神道 神道の概要

神道

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/29 17:28 UTC 版)

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神道
国・地域 日本
信者数 8,473万9,699人[1]
成立年 不明(縄文時代から古墳時代にかけて原型が形成されたとされる)
創始者 なし
信仰対象 八百万の神
聖典 正典なし[2]
母体 民族信仰自然信仰祖先信仰
宗派 下記神道諸派参照
主な指導者
聖地 神社などの祭祀施設・などの自然物
教義 具体的な教義なし
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自然と神とは一体として認識され、神と人間を結ぶ具体的作法が祭祀であり、その祭祀を行う場所が神社であり、聖域とされた[6]明治維新より第二次世界大戦終結まで政府によって事実上の国家宗教となった。この時期の神道を指して国家神道と呼ぶ[7]

天孫降臨の舞台とされる高千穂河原
樹齢約3000年の武雄神社御神木

概要

国産みを描いた『天瓊を以て滄海を探るの図』(小林永濯画、ボストン美術館所蔵)

神道は古代日本に起源をたどることができるとされる宗教である。宗教名の多くは日本語では「○○教」と呼称するが、宗教名は神教ではなく「神道」である。伝統的な民俗信仰自然信仰祖霊信仰を基盤に、豪族層による中央や地方の政治体制と関連しながら徐々に成立した[8][9]。また、日本国家の形成に影響を与えたとされている宗教である[10]

神道には確定した教祖、創始者がおらず[10]キリスト教聖書イスラム教コーランにあたるような公式に定められた「正典」も存在しないとされるが[5]、『古事記』『日本書紀』『古語拾遺』『先代旧事本紀』『宣命』といった「神典」と称される古典群が神道の聖典とされている[11]森羅万象が宿ると考え、また偉大な祖先を神格化し、天津神・国津神などの祖霊をまつり、祭祀を重視する。浄明正直(浄く明るく正しく直く)を徳目とする[12]。他宗教と比べて現世主義的といった特徴がみられる。神道とは森羅万象を神々の体現として享受する「惟神の道(かんながらのみち、神とともにあるの意)」であるといわれる[13]。教えや内実は神社と祭りの中に伝えられている。『五箇条の御誓文』や、よく知られている童歌『通りゃんせ』など、日本社会の広範囲に渡って神道の影響が見受けられる。

神道は奈良時代以降の長い間、仏教信仰と混淆し一つの宗教体系として再構成されてきた(神仏習合)。一方で、伊勢神宮出雲大社のように早くから神仏分離して神事のみを行ってきた神社もある。明治時代には天皇を中心とした国民統合をはかるため、すべての神社で神仏分離が行われた。

神道と仏教の違いについては、神道地縁血縁などで結ばれた共同体部族など)を守ることを目的に信仰されてきたのに対し、仏教はおもに人々の安心立命や救済国家鎮護を求める目的で信仰されてきたという点で大きく相違する[8]

神道は日本国内で約8万5,000の神社が登録され、約8,400万人の支持者がいると『宗教年鑑』(文化庁)には記載がある『宗教年鑑 平成29年版』が、支持者は神社側の自己申告に基づく数字であり、地域住民をすべて氏子とみなす例、初詣の参拝者も信徒数に含める例、御守りや御札などの呪具の売上数や頒布数から算出した想定信徒数を計算に入れる例があるためである。このため、日本人の7割程度が無信仰を自称するという多くの調査結果とは矛盾する[14]

分類

神道は、

皇室神道(=宮中祭祀
皇居内の宮中三殿を中心とする皇室の神道である[15]。皇室神道では、新年の四方拝歳旦祭、五穀豊穣や国家・国民の安寧を祈る新嘗祭(天皇即位後初の新嘗祭は大嘗祭という)などが行われる[16]
ファイル:Kyuchu-Sanden.jpg
宮中三殿皇居内)の空中写真
大嘗祭が斎行された令和の大嘗宮
神社神道
神社を中心に、氏子・崇敬者などによる組織によって行われる祭祀儀礼をその中心とする信仰形態である[17]
民俗神道
民間神道ともいう。民間で行われてきた信仰行事をいう。道祖神田の神山の神竈神など。修験道密教仏教、あるいは道教の思想と習合している場合も多い。いざなぎ流なども入る。
教派神道(神道十三派)
教祖・開祖の宗教的体験にもとづく。創唱宗教的色彩が濃い。
古神道(≒原始神道)
江戸時代の国学によって、儒教や仏教からの影響を受ける前の神道が仮構され、復古神道古道・皇学・本教などと称された。明治時代以降に古神道だけを取り出し、新たな宗派として設立されたものも古神道と称している場合がある。近代以降の学問で研究されて国学色を排除してからは、純神道・原始神道ともいう。
国家神道
特に近代(明治維新より第二次世界大戦終結まで)において国家の支援のもとに行われた神道を指す名称である[18][注 1]
橘家神道(きつけしんとう)
橘諸兄子孫である玉木正英江戸時代家伝宗教から興した神道。口伝や秘伝が多く「鳴弦」「蟇目」「守符」「軍陣」などの秘儀を行ったとされる。その一方、吉田神道陰陽道の影響も受けていると言われる。橘家神道はほぼ消滅したとされるが、その修法思想などが民間信仰に残っていると言われる[21]
雲伝神道(うんでんしんとう)
慈雲が説いた神道。慈雲は真言宗僧だが、仏教色を感じさせず、古事記日本書紀を中心にした復古神道的思想で、日本世界の要とし「真心」を重要視した神道を興した。また儒教的な面もあったが、明治以降に断絶した[21]
三輪流神道(みわりゅうしんとう)
僧の慶円が説いた奈良の三輪山を中心に、三輪伊勢の神を一体とし、大日如来を含めた神道。大神神社にて両部神道神仏混交の影響などを受け、室町時代に発生し、伊勢神道真言宗陰陽道なども混ざり合った信仰明治時代に廃絶に至るも、一部に細々と存続している[22]。現在の「大神教」であり、能「三輪」に影響を与えている。
烏伝神道(うでんしんとう)
賀茂規清が江戸時代に興した神道説。万物や現象などは神霊霊魂が影響するという思想。また誕生は「幸魂」、は「奇魂」が作用すると説いた。しかしその教義は人を惑わすとして、規清は流罪になり、死去した。烏伝神道は廃絶したが、その一部は禊教に継承された[22]

以上のような分類をすることができるが、今日、単に「神道」といった場合には神社神道を指すことが多い。

また、何に重きを置くかによって「祭り型」「教え型」という分け方も提唱されている。

  • 祭り型神道(社人神道 - 儀礼を中心とする)
これは上記の「皇室神道」「神社神道」「民俗神道」などのことである。

以上のように分けられる[15]。なお、陰陽道系の土御門神道は上記の家元神道のひとつではあるが、教え型とも祭り型とも決められるものではない。




注釈

  1. ^ 教派神道の『神道各派』から区別された神ながらの道はとくに国家神道とも呼ばれるが、法律家や行政実務家は以前からそれを神社と呼ぶのが例であった[19]。現在では政教分離が進んで「神社」の語義が変化しており、国家神道を単に「神社」と称することはほぼなくなった。しかし、この様な国家神道の概念・語を、創作・捏造とする説もある。昭和26年の宗教法人法により、多くの神社が政府機関から伊勢神宮を中心とした神社本庁傘下の宗教法人へと変更された経緯がある[20]

出典

  1. ^ これは『宗教年鑑』(文化庁)に基づく神道支持者とされる者の数で、神社側の自己申告によるものである『宗教年鑑 平成29年版』
  2. ^ 神典という古典群が聖典として扱われることがある
  3. ^ 伝説の後南朝 神器巡る悲劇、今に伝える 朝拝式(奈良県川上村) …|エンタメ!|NIKKEI STYLE”. web.archive.org (2017年4月9日). 2019年12月1日閲覧。
  4. ^ 松村明ほか (2018年). “デジタル大辞泉”. 小学館. 2019年1月8日閲覧。
  5. ^ a b 神道国際学会のホームページ”. 2019年6月30日閲覧。
  6. ^ 岡田荘司 2010年 p.22-23
  7. ^ 国家神道”. コトバンク. 2019年12月16日閲覧。
  8. ^ a b 『世界大百科事典』 217-218頁。
  9. ^ 『神道』 12-13頁。
  10. ^ a b 岡田荘司 2010年 ⅲページ
  11. ^ 長野県神社庁のホームページ”. 2016年3月24日閲覧。
  12. ^ a b 『神道』 18頁。
  13. ^ a b 大島宏之 『この一冊で「宗教」がわかる!』 三笠書房
  14. ^ 日本の宗教人口-2億と2-3割の怪の解- (PDF)”. 武蔵野大学仏教文化研究所 渡辺浩希. 2014年7月3日閲覧。
  15. ^ a b 『神道』 20頁。
  16. ^ 主要祭儀一覧”. 宮内庁. 2018年5月24日閲覧。
  17. ^ 『世界大百科事典』 219頁。
  18. ^ 『神道』 134頁。
  19. ^ 宮沢俊義『憲法講話』岩波書店岩波新書〉、1967年6月1日(原著1967年4月20日)、第2版、pp. 28-29。2009年5月22日閲覧。
  20. ^ 石原藤夫 『靖国神社一問一答』(展転社、2002年12月23日) 26頁。
  21. ^ a b 『神道ガイド』村上書店1996年1月30日発行222頁中180頁
  22. ^ a b 神道の本-八百万の神々がつどう秘教的祭祀の世界 (NEW SIGHT MOOK Books Esoterica 2) 出版:学習研究社 1992/3 ISBN 978-4051060244
  23. ^ 表記例として、『日本文徳天皇実録』(9世紀成立)仁寿元年(851年)に、「神那我良(かんながら)」の記述がみられる。
  24. ^ 『世界大百科事典』 216頁
  25. ^ 武光誠 『邪馬台国と卑弥呼の事典』 東京堂出版、96頁。
  26. ^ 即位前紀。
  27. ^ 『世界大百科事典』 216-217頁。
  28. ^ 『神道』 16頁。
  29. ^ a b c d e f g h i j 三橋健 『決定版 知れば知るほど面白い!神道の本』 西東社
  30. ^ 磯前順一『近代における「宗教」概念の成立過程』第3巻、岩波書店〈近代日本の文化史〉(原著2002年1月15日)、初版、185頁。ISBN 400011073X2009年5月22日閲覧。
  31. ^ 山口輝臣『明治国家と宗教』東京大学出版、1995年。
  32. ^ 万葉集』巻第13「柿本朝臣人麻呂の歌集の歌に曰く」。国歌大観番号3253番。
  33. ^ 『世界大百科事典』 218-219頁。
  34. ^ 『神道』 128頁。
  35. ^ 『日本史大事典』平凡社1993年、「国家神道」の項参照。
  36. ^ 『古神道の本』 学研 30頁。
  37. ^ a b c 菅田正昭 『面白いほどよくわかる神道のすべて』 日本文芸社
  38. ^ 直木孝次郎の説、1982年。岡田荘司 2010年 24頁。
  39. ^ 『神道の本』 学研 174、175頁。
  40. ^ 岡田荘司 2010年 ⅴページ
  41. ^ 岡田荘司 2010年 15-16頁。
  42. ^ 石原藤夫 『靖国神社一問一答』(展転社、2002年12月23日) 52頁。
  43. ^ 前田晁 『少年國史物語』 早稲田大学出版部
  44. ^ 『神社』 136頁。
  45. ^ 島田 裕巳 神社で拍手を打つな! -日本の「しきたり」のウソ・ホント 出版社: 中央公論新社 (2019/11/7) P24
  46. ^ 宝賀寿男『古代氏族の研究⑬ 天皇氏族 天孫族の来た道』青垣出版、2018年。
  47. ^ 宝賀寿男「上古史の流れの概観試論」『古樹紀之房間』、2009年。
  48. ^ 宝賀寿男『古代氏族の研究⑬ 天皇氏族 天孫族の来た道』青垣出版、2018年。
  49. ^ 宝賀寿男『古代氏族の研究⑦ 三輪氏 大物主神の祭祀者』青垣出版、2015年。
  50. ^ 宝賀寿男『古代氏族の研究⑬ 天皇氏族 天孫族の来た道』青垣出版、2018年。
  51. ^ 宝賀寿男『古代氏族の研究⑭ 蘇我氏 権勢を誇った謎多き古代大族』青垣出版、2019年。
  52. ^ 宝賀寿男「甲斐国造の系譜」『古樹紀之房間』、2016年。
  53. ^ 大日本神社志, 第 1 巻、出版:大日本敬神会本部, 大日本敬神会 編, 1933
  54. ^ 末永惠子(1997)、「烏伝神道の基礎的研究
  55. ^ a b c d 『神道』 120頁。
  56. ^ お賽銭について” (日本語). 神社本庁. 2020年2月1日閲覧。
  57. ^ 外山晴彦、『サライ』編集部 編 『神社の見方』 小学館 122頁。
  58. ^ 参拝の際に鳴らす鈴について” (日本語). 神社本庁. 2020年2月1日閲覧。
  59. ^ 『神道の本』105頁。
  60. ^ 神社本庁編『神社祭式同行事作法』91頁
  61. ^ 島田 裕巳 神社で拍手を打つな! -日本の「しきたり」のウソ・ホント 出版社: 中央公論新社 (2019/11/7) P23
  62. ^ 国立国会図書館 デジタルコレクション 告示 / 内務省 / 第76号 / 神社祭式行事作法
  63. ^ 国立国会図書館 デジタルコレクション 神社祭式行事作法 昭和17年 15頁 敬禮 警蹕
  64. ^ 国立国会図書館 デジタルコレクション 神社祭式行事作法 昭和17年 1頁
  65. ^ 国立国会図書館 デジタルコレクション 神奈川県内政部 / 神社祭式行事作法解説 昭和18年 P21 22 23
  66. ^ 小池康寿 『日本人なら知っておきたい正しい家相の本』 プレジデント社 2015年 199頁
  67. ^ 井沢元彦 神霊の国日本 p.32
  68. ^ 服忌”. 神社本庁. 2020年2月1日閲覧。
  69. ^ 『神道行法の本』 学研 195頁。
  70. ^ 『神道の本』43頁。
  71. ^ 細木数子の参拝作法は「誤り」 全国の神社から苦情JCASTニュース、2007/3/ 1
  72. ^ 川勝麻里「『千と千尋の神隠し』における神々の零落 : 鏡像 ・風景の転倒・養老天命反転地をキーワードとして」『埼玉学園大学紀要. 人間学部篇』第13巻、埼玉学園大学、2013年12月、 181-192頁、2020年1月16日閲覧。





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