慣用句
慣用句とは、特定の文化や言語圏で一般的に用いられる、固定的な表現やフレーズを指す。これらは、文字通りの意味ではなく、特定の状況や感情を表すために用いられる。例えば、「猫の手も借りたい」は、非常に忙しい状況を表す日本の慣用句である。また、「石橋を叩いて渡る」は、慎重さを示す表現として用いられる。
慣用句
慣用句(かんようく)とは、複数の単語を組み合わせて一個の定型的な表現として用いられる言い回しのこと。広義には、「舌が回る」「歯を食いしばる」のように、もっぱらこの組み合わせでのみ用いられるという言葉の組み合わせを指す。狭義には、その組み合わせの中でも「雀の涙」や「足を洗う」「爪に火をともす」のように、字面から推し量ることの難しい独特の意味や含蓄を表現する言葉として定着した言い回しを指す。
広義の「この組み合わせでしか使われないという言葉の組み合わせ」における慣用句は、「靴を履く」「ズボンを穿く」「太刀を佩く」というように、使われる言葉の対応関係が決まっている。組み合わせを違えると(たとえば「靴を着る」などと言うと)、誤用とみなされる。表現の趣旨は相手に通じるかもしれないが、強烈な違和感を覚えさることになる。
狭義の「特定の意味を表現する言葉として定着した言い回し」における慣用句は、その多くが比喩的表現であり、ときに字面からはかけ離れた意味合いを示す。たとえば「揚げ足を取る」「馬車馬のように働く」「耳にたこができる」「舌鼓を打つ」「手のひらを返す」などのような言い回しは、言葉の組み合わせを少しでも違えると意味が崩壊してしまい、趣旨が相手に通じる余地がない。
慣用句と同様に「複数の単語で構成され特定の意味を示す」表現であり、しかも世の常や人生訓といった含蓄を持った表現を、諺(ことわざ)という。たとえば「覆水盆に返らず」「可愛い子には旅をさせよ」などのように、教訓の得られる言葉が諺である。とはいえ諺と慣用句は、必ずしも厳密に区別できるわけではなく、実際にさほど厳密に区別せず扱われる場合も多い。
かんよう‐く〔クワンヨウ‐〕【慣用句】
慣用句
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/03 01:39 UTC 版)
慣用句(かんようく)とは、習慣として長い間広く使われてきた、ひとまとまりの言葉・文句や言い回しのことで、類語に成句や成語がある。
概要
慣用句とは、二語以上の単語が固く結びつき、全く異なる意味を持つものを指し、言語学的にはイディオムと呼ばれる。慣用句は、会話や文章上で定型句として用いられる。
慣用句と諺(ことわざ)は混同されやすく、分類も困難であるため、諺と慣用句双方を掲載した辞典が多い。厳密には、諺は一つの文で独立語として成立し、格言、教訓や皮肉、物事の法則を含ませているものである(例『弘法も筆の誤り』『負けるが勝ち』『三日坊主』など)。そして品詞では名詞に区分される。
対して、慣用句とは独立した単語の複合により、異なった意味を持つようになった定型句であり、それらは通常、独立語、すなわち名詞として扱わない。
例えば、「舌の根の乾かぬうちに」という慣用句は、「舌(名詞)」+「の(助詞)」+「根(名詞)」+「の(助詞)」+「乾か(動詞の未然形)」+「ぬ(助動詞)」+「うち(名詞)」+「に(助詞)」で構成され、それぞれ異なる意味を持つ。それに対し、「舌の根の乾かぬうちに」で“先ほど口にした直後に”という意味を持つ慣用表現となり、この言葉の後には決まって前の文脈を否定する表現が来る。
「足が出る」など動詞、形容詞、形容動詞を述語とする場合は会話や文章の状況に応じて活用することがある(ただし、『足下から鳥が発つ』などのように動詞で終わっても諺として分類されるものがある)。また、慣用句は諺のように教訓や格言として機能するものではなく、あくまで日常の行動や物事の状態などを面白おかしく表現したりしたものである。
すなわち、慣用句は一種の比喩(暗喩)表現でもあり、それらの意味は固定化している。したがって、正しく意味を理解しないと、頓珍漢な使用をしてしまったり、使用した相手に対して間違った応答をしてしまったりすることがある。
また、成句は、慣用句の定義とほぼ重なるが、「無くて七癖」のように古くから慣習的に用いられている文句も含み、諺にも近いニュアンスをもつこともある[1]。
さらに、成語も、成句・慣用句と混同して用いられることが多いが、故事成語の略として使われることもある。また、中国語圏では、日本における四字熟語とほぼ同義に用いられる。
言語学における慣用句
言語学における慣用句、すなわちイディオム(idiom)は、慣習的に意味と用例が固定的な連語表現と定義されており、語彙的慣用句(lexical idiom)、句慣用句(phrasal idiom)、枠組み慣用句(formal idiom)などの類型がある。
脚注
- ^ 『使い方の分かる類語例解辞典』小学館(1994年)
参考文献
関連項目
慣用句
「慣用句」の例文・使い方・用例・文例
慣用句と同じ種類の言葉
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