サンプリングとは? わかりやすく解説

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sampling

別表記:サンプリング

「sampling」の意味・「sampling」とは

「sampling」は英語の単語で、日本語では「抽出」や「サンプリング」と訳されることが多い。具体的には、大量データ情報物質などから一部選び出す行為を指す。例えば、大規模な調査研究では、全体調査困難な場合に、代表的な一部抽出して調査を行う。これを「sampling」、すなわち「サンプリング」という。

「sampling」の発音・読み方

「sampling」の発音は、IPA表記では /ˈsæmplɪŋ/ となる。IPAカタカナ読みでは「サムプリング」と表記される日本人発音するカタカナ英語では「サンプリング」と読むことが一般的である。なお、「sampling」は発音によって意味や品詞が変わる単語ではない。

「sampling」の定義を英語で解説

「sampling」は、"the act, process, or technique of selecting a representative part of a population for the purpose of determining parameters or characteristics of the whole population"と定義される。つまり、全体特性決定するために、集団から代表的な部分選び出す行為プロセス、または技術を指す。

「sampling」の類語

「sampling」の類語としては、「selection」や「choosing」がある。これらの単語も「選択」や「選び出す」という意味を持つが、「sampling」は特に統計学研究分野使われることが多い。

「sampling」に関連する用語・表現

「sampling」に関連する用語としては、「random sampling」や「stratified sampling」がある。「random sampling」はランダムな抽出指し、「stratified sampling」は層別抽出を指す。これらは統計学における抽出法一つである。

「sampling」の例文

1. "The research was conducted using a random sampling method."(ランダムなサンプリング方法用いて研究が行われた。)
2. "Sampling is an essential part of statistical analysis."(サンプリングは統計分析不可欠な部分である。)
3. "We are doing a sampling of the new product for market research."(新製品マーケットリサーチのためにサンプリングを行っている。)
4. "The survey was based on a sampling of 1,000 people."(その調査1000人のサンプリングに基づいていた。)
5. "The company is offering free sampling of their new beverage."(その会社新し飲料無料サンプリングを提供している。)
6. "The sampling rate for the digital audio was set at 44.1 kHz."(デジタルオーディオサンプリングレート44.1kHz設定されていた。)
7. "Stratified sampling was used to ensure a representative sample."(代表的なサンプル確保するために層別サンプリングが使用された。)
8. "The sampling error was within an acceptable range."(サンプリング誤差許容範囲であった。)
9. "The soil sampling revealed high levels of lead."(土壌のサンプリングにより、鉛の高いレベル明らかになった。)
10. "In music production, sampling is a common technique."(音楽制作では、サンプリングは一般的な手法である。)

サンプリング

英語:sampling

「サンプリング」の意味・「サンプリング」とは

「サンプリング」とは、ある対象から一部抽出し、それを利用分析することである。対象音楽画像データ商品など様々であり、目的に応じて抽出方法利用方法異なる。サンプリングは、効率的な情報処理リソース節約新たな創作物生成など、多く分野活用されている。

「サンプリング」の語源

「サンプリング」の語源は、英語の「sampling」であり、そのまま抽出」や「試料採取」といった意味を持つ。英語の「sample」は「見本」や「試料」といった意味があり、それらを取り出す行為を指す言葉として「sampling」が用いられる

「サンプリング」に関連する用語・知識

音楽における「サンプリング」とは

音楽における「サンプリング」は、既存音楽音源から一部抽出し、それを新たな音楽作品組み込むことである。例えば、過去ヒット曲フレーズ切り取りリミックスアレンジ加えて新曲仕立てることがあるこの手法は、特にヒップホップエレクトロニックミュージック多用される

ラップにおける「サンプリング」の役割

ラップにおける「サンプリング」は、主にビートバックグラウンドミュージック生成用いられる既存楽曲からドラムビートメロディー抽出し、それにラップ乗せることで独自の楽曲生まれる。また、音源だけでなく歌詞からのサンプリングも行われる

デジタルサンプリングとは

デジタルサンプリングとは、アナログ信号デジタル信号変換する際に、一定の間隔サンプル値を取得することである。例えば、音声画像データデジタル化する際には、連続的なアナログ信号離散的なデジタル信号変換する必要があり、この過程でデジタルサンプリングが行われる。

実験における「サンプリング」の意味

実験における「サンプリング」は、対象となる集団から一部抽出し、そのデータ分析することである。例えば、ある製品の品質調査する際には、全ての製品調べることは現実的はないため、一部製品無作為に抽出し、その品質評価するこのようなサンプリング手法は、統計学実験計画法などの分野重要な役割を果たす

マーケティングにおける「サンプリング」の活用

マーケティングにおける「サンプリング」は、消費者に対して無料商品提供し、その反応調査することである。例えば、新製品試供品配布し消費者意見評価収集することで、商品改善マーケティング戦略見直し役立てるこのようなサンプリング活動は、消費者ニーズ把握し商品認知度向上させる効果がある。

「サンプリング」を用いた例文

1. この楽曲では、70年代ファンクミュージックからサンプリングされたギターフレーズが印象的である。 2. 研究者は、都市部と地方部住民から無作為にサンプリングされたデータ用いて生活習慣違い調査した。 3. 製品開発初期段階では、ターゲットとなる消費者にサンプリングを行い、そのフィードバックをもとに改善重ねていくことが重要である。

サンプリング【sampling】

読み方:さんぷりんぐ

[名](スル)

抜き取り検査などのために見本抜き出すこと。また、統計調査で、対象となる母集団から標本抽出すること。標本抽出

アナログ信号デジタル信号変換する際、一定時間ごとに分割すること。単位時間当たりの分割数サンプリング周波数といい、この値が大きいほど、精度が高いデジタル信号得られる標本化

さまざまな曲を抜粋して組み合わせ新しい曲を作ること。

「サンプリング」に似た言葉

サンプリング

消費者無料商品配布し実際に体験してもらうことで、需要喚起しようとするプロモーション手法
サンプリングにおける重要なポイントは、明確なターゲット定め、ここに効率よく商品配布することとなります。サンプリングというと街頭で配布イメージありますが、商品によってはDM、クロスサンプリングなど様々な手法組み合わせることで、ターゲット到達する可能性高める必要があります
媒体活用して募集する商品モニターなども、同じ目的含みますが、一般にサンプリングという場合は、大量商品配布行ない、より多く消費者接触を図ることに主眼おきます

サンプリング

【英】sampling

母集団から任意に抽出され小集団(標本)を研究し導き出され結果や行動が、母集団結果や行動を予測できるという仮説のもとに、テスト目的として抽出されたもの。例えば、標本はテスト・パッケージを送るためにメーリングリストから抽出され、そのテストメーリングの反応良ければ、そのパッケージ対すメーリングリスト全体反応率は良い推測され標本以外のリストに対して大々的郵送が行われることになる。

サンプリング

【英】sampling

市場調査などで母集団からサンプル標本)を抽出することをいう。ある大きな集団母集団)の特性などを調べ場合、その集団のすべてを調べるのではあまりにも費用時間かかってしまう。そこでその母集団から標本抽出し、その標本調べることによって母集団特性推測する方法が有効となる。来店客の特性把握するための来店調査などでも、来店者を対象とするのではなく一定数の来店客を調査して全体特性をつかむ方法用いられている。この場合でも、来店客のサンプリングが行なわれている。コンピュータ上でデータマイニング利用し、意味のある事象発見するために膨大な詳細データからランダムにデータをサンプリングして分析する。この場合のサンプリングも同じ意味である。

サンプリング

大量母集団の中から抜取り検査分析を行う手法

サンプリング


標本調査(サンプリング) sampling survey

調査対象のすべてを調査することは不可能であるか、可能であっても膨大な時間費用要することが多い。その代わり母集団一部標本として抽出し、これを調査するすることにより母集団推定することができる。また標本誤差確立論的に推定できるので多く社会調査使われている。

サンプリング 【sampling】


サンプリング [sampling]

現在では多く業界幅広い意味で使われている。実音収録して電子楽器音源とするサンプリングシンセサイザーに関する意味が強い。

サンプリング

別名:標本化
【英】sampling

サンプリングとは、収録したアナログ音声データデジタル符号として記録する作業のことである。

従来のカセットテープレコーダでは、オーディオ信号連続した変化として記録したが、サンプリングでは、オーディオ信号不連続なデジタルデータとして記憶メディア収録する

こうしたデジタルレコーディングでは、1秒間細かく区切って信号レベル測定して、その値を記録するこうした手法がサンプリングと呼ばれる理由である。

なお、サンプリングするポイントをサンプルポイントといい、元の音を再生する場合には、これらの点をつないでいくことになる。


参照リンク
Sampling Sound in Windows32 - (英文

サンプリング

読み方さんぷりんぐ
【英】:sampling

母集団からサンプル抜き取ることである. 抜き取り方式には, 層別サンプリング, 二段サンプリング, 多段サンプリング, 集落サンプリング, 系統サンプリングなどがある.


サンプリング

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/03 16:41 UTC 版)

サンプリングするためのレコードを探すDJプレミア

音楽におけるサンプリング: sampling)は、過去の曲や音源の一部を流用し、再構築して新たな楽曲を製作する音楽製作法・表現技法のこと。または楽器音や自然の音をサンプラーで録音し、楽曲の中に組み入れることである。

概要

サンプリングは元々、ミュジーク・コンクレート電子音響音楽で作業している実験音楽ミュージシャンによって開発されたもので、テープ・ループ英語版レコードを物理的に操作して蓄音機で演奏されていた。1960年代後半までに、テープ・ループ・サンプリングの使用は、ミニマル・ミュージックの発展と、ビートルズやビーチ・ボーイズの一部のアルバムに見られたサイケデリック・ロックの制作に影響を与えた。

ヒップホップ・ミュージックは、2つのターンテーブルとミキシング・コンソールでレコードを操作することを実験した1970年代DJらから生まれた、サンプリング技術に基づいた最初のポピュラー音楽ジャンルである[1]。ヒップホップ・ミュージックは、ブレイクをループした。1960年代後半のソウルファンクはラップのサンプリングに頻繁に使用された。ジェームス・ブラウンの「ファンキー・ドラマー英語版」はヒップホップで何度も使用されているサンプルの代表である[2]。他にジミー・キャスター・バンチ、インクレディブル・ボンゴ・バンド、Pファンク、ザップなども、たびたびサンプリングに使用された。1970年代から1980年代初頭の電子音楽ディスコの登場、1990年代のハウス・ミュージックの普及、1980年代以降のコンテンポラリー・R&Bにもヒップホップの影響が見られた。歴史的には、サンプリングはハードウェアの特殊な部分であるサンプラーで行われていたが、今日ではソフトウェアが一般的に使用されている。しかし、ビニール・エミュレーション・ソフトウェア英語版も使用でき、ターンテーブリズム英語版の人々は伝統的な方法でサンプリングを続けている。近代的なデジタル制作方法にサンプリングルーツを組み込むことで、R&Bファンク、など、サンプリングの発明に先立つジャンルだけでなく、ポピュラー音楽にまでサンプリングが導入されるようになった。

詳細

ヒップホップ

ヒップホップやR&Bポップスにおけるサンプリングとは、既存(過去)の音源から音(ベース音等)や歌詞の一部分を抜粋し、同じパートをループさせたり継ぎ接ぎするなど曲の構成を再構築することで名目上別の曲を作り出す手法のこと。あくまで曲の一部分を引用するだけなので、基本的な歌詞やメロディーラインをそのままなぞるカバーアレンジとは別物である。

このようにして作られた曲は多種多様の細工やコラージュが施され、中には原曲の雰囲気をまったくとどめていない曲も多々ある(サンプリング#1990年代以降を参照)。一方で、メロディーラインや歌詞を大きく変えることなくほぼそのまま引用したりするだけのパターンも見受けられ、このような曲は通称「(その)まんま使い」と呼ばれる。また、元曲(元ネタ)があまりに有名な曲だったりすると「大ネタ使い」と呼ばれる。この製作技法はヒップホップから誕生し、現在では他ジャンルの音楽でもよく使われている。

また、サンプリングを知らない者が盗作(パクリ)だとインターネットで指摘し、盗作疑惑がある曲と元ネタであると思われる曲を比べて意見を聞くことにより、度々論争になる。サンプリングを行った作曲者も「この曲は○○をサンプリングしています。」と公言することがあまりないため、問題になる。

サンプラー

電子楽器電子音楽で、実際の自然音や楽器音(例えば工場の音やガムラン、人の声など)等をサンプラーでサンプリングして利用する場合があり、この方法で得られた音源をサンプリング音源と称する。広義の録音であるが、より細分化して素材として扱っている。PCM方式を採用するシンセサイザーなどの電子楽器は、音源部に記録されているサンプリング音源を加工することで音を出している。当初、ヒップホップ以外における「サンプリング」とはほとんどこの意味で用いられたが、時代が下るとヒップホップ同様、既存の楽曲から一部引用して新たな楽曲を制作する手法のことも指すようになった。

歴史

サンプリング前史

ドイツの映画監督ヴァルター・ルットマン1930年6月13日に発表したラジオ番組『Weekend』はサウンドトラックを切り貼りし、コラージュした実験的な作品であった[3]

フランスの電気技師ピエール・シェフェール1948年頃から作曲家ピエール・アンリと共に人の声、動物の声、鉄道の音、自然界の音、都市の騒音などを電気的・機械的に変質させた種々の実験的作品を作った。これらはミュジーク・コンクレートと呼ばれた。また、ジョン・ケージカールハインツ・シュトックハウゼンリュク・フェラーリといった作曲家達もコラージュや電子音を取り入れた作品を作っていた[4]

ポピュラー音楽の製作において「過去の楽曲の再利用」が初めて行われたのは1960年代後半のジャマイカにおいてであった[5]1967年頃から同一のリディムを複数の歌手、ディージェイが使いまわして録音したり、エンジニアダブ処理をするといった手法が一般化していた[6]

ヒップホップ

クール・ハークDJによってブレイクビーツが生み出された。

1979年シュガーヒル・ギャングシックの「Good Times」をサンプリングした楽曲「Rapper's Delight」を発表する。これはブレイクビーツを使用した世界初のヒット曲であり、ヒップホップという新たな音楽ジャンルを発展させる原動力となった。なお、同楽曲のリズム・トラックはサンプラーによってループされたり、レコードの2枚使いによるものではなく、シュガーヒル・ギャングのメンバーによって弾き直されたものであった。

1980年代中期にE-mu EMAXやAKAI S612、ローランドS10、カシオFZ1、BOSS RSD10など安価なサンプラーが発売されだすと、サンプリングはさらに一般化していった[4]1986年Run-D.M.C.が、ハードロックバンドのエアロスミスをサンプリングし、後にコラボレーションした曲「ウォーク・ディス・ウェイ」は、MTVヘビーローテーションとなり、Billboard Hot 100のトップ5に入った最初のヒップホップの楽曲となった。このことは、ヒップホップ界にブレイクビーツやスクラッチという手法以上に、サンプリングの可能性を見せた。

ロック、電子音楽

フェアライトCMI

プログレッシブ・ロックや電子音楽の世界では、自然音や楽器音を取り込むという点では、メロトロンなどの電子楽器が1960年代より存在し、音声テープによる音響効果とともに長らく使用されてきてはいたが、1980年代に至りフェアライトCMIシンクラヴィアなど高性能なサンプリング機能を持つ楽器が登場すると、アート・オブ・ノイズ、キャバレー・ボルテールなどの多くのロック、ポップスミュージシャンがサンプリングを手法として使用した。1983年、プログレッシブ・ロックバンド、イエスはフェアライトCMIによるオーケストラル・ヒットを使用した楽曲「ロンリー・ハート」を発表、全米1位を獲得した[4]。ただし、これらはヒップホップにおける「他人の楽曲をそのまま利用する作業」と異なり、一種の音響効果、楽曲内における音自体の有用性を狙ったものであり、同じように「サンプリング」と呼称されていても両者の概念は異なる。

1990年代以降

AKAI MPC 2000

1980年代以降、ヒップホップが一般的に認知され、R&Bダンスポップスなど他のジャンルでもサンプリングは当たり前のように使われるようになり、もはや世界中のポピュラー音楽を語る上で外すことの出来ない音楽制作技法となっている。Billboard Hot 100チャートでもサンプリングが使われている曲がしばしば上位を占めている。

さらに、サンプリングが特別な技法とは言えなくなり、また法的リスクも高まるに連れ、音楽家達は「何をサンプリングするか」よりも「どのようにサンプリングするか」を工夫し始めた。1992年頃、DJプレミアはサンプリングした元ネタをさらに細かく切り刻み再構築する「チョップ (chop)」という技法を開発し、ギャング・スターナズ、ジェルー・ダ・ダメイジャなどの作品群をプロデュースした。テイ・トウワダフト・パンクは敢えて古い機材を使ったり、フィルターをかけたりして音質を劣化させた「ロー・ファイ」な音世界を作り上げた[4]

1996年にDJシャドウが発表したアルバム『Endtroducing.....』は、2001年にギネス・ワールド・レコーズによって「初の完全なるサンプリングアルバム」と認定された[7]

E-mu systems SP-1200

日本のサンプリング

P-MODEL平沢進を中心に1984年に結成した実験音楽サンプリングユニット『』の頃では、国内のサンプリングマシンが当時2000万円以上していた為、平沢がラジオカセットレコーダー2台を改造して自作サンプリングマシン「ヘヴナイザー」完成させ利用した[8]いとうせいこうは早い段階でラップ、ヒップホップの楽曲を制作した。また、歌謡曲などの日本の音楽(邦楽)からサンプリングのネタ(「和モノ」)を発掘する動きも加速し、和田アキ子かまやつひろしいずみたくらの再評価につながった[9]

1994年スチャダラパー小沢健二が共作した「今夜はブギー・バック」はアン・ヴォーグの「Give It up, Turn It Loose」のコード進行を引用し、EAST END×YURIが発表した「DA.YO.NE」はジョージ・ベンソンの「Turn Your Love Around」をサンプリングし、共にオリコンチャート最高15位[10]、最高7位のヒットを記録した[11]

R&Bシンガーソングライターの加藤ミリヤはデビュー当初よりサンプリングの手法を取り入れており、2008年には自身のサンプリング楽曲のみを集めたベストアルバム『BEST DESTINY』をリリースしている。

2010年に日本語版が発売され大ヒットしたKARAの「ミスター」は、"One, Two Three...."というコーラス部分を高中正義の1996年の楽曲「Guitar Wonder」からサンプリングしている。

2023年には米津玄師の『KICK BACK』が日本語詞楽曲として史上初となる米国レコード協会(RIAA)によるゴールド認定を受けたが[12]、本作のサンプリング引用元であるモーニング娘。の『そうだ! We're ALIVE』(導入部「努力 未来 A BEAUTIFUL STAR」、サビ「幸せになりたい、~たい」を引用)のオリジナル作者であるつんく♂のもとにも、ヒット達成表彰として記念ディスクがRIAAより贈呈された。[13]

邦楽からのサンプリング(和モノ)や有名曲からサンプリングの場合、途中の歌詞や曲の構成が原曲と全く異なっていてもしばしば単なる「ラップ調カバー曲」として紹介される[14]安室奈美恵60s 70s 80s」のように欧米のポピュラー音楽(洋楽)からのサンプリング楽曲でもカバー扱いの報道をされることもあり[15]、情報を提供する側もカバーとサンプリングの区別がついていない状況も散見される。

法律上の定義

アメリカ合衆国の法律事典『Black's Law Dictionary』は「音楽におけるサンプリング」を「サウンド・レコーディングのごく一部を取って新しいレコーディングの一部としてその部分をデジタル処理によって利用するプロセス」と定義している[16]

サンプリングが違法とされた例

ビズ・マーキー

サンプリングによる音楽製作が一般化するにつれ、他方ではこれは著作権の侵害にあたるのではないかという声があがり始めた。

1991年、ヒップホップ・アーティスト、ビズ・マーキーはアルバム『I Need a Haircut』収録曲「Alone Again」でギルバート・オサリバンによる同名の楽曲をサンプリング使用した。これを知ったオサリバンは著作権の侵害としてビズと発売元のワーナー・ブラザースを告訴し、同年12月16日全面勝訴が確定、『I Need a Haircut』は小売店から回収された。これを通称「ビズ・マーキー事件」という[17]。なお、ビズは1993年に『All Samples Cleared』(訳:『全てのサンプリングが許可されました』)というアルバムを出し同事件を皮肉った。

また、1989年にヒップ・ハウスグループ、ザ・クルーはボイド・ヤーヴィスの「The music's got me」を部分的にサンプリングした「Get Dumb! (Free your body)」をリリースしたが、1993年にヤーヴィスはザ・クルーを訴え、ヤーヴィスが勝訴した[17]

これらの判例からアーティストはサンプリングの使用に際して代価を支払うべきという判例が確定し、メジャーレーベルから発表されるサンプリング作品のほとんどは正規にライセンスされたものとなった。また、クラシック音楽などのパブリックドメイン音源からのサンプリングも多くなり、サンプリング用の著作権フリー音源集のCDなども発売されるようになった。

サンプリングが合法とされた例

上記のような判例が出て以降、アメリカでは権利者に無断なサンプリングは違法とされたが、必ずしも全てのサンプリングが違法とされるわけではない。「法は些事に関せず」(デ・ミニミス ) の観点から、質的、または量的に些細なサンプリングは著作権侵害責任を問われないし[18]、「フェアユースの法理」(米国著作権法第107条)の観点から、元ネタとサンプリング楽曲の創作的表現における実質的類似性が立証されなければ著作権侵害責任は問われない[18][19][20]

1993年11月9日、ロイ・オービソンオー・プリティ・ウーマン」をサンプリングし、パロディ替え歌にしたツー・ライヴ・クルー「プリティ・ウーマン」を巡り、オービソンの権利を持つエイカフ=ローズ・ミュージック社がツー・ライブ・クルーを訴えたが、1994年3月7日に裁判所は「ツー・ライブ・クルーの曲は原曲のフェアユースを構成するパロディである」即ち、ツー・ライブ・クルーの曲によってオービソンの曲が売れなくなることはありえないとの判決を下して、ツー・ライブ・クルー側が勝訴した[19][20]。これを通称「プリティ・ウーマン事件」または、「キャンベル事件」と呼ぶ[19][20]

日本の著作権法ではフェアユース規定は存在しないが、知的財産戦略本部は2008年に日本版フェアユース規定(一般例外規定)導入へ向けた審議を開始した。2009年には文化庁でも審議が開始された[21]が、10年を経過した2019年現在も進展はみられていない。

サンプリング・80sヒップホップ

  • デラソウル「ミー・マイセルフ&アイ」、ファンカデリック「ニー・ディープ」を使用[22]

サンプリングを使用したポップ曲

1990年代

2000年代

2010年代

脚注

  1. ^ Lott, Ryan. “History of Sampling”. Joyful Noise Recordings. 27 September 2013閲覧。
  2. ^ Kreps, Daniel (2017年2月18日). “Clyde Stubblefield, James Brown's 'Funky Drummer,' Dead at 73” (英語). Rolling Stone. 2021年9月27日閲覧。
  3. ^ The transparent tape music festival
  4. ^ a b c d 「サンプリングの17年」
  5. ^ Henry Self "Sampling: A Cultural Perspective"
  6. ^ ブラッドリー (2008, pp.333 - 335)
  7. ^ "Guinness World Records 2001"Bt Bound, 2001,ISBN 978-0613342445
  8. ^ ゲンロンカフェ (2019-08-27), 20190213_平沢進+斎藤環 をオンラインで鑑賞 | Vimeo オンデマンド, https://vimeo.com/ondemand/genron20190213 2021年10月12日閲覧。 
  9. ^ hmv.co.jp
  10. ^ ORICON STYLE
  11. ^ ORICON STYLE
  12. ^ 米津玄師「KICK BACK」がアメリカレコード協会でゴールド認定、日本語曲では初の快挙(写真6枚 / 動画あり)”. 音楽ナタリー. 2023年10月26日閲覧。
  13. ^ https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2023/11/11/kiji/20231111s00041000545000c.html
  14. ^ KICK THE CAN CREW「クリスマス・イブRap」[1]SEAMOルパン・ザ・ファイヤー[2][3]HALCALI「Re:やさしい気持ち」[4] など。
  15. ^ [5]
  16. ^ Bryan A. Garner, editor, "Black's Law Dictionary 8th ed." (West Group, 2004) ISBN 0-314-15199-0.
  17. ^ a b 安藤 2005, p. 187-192.
  18. ^ a b 安藤和宏「アメリカにおけるミュージック・サンプリング訴訟に関する一考察(1) : Newton判決とBridgeport判決が与える影響」『知的財産法政策学研究』第22巻、北海道大学大学院法学研究科21世紀COEプログラム「新世代知的財産法政策学の国際拠点形成」事務局、2009年3月、201-231頁、hdl:2115/43582ISSN 18802982 
  19. ^ a b c CAMPBELL, AKA SKYYWALKER, ET AL. vs ACUFF-ROSE MUSIC, Inc.”. www.softic.or.jp/. 2010年10月23日閲覧。
  20. ^ a b c 野口 2010, p. 211-214.
  21. ^ 野口 2010, p. 210-211.
  22. ^ BMR誌、1990年12月号。p.31
  23. ^ sxbd.net

参考文献

  • 「サンプリングの17年」『ミュージックマガジン』、ミュージックマガジン社、1997年12月。 
  • ロイド・ブラッドリー 著、高橋瑞穂 訳『ベース・カルチャー』シンコーミュージック、2007年。ISBN 978-4401631452 
  • 野口祐子『デジタル時代の著作権』ちくま新書、2010年10月10日。ISBN 978-4-480-06573-5 
  • 安藤和宏『よくわかる音楽著作権ビジネス-実践編』(3rd)リットーミュージック、2005年9月。ISBN 978-4845612338 

関連項目


「サンプリング」の例文・使い方・用例・文例

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