鳥
「鳥」とは、鳥類に属する生物全般を指す一般的な呼び名である。全身が羽毛で覆われ、翼を持ち、多くの種が飛翔能力を持つ。卵生で恒温。哺乳類よりは爬虫類に近く、分類法によっては爬虫類の一種と位置づけられる。嘴(くちばし)を持ち、歯を持たない。
鳥(鳥類)の種類は、おおよそ1万種にも上るといわれている。体の大きさは種によって顕著に異なり、体長数センチメートルの種もあれば、体高や翼開長が2メートルを超える種もある。愛玩動物として飼育される種もあれば、食用の家畜として飼育される種や、狩猟や通信の手段として訓練される種もある。神使あるいは神そのもの(神鳥)として信仰の対象になる場合もある。地域や種類によっては駆除の対象となることもある。鳥の種類によっては、特徴的な鳴き声を持っていたり、特徴的な外見をしていたりする。オウムは他の生物を鳴き声を巧みに真似ることができ、人の話す言葉すら音声的に再現できる。ハチドリは花の蜜を得る際にホバリング(停止飛行)を行う。渡り鳥の多くは数千キロメートルにも及ぶ長距離を飛行して大陸を渡る。
ペンギン、ダチョウ、キーウィなどの種は飛行能力を持たない。いわゆる飛べない鳥である。その代わり、ペンギンは翼を駆使して海中を自在に泳ぐ能力がある。ダチョウは時速数十キロメートルもの速さで1時間以上も走り続けることができる。キーウィは夜行性で嗅覚が発達していてかわいい。
ニワトリ(鶏)は、翼を羽ばたかせて大ジャンプすることはできるが、長距離を飛翔して移動するほどの飛行能力は持たない。ニワトリは人類にとって主要な畜産動物のひとつであり、その意味では人類に最も関わりの深い鳥のひとつである。日本語では「鶏」と書いて「とり」と読む場合も多々ある。
「鳥」に関連する用語の解説
鳥インフルエンザとは
「鳥インフルエンザ」とは、鳥類に対して感染性を示すA型インフルエンザウイルス感染症の通称または総称である。病原性の高い鳥インフルエンザウイルスに感染した鳥は、高い確率で衰弱、死亡にまで至る。ごく稀ではあるがヒトに感染する場合もある。日本では鳥インフルエンザが「家畜伝染病予防法」の対象に指定されており、家禽(ニワトリ、アヒル、ウズラ)に感染が確認された場合は、感染拡大阻止のため「全数殺処分」による対処が義務付けられている。
多くの場合、鳥インフルエンザは野鳥などからもたらされる。A型インフルエンザウイルスへの感染例が確認された養鶏場は、まだ無事な鶏もろとも、数百羽~数千羽を殺処分しなければならなくなる。
鳥もも肉とは
「鳥もも肉」とは、一般的にはニワトリの、腿の部位の肉である。鳥もも肉は脂肪分が多く、食感もよく、ジューシーな食べごたえである。ボリュームもある。調理法も多種多彩である。鶏肉の部位の中でも人気が高い。脂肪分の摂取を極力避けようとするダイエッターやボディビルダーには、低脂肪かつ高タンパクを特徴とする鳥むね肉の人気が高い。
鳥刺しとは
「鳥刺し」とは、生の鳥肉(鶏肉)を刺身にした料理のことである。新鮮な鶏の生肉は美味い。ただし生の鶏肉には細菌や寄生虫が付着している可能性があり、食中毒につながる危険は少なくない。その対策として表面を炙り「たたき」にした料理も「鳥刺し」と呼ばれる。ちょう〔てふ〕
ちょう【丁】
ちょう〔チヤウ〕【丁】
読み方:ちょう
[名]
1 2で割り切れる数。偶数。特に、さいころの目の偶数。「—か半か」⇔半。
3 「町(ちょう)2」に同じ。「頂上まで五—」
4 ⇒てい(丁)3
5 ちょうど。まさに。
1 和装本の裏表2ページをひとまとめにして、それを数えるのに用いる。枚。葉。「五—の草子」
3 料理・飲食物の一人前を単位として数えるのに用いる。「天丼(てんどん)一—」
4 相撲・将棋などで、勝負の取組・手合わせなどの回数を数えるのに用いる。番。
5 ⇒挺(ちょう)
ちょう【兆】
ちょう〔テウ〕【兆】
ちょう【×凋】
ちょう【嘲】
読み方:ちょう
ちょう【▽塚】
ちょう【×寵】
ちょう【×寵】
ちょう【×帖】
読み方:ちょう
⇒じょう
ちょう【帳】
読み方:ちょう
[音]チョウ(チャウ)(呉)(漢) [訓]とばり
1 長い垂れ幕。とばり。「帳台/開帳・几帳・錦帳・紙帳・緞帳(どんちょう)」
2 記入用の冊子。「帳簿・帳面/記帳・台帳・通帳・手帳・大福帳」
[名のり]はる
ちょう〔チヤウ〕【帳】
ちょう【庁〔廳〕】
ちょう〔チヤウ〕【庁】
ちょう【弔】
ちょう【張】
ちょう〔チヤウ〕【張】
読み方:ちょう
[名]二十八宿の一。南方の第五宿。海蛇座の一部にあたる。ちりこぼし。張宿。
「弓は一人して二—三—、矢は四腰五腰も用意せよ」〈盛衰記・二二〉
ちょう【彫】
ちょう【徴】
読み方:ちょう
[常用漢字] [音]チョウ(呉)(漢) チ(呉)(漢) [訓]めす しるし
〈チョウ〉
ちょう【徴】
ちょう【懲】
ちょう【▽打】
読み方:ちょう
⇒だ
ちょう【挑】
ちょう【×挺】
読み方:ちょう
⇒てい
ちょう〔チヤウ〕【×挺/×梃/丁】
ちょう【×暢】
ちょう【朝】
読み方:ちょう
[音]チョウ(テウ)(漢) [訓]あさ あした
〈チョウ〉
1 あさ。「朝食・朝夕・朝礼/一朝・元朝(がんちょう)・今朝(こんちょう)・早朝・明朝(みょうちょう)」
2 天子が政治をとる所。「朝議・朝臣(ちょうしん)・朝廷・朝野/王朝・参朝・天朝」
4 天子の統治する期間。「明朝(みんちょう)・歴朝・奈良朝」
5 日本の朝廷、また、日本のこと。「帰朝・入朝・本朝・来朝」
6 「朝鮮」「朝鮮民主主義人民共和国」の略。「日朝・米朝」
[名のり]かた・さ・つと・とき・とも・のり・はじめ
ちょう〔テウ〕【朝】
ちょう【×漲】
ちょう【潮】
ちょう【澄】
ちょう【×牒】
ちょう〔テフ〕【×牒】
ちょう【町】
ちょう〔チヤウ〕【町】
読み方:ちょう
1 地方公共団体の一。市と村の中間に位する。まち。「町」を「ちょう」と読む府県と、「まち」と読む都県とがある。
3 土地の面積の単位。1町は10段で、3000歩(ぶ)をいい、約99.18アール。
「そんなことぁ—で言ひなせい」〈洒・糠味噌汁〉
ちょう〔チヤウ〕【×疔】
ちょう【眺】
ちょう【聴〔聽〕】
ちょう【×肇】
ちょう【×脹】
読み方:ちょう
[人名用漢字] [音]チョウ(チャウ)(呉)(漢) [訓]ふくれる ふくらむ はれる
腹が張る。ふくれる。「脹満/鼓脹・腫脹(しゅちょう)・膨脹」
ちょう【腸】
ちょう〔チヤウ〕【腸】
ちょう【×蝶】
ちょう〔テフ〕【×蝶】
読み方:ちょう
1 鱗翅(りんし)目のうち、アゲハチョウ上科・セセリチョウ上科に属する昆虫の総称。色彩に富む二対の翅(はね)をもち、らせん状の口吻(こうふん)を伸ばして花蜜や樹液を吸う。触角は棍棒(こんぼう)状または鉤(かぎ)状。日中に活動し、止まるときは翅を立てる。繭(まゆ)はふつう作らない。日本には約260種が知られる。胡蝶。ちょうちょう。ちょうちょ。《季 春》「—の飛ぶばかり野中の日影かな/芭蕉」
ちょう【調】
読み方:ちょう
[音]チョウ(テウ)(漢) [訓]しらべる ととのう ととのえる みつぎ
1 全体にわたってつりあいがとれる。つりあいをとる。「調停・調和/協調」
2 手を加えてほどよくする。ととのえる。「調教・調整・調製・調達・調髪・調味・調理・調律/新調」
3 物事の進行するぐあい。「調子/快調・好調・順調・単調・同調・不調・歩調」
4 音楽や文章などの趣。「調子/哀調・音調・格調・基調・強調・曲調・口調(くちょう)・低調・乱調・論調」
[名のり]しげ・つき・なり
ちょう〔テウ〕【調】
読み方:ちょう
1 律令制下の基本的物納租税の一。大化の改新では田の面積および戸単位に、大宝律令では人頭税として課せられ、諸国の産物(絹・綿・海産物など)を納めたもの。庸(よう)とともに都に運ばれ国家の財源となった。みつぎ。→租(そ) →庸
2 西洋音楽で、楽曲の旋律や和声を秩序づけている、ある主音・主和音を中心に組み立てられた音の体系。用いられる音階が長音階か短音階かによって長調か短調に分けられ、おのおのの調はその主音の名をとってハ長調・イ短調のようによばれる。
3 日本の雅楽で、主音の音高を表す。黄鐘(おうしき)調・壱越(いちこつ)調など。
ちょう【×諜】
ちょう【貼】
ちょう〔テフ〕【貼】
ちょう【超】
ちょう〔テウ〕【超】
ちょう〔テウ〕【趙】
読み方:ちょう
中国、戦国時代の国。戦国七雄の一。晋の大夫の趙氏が韓氏・魏氏とともに晋を滅ぼし、その領土を3分して独立。前403年、諸侯に列せられ、現在の山西省北部、河北省東部を領有。都は晋陽(太原)、のち邯鄲(かんたん)。武霊王の時に最も栄えたが、前222年、秦に滅ぼされた。
ちょう【跳】
ちょう【重】
読み方:ちょう
⇒じゅう
ちょう【釣】
読み方:ちょう
ちょう【長】
読み方:ちょう
[音]チョウ(チャウ)(漢) [訓]ながい たける おさ つかさ
〈チョウ〉
1 寸法や距離がながい。ながさ。「長身・長蛇・長大・長途・長方形/狭長・身長・深長・全長・波長」
3 ながくのびる。大きくなる。「助長・消長・伸長・生長・成長・増長」
7 いちばん上に位置するもの。かしら。「長官/家長・会長・議長・級長・校長・市長・社長・酋長(しゅうちょう)・署長・船長・隊長・番長・部長」
ちょう〔チヤウ〕【長】
ちょう【頂】
読み方:ちょう
[名のり]かみ
ちょう【魚=蝨】
ちょう【鳥】
牒
町
調
チョウ
チョウ
チョウ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/02 10:14 UTC 版)
チョウ | |||||||||||||||||||||||||||
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ミヤマカラスアゲハ Papilio maackii | |||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Rhopalocera Duméril[1], 1823 | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
Butterfly | |||||||||||||||||||||||||||
上科 | |||||||||||||||||||||||||||
チョウ(蝶)は、昆虫綱チョウ目(鱗翅目、ガ目とも)のうち、Rhopalocera に分類される生物の総称である。
チョウ目の21上科のうち、アゲハチョウ上科、セセリチョウ上科、シャクガモドキ上科の3上科が、形態上のいくつかの特徴を共有し、Rhopalocera に分類される、すなわちチョウである。ただし、今世紀になってチョウ目についても遺伝子の分子系統解析が行われるようになると、セセリチョウ上科、シャクガモドキ上科いずれもアゲハチョウ上科に含まれ、アゲハチョウ上科が側系統群になるという結果が相次いで示された。そのためセセリチョウ科とシャクガモドキ科をも含めて全体をアゲハチョウ上科一つにまとめる分類が提唱されている[2]。
その他のチョウ目の種はガ(蛾)と呼ばれるが、チョウはチョウ目の系統の中でかなり深いところにある派生的な系統で、それに対しガは「チョウでない」としか定義できない側系統であり、チョウ目をチョウとガに分けるのは自然な分類ではない。(チョウ目#チョウとガの区別参照)しかし、一般には完全に区別して扱われる。
分布
南極大陸、大きな砂漠の中心部、万年氷床となる標高6,000メートル以上の高山帯を除く全世界の森林・草原・高山など、ほぼ全ての陸上環境に分布する[3]。広い分布域を持つものもいれば、その地域の環境に特異的に適応したものもいる。17,600種ほどが知られている[3]。
特徴
この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。(2021年9月) |
おもな特徴としては以下のようなものがあるが、ガとの明確な区別点はなく、総合的なものとして判断する。
- 外見上最も有用な特徴は、触角の形状である。成虫の触角は細長くまっすぐ伸び、先端が棍棒状にふくらむ。ただし、セセリチョウの触角は先端が再び細くとがり鉤状に後方に反り返っている。一方、ガの触角はクシ状や糸状である。日本における約2700種のチョウやガは、これで区別できる。ただし、カストニア科 (Castniidae) やマダラガ科 (Zygaenidae) の触角は棍棒状である。
- 卵 - 幼虫 - 蛹 - 成虫という完全変態をおこなう。幼虫は外見や行動によってアオムシ、イモムシ、ケムシなどと呼ばれる。
- 幼虫はほとんどが植物食で、種類によって食べる植物(食草)がほぼ決まっている。ただしシジミチョウ類には例外的なものが多い。
- 蛹は尾部だけでぶら下がる垂蛹(すいよう)と、胸に帯糸をつけて体を上向きにする帯蛹(たいよう)に大別できる。ただしセセリチョウやシジミチョウなどには例外もある。
- 成虫の4枚の翅(はね)、一般に言う羽は鱗粉や毛でおおわれる。ただしマダラチョウは部分的に鱗粉を欠く。
- 成虫の口はストロー状に細長く伸びており口吻と呼ばれる。花の蜜や樹液、果汁など水分を吸う。
- 昼行性の種類が多い。ただしガとして扱われるなかでもカストニア科 (Castniidae)、マダラガ科 (Zygaenidae)、ツバメガ科 (Uraniidae)、ヒトリガ科 (Arctiidae) の一部、スズメガ科 (Sphingidae) の一部も昼行性である。
- 棍棒状の触角を持ち昼行性のマダラガ科の一種
- 口吻を使って糖分を吸い上げるナガサキアゲハ
分類
チョウ目の中での位置
チョウ目の中でのチョウの位置づけについては、細部については諸説あるが、おおよそ次のようなものである[5][6]。チョウ目の系統の中でチョウはごく一部であるといえる。ただし、チョウ目の種の98%は二門類に、半分以上は大型鱗翅類に属し、種数で言えばほとんどのガはチョウに非常に近い。
チョウ目 |
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19世紀の分類では、鱗翅目を Diurni(昼行性)と Nocturni(夜行性)や、Rhopalocera(棍棒状の触角)と Heterocera(その他の触角)に2分する説もあった。それぞれ、前者はチョウ、後者はガを表す。
このほかに、チョウといくつかのガを同じグループとし、その他のガと2分する分類もあった。そうした分類群のうち、前者のいくつかは現在もチョウ目とチョウの間の分類群として残っているが、後者(たとえば大型鱗翅類に対する小型鱗翅類 Microlepidoptera)は側系統であり使われない。
上科と科
3上科7科が属す(科は説によりやや増減する)。ただし、セセリチョウ上科とシャクガモドキ上科は1上科1科の単型で、残りの5科はアゲハチョウ上科である。
これらの系統関係は次のとおり[7]。
チョウ |
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シャクガモドキ上科(シャクガモドキ科)は最も基底的で、いくらかガの特徴を残す。セセリチョウ上科(セセリチョウ科)はそれに次ぐ。アゲハチョウ上科は典型的なチョウであるが、生活や外見はグループにより差異が大きい。
シャクガモドキ上科(シャクガモドキ科)は元々、シャクガに近縁と思われていたが、1986年 Malcolm J. Scoble によりアゲハチョウ上科に近縁であることが指摘され、チョウに含められた。
シャクガモドキ上科 Hedyloidea
1科1属のみ。
セセリチョウ上科 Hesperioidea
1科のみ。
アゲハチョウ上科 Papilionoidea
- アゲハチョウ科 Papilionidae
- 大型のチョウで、成虫は種類によって翅の模様や突起が異なる。幼虫は刺激を与えると頭部と胸部の境界部から1対の色鮮やかな臭角(体液の圧力で反転突出し、異臭を放つ)を突き出す。
- ナミアゲハ、キアゲハ、カラスアゲハ、クロアゲハ、ジャコウアゲハ、ナガサキアゲハ、アオスジアゲハ、トリバネアゲハ類、ホソオチョウ、ギフチョウ、ウスバシロチョウなど。
- シロチョウ科 Pieridae
- 中型のチョウ。成虫の羽は突起が少なく、白や黄色が多い。幼虫は緑色で細長く、俗にアオムシとよばれる。
- モンシロチョウ、スジグロシロチョウ、キチョウ、モンキチョウ、クモマツマキチョウ、ツマベニチョウなど。
- シジミタテハ科 Riodinidae
- シジミチョウ科に似るが、オスの前脚がタテハチョウ科のように特殊化している。オーストラリアと南極以外の全大陸で産するが日本にはいない。
- シジミチョウ科 Lycaenidae
- 小型のチョウ。成虫の翅の模様は、表と裏で非常に異なる。幼虫の食性は多様で、アリと共生するクロシジミ、アリの卵や幼虫を食べるゴマシジミ、アブラムシを食べるゴイシシジミなどもいる。
- ベニシジミ、ヤマトシジミ、ルリシジミ、ムラサキシジミ、ムラサキツバメ、ミドリシジミ、ウラナミシジミなど。
- タテハチョウ科 Nymphalidae
- 中型から大型。成虫の翅は角ばっていて、黄・赤・青など多彩。また、成虫の前脚が退化して短くなっている。そのため一見したところでは、昆虫には6本あるはずの脚が4本しかないように見える。幼虫は突起や毛、角をもつ。
- キタテハ、アカタテハ、ルリタテハ、オオムラサキ、コムラサキ、ツマグロヒョウモン、ミスジチョウ、コノハチョウなど。
格下げされた科
以下のチョウは長く「科」として扱われていたが、近年ではタテハチョウ科の亜科として扱うことが多い。
- テングチョウ亜科 Libytheinae
- 中型のチョウで、日本にはテングチョウ1種のみが分布している。食草はエノキ。和名は成虫の頭の先端が、天狗の鼻のように突き出ていることに由来する。
- マダラチョウ亜科 Danainae
- 中型から大型。成虫の翅は体に対して大きく、丸みがある。翅は部分的に鱗粉を欠く。飛ぶ力が高く、遠距離を移動する種類もいる。
- オオゴマダラ、アサギマダラ、カバマダラ、オオカバマダラなど。
- ジャノメチョウ亜科 Satyrinae
- 小型から中型。成虫の翅は眼状紋があり、黄や褐色のものが多い。また、森林などの日陰で活動するものが多い。幼虫は細長い形をしていて、おもにイネ科植物を食草とする。
- ヒメウラナミジャノメ、キマダラヒカゲ、タカネヒカゲなど。
- モルフォチョウ亜科 Morphinae
- 大型のチョウで、中央アメリカから南アメリカに分布する。翅は鱗粉の構造色で金属光沢を放つ。近年はジャノメチョウ亜科モルフォチョウ族 Morphini とすることもある。
人間との関わり
チョウは、美しくて無害な生き物との感覚があり、その他の虫一般と区別されかねないくらいの評価がある。画題や意匠としてもチョウはよく使われる。花札の図柄に「牡丹に蝶」がある。
昆虫採集との関わり
この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。(2021年9月) |
チョウは昆虫採集、およびそのコレクションとしてもっとも愛されてきた昆虫である。そのためチョウに関しては世界中どの地域においても詳しい情報があるといっても過言ではない。たとえば日本に分布しないはずの物で台風などに運ばれて南方から運ばれて発見されるものを迷蝶というが、それが広い分布域を持つものであっても、その斑紋などから起源となった地域が特定出来る例がある。
それ以外にも、鱗粉転写という方法でチョウの翅の模様を写し取り、これを工芸作品として販売する例も知られている。現在も熱帯地方ではチョウの標本やそれに基づく工芸品は重要な土産物である。
しかし、これらの採集圧によって絶滅の危機に瀕した種もあり、トリバネチョウ等はワシントン条約によって販売が制限されている。
伝承
世界各地にチョウが人の死や霊に関連する観念が見られる。キリスト教ではチョウは復活の象徴とされ、ギリシャではチョウは魂や不死の象徴とされる[8]。ビルマ語に至っては〈チョウ〉を表す語 လိပ်ပြာ /leʲʔpjà/(レイッピャー)がそのまま〈魂〉という意味で用いられる場合もある[9]。
日本でも栃木県宇都宮市で、盆時期の黒いチョウには仏が乗っているといい、千葉県でも夜のチョウを仏の使いという[10]。
チョウを死霊の化身とみなす地方もあり、立山の追分地蔵堂で「生霊の市」といって、毎年7月15日の夜に多数のチョウが飛ぶという[8]。秋田県山本郡ではチョウの柄の服を好む者は短命だという[10]。高知県の伝説では、夜ふけの道で無数の白い蝶が雪のように舞い、息が詰まるほどに人にまとわりつき、これに遭うと病気を患って死ぬといわれる怪異があり、同県香美郡富家村(現・香南市)ではこれを横死した人間の亡霊と伝えている[11]。「春に最初に白いチョウを見ると、その年の内に家族が死ぬ」「チョウが仏壇や部屋に現れるのは死の前兆」という言い伝えもある[8]。
奥州白石では、チョウが大好きだった女性が死に、遺体から虫が湧いて無数のチョウと化したという話が伝わる。また秋田県上総川の上流で、かつて備中という侍が沼に落ちて死に、チョウに化身して沼に住み着き、現在に至るまで曇った日や月の夜に飛び上がって人を脅かすという。そのことからこの沼を備中沼、または別蝶沼ともいう[12]。
害虫
幼虫はイモムシであり草食なので、食草が栽培植物であれば害虫扱いされる。日本ではモンシロチョウがキャベツなどアブラナ科の野菜、アゲハチョウ類がミカン類、キアゲハがニンジンなどのセリ科の害虫とされている。
言葉
- 左右対称でその各端が広がっている形状を、蝶が羽を開いた姿に例えて呼称することがある。「蝶ねじ」「蝶番」「蝶ネクタイ」「蝶結び」「バタフライ」「バタフライ・ノット」など。
- 花札の絵柄の一つに「牡丹に蝶」がある。「萩に猪」「紅葉に鹿」と組み合わせると「猪鹿蝶」という役になる。
- 日本語では、ハエ、ハチ、バッタ、トンボ、セミなど多くの虫の名称が大和言葉(固有語)であるのに対し、この蝶と蛾に関しては漢語である。蝶や蛾もかつては、かはひらこ、ひひる、ひむし、といった大和言葉で呼ばれていたが、現在ではそのような名称は一般的ではない。
- 万葉集には、蝶を読んだ歌は一つもない。
- 「蝶」は中国の名であり、日本語では本来「てこな」「てんがらこ」「かはびらこ」などと言う[13]。
家紋
家紋に、「蝶紋(ちょうもん)」がある。桓武平氏の一族やそれを称する一族、末裔を称する一族などによって用いられることがあった。
平氏を称した公家のほかに、織田氏、関氏、谷氏などが用いている。蝶紋を用いた大名で知られる池田氏のものは、織田氏から下賜されたものである。
代表的な図案の「揚羽蝶(あげはちょう)」は、特にアゲハチョウを図案化したものではなく、羽をあげて休んでいる蝶の姿を描いたもので、「泊蝶(とまりちょう)」ともいう。ほかの図案に、「臥せ・浮線(ふせ・ふせん)」「真向かい」「胡蝶」があり、構成には、1つから6つの組み合わせが見られ「対い」「車」「盛り」「寄せ」などがある。
研究団体
一般に、チョウの翅は細い体に比べて著しく大きく、カラフルな色彩で人目に付きやすいため、身近な昆虫として古くから親しまれている。研究者もプロ・アマチュアを問わず数多く、大阪府立大学や京都大学など研究機関も各地にある。日本蝶類学会などの学会がある。
国蝶など
国を代表したり象徴したりする国蝶が制定されることがある。同様の目的で自治体の蝶が制定されることもある(例:埼玉県のミドリシジミ[14]、沖縄県のオオゴマダラ[15])。
ギャラリー
- ヒメアサギマダラ Parantica aglea maghaba タテハチョウ科
脚注
- ^ アンドレ・デュメリル (1774–1860) 動物学者(父) or オーギュスト・デュメリル (1812–1870) 動物学者(子)
- ^ Kawahara, A.Y. and J.W. Breinholt 2014 Phylogenomics provides strong evidence for relationships of butterflies and moths. Proceedings of the Royal Society B 281: 20140970
- ^ a b 蝶 (2006)、6頁
- ^ 蝶 (2006)、9頁
- ^ Scoble, Malcom J. (1995), The Lepidoptera: Form, Function and Diversity, Oxford University Press, ISBN 0-19854952-0
- ^ Tree of Life web project: Lepidoptera - Tree of Life Web Project
- ^ Wahlberg, Niklas; et al. (2005), “Synergistic effects of combining morphological and molecular data in resolving the phylogeny of butterflies and skippers”, Proc Biol Sci. 272: 1577–1586.
- ^ a b c 不二龍彦『迷信・俗信大百科』学習研究社、1996年、44-45頁。ISBN 978-4-05-400630-0。
- ^ 大野, 徹『ビルマ(ミャンマー)語辞典』大学書林、2000年、660頁。ISBN 4-475-00145-5。
- ^ a b 鈴木棠三『日本俗信辞典 動・植物編』角川書店、1982年、370頁。ISBN 978-4-04-031100-5。
- ^ 桂井和雄「土佐の山村の「妖物と怪異」」『旅と伝説』15巻6号(通巻174号)、三元社、1942年6月、29頁、NCID AN00139777、2014年11月28日閲覧。
- ^ 山田野理夫『東北怪談の旅』自由国民社、1974年、35-52頁。 NCID BA42139725。
- ^ 『これは重宝漢字に強くなる本』光文書院、昭和54年6月15日発行622頁
- ^ 埼玉県. “県のシンボル(鳥・木・花・蝶・魚)”. 埼玉県. 2023年7月8日閲覧。
- ^ “日本最大のチョウが沖縄のシンボルに 県蝶制定は全国2例目 | 沖縄タイムス+プラス ニュース | 沖縄タイムス+プラス”. web.archive.org (2020年4月4日). 2023年7月8日閲覧。
参考文献
- 猪又敏男(編・解説)、松本克臣(写真)『蝶』山と溪谷社〈新装版山溪フィールドブックス〉、2006年6月。ISBN 4-635-06062-4。
関連項目
外部リンク
チョウ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 18:44 UTC 版)
「クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ〜拉麺大乱〜」の記事における「チョウ」の解説
氷屋を営む老人男性。ドン・パンパンに秘孔を突かれ、カニ歩きしか出来なくなってしまう。事件解決後は元に戻り、アイヤータウンを去るランを見送った。
※この「チョウ」の解説は、「クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ〜拉麺大乱〜」の解説の一部です。
「チョウ」を含む「クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ〜拉麺大乱〜」の記事については、「クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ〜拉麺大乱〜」の概要を参照ください。
伄
伄 |
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屌
屌 |
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庱
旐
朓
瀓
瀓 |
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琱
瑒
祧
耴
萇
蛁
蛁 |
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鼚
「チョウ」の例文・使い方・用例・文例
- ちょうど毛虫がチョウになるように彼女は美しい女性になった
- チョウを追いかけている子供たち
- この種のチョウはわが国に広く分布している
- 花畑ではチョウが飛び交っていた
- きれいなチョウが花から花へとひらひら飛んでいった
- ガチョウがガアガア鳴いた
- 自分のガチョウは皆白鳥だと思っている;自分に関することは何でもよく言う
- チョウ,ハチ,ハエ,アリは昆虫です
- 3種類のチョウ
- チョウが彼女の手のひらにとまった
- 雌のガチョウによいソースは雄のガチョウにもよい;一方に当てはまることは他方にも当てはまる
- 彼女はチョウが大好きだ
- いろいろなチョウの収集
- チョウには羽が4枚ある
- タイヨウチョウ科の鳥は美しい羽毛を持っています。
- ガチョウのひなを育てる
- コウウチョウはほかの鳥の巣に卵を産む。
- サイチョウはアジアとアフリカの熱帯地方にすんでいる。
- チョウゲンボウが急降下してネズミを捕まえた。
- 今しがた庭にショウジョウコウカンチョウがいた。
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