファソ - 2022年9月30日発生、2022年9月ブルキナファソクーデター
- ニジェール - 2023年7月26日発生、2023年ニジェールクーデター
- ガボン - 2023年8月30日発生、2023年ガボンクーデター
- 名目上は民政であるが実態が軍事政権であったもの
脚注
出典
参考文献
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- Finer, S. E. 1969. The man on horseback: The role of the military in politics. London: Pall Mall Press.
- Huntington, S. P. 1969. Political order in changing societies. New Haven: Yale Univ. Press.
- 内山秀夫訳『変革期社会の政治秩序 上下』サイマル出版会、1972年
- Janowitz, M. 1964. The military in the development of new nations. Chicago: Univ. of Chicago Press.
- Janowitz, M. 1977. Military institutions and coercion in developing nations. Chicago: Univ. of Chicago Press.
- Kennedy, G. 1974. The military in the third world. London: Duckworth.
- Stepan, A. 1971. The military in politics: Changing patterns in Brazil. Princeton: Princeton Univ. Press.
- Stepan, A. 1988. Rethinking military politics: Brazil and the southern Cone. Princeton: Princeton Univ. Press.
関連項目
外部リンク
軍事政権
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 15:00 UTC 版)
詳細は「ギリシャ王国」および「ギリシャ軍事政権」を参照 この穏健すぎるパパンドレウの政局運営は結局、アメリカ合衆国政府や軍、王室の介入により短命に終わった。そのため、国王はカネロプロスに選挙の管理をゆだねたが、1967年4月21日、軍のスティリアノス・パッタコス(英語版)准将、ゲオルギオス・パパドプロス大佐、ニコラオス・マカレゾス(英語版)大佐らの主導による軍事クーデターが発生した。このクーデターを「1967年4月21日革命」と称した彼らは自らに都合のよい政府を構築したことにより、一度は政界から身を引いたが、12月13日に国王コンスタンディノス2世による逆クーデターが仕掛けられると自ら政局の運営を開始、パパドプロスが首相に就任した。これらに対して国民は消極的な抵抗を示したのがほとんどで、目立った行動は発生しなかった。さらにアメリカ合衆国(ジョンソン政権)はパパドプロスの軍事政権がコントロール可能と踏んだため、早々と承認を行った。
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「軍事政権」の例文・使い方・用例・文例
- 軍事政権.
- 国民はもはやその軍事政権に我慢できなかった.
- 深刻な経済不況の中で軍事政権は倒れた.
- 若い詩人は軍事政権に盾突いて 10 か月間投獄された.
- 軍事政権は左翼の政党を容赦なく弾圧した.
- 軍事政権は首都に夜間外出禁止令を強制した
- 革命家、テトリスト、反対分子に対しての秘密警察あるいは軍事政権により行われた攻撃態勢また民間人が犠牲となる誘拐、拷問、および殺人を用いることで特徴付けられた
- 1980年代に組織化されて、チリの軍事政権の打倒を支持する乱暴なテロリスト集団
- 1967年から1974年までギリシャを統治した暫定軍事政権に反対するために1971年にギリシャで形成された極左テロリスト集団
- 彼女は5月6日,ミャンマーの軍事政権による,19か月以上に及ぶ自宅軟禁から解放された。
- 軍事政権は今のところ,彼女が自由に行動することを許している。
- 軍事政権はこの訪問を認め,彼女に移動の自由を与えるという公約を守るだろうか。
- これは,軍事政権が本当に,彼女と政治対話を持つ意図があるかどうかを知るための,最初の判断材料になるだろう。
- 11月13日,ミャンマー軍事政権は民主化運動指導者,アウン・サン・スー・チーさん(65)を7年半の自宅軟禁の後に解放した。
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