岡山県 教育

岡山県

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/17 02:34 UTC 版)

教育

旧・閑谷学校講堂(国宝)

江戸時代備前国を治めた岡山藩は、池田光政の代である1669年寛文9年)に全国初の藩校である花畠教場を、続いて世界最古の庶民学校である閑谷学校を開くなど、教育の面では古くから先進的な取り組みがなされてきた。特に閑谷学校は領民だけでなく他藩の藩士にも門戸開放し、さらには藩主の転封改易などの不測の事態でも学校を存続できるように学校領を設けて藩財政から独立させた。岡山藩が教育を重視していたことがうかがえる。また、幕府の薦める朱子学ではなく儒学(陽明学)を学ばせ、頼山陽ら著名人も来訪したことで知られている。江戸時代の岡山県内の寺子屋数は長野県山口県に次ぐ第3位(1,031校)で、私塾数は第1位(144か所)であった[31]

明治時代になると1870年(明治3年)に岡山藩医学館が設置され、1900年(明治33年)には第六高等学校が、1922年(大正11年)には岡山藩医学館を継承した官立岡山医科大学が開校するなど高等教育が活発に行われ、当時の就学率は全国トップクラスであった。

順正寮跡(順正女学校跡。県指定史跡

ただし、女子教育については明治の初めまで、ほとんどの地域において初等教育(いわゆる市井の寺子屋女紅場・裁縫所)以上の教育はなされなかった。上記の各学校においても中等教育以上は男子教育の場でしかなかった。そのため岡山における女子の中等教育は日本全国の他地域と同様、明治以降にキリスト教系の信徒・思想者によって、分野開拓が行われている。岡山県内において、その嚆矢となったのが1885年(明治18年)に高梁向町(現在の高梁市向町)において福西志計子が開いた順正女学校(現・岡山県立高梁高等学校)とされる[注釈 2][43]。さらに、その源流として福西の幼少期の師であり私塾の牛麓舎にて、男女の別を問わず漢学を授けた山田方谷の存在を指摘する声もある[43]。順正女学校の設立を皮切りに、翌1886年(明治19年)には岡山市内で山陽英和女学校(現在の山陽学園大学)および岡山女学校(現在のノートルダム清心女子大学)などの女学校が開校した。

大学

現在、岡山県には3つの国公立大学、15の私立大学が設置されている。2007年(平成19年)現在、人口10万人当たりの大学短大設置数は全国第6位となっている[31]

2006年(平成18年)度からは、岡山県と岡山経済同友会を中心に、県内15の4年制大学が参加する大学コンソーシアム岡山が開始され、産・学・官の連携による地域社会の活性化や時代に合った高等教育の創造を目指している。

岡山大学
川崎医科大学

国立

公立

私立

短期大学

公立

私立

通信制大学

私立

高等専門学校

国立

専修学校
特別支援学校
高等学校
中学校
小学校

島嶼を多く抱える岡山県では公営の通学船(スクールボート)の運航が見られる。

幼稚園
越境通学
  • 広島県福山市立野々浜小学校:笠岡市茂平地区。「福山市と笠岡市との間の事務の委託に関する規約」により居住する児童の小学校教育事務の管理及び執行を広島県福山市に委託している。該当児童は徒歩で県境を越え福山市立野々浜小学校に通学する。茂平地区、野々浜小学校はいずれも県境に接し距離が近く住宅地域は県境を越え連続している。通学距離の短縮および児童の安全管理上の措置である。[44]
  • 兵庫県立佐用高等学校:美作市大原地区及び東粟倉地区、英田郡西粟倉村を学区に含む[45]。2006年(平成18年)に岡山県立大原高等学校が閉校して以降、最寄り高校までの通学時間が増大しており生徒の負担軽減のため2019年度より岡山県側の生徒の受け入れが始まった。
  • 鳥取県立智頭農林高等学校:津山市阿波及び加茂町、美作市大原地区及び東粟倉地区、英田郡西粟倉村[46]
  • 鳥取県立日野高等学校:真庭郡新庄村、新見市千屋花見、千屋井原、千屋実及び千屋[46]
  • 広島県立東城高等学校:新見市哲西町及び哲多町・高梁市備中町に居住し、当校以外の公立高等学校に出願しない旨の中学校長意見書を所持する者の受験を認めている。

注釈

  1. ^ 真庭市蒜山上長田(標高430m)では、1981年(昭和56年)2月28日に西日本(近畿以西)の平地における最低気温(−20.2℃)を記録したほか、2011年(平成23年)1月には最深積雪137cmを記録した。
  2. ^ 女学校の前身となる裁縫所1881年(明治14年)設立。高梁高校では裁縫所の設立年を創立年としている。なお同地に所在する吉備国際大学を筆頭とする学校法人順正学園は福西死後の新設校であるため、直接の関連は無い。(設立時における間接的な関連はあるため、順正学園は福西を準学祖としている。詳細は当該校の項目を参照)
  3. ^ 古くは、1928年(昭和3年)のアムステルダムオリンピック人見絹枝1964年(昭和39年)の東京オリンピック木原美知子などがいる。
  4. ^ 学校側は学校創立1年目と主張しているが、ここには疑問を持つ人もいる。また、大会上は創部2年目の扱いをしている。詳しくは岡山県の高校野球#歴史第83回選抜高等学校野球大会を参照のこと。
  5. ^ 甲子園大会で岡山県勢が3回勝利したのは2011年(第93回大会)以来で、令和初。

出典

  1. ^ 近代の児島湾干拓計画を策定したムルデル 農林水産省、2023年1月9日
  2. ^ 蒜山酪農農業協同組合 2023年1月9日閲覧
  3. ^ 岡山県産業振興財団 | Facebook https://ja-jp.facebook.com/okayamazaidan/
  4. ^ 水島臨海工業地帯の概要”. 2022年9月22日閲覧。
  5. ^ 国土交通省. 港湾取扱貨物量などの現状<平成27年>. 
  6. ^ 金子憲治 (2018年11月12日). “瀬戸内市の塩田跡地に235MWのメガソーラー完成、稼働済みで日本最大”. クリーンテックラボ. 日経BP総研. 2021年6月15日閲覧。
  7. ^ 金子憲治 (2020年7月21日). “日本最大・260MWのメガソーラー、美作市に稼働”. クリーンテックラボ. 日経BP総研. 2021年6月15日閲覧。
  8. ^ 「おかやま新エネルギービジョン」の策定について”. 岡山県. 2020年8月20日閲覧。
  9. ^ 岡山ってどんなところ?”. 大好き!晴れの国おかやま. 2022年9月22日閲覧。
  10. ^ a b 「晴れの国おかやま」が引き続き統計的に裏付けられました”. 岡山県総合政策局統計分析課 (2011年5月26日). 2016年1月30日閲覧。
  11. ^ 上長田(岡山県) 観測史上1〜10位の値(年間を通じての値) - 気象庁
  12. ^ 吉備中央町:市町村紹介:工業団地紹介:やっぱり岡山!企業立地ガイド:岡山県産業労働部企業立地推進課を玉野市・倉敷市といった吉備高原を含まない自治体と比較。
  13. ^ 「昔から吉備高原と呼ばれている一角にあり、気候はやや内陸性で県南部と比較して冷涼な地域です。」- 吉備中央町ホームページ
  14. ^ 岡山県兵庫県境界変更並福岡県大分県境界変更法律(明治29年3月30日法律第56号). (明治29年3月30日). 
  15. ^ 昭和41年10月28日 自治省告示第158号. (昭和41年10月28日). 
  16. ^ 中野正雄、吉備鶴雄、佐々木幸人、伊香厚雄 (1963/12). “広島県備後臨海工業地帯を中心として”. 瀬戸内臨海工業の発展が農業経営におよぼす影響に関する研究(第2報) 10: 109. 
  17. ^ 無漏田芳信・黒原義晶・片本武志 (1994). “備後・備中地方における通勤移動圏域の構造的変容に関する研究”. 福山大学紀要 第18号: 45. 
  18. ^ 兵庫・岡山県際交流事業 https://www.pref.okayama.jp/page/731868.html
  19. ^ 姫路・岡山・鳥取城下町物語推進協議会 (HOTトライアングル) https://www.city.tottori.lg.jp/hottriangle/top.html
  20. ^ 岡山県の地震活動の特徴
  21. ^ 狩野久「吉備の国づくり」 藤井学・狩野久・竹林栄一・倉地克直・前田昌義『岡山県の歴史』山川出版社 2000年(平成12年) 10 - 11ページ
  22. ^ 下川耿史 『環境史年表 明治・大正編(1868-1926)』p338 河出書房新社 2003年11月30日刊 全国書誌番号:20522067
  23. ^ 中国新聞2020年12月21日付 「岡山県が「医療非常事態」宣言 県医師会長は「現場から悲鳴」」
  24. ^ 令和2年国勢調査 人口速報集計が総務省から公表されました - 岡山県ホームページ(統計分析課)”. www.pref.okayama.jp. 2021年9月14日閲覧。
  25. ^ a b 震災以降、移住先として急浮上した岡山県とは?(上)THE PAGE、2014年7月20日、2022年8月7日閲覧。
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  27. ^ ふるさと暮らし希望地域ランキング”. ふるさと回帰ランキング (2013年2月26日). 2020年8月20日閲覧。
  28. ^ 岡山県財政構造改革プラン(素案),財政構造改革について - 岡山県ホームページ
  29. ^ 平成30年生産農業所得統計”. 2020年4月20日閲覧。
  30. ^ 平成25年 農林水産統計より
  31. ^ a b c 県のプロフィール・統計(岡山県)
  32. ^ 岡山県林業統計
  33. ^ 岡山県農林水産部林政課(2020)令和2年次岡山県特用林産物生産流通統計
  34. ^ 陸で育った海水魚出荷へ…岡山理科大が養殖ハタを初出荷【岡山・岡山市】
  35. ^ 岡山)基準地価、上昇は50地点 昨年より倍増[リンク切れ]
  36. ^ おかやま業界地図” (PDF). 岡山県 (2020年). 2021年6月9日閲覧。
  37. ^ 分類は、『岡山企業年報』の掲載業種別。
  38. ^ 医療連携へ模索続く岡山県境 共通課題は医師不足”. 岡山の医療健康ガイド MEDICA. 2020年5月31日閲覧。
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  40. ^ 中国地方5県ドクターヘリ広域連携に係る基本協定書. 
  41. ^ (39)安心の産婦人科医療 岡山市立市民病院 平松祐司マタニティセンター長”. 岡山の医療健康ガイド MEDICA. 2021年4月29日閲覧。
  42. ^ 広島県 (2013.03). “福山・府中二次保健医療圏”. 広島県保健医療計画 地域計画: 27. 
  43. ^ a b 『福西志計子と順正女学校 -山田方谷・留岡幸助・伊吹岩五郎との交友-』倉田和四生著、吉備人出版刊。2006年(平成18年)。ISBN 4-86069-143-1
  44. ^ 笠岡市 (昭和57年4月1日). 福山市と笠岡市との間の事務の委託に関する規約. 
  45. ^ 兵庫県立高等学校の通学区域に関する規則取扱規程 第5条
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  47. ^ 無漏田芳信・黒原義晶・片本武志 (1994). “備後・備中地方における通勤移動圏域の構造的変容に関する研究”. 福山大学工学部紀要 第18号: 46. 
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  55. ^ 沿革 - 岡山大学教育学部、2021年(令和3年)2月26日閲覧。
  56. ^ 岡山県名誉県民顕彰式を開催 - 岡山県、2021年(令和3年)2月26日閲覧。






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