蚊帳とは? わかりやすく解説

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か‐ちょう〔‐チヤウ〕【蚊帳】

読み方:かちょう

「かや(蚊帳)」に同じ。

「蚊帳」に似た言葉

か‐や【蚊帳/蚊屋】

読み方:かや

夏の夜害虫を防ぐため、四隅をつって寝床を覆う道具麻・木綿などで粗く織って作るかちょう。《 夏》「—つるや晦日(みそか)の宵の更けにけり/万太郎


ぶん‐ちょう〔‐チヤウ〕【蚊帳】

読み方:ぶんちょう

⇒かや(蚊帳)


蚊帳

読み方:カヤkaya

を防ぐために吊り下げて寝床をおおうもの


蚊帳

読み方:カヤkaya), カチョウ(kachou)

などを防ぐため寝室の上につるす夜具


かや 【蚊帳】

日本で、を防ぐために寝床を覆う麻や木綿製の四角に吊る寝具のことだが、もともとは帳を張って蚊屋したもの漢語では蚊帳。『日本書紀』応神天皇のとき中国から蚊屋衣縫という技術者が来たとある。俗信生まれ一日作るものとして主婦大勢協力して作り完成する酒盛りをした。天井張り渡した棹にさげ、昼は一方寄せておくが、吊る日と納める日は吉日選び葬式のときは三方蚊帳といって一方はずした魔除ともされのとき入ると安全だとか、産室の窓に蚊帳をかけるとよいなどとされ、葬式を蚊帳中に安置する所もあった。

蚊帳

作者千葉

収載図書愛炎の海に
出版社蒼洋社
刊行年月1999.7


蚊帳

作者バリー・ユアグロー

収載図書憑かれた旅人
出版社新潮社
刊行年月2004.3


蚊帳

収載図書馬鹿の鏡
出版社一声
刊行年月2006.8
シリーズ名昔話に学ぶ「生きる知恵


蚊帳

作者国枝史郎

収載図書国枝史郎伝奇短篇小説集成 第2巻 昭和三年十二
出版社作品社
刊行年月2006.12


蚊帳

読み方:カヤkaya), カチョウ(kachou)

カを防ぐための寝具

季節

分類 人事


蚊帳

読み方:カヤkaya

作者 織田作之助

ジャンル 小説


蚊帳

読み方:カヤkaya

作者 田中冬二

初出 大正11年

ジャンル


蚊帳

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/23 01:36 UTC 版)

蚊帳を張った寝室(奥側)
枠から吊るされた蚊帳

蚊帳(かや、かちょう[1]、ぶんちょう[1]、蚊屋)は、などの害虫から人などを守るための

構造と素材

1 mm程度の網目となっており、虫は通さず風は通す。などの繊維、のちに化学繊維でも作られている。

歴史

蚊帳の使用は古代にまで遡り、古代エジプトクレオパトラが愛用していたという[2]18世紀にはスエズ運河の建設など、熱帯地方での活動に蚊帳が使用された記録がある。

浮世絵に描かれた蚊帳(鈴木春信作)

日本には中国から伝来した。当初は貴族などが用いていたが、江戸時代には庶民にまで普及した。 江戸時代には、和紙製の蚊帳である紙張(しちょう)も普及した。紙張は冬の防寒具としても用いられた[3]

江戸西川家は、美声の男性達を雇い入れ、お洒落な半纏を纏って町中を颯爽と売り歩く2人一組の棒手売に仕立て上げ、「蚊帳ぁ、萌葱の蚊帳ぁ」という独特の掛け声でも注目を集めていった(文政年間に岳亭五岳〈岳亭春信〉が著した「蚊帳売り図」では、縦長の大きな木箱を棒の前後に吊り下げた1人と、脇を歩く1人がおり、担いでいるほうは太く大きな縦縞の入った半纏を着て、足を剥き出しにした棒手売スタイル、もう1人は、大きな風呂敷包みを背負った行商スタイルで歩いており、2人とも三度笠を被っている)。この棒手売は、江戸に初夏を知らせる風物詩となっていた。

1899年8月、山陽鉄道は、夏期夜行列車の1・2等客に蚊帳を貸した[4]

なお、日本における蚊帳の色彩と言えば、萌葱色布の縁取りというのが定番になっているが、このデザインを考案したのは、江戸時代初期の西川家当主2代目 西川甚五郎で、八幡蚊帳(近江蚊帳)として売り出すや否や爆発的ヒット商品となり、定着していったものである。それ以前のものは、網の色がそのものの色である明るい茶色で(■右上の画像を参照)、爽やかさや華やかさを感じられる萌葱色の蚊帳とは全く異なる地味で暑そうなものであった。

その後、昭和後期からは、アルミサッシ網戸が急速に普及したことにより、日本における蚊帳の需要は減少していった。

現在でも、蚊帳は全世界で普遍的に使用され、野外や熱帯地方で活動する場合には、重要な装備品であり、野外用のテントには「モスキート・ネット」が付属している。また軍需品としてアメリカ軍を始め、各国軍に採用されており、旧日本軍も「軍用蚊帳」を装備していた。

現在、蚊帳はが媒介するマラリアデング熱黄熱病、および各種の脳炎に対する、最も安価で効果的な予防・防護策として注目されている。国際連合および世界保健機関(WHO)は、普及を積極的に推進しており、アフリカ諸国や東南アジアで、蚊帳を約2.50米ドルから3.50米ドルで配布している。日本も2003年平成15年)より、ODAユニセフを通じた支援を実施、3年間で200万張以上の蚊帳を世界各国に配布している。ナイジェリアでは、テレビドラマコマーシャルを通じたPR活動が行われた。

海外支援用の蚊帳については、ピレスロイド系殺虫剤を練り込んだ蚊帳をWHOが採用している。これは、蚊が触れるだけで殺虫効果があり、5年間ほど効果が持続する[5][6]

2000年世界保健機関(WHO)から、蚊帳の増産とアフリカへの無償技術移転を依頼された住友化学は、タンザニアに工場を2箇所建設し、ピレスロイドを塗りこんだ蚊帳を、広く供給している[7]。住友化学が防虫剤を織り込んだ蚊帳を開発したのは1994年[8]

使用

就寝時に用いることが多く、簡単に取り付け、取り外しができるよう長押(なげし)のくぼみが鉤(かぎ、フック)をかけるのに利用された。また、長押に鉤を打ち付けておき、それに輪型の釣具を掛ける方式もある。その長押は、今日の日本家屋からは消滅しつつある。

生活環境の変化、すなわち殺虫剤や下水の普及による蚊の減少および気密性の高いアルミサッシの普及に伴う網戸の採用、さらに空調設備の普及により、昭和の後期にはほとんど使われなくなった。しかし蚊帳は電気も薬品も使わない防蚊手段であり、エコロジーの観点や薬品アレルギー対策として見直され始めている。

バリエーション

折りたたみ式の蠅帳

現代では傘を伏せたような形状の小型で折り畳みの式のワンタッチ蚊帳も販売されているほか、乳幼児用のベビー蚊帳も販売されている。

歩きながら使える形式、また帽子にとりつけて顔のみを覆う形式の蚊帳もある。

ワンタッチ蚊帳とほぼ同じ形状のものであるが、害虫から食品を一時的に保護するためのものは蝿帳という。

言葉

  • 「大事な情報などを知らされない」「仲間はずれ」といった意味合いで、「蚊帳の外」(かやのそと)という慣用句がある。
  • 小林一茶俳句に、「新しき 蚊屋に寝るなり 江戸の馬」というものがある。
  • 与謝蕪村の俳句に、「 かほ白き 子のうれしさよ まくら 蚊帳 がや」というものがある。

脚注

  1. ^ a b 蚊帳https://kotobank.jp/word/%E8%9A%8A%E5%B8%B3 
  2. ^ History of Malaria Control”. Malaria Site. 2014年4月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年10月26日閲覧。
  3. ^ 平凡社編『新版 日本史モノ事典』平凡社、2017年6月21日、245頁。ISBN 9784582124293 
  4. ^ 増補改訂 鉄道略年表 日本国有鉄道編
  5. ^ 佐藤寛久 (2008年8月26日). “米TIME誌も「世界一クール」と絶賛! アフリカで売れまくる住友化学の“蚊帳"”. 週刊ダイヤモンド (ダイヤモンド社). https://diamond.jp/articles/-/7447 2016年10月20日閲覧。 
  6. ^ “Sumitomo unit ups output of mosquito nets for Africa”. The Japan Times Online. (2005年8月25日). オリジナルの2012年7月22日時点におけるアーカイブ。. https://archive.fo/dfz7 2019年10月26日閲覧。 
  7. ^ 住友化学のマラリアへの取り組み - 住友化学株式会社
  8. ^ 「継続的なマラリア予防のために」『ニューズウィーク日本版』2013年4月23日号、阪急コミュニケーションズ、2013年4月16日、44頁。 

関連項目

外部リンク


蚊帳(かや)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/13 08:11 UTC 版)

加賀獅子」の記事における「蚊帳(かや)」の解説

獅子巨大な胴体部分を蚊帳という。 胴竹といわれる半円状骨組みに、牡丹獣毛などの模様染められ麻布被せると、長さ10メートル・幅5メートル・高さ3メートル程の蒲鉾形の幌が出来上がる。その幌状になった中に太鼓三味線・笛などから成る囃子方と胴竹持ちなどが入り演奏獅子移動などを行う。 トラック荷車土台にして蚊帳が組まれる地域もある。 今日現在、金沢市内で獅子蚊帳(しし蚊帳)を原画から染め縫製までを仕上げることができる工房奥田染色株式会社含めわずか数件しか存在していない。

※この「蚊帳(かや)」の解説は、「加賀獅子」の解説の一部です。
「蚊帳(かや)」を含む「加賀獅子」の記事については、「加賀獅子」の概要を参照ください。

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蚊帳

出典:『Wiktionary』 (2020/05/14 04:28 UTC 版)

名詞

 ブンチョウチョウ湯桶読み)、かや熟字訓))

  1. かや漢語表現ないしそれに当てた漢字表記

関連語


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