間接選挙とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 政治 > システム > 制度 > 間接選挙の意味・解説 

かんせつ‐せんきょ【間接選挙】

読み方:かんせつせんきょ

一般選挙民が選挙人選出し、その選挙人投票によって候補者の当落決定する選挙方法米国大統領選挙など。複選挙。→直接選挙


間接選挙

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/10 21:24 UTC 版)

間接選挙(かんせつせんきょ、: Indirect election)とは、有権者が直接候補者を選んで投票するのではなく、中間選挙人などを通して候補者を選び間接的に意思表示を行う選挙制度のことである。直接選挙に対比される。

概要

直接選挙に比べ、中間に選挙人などの(一回または複数回の)クッションが入ることで急進的な意見を排除し、一時の感情や勢いではない理性的な選択がなされることが期待されている。交通・通信が不便な時代において、有権者が候補者の見極めを行なうことは困難であり、それを選挙人に託すことができる利点があった。反面、死票が多くなる可能性が高いほか、有権者の意向と選挙人の実際の投票先が一致しないケースもあり得る。また、歴史的には選挙人に一定の資格を設ける制限選挙との併用で、見かけ上は普通選挙の形態をとりながらも、特定の社会階層の意見を排除することにも利用された。

事例

首長

アメリカ合衆国

アメリカ合衆国憲法制定当初、普通選挙も一般的ではなく[注釈 1]邦(州)ごとに有権者資格が異なっていたことから[1]合衆国大統領選挙では、各州の議会が選定する「選挙人」が大統領および副大統領を選挙する間接選挙が導入された。憲法起草時は、選挙人が自らの判断で投票先を選ぶ自由委任ドイツ語版制度としての運用が想定されていた[注釈 2]。しかし、早々に選挙は党派によって争われるものとなり、選挙人制度の実態は命令的委任英語版となっていった[2]。各州は投票する候補者をあらかじめ誓約した選挙人候補団に一般市民の有権者が投票(一般投票)する制度を導入し、二段階の間接選挙から一段階の間接選挙に変化した。さらには、正副大統領候補の名前と政党名のみが記された投票用紙を用いて選挙人団を選出するようになり、間接選挙制としては形式化している面もある。少数の選挙人が誓約を違えて投票することもあるが、そのことが最終結果を覆した例はない。ただし、一般投票での得票順位と選挙人獲得数順位が逆転することにより、一般投票最多得票の大統領候補が落選した例はある。

議院内閣制の共和国

連邦制の議院内閣制国家のうち、インドドイツでは、大統領を連邦の議会と各州議会が選出する。インドの大統領の選挙は、各議員の投票について、連邦と州の議会の総票数がそれぞれ半々になるよう重みづけをして集計される。ドイツの大統領は、下院である連邦議会の議員、および各州議会から選出された同数の議員からなる連邦会議が選出する。連邦制でない議院内閣制国家のうち、イタリア大統領は、両院議員(600名程度)と地域代表(58名)により選出される。イスラエル大統領は、一院制議会(クネセト)が選出する。

なお、議院内閣制の国においても、オーストリアの大統領セルビアの大統領、シンガポールの大統領のように直接選挙で選出される国家元首も存在する。これらの元首は間接選挙で選出される元首より権限が大きい傾向があり、半大統領制との部分的な類似性がある。

中華人民共和国の元首である国家主席は全人代により選出される。

議員

一般的に下院が優越となる議院内閣制の国々では、上院で間接選挙を導入している傾向が強い。但し大統領とは異なり、選出された議員は原則として無給で職務を全うする[注釈 3]

フランスの上院の議員は、下院と地方議会の議員約15万人による選挙で選出される。中華人民共和国の全国人民代表大会(全人代)の各代表は、多層にわたる人民代表選挙により選出される。

地方自治

日本の特別地方公共団体の一種である広域連合の長と議会は、住民の直接選挙か、もしくは構成団体のそれぞれ長と議会による間接選挙のいずれかで選ばれることが規定されている(地方自治法第291条の5)。

脚注

注釈

  1. ^ 当時、男子普通選挙が行われていたのはニューヨーク邦のみだった。
  2. ^ 憲法起草時、大統領は多数派の専制を牽制する存在として位置づけられていたため、その選定において民意をある程度遮断することが意図された。
  3. ^ 秘書は、例外的に有給である。

出典

  1. ^ 西川, p. 1976.
  2. ^ 待鳥, p. 687.

参考文献

  • 西川秀和『アメリカ人の物語22 憲法制定会議: 建国の父 ジョージ・ワシントン2 建国期のアメリカ(アメリカ合衆国憲法制定会議) (kindle版)』青史書店〈歴史世界叢書〉、2016年1月。ASIN B01B3RRXNK 
  • 待鳥聡史『アメリカ大統領制の現在~権限の弱さをどう乗り越えるか (kindle版)』NHK出版〈NHKブックス〉、2016年9月。ASIN B01M0B9CQY 

関連項目


間接選挙

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/24 06:34 UTC 版)

選挙」の記事における「間接選挙」の解説

選挙人選挙人中間選挙人)を選びその中間選挙人が投票を行う選挙制度フランスオーストリアなどの上選挙アメリカ大統領選挙採用されている。ただし、アメリカ大統領選挙のように選挙委員候補者が誰を大統領に選ぶか予め明らかにしたうえで選出する制度では実際に直接選挙変わらない

※この「間接選挙」の解説は、「選挙」の解説の一部です。
「間接選挙」を含む「選挙」の記事については、「選挙」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「間接選挙」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「間接選挙」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



間接選挙と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「間接選挙」の関連用語

間接選挙のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



間接選挙のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの間接選挙 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの選挙 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS