ノー・ネーム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/19 08:04 UTC 版)
ノー・ネーム(No Name、NO NAME)、ノー・ネイムは、名前がないこと。
- 1 ノー・ネームとは
- 2 ノー・ネームの概要
ノーネーム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 01:23 UTC 版)
「問題児たちが異世界から来るそうですよ?」の記事における「ノーネーム」の解説
逆廻 十六夜(さかまき いざよい) 声 - 浅沼晋太郎 本作の主人公。2000年代から箱庭の世界に招かれた問題児の1人である17歳の少年。 旧姓は西郷。親は第三永久機関であるナノマシン“第三種星辰粒子体”の製作者であり、西郷焰は実弟にあたる。焔の製作物の“Crescent moon”シリーズの炎のマークがついたヘッドフォンを付けていたが第1部3巻で壊れた。 第三永久機関の開発方法を得た国家や組織の手によって世界が滅亡の危機を迎えた時に、第三永久機関の力を得て世界の滅亡を阻止する英雄。間接的に世界を救う場合は第三永久機関の開発者として、直接的に世界を救う場合は第三永久機関の被験者として救う。十六夜の場合は後者で、胎児の時に星辰粒子体の原典を埋め込まれている。 本来は箱庭に来るどころか金糸雀と接点を持つはずさえなく、もう少し未来に生まれるはずだったが、旧“ノーネーム”の人類史に対する干渉で彼の出産時期が大きく前後し、金糸雀たちが新たな神群を作り“原典候補者”を擁立しようとしたところに、その干渉の中で逆廻十六夜という可能性を掘り当て人類の“原典候補者”になった。金糸雀は彼の存在を“Last future of Embryo”と呼び、最強の“原典候補者”と評している。本人は偶然と言っているが、クロアは逆廻十六夜という人間だけが、何らかの形で必ず世界を救う可能性があり、それは恩恵の有無ではなく、彼の持つ絶大な力がなくとも魂がそのような形をしていたからこそ原典候補者に選ばれたと言っており、十六夜の恩恵は因果律が逆転している。過去を救ったために得られる恩恵ではなく、未来を救うことを約束されているために祝福された恩恵。十六夜が箱庭に召喚される可能性があると判断された段階で、歴史を修正するために逆廻十六夜のスペア、代行者として西郷焰が生み出された。 “カナリアファミリーホーム”における暮らしから年下に対する面倒見はよく、また子供のような弱い存在に対して強大な力を振るわれることを嫌う。社会的に弱い者、あるいは社会的に立場が悪い者などの自分一人で立ち上がる事が出来ない者にだけは無条件で優しくする。近接戦闘において精鋭揃いの“ノーネーム”の中でも飛び抜けた戦闘能力を有している。戦闘においては常に最前線に身を置いて仲間を守ろうとするが、仲間に対する心配に加え、仲間を信頼できないことにも由来している。 第三宇宙速度で移動したり物体を投げる、山河を砕く腕力を持った拳、物的な干渉をする恩恵以外を無効化、普通なら即死の攻撃に耐えられる強靭な肉体、星を砕く力を持つ光の柱を放つ、など強大な力を複数発揮できるが、十六夜はいまだに十全に“正体不明”を使いこなせておらず、前述の力でさえ本来の力の一端でしかないことが明かされている。水樹の苗を始めとして、様々なギフトを手に入れているが、これらはほとんどコミュニティとしての共有資材として提供している。ギフトカードは水樹の苗の持ち運びや白雪姫の避難用に使った程度。 知性の面でも“ノーネーム”内トップクラスでジンの参謀格に位置し、その知識を以て箱庭の秘密やギフトゲームのクリア条件にいち早くたどり着くことが多い。リスク計算も早いが、ある程度のリスクを背負うことはギフトゲームを楽しむためにもいとわない。 赤子の時に金糸雀に誘拐され児童施設に匿名で預けられ、強大すぎる恩恵から世界の軋轢に苛まれ、己の怪物性に疑問と孤独を抱える人生を強いられた。福祉施設を24ヶ所、養父母を31世帯にわたり巡り、引き取り手の隠蔽犯罪を検挙した回数は21回で、どんな施設や家族からも引き取りを拒否されるようになり、賞金を懸けたゲームを行った事が切っ掛けで金糸雀と出会い、養子となった。金糸雀の養子になった後は世界中を旅行し、最終的に金糸雀が十六夜のために作った“カナリアファミリーホーム”に招かれた。金糸雀の死後、彼女の遺言に残された最後のゲームに参加し解答を見つけたが、クロア=バロンが「ボーナスステージ」と評して造り出した空間で戦闘を行い、最後に極光の柱で空間を破壊して脱出した。その後、目を覚ました後に自分の意思で箱庭に行くことを決め、招待状を開けて箱庭に召喚される。第二部『ラストエンブリオ』では19歳9ヵ月。第二次太陽主権戦争の参加資格として、獅子宮を手にしており刃物が効かない体と化しているが、参加資格である未成年である猶予が残り3ヵ月しかない。 作者は動かしやすいキャラクターの一人としてを挙げており、台詞にこだわって書いている。ギフトカードの色はコバルトブルー。 正体不明(コード・アンノウン) 文字通り正体不明の恩恵で、全知の一端でもあるギフトカードにもギフトネームが表示されない。 判明している能力は、天地を砕く恩恵と恩恵を砕く力を両立された奇跡を身を宿しながら奇跡を破壊する矛盾したギフト。そして、物的な干渉をする恩恵以外の無効化、普通の人間なら即死の攻撃に耐えられる強靭な肉体などを持つ単一で複数の能力が持つありえないギフト。 獅子座の太陽主権 十二星座の一つである獅子座の主権。獅子座のモデルとなったネメアの獅子によって守られ、所持している者に不断の恩恵を与え、あらゆる斬撃が通用しない肉体にする。例えそれが山を斬り海を断ち天を裂く類のものであっても獅子座の恩恵は問題なくはじき返す。 この概念を上回るには同様に星の恩恵を秘め、なおかつ必断の恩恵か、星霊殺しの恩恵が必要不可欠となる。 十六夜には太陽に連なる伝承が無いため、不断の恩恵以外を引き出すことは出来ない。 第一部第10巻でアジ=ダカーハとの決戦時に殿下から譲渡される。この太陽主権によって、疑似神格・梵釈槍を体で受け止めてアジ=ダカーハの心臓を貫いた。 疑似神格・梵釈槍(ブラフマーストラ・レプリカ) “叙事詩・マハーバーラタの紙片”より召喚される、帝釈天の神格・加護が宿りし天雷を纏うインドラの槍。カルナが太陽の鎧と引き換えに得た勝利の運命<ギフト>を宿した帝釈天の神槍。雷鳴と共に現れ稲妻が迸る。その強大さ故にギフトゲーム中に一度しか使用できない。 護法十二天神の長・帝釈天と護法十二天のご意見番であるインド神話群の最高神プラフマーによって造られた一撃必勝の神槍。帝釈天と梵天を二体を一対として信仰する梵釈一対の概念から生まれた“疑似創星図”のレプリカである為、“拝火教”の宇宙観を宿している。黒ウサギの持つこれはレプリカであり本来持つ性能には及ばないが、貫いた相手を倒すために必要なエネルギー量を無限に放出する恩恵を持つ。 “疑似叙事詩・日天鎧”と同時に使用すると、使用者にペナルティが与えられる。この恩恵は“穿った者を必ず倒す”運命を宿しているが、刺さらない相手には十全の力を発揮できない弱点がある。 第二部『ラストエンブリオ』では常時召喚状態で黒ウサギより貸し与えられている。 血中粒子加速器(Blood Accelerator) 伸縮する右手用の手袋・手甲型のB.D.A。体内の“星辰粒子体”を等速循環させるもの。使用すると粒子は物質界の限界である“一秒の定義”を超えて体内で超流動を開始する。 粒子体研究では“一秒の定義”は主に時計に使われる32.768kHzの周波数に置き換えられ、“星辰粒子体”はこの“一秒の定義”に反応して寄生先の生物の体内経路を等速で約三十三万回転する。胎児から“星辰粒子体”を宿していた十六夜は血中回路が発達しており、自身の肉体を外付けの加速器として使えば爆発的な力が手に入り、パラシュラーマですら反応できない速度とヘラクレスの戦棒の一撃を片手で受け止めるほどの腕力を発揮できる。他人の粒子体を一瞬で消費することも出来る。Override with Another crown 鍵として紡がれる言葉。全身を粒子に変えて星辰体(アストラル)になり、第六宇宙速度である光速で突き進む。 全身から放たれる光が右腕に収束しする。血中回路に星辰粒子体が満ち、人体の内外が時間概念から切り離される。限界まで鼓動と血潮が高まり、疑似発光と呼ばれる現象が十六夜を包み込む。 黒ウサギ(くろうさぎ) 声 - 野水伊織 本作のメインヒロインで、箱庭の世界に3人を呼び寄せた人物。当初のラフでは黒かったが、視覚的な問題でカラーリングが変更された。 箱庭の創始者・帝釈天の眷属である“箱庭の貴族”と呼ばれる“月の兎”の末裔で、“月影の都”で生まれ育った。約200歳だが、これは一人前になるまで200年の月日を要した、ということであり、一人前になる数年前までは外見も10歳の少女だった。 “月の兎”の伝承により他者に尽くすのが本分で、何かと問題児やコミュニティの世話をしているほか、魔王に襲われ運営していくのもやっとの“ノーネーム”を支え続けてきた。白夜叉との契約で“サウザンドアイズ”の専属審判となっている。戦闘においても高い能力を持っているが、“審判権限”の制約によりギフトゲームに参加することはほとんどない。 一族の中でもかなりの若輩者であり、箱庭の伝承のうち、あまりにも古い話は知識として持っていない。よく動く自慢のウサ耳は箱庭の中枢と繋がっており、ギフトゲーム審判時であれば全範囲、プレイヤー参加時であれば1kmの範囲まで情報を収集できる。力を使う時や感情が高ぶると髪の色が青色から緋色に変わる。 特殊な権限や武具、ギフトの所持を許された“月の兎”の御子として育てられ、アジ=ダカーハによる“月影の都”の襲撃から金糸雀に救われて養子になった。第1部6巻で殿下の攻撃を防ぐために“必勝の槍”と“黄金の鎧”を同時に使用したために“月の兎”の神気を失うペナルティが与えられた。その後、アジ=ダカーハの分身体である双頭龍に襲われた際に身を呈して飛鳥を守ったことが“月の兎”の伝承を体現していたために帝釈天の疑似神格を授かって転生し、双頭龍とマクスウェルの召喚した天使を撃破した。その代償として煉獄に落ちるはずだったが、飛鳥の懇願により帝釈天から神格を授かる事によって死を免れ、失った“月の兎”の神力も取り戻した。 第二部『ラストエンブリオ』では本来紙片を媒介に召喚される“疑似神格・梵釈槍”を常時召喚状態で十六夜に貸し与えているため叙事詩の紙片に霊格の大半を持っていかれ、霊格を維持する為に幼女になっている。また、帝釈天が外界に降天していることが箱庭の神々にバレないように月天と帝釈天から霊格を預かっている。 作者は努力家のキャラクターが好きと述べ、気に入っているキャラの一人として挙げた。ギフトカードの色は白黒。 疑似神格・金剛杵(ヴァジュラ・レプリカ) 帝釈天より授かりった恩恵。轟く雷鳴、青い稲妻を纏う三叉の金剛杵。神仏の代表的な武装の一つに数えられるが、これは軍神・帝釈天による恩恵で天雷を招来させ、使い勝手も良く高出力を発揮し、攻防速のどれをとっても優秀なギフト。 リンとの戦いで疑似神格解放を行い半壊、その後ツッコミに使用した際に本格的に壊れたが、その後完全に壊れたが、黒ウサギが帝釈天の転生して疑似神格を授かった際に槍として新生した。 疑似神格を授かった時は金剛杵を幾つも召喚し、敵に飛ばして使用した。 小型化も可能な模様。軍神槍・金剛杵(ヴァジュラ) “疑似神格・金剛杵”を逆手に構え発動する疑似神格解放で、青い稲妻は炎を帯びた紅い稲妻となる。本体が燃え尽きる代わりに一度限りの神格を解放する、“疑似神格・金剛杵”が秘めた真の姿。 月界神殿(チャンドラ・マハール) “月の兎”が招かれた月の大神殿。15に分割された月の主権を一つ所持した“月の兎”が召喚できる舞台型のギフト。軍神インドラではなく、月神チャンドラの神格を持つ。 一帯見渡す限りの灰色の荒野で、石碑のような白い彫像が数多に散乱している月の神殿。対象を強制移転させる事が出来る。 月といっても結界内は地上と同じ環境だが、彫像の結界を出れば月面の過酷な環境があらゆる生物を死滅させる。その結界の有無は召喚者が決めることができるため、敵対者が人間であればこのギフト一つで完封することができる。 叙事詩・マハーバーラタの紙片 護法十二天の武具。“叙事詩・ラーマーヤナ”と並ぶ二大インド叙事詩として10万の詩節からなる数々の伝承・神話を束ねた大長編叙事詩。インドラに縁のある武具を召喚できる。疑似神格・梵釈槍(ブラフマーストラ・レプリカ) “叙事詩・マハーバーラタの紙片”より召喚される、帝釈天の神格・加護が宿った神格武具。天雷を纏うインドラの槍。カルナが太陽の鎧と引き換えに得た勝利の運命(ギフト)を宿した帝釈天の神槍。雷鳴と共に現れ稲妻が迸る。その強大さ故にギフトゲーム中に一度しか使用できない。 護法十二天神の長・帝釈天と護法十二天のご意見番であるインド神話群の最高神プラフマーによって造られた一撃必勝の神槍。帝釈天と梵天の二体を一対として信仰する梵釈一対の概念から生まれた“疑似創星図”のレプリカ。帝釈天が関わっているため、“拝火教”の宇宙観を宿している。黒ウサギの持つこの槍はレプリカであり本来持つ性能には及ばないが、貫いた相手を倒すために必要なエネルギー量を無限に放出する恩恵を持つ。刺さらなければ発動しないため、刃物を無効化する恩恵と相性が悪い。ただし貫いていなくても天雷を放出することは出来る。 “疑似叙事詩・日天鎧”と同時に使用すると、使用者にペナルティが与えられる。 第二部『ラストエンブリオ』では常時召喚状態で十六夜に貸し与えている。 疑似叙事詩・日天鎧(マハーバーラタ・カルナ) 日天(スーリヤ)の神格が宿った武具。“叙事詩・マハーバーラタの紙片”より召喚される、眩い太陽の輝きを放つ太陽神スーリヤーの黄金の鎧。これは不死の鎧であり、着装した黒ウサギを殺すことは何者にもできない。 ただし、不死なのは鎧を着ている間だけで、脱いだ瞬間に不死性は消えてしまう。“疑似神格・梵釈槍”同時に使用すると、使用者にペナルティが与えられる。 久遠 飛鳥(くどう あすか) 声 - ブリドカットセーラ恵美 問題児の1人である15歳の少女で、 戦後まもなくの時代から箱庭の世界に招かれた。箱庭に来てからは赤いドレスを普段着にしている。久遠彩鳥とはどちらが姉か妹かが決まる前に、死んでしまった双子の姉妹にあたる。 元いた世界では財閥の令嬢であり、将来の幸福はほぼ約束されていた。彼女にとって生活の場は実家の屋敷と女子寮の二つであり、同じ時代の日本人の生活観までは分からない。10歳まで学び舎に通い、厳格な場所ではあったが友人もいて教員からもそれなりに信頼されていた。親族とも拗れていたわけでもなく、当主筆頭候補として成績上位者だった。しかし、自身のギフトによりあらゆることが思い通りになる人間関係や、代わり映えしない日々の生活に嫌気が差し、箱庭の世界に行くことを決意した。 神霊によって10世代近くに渡り子孫を繋いできた家系に産まれ、外界に飛ばされた旧“ノーネーム”のメンバーが力を貸して“久遠財閥”という大財閥へと成長させ、商業の繁栄に特化した恩恵を持つ者の血が様々な形で混ざり合い、敗戦直後の時代の救国の士を願う信仰を受けることにより、生まれながらにして半神霊と呼べる霊格を手にした。飛鳥のギフトがほかの二人に比べて「与える側」に特化しているのはこれに由来する。本来ならば神霊として顕現するはずだが、神霊の持つ恩恵と肉体が双子になったことにより分割されてしまい、飛鳥は神霊の恩恵を得た。皇室の血と人間宣言によって空席になった皇室の神格を所持している現人神。 高貴だが純朴で、悪魔好きされる性格で、綺麗な花だが詰みやすそうな感じとされる。ツンツンせず、自分の知らない事は、相手の話を聞いて、会話しようとする。それで分からない事は分からないとはっきり主張する。厳しい時代で育ったため、開放的な箱庭ではちょっとした事に興味を持ち、女の子的なものに興味を引かれやすい。。プライドは高いが、決して傲慢というわけではなく、相手の意見を受け入れる柔軟さも持ち合わせている。 第1部では身体能力は普通の人間で、戦闘においては主に“ディーン”を使役して戦うが、“ウィル・オ・ウィスプ”の技術力で造られ手に入れた“アルマテイアの城塞”や“ハーメルンの風切り笛”、発火・冷却などの恩恵が込められた宝珠を用いるようになる。 アジ=ダカーハ戦では全軍を率いて消耗戦を仕掛ける役目を担った。久遠彩鳥との決闘後、外界に飛ばされたノーネームの同志を探しに旅立って行った。 作者は努力家のキャラクターが好きであると述べ、気に入っているキャラの一人として挙げた。ギフトカードの色はワインレッド。 威光 “ゴーゴンの威光”や“バロールの威光”を含めたカテゴリーそのものを意味する恩恵であり、疑似神格の付与を行う恩恵。 自分よりも霊格が高い相手には作用しなかったのは、疑似神格の付与方法が神託(ことば)で、言葉は霊格がすぐに霧散してしまう為に対象に届くまでに劣化してしまい、相手の霊格しだいで跳ねのけられてしまうから。 この疑似神格の付与による恩恵の極大化は与える側の力、権能に限りなく近い力であり、炎なら核熱に、稲妻なら天雷に、氷結ならば絶対零度にまで引き上げる事が可能。局地的であれば事象改変もできる可能性がある。疑似神格の付与により神仏の御業にまで極大化させ、火花を散らす程度のギフトを鉄を蒸発させるギフトにまで昇華させ、出力の低い護身用の恩恵でバロールの威光を中和する事さえ可能とする。 欠点として、疑似神格はあくまで出力を上昇させるだけのものであり、神珍鉄のように神代の技術で造られた武具や霊格の塊である龍角に匹敵するものでなければ数回の使用で壊れてしまう。生物などに使用した場合、激痛が奔り寿命を削ってしまう。 また、瞬間的に出力を上げる事を得意とするが、長時間極大化させるのは向いて居らず、水樹のような水を増減させるギフトや神珍鉄の質量変化を変化させる効力は長続きしない。 自身より霊格の低い物を従わせる事ができたため、飛鳥の高い素養と自身の強い意志が力となって支配する力となっていると誤認し、「種(相手の心身)を支配するギフト」ではなく「ギフトを支配するギフト」の方向へ能力を育てようとしていた。神殿構築(シュライン・クラフト) 広範囲の土地に疑似神格を付与する事で神格化を行い、領地を形成する。 神殿内の木々の幹は槍衾に、葉は刃に、大地は頑強な拳となって敵対者に攻撃する。一つ一つの攻撃がアジ=ダカーハの神霊級の分身体に傷を付けるほどの破壊力をもつ。土地そのものを緩やかに神殿化をせずに木々を操ると、疑似神格によってその霊格を一瞬で燃焼させ枯れ木になってしまう。 短時間で“神殿構築”を完成させるその才覚はアルマテイアも絶賛している。 ディーン 声 - 浜添伸也 飛鳥が使役する、神珍鉄製の伸縮自在の自動人形(オートマター)。“ラッテンフェンガー”の群体精霊が星海龍王から授かった神珍鉄で改良した、永遠駆動の魔人。元はウロボロスが所有していたギリシャ神話の鉄人形オールドタロス。 本来の神珍鉄はどれだけ肥大しても本来の重量が変わることはないが、“威光”で最大で10倍の重量にまで増大させる。これは神珍鉄の霊格が核となる部分の重量に比例することに起因するが、“威光”は局地的かつ瞬間的な霊格の極大化であり、神珍鉄のような質量変化による肥大化とは相性が悪く、効力が長続きしない。 “アンダーウッド”に突撃した巨龍を迎え撃つため、サラが自ら切り落とした龍角と溶け合い、装甲と一体化することで伽藍洞の身体から熱の籠った紅い風を噴出するようになり、神珍鉄の核にサラの龍角と融合させた事で以前よりも腕力が強化されの龍角の炎を噴出させることが出来るようになった。 全身の駆動を神珍鉄の持つ伸縮自在の恩恵で行っていたが、伽藍洞の身体の中に歯車とピストンを加え、伸縮自在の神珍鉄が持って備えた恩恵を全て活用した神造永久機関を積み、以前以上の突進力と小回りの利く機動力を手に入れた。 巨龍を迎え撃った際に半身を食い千切られて損傷したが、その後ジャックとルイオスの手で修繕された。 メルン 声 - 久野美咲(とんがり帽子/メルン) 長い旅路の果てに上記の群体精霊より生まれた群体の欠片。“ラッテンフェンガー”の131人目の同士。 独力でノーネームの死んだ土地を復活させるほどの力は持たないが、木材などを分解すれば土地を直すことはできる。 飛鳥と出会いその助けを得る。群体精霊が消える前に開拓の功績を授けた後、飛鳥に「メルン」という名前をもらい、“ノーネーム”へ加入する。 開拓の功績を利用して“ノーネーム”の農園の復興を手伝い、農地復活という成果を出すことに成功した。 “アルマテイアの城塞” 神群の中でも指折りの問題児集団と名高いギリシャ神群の中で数少ない人格を持つ山羊の神獣にして、山羊座の星獣アルマテイアの転生体。天空神ゼウスの養い親である豊穣の女神と同時に、最強の盾としても名高い。 雄々しく伸びた二本角に力強い四肢と蹄を持ち、白銀の毛皮からは稲妻が迸る。人化すると、大きな乳房と胸元が開いた縦縞のトップセーターを着込み、セミロングの亜麻色の髪をした美女の姿となる。 飛鳥とは何らかの契約を交わしており、互いに「マスター」、「アルマ」と呼び合ってはいるが完全に従属しておらず、内心では見下している。 混世魔王曰く、今のギリシャ神話があるのはこの山羊座の星獣でありギリシャ神群の長であるゼウスを育てた彼女の功績が大きく、人材育成に関して超一流。ギリシャ神群の主神を幼少より育てた豊穣の女神である彼女の角は、肥沃な土地に数多の実りを結び、毛皮は金剛鉄を覆いあらゆる攻撃を防ぐギリシャ神群最強の楯である“イージスの楯”となる。またイージスシステムなどに名を貸すことで霊格をより高めている。 ウィラ、ジャック、ルイオスの手で、山羊の毛皮と金剛鉄を組み合わせることで疑似的なイージスの楯として造り出された。肉体を液体状の銅へと変えることができ、鋼の球体となって飛鳥を包み込んで防護したり、流動体のまま敵を縛り上げることが出来る。 イージスの楯は天空神ゼウスが操る天候の象徴であるため、楯を起動させるには天空の神格が必要となる。飛鳥が疑似神格を込めた四つの宝珠をかみ砕いて取り込ませる事で本来の神格を取り戻し、霊格が膨張し、体毛から激しい稲妻を放ち、鋼の身体は熱により融解し、水銀のように流体へと変わる。流動するエネルギー体となったアルマテイアは雷光の速度で飛翔して角で敵を貫く。さらに血飛沫すら瞬時に消失させ、元素から崩壊させる天空神の雷霆に比肩する神雷を放つ。 ハーメルンの風切り笛 妙なる音色を奏でることで人心を操る恩恵だった神隠しの悪魔・ラッテンの魔笛を、ジャックの手で風を切る音で使い手の意思を伝える恩恵として造り出された。他者が使用すればただの情報伝播ギフトでしかない特に強力なギフトではないが、神託により神格を宿すことができる飛鳥が使用すれば、広範囲に及ぶ土地の神格化による領地形成“神殿構築(シュライン・クラフト)”、敵の行動拘束、恩恵と同士の強化など、その全てが笛を振るという一度の行動で可能となる超強力なギフトになる。 炎の宝珠 発火の恩恵を秘めた宝珠。投げた宝珠にハーメルンの風切り笛を使って疑似神格を付与して霊格を膨張させることで、超圧縮された熱線になり、瞬間的に煉獄に等しい破壊力を発揮する。 山のふもとに着弾した熱線は巨大な空洞を作り上げ、アジ=ダカーハの神霊級の分身体の全身の八割を消失させた。 ガラティア 亜麻色の髪を三つ編みにして垂らしている小人型の水辺の精霊ニンフ。恥ずかしがり屋。 濡れた服を一瞬で乾かしたり、水が有害かどうかを判別したりする事が出来る。 飛鳥がスキュラに頼まれ、魔女退治をした際に懐かれた。 スキュラ “怪物に変えられた伝承”を持つ水辺の精霊で、飛鳥に魔女退治を頼んだ人物 飛鳥の天叢雲剣で“怪物に変えられた伝承”を切除されている。 天叢雲剣 三種の神器の1つとされる銅剣。日本神群の神格を持つ皇族が手にした場合のみ、自身を含めた周囲一帯の完全霊格封印という“全権領域”に片足を踏み込む力を発揮する万物調律の星剣のアストラ。飛鳥が所有しているのは平安時代に失われた一振り。 女王に回収されたフェイスレスの遺品の中で唯一飛鳥へ譲渡され、天国の手で日本刀へ打ち直された。 飛鳥は局地的なものに絞った使い方として、伝承と霊格を切り分ける力として使用している。魔術的なものなら無条件で無効化し、風評による呪いの解除もできる。梵我一如の極致を体得しなければ、画竜点睛を欠くと称されるが、棒振り剣術でも望めば戻る程度だが、伝承と霊格を切り分ける事は可能。 春日部 耀(かすかべ よう) 声 - 中島愛 問題児の1人である、ショートカットでノースリーブの服を着た14歳の女。2000年代より少し後の時代から箱庭の世界に招かれており、自らもあらゆる種族の友達を増やすという目的意識を持っている。そのため、箱庭の生物には高い興味を示しており、幻獣などと触れ合う機会のあるギフトゲームには率先して参加している。 性格は野性的でフリーダム。自分の考えている事を隠さず、自分のやりたい事に対して素直で、その上で周りとの折り合いを付けていく事を覚えていく。温厚で怒ることは滅多に無いが、“ノーネーム”やグリー、サラが侮辱されたときは激怒している。また、見た目に似合わず大食漢で、一人でコミュニティ“六本傷”の食料庫を壊滅させた。 父は彫刻家で、母は生物学者である。科学技術が発展し、人間が万能となった時代の医学でも不治の病と宣告され、長い病院生活を送っていた。その間、父・孝明の箱庭の話を楽しみにすると同時に、その話に出てくる外の世界へのあこがれを募らせていった。11歳になったとき、父に木彫り細工を貰い、歩いたり、動物と喋れるようになり、2年後の満月の夜に迎えに来て旅に出る約束をする。この日から父と旅をするためにギフトを利用して数多の獣たちと友達になり、半年で走れるほどに強くなったが、父が迎えに来ると告げた2年後の満月の筈の夜は十六夜の月で、迎えに来ず約束は守られなかった。ギフトカードの色はパールエメラルド。 生命の目録(ゲノム・ツリー) 丸い木彫り細工のペンダント型の恩恵。材質は神格の残っていない楠の神木。表面に系統樹を表している図形が刻まれている。 孝明とガロロが語り合った夢物語を実現させたもので、どんな理不尽なゲーム、全局面でも所持者には勝ちの目が残る、そんな願望を込められた、「あらゆる異能と策略に対抗するために造られた、対魔王・全局面的戦闘兵装(ジェネラル・ウェポン)」。 生態兵器を製造するギフトで、使用者は合成獣(キメラ)となる。他種族との戦闘中に一回殴られる程度の接触でサンプリングを開始し、その生命の系統樹を解明し持ち主を進化させる。「進化」と「合成」の段階があり、無限とも言える系統樹の組み合わせから、“生命の目録”の形状を変化させ、幻獣・神獣を模倣した力を使うことが出来る。 金翅鳥の種に明確な親となる神霊が存在していることに起因して、幻獣以外の神霊などの最強種も顕現可能だが、“生命の目録”の限界を超過した恩恵を顕現させるため一定時間使用すると一時的に機能停止してしまう。 合成獣になるリスクが怖く、鷲獅子やマルコシアスなどの幻獣しか使用していなかったが、アジ=ダカーハとの戦いで窮地に陥っていた十六夜を助けたいとの思いから、大鵬金翅鳥に変幻する。“生命の目録”の限界を超過した恩恵を顕現させたため機能停止してしまったが、父・孝明の霊格を注ぎ込んで直した。形状変化 杖 先端に大蛇の顎を持ち、翠色の翼を装飾した杖。黒龍へと変幻したグライアの灼熱の熱線を大蛇が牙を向いて受け止め、片翼を消し飛ばすほどの力を見せた。 光翼馬(ペガサス) 光翼馬の燦爛とした光を放つ白い翼を模倣したブーツで空中戦闘を加速させる。戦闘では主にこの光翼馬の恩恵と鷲獅子の恩恵を利用して行う。ウィラから渡されたペガサスの羽から恩恵を得たことで変幻させずに使用することができるようになった。 麒麟 人徳高き360種の獣王・麒麟の一本角をモチーフにした、身長の倍はあろうかという稲妻を携えた麒麟の龍角の矛。“ヒッポカンプの騎手”にて“二翼”のグリフィスとの戦闘に使用し、鷲龍と化したグリフィスの鱗の鎧ごと叩き割るほどの破壊力を発揮した。 火鼠 火蜥蜴と鼠の恩恵を融合させて編んだ、ウィラの煉獄の劫火をも防ぐ“火鼠”の革でできた半被。“煌焔の都”で開催された“造物主達の決闘”にて使用したが、見学していた殿下からは頓智も何も利いておらず、己の力がどのようなものかを教えているようなもので、系統樹を操っていることを悟られないためにはこの安易な創作は避けるべきだと評した。 マルコシアス 足先に猛獣の鋭利な爪を携え、装甲に鷲獅子を彷彿とさせる羽が装飾される。「眼前の状況に対して最も正しい未来を示す」、つまり謎に対して解答<ギフト>を用意するという変則的な恩恵。「未来を視る」のではなく「望む未来を実行する」この恩恵は、術者が状況を把握していなくてもダイレクトに答えだけを用意してくれる。 大鵬金翅鳥(ヴィナマ・ガルダ) ペンダントが黄金の帯へと形状を変え全身に絡みつき、ノースリーブの服は身を守る術衣となり頭上には羽根飾りのカチューシャが装着される。対神・対龍の属性を持つ。 この最強種の生来の神霊を武具として顕現できたのは、金翅鳥の種に明確な親となる神霊が存在していることに起因している。 原初龍・金星降誕(ケツァルコアトル) 惑星に等しい質量を抱え込み、蛇と鶏をモチーフとした錫杖とその先端で牙を剥く龍の頭蓋へと変幻する。 紀元前400年に発祥した神群の一柱。文明と進化の象徴である炎を、人類に始めに授けたという金星の化身。原初の火を預かる神霊・ケッツァルクアトル。 終末を呼び込む炎を司るアジ=ダカーハの閃熱系最強の“覇者の光輪”に対抗するため、対となるこの原初の火の属性の恩恵を持つ神霊を顕現させた。その力は“覇者の光輪”に劣るものの、一時的に辛うじて拮抗するほど。殿下の疑似創星図と合わせることで軌道を変えることに成功した。 世界樹を喰らうというとある蛇龍の牙 黒い炎を放つ恩恵。生命の目録の金翅の炎と重ね合わせて使用した。 ノーフォーマー “何者にも成れない者”。効果は不明だが“生命の目録”を使っても怪物化せず、“生命の目録”なしでは動けないのもこれが原因とされる。 三毛猫 声 - 西明日香/陶山章央(おっさん版) 耀が飼っている猫。耀と同じ日に生まれた14年生きた老描。 耀が11歳に生命の目録を手にした時、最初に会話した。第1部3巻では十六夜のヘッドホンを耀の荷物の中に隠して、ヘッドホンが壊れる原因を作った。“アンダーウッド”が襲撃された時に大怪我を負い、寿命の事もあって“アンダーウッド”を余生を過ごす場所として、そこに残った。 リリ 声 - 三上枝織 狐の耳と二本の尾を持つ獣人の少女。“ノーネーム”年長組の筆頭としてコミュニティの家事、農園の世話などを行っている。祖先は豊穣の神である宇迦之御魂神(ウカノミタマノカミ)より神格をもらった白狐であり、代々“ノーネーム”の農園を預かってきた家系の一人。九代目である母の代で神格を引き継ぎ現在に至る。 母親は“ノーネーム”に所属していたが、魔王のゲームに敗北した後に連れ去られ行方不明。 作者は努力家のキャラクターが好きと述べ、気に入っているキャラの一人として挙げた。 白雪姫 トリトニスの大滝に住んでいた蛇の水神。泉鏡花の著書である人身御供の逸話をモチーフにした龍神伝説『夜叉ヶ池』に登場する白雪姫。元は夜叉ヶ池に祀られた生贄であり、数百年前に白夜叉から神格を与えられた。人化した際は、艶のある黒く長い髪を三色の花の簪で纏め、白い生地に雅な花柄を施した着物を着た女性の姿となる。 水神であるため水を操ることができ、水面に何百トンもの水を吸い上げ、生き物のように唸り、蛇のように襲いかかる竜巻く水柱を三本作り出すことが出来る。不器用で、五時間かけてもキャベツの千切りが出来ない、ベーコンの薄切りを頼むと角切りが出てくる等、家事の才能に欠けている。和食を好んでおり、洋食が好きなペストとは衝突している。第2部では黒ウサギからは「最近誰かに似てきた気がする」と評されている。 箱庭の世界にやって来たばかりの十六夜との戦いに力押しで敗れ、そのリベンジとしてギフトゲームをセッティングするが十六夜の知恵と力の前に敗れ、隷属することになる。現在はレティシア・ペストと共に“ノーネーム”のメイドとして活動中。第二部『ラストエンブリオ』では、箱庭に来た焰たちに初めてのギフトゲームを仕掛ける。 グリー 声 - 石井康嗣 アンダーウッド出身の鷲獅子。ドラコ=グライフの子。人化の術で変化した姿は長身の美丈夫であるが、元が獣であるため服を着て自分の体を隠すことを嫌うことから、結果として小さすぎる衣服を着ることとなった。 10年前、グリフィスとの決闘に負け、故郷を追い出されたところを“サウザンドアイズ”に迎えられた。耀とは“鷲獅子の手綱”で対戦した後に友達になる。巨人族との戦いでは騎手を討たれ、また十六夜を乗せて城へ乗り込んだ際に、レティシアの神格を与えられた“龍の遺影”の攻撃で翼を失った。“ノーネーム”の“ヒッポカンプの騎手”優勝の恩恵として、グリーを客分として迎えたい、という申し出が白夜叉に認められ、グリー自身も“ノーネーム”に加わることを望んだことで“ノーネーム”の一員になった。後に人間へと降天した帝釈天が十六夜に対する“絶対悪”討伐の褒美として、神格付きの翼を与えられた。 クロア=バロン 南米ハイチのヴードゥー教の死神(グリムリーパー)で、“燕尾服の魔王”や“十字架の男爵”の異名を持つが、最も有名な名称は“ゲーテ”。人世界と神世界が交わる永遠のクロスポイントに立つと伝えられ、燕尾服と山高帽を身に纏い、全身が平面的で薄っぺらい真っ黒な人影の姿をしている。 奴隷制度に支配された時代に誕生した、「神々の世界(ギネー)」への道を預かる生と死と快楽の神霊。奴隷たちの自由の象徴として嗜好品である葉巻とラム酒を掲げ、束縛されない愛を賛美した、帝釈天と同じく“人に最も近い神霊”の一角にして善性の神霊。ゲーテは実体よりもその身形によって存在が確立されており、彼の本体は影の部分ではなく彼が着ている山高帽と燕尾服である。つまりゲーテとしての彼に確たる姿はなく、山高帽と燕尾服こそが彼の存在を象徴する礼服であり霊格を強く表す旗印である。山高帽と燕尾服は存在を象徴する礼服であり、霊格の本体。彼はその姿の他に明確な正体がなく、山高帽を被り燕尾服を着てさえいれば誰にでも憑依できる。 高い身体能力に加え、自分や他人を空間転移させる、現実世界に似た擬似世界を作り上げる、物体を削り取る影を操ったり、生物を即死させる呪いを使えるなど、多彩かつ強力な力の持ち主。生者が死者の世界へと通過する十字架に立ち生命を通して全知を得るとされるが、精霊からの成り上がりなので全知の領域には達していない。彼岸、死者の日、ハロウィンといった世界に数ある万霊節を象徴するその霊格は強大で、初冬の時期はその霊格の支配権が強まる時期でもある。その神力は死を招くことと死者の蘇生であり、世間一般に広がっているゾンビの原点。ただし彼に可能なのは死者の復活ではなく死者に新しい命を与えること。 本性は葉巻とラム酒を好む猥雑な愛の神霊であり生命の神霊。また猥雑な言動と異性に対する劣情を是とする愛と情欲の神。元は金糸雀の師匠の一人であり、同志でもあった。様々なコミュニティから幼い少女を誘拐し、ハーレムを作ろうとした前科があるほどロリコンでもある。外界に追放された後は憑依した人間の人格に引っ張られた結果、口調や性格が箱庭にいた頃とはまるで違っている。 神霊でも数少ない賢神である彼が魔王となったのは外界の奴隷解放運動に起因しており、かつて箱庭の西部と東南北部を二分したディストピア戦争で、箱庭の多くの神群が人間を信仰を生み出す家畜として扱うディストピアへと変わっていく中、人権を望みながら家畜として扱われた信徒たちの名誉に賭けて、反旗を翻す。しかし多くの神群において彼の主張する快楽は禁忌とされ、悪徳な行為とみなされ、善性の神霊として生まれながら本来の魔王の定義に当てはまらないのに魔王の烙印を押され、当時の神群は、声を揃えて彼と彼の神群を呪った。どんな汚名を着せられても燕尾服の魔物は、掲げた反旗を決して取り下げようとはせず、邪教の神と罵られ、黒魔術の宗主だと偽りを流布され、神霊としての誇りも主張も踏み躙られ、愛した信徒たちを悉く蹂躙されても、戦うことをやめなかった。その結果、影絵の魔物に落ち延びてしまう。落ち延びた彼が戦いの中でディストピアから金糸雀を誘拐したことによって“アルカディア”が生まれた。 3年前に外界に追放されてからは金糸雀と同じく霊格が摩耗し、人間に憑依した状態でなければ霊格を保てないほど弱ってしまい、外界で死した青年の肉体を乗っ取っている。金糸雀の死後に金糸雀の遺書を預かる弁護士として、“カナリアファミリーホーム”を訪れ、十六夜に遺書を渡し、その枷を外すために勝負を仕掛ける。“絶対悪”との戦いの最中に箱庭に戻り“ノーネーム”を援護した。また春日部孝明らしき人物と共に行動していた様子が伺えるが、その人物は何らかの事情があり姿を隠している模様。境界門 現世と幽世を経由する門として十文字に開く万霊節の境界。全知の死神が預かった天門の一つ。対象を影絵で覆い尽くす平面的な闇として顕現する。限定的な空間跳躍しかできないウィラやマクスウェルとは違い、彼は門を開錠したまま維持することができるため、その空間内の任意の場所に対象を召喚できる。 200年前のアジ=ダカーハとの戦いでは、天を覆うほど霊格を膨張させ、星空の裂け目に現世と幽世を経由する門を作り当時の同盟コミュニティの四つの組織を召喚を行う大規模なものだった。 金糸雀(カナリア) 旧“ノーネーム”の参謀。西側のディストピア出身の詩人。 詳細は「#金糸雀」を参照 他にリリを含めて10歳以下の子供が120人おり、中には獣のギフトを持つ者もいるが、ゲームに参加できるだけのギフトを持っている者はいない。
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