音楽の定義とは? わかりやすく解説

音楽の定義

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/09 05:19 UTC 版)

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この項目では音楽の定義(おんがくのていぎ)について扱う。

音楽の定義については様々なことが言われてきた。本項目では音楽の種類によらない普遍的な定義と、ある種の音楽についてだけ説明している定義を示す。

音楽の種類によらない定義

  • (4世紀の哲学者、アウグスティヌス)「musica est scientia bene modulandi 音楽とは音を良く整える[注 1] である」[1]
  • ジョン・ケージ)「音楽は音である。コンサートホールの中と外とを問わず、われわれを取り巻く音である。[2]
  • 「音楽とは、人間が組織づけた音である」(ジョン・ブラッキング 『人間の音楽性』[3]

西洋音楽における音楽の定義

西洋音楽では、次の3つの要件が必要であるとしている。1.材料として音を用いる。2.音の性質を利用して組み合わせる。3.時間の流れの中で素材(音)を組み合わせる。そのため、リズム律動)、メロディー旋律)、ハーモニー和声)をもつものが音楽とされる。つまり、音楽は時間の中に組み立てられた芸術であり、絵画や彫刻を芸術空間とよぶのにたいして、時間芸術ともよび、美学では人為的な音楽は音による時間の表現であると定義する。広くは人間が楽しめたり、意味を感じたりすることのできる音全体のことをさす場合もある。

終止

音楽の終わり方は、付加終止、カデンツア、終止形、などといわれ定義されている。しかし、音楽の始まりは定義されていない。開始形はない。
したがって音楽とは、終わった感情を生成する音の時間経過と定義できる。

音楽の三要素

リズム(律動)、メロディー(旋律)、ハーモニー(和声)をもつものが音楽とされる。

音楽の三方面

作曲演奏鑑賞の3つを音楽の三方面とよぶ。

作曲

音楽を創作することである。

演奏

再現芸術ともよばれ、声楽と器楽に分類できる。

鑑賞

つぎつぎの音の流れを音楽的に感じ取って、受け入れる感覚の働きであるとされる。したがって、聾唖学校では太鼓の振動や弦の振動を感じるという音楽教育もなされているように、耳で鑑賞するのみでなはない。日本の義務教育では必修鑑賞曲があげられるが、準拠する学校は少ない。現代音楽の試みの中では、ジョン・ケージの『4分33秒』は、演奏者が4分33秒間、一つも音を演奏しない音楽であり、その沈黙の間に聴衆が音楽を見いだすという試みがあった。

音楽中の音の定義と音楽の定義

基本的な音楽理論では、は次の3つに分けられるとしてきた。

※噪音(そうおん)「騒音」ではない。

しかし、打楽器の音は一般に倍音以外の上音を含むし、特に現代音楽の分野では、従来の楽器でも特殊な奏法により噪音を出したり、特に電子楽器を使った電子音楽では、ノイズミュージックといった音楽もあるので、楽音イコール音楽ではない。

音楽か文学か

古代の音楽は祈りや祝祭、狩りや儀式など当時の生活に密着したものであったと想像できるが、これは文学の原形と同じ起源であると言える。日本の和歌など、宗教的儀式や民衆の生活から派生して、音楽としても発達しながら、現代では文学と見なされているものは数多い。

脚注

注釈

  1. ^ scientia スキエンティア。19世紀まで「scientia」は「知識」という意味。(科学が生まれるのはあくまで19世紀である)

出典

  1. ^ アウグスティヌスの『音楽論』
  2. ^ マリー・シェーファー 『世界の調律-サウンドスケープとは何か』平凡社、1986年
  3. ^ ジョン・ブラッキング 『人間の音楽性』岩波書店、1973年

関連項目


音楽の定義

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/29 04:11 UTC 版)

音楽の哲学」の記事における「音楽の定義」の解説

詳細は「音楽の定義」を参照 音楽ありふれた定義としては、「(ある規則沿って人工的に構築された音(organized sound)とされるしかしながらこの定義は大雑把であり、十分な定義とは言えない。例えば人の会話目覚まし時計ベルなど、人工的に構築された音であるにもかかわらず音楽とはみなされないものは多い。他方音楽とは構築された"楽音"(tone)」であると古代哲学者たちによって提案された定義がある。しかしこの定義では非常に限定的になってしまう。音階考慮しない形式音楽打楽器のみの音楽無調音楽など好例である。このように一般的な音楽(「メロディ」、「和声」、「リズム」を基本とした)の枠組み超えて考えるならば、音楽の定義には多く異なった方法がある。またミュジーク・コンクレートはしばしば非音楽的な自然の音を(作品によってはまったランダムに並べて録音したものがあり、環境音楽アンビエント・ミュージック)ではただ単に自然の音や野外の音を録音しただけという作品もある。このような20世紀起きたアヴァンギャルド形式持った音楽出現は、音楽対す伝統的な見解への大きな問いかけとなり、音楽本質をより広くようとする方向へと向かった。これらの形式音楽音響芸術(sound art)と呼ぶほうがふさわしいと考えている人々もいる。これらのアヴァンギャルド形式発展のなかで特に際立った音楽家としてジョン・ケージ挙げられるケージの作品4'33"」はいかなる音楽の定義 に対して根本的挑戦的なケースである。4'33"演奏者ステージ上に4分33秒間座っているだけでいかなる音も鳴らさない、というものであるケージ演奏者によってではなく演奏者取り巻空間によって音楽作り出そうとした。つまるところどんな場所でも何かしら音が鳴っており、演奏が行われていないコンサートホール中でもまったく静寂であるということはありえないケージはどんな音でも音楽とみなせると考え、またそのアイデア彼の多く作品中に反映されている。

※この「音楽の定義」の解説は、「音楽の哲学」の解説の一部です。
「音楽の定義」を含む「音楽の哲学」の記事については、「音楽の哲学」の概要を参照ください。

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