サイレンス_(音楽)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > サイレンス_(音楽)の意味・解説 

サイレンス (音楽)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 14:07 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動

音楽におけるサイレンスは、楽曲内の沈黙について論述されることのあるタームである。

歴史

ダダイズム時代に休符だけの作品を発表した作曲家はともかく、「沈黙」が音楽の一要素であると考えられるようになったのはバロック時代だと考えられている。ルネサンス時代は「弱起の曲」が存在せず、音楽の始まりは常に「音符」から始まる。このころは「スコア」を持たずすべてパート譜だったので、誰かが音を発さない限り音楽というものは始まらなかったのである。

やがてバロックの時代になると「スコア」が発明され、だれがどこで休むかも合理的に楽譜で指摘することができるようになった。バロックの時代からは「不完全小節」や「弱起の曲」も格段に増えるようになり、「音楽が始まる前からスコアスクローラは開始されている」いわゆる「沈黙」というものを初めて西洋人は手にしたのである。

日本が開国すると、日本の音楽も西洋人は聴くようになり、西洋人は東洋の音楽に沈黙が深く関与していることを見逃さなかった。ヨハネス・ブラームスの演奏を聴いており、その影響は間奏曲Op.119-1の冒頭に現れた。アントン・ブルックナーの後期の交響曲では複数の主題は沈黙で断絶される(ブルックナーが日本音楽を聴いたかどうかは諸説ある)。音と音の間に存在する時間的な空白をと呼ぶ。

意図的に楽曲内が沈黙で満たされているもっとも有名な例は、ジョン・ケージの『4分33秒』である。4分33秒何もせず、デイヴィッド・チューダーはピアノのふたを静かに閉めステージを後にした。初演は楽曲が「演奏」されている間、怒号やざわめきの嵐だったといわれるが、演奏家は何もしない。音がしないとはどういうことなのか、アメリカ人が西洋人に先駆けて問題提示を行った。

1994年に開始されたヴァンデルヴァイザー楽派になると、4分どころか40分以上沈黙でも構わないという過激な主張を持つ音楽家も出現するようになり、演奏家はほとんどの間「何もしない」が、聴衆の態度も「4分33秒」からずいぶん好意的になったため、楽曲内も聴衆はおとなしく「何も鳴らない」瞬間をコンサート会場で体感する機会も増えていった。それでも排水溝から水の流れる音が響いたり、客がペットボトルを落とす音が聞こえたり、とイレギュラーな音までは防ぎようがないため、それらの音のほうが聴衆に覚えられているということも頻繁に起こっている。

出典

  • A History of Western Music - J. Peter Burkholder (Author, Indiana University), Donald Jay Grout (Author, late of Cornell University), Claude V. Palisca (Author, late of Yale University);Hardcover + Digital Product License Key Folder April 2014 ISBN 978-0-393-91829-8, 7.5 × 10.4 in / 1200 pages
  • 『現代音楽とその後』第三版 オックスフォード大学出版局、ポール・グリフィス
  • 『サイレンス』ジョン・ケージ

「サイレンス (音楽)」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「サイレンス_(音楽)」の関連用語

サイレンス_(音楽)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



サイレンス_(音楽)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのサイレンス (音楽) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS