度牒とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 文化 > 文芸 > 文書 > 度牒の意味・解説 

ど‐ちょう〔‐テフ〕【度×牒】

読み方:どちょう

律令制で、僧尼になることを許可した公文書受戒年月日記入され官印がある。度縁告牒公験(くげん)。→戒牒(かいちょう)


度牒

読み方:ドチョウ(dochou)

出家得度の証として政府交付する証明書

別名 度縁


どちょう 【度牒】

仏教僧尼得度証明する文書度縁ともいった。→ 得度

度牒

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/28 18:39 UTC 版)

度牒(どちょう)は、国家公認の得度に際して、国家機関によって新たに得度した僧尼に交付される身分証のことである。出家得度の証明書。公験(くげん)、告牒(こくちょう)、度縁(どえん)ともいう。

中国

中国仏教協会発行の現代度牒

制度の始まりは、中国北魏時代である。中国では僧人に対して徭役免除の特権が付与されたため、徭役逃れのための出家者を見るようになった。それで、国家権力として、出家や得度に定数を決定するなどの施策によって、その制限・規制を行なう必要が出てきた(年分度者)。よって、国家として公認した僧人を僧籍に編成することによって、その規制を強化し、同時に公許の僧人であることの証明書としての度牒を発給したのである。その発行は、代では祠部が行なったため、祠部牒と呼ばれた。しかし、安史の乱を境に、社会が激変したことによって、この制度も有名無実化への道をたどる。代には、得度した者の名を記していない「空名度牒」なるものが大量に出売されるようになった。よって、出家修道者ではなく、全くの在俗者であったとしても、この度牒を買うことによって、僧人としての権益を享受できることとなった(売牒)。度牒出売の目的は、その成立当初から財政難に困窮し続けた宋朝の財政政策の一翼を担うことであり、実際に塩の専売制などと共に、国家の重要な財源の一つとなったのである。

日本

日本では、奈良朝律令制度と一緒に齎らされた。大宝律令に規定が存在したが、実施はこれより少し遅く『続日本紀』によれば養老4年(720年)に最初の交付が行われたと記されている。日本では「得度の縁由」を記した文書という意味で「度縁」と呼ばれるのが一般的であった。発行は太政官が行い、治部省玄蕃寮の担当者、僧綱(そうごう)等の僧官が署名することで効力を持った。得度者の没後や、還俗の際には廃棄された。最初、授戒の際には度牒を廃棄して替わりに戒牒を発行する決まりであった。

813年弘仁4年)、「度縁戒牒の制」が改正されて以後、度縁の末尾に受戒年月日を注記し、戒牒として機能させることとなった。また度牒の廃棄規定も廃止されて民部省の捺印に変えられたため、以後の実物もわずかながら残されている。園城寺に残された円珍の度牒は現在国宝である。

朝廷と無関係に成立した鎌倉新仏教真言律宗は、太政官に替わって宗派の名において独自の度牒を発行するようになった。江戸幕府は各宗派の独自発行を認めたが、替わりに発行元を本山に限定する事で統制を行った。明治維新後はこうした規定は廃止され、各宗派それぞれの規定に基づいて(大抵は得度時に)度牒を交付する事になっている。

関連項目





度牒と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「度牒」の関連用語

1
告牒 デジタル大辞泉
100% |||||

2
度縁 デジタル大辞泉
100% |||||

3
度僧 デジタル大辞泉
100% |||||

4
戒牒 デジタル大辞泉
100% |||||

5
デジタル大辞泉
100% |||||


7
出家得度 デジタル大辞泉
74% |||||



10
官僧 デジタル大辞泉
50% |||||

度牒のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



度牒のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
中経出版中経出版
Copyright (C) 2025 Chukei Publishing Company. All Rights Reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの度牒 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS