龍神伝説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/05 19:09 UTC 版)
龍穏寺には、以下のような伝承がある。 伝承(1)現在の龍穏寺が建っている場所には、深い淵があった。そこには龍が住み、人々はこれを恐れていた。 第五世住職の雲崗舜徳がこれを退治すると、淵から水があふれ平地となった。 人々はこの平地を開墾し寺を移転した。またその時、寺名を龍穏寺と改めた。 このベースとなる伝承に付随して「太田道灌が雲崗舜徳を招いた」「龍退治の後、雲崗舜徳が住職となった」「龍は有馬山(埼玉県飯能市)に逃れ、大池を作った」「龍は龍神となり、雨乞いをすると有馬山より飛来して雨を降らした」などの逸話がある。また、この伝承は(この類の伝承としては比較的珍しく)成立の年が複数の史料に明記されている。ただし、1439年(龍穏寺縁起)だと〈太田道灌:7歳、雲崗舜徳:1歳〉、1504年(新編武蔵風土記稿)だと〈太田道灌:死去、雲崗舜徳:既に他寺の住職〉となり、いずれも成立しない。そこでこれら複数の史料を統合すると、ほぼ明確な史実としては下記のものが挙げられる。 15世紀後半頃までには、寺が曹洞宗に改まった。 第五世住職・雲崗舜徳の就任に前後して、寺が現在地に移築された。 太田道灌・太田道真は雲崗舜徳に帰依(師事)していた。 何らかの龍退治の伝説が存在していた。 このことから、龍穏寺の改宗・移築に際して、新興勢力であった曹洞宗が在来の伝承を取り込み、地域に溶け込んでいった過程で成立した伝承だと推測される。
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