シーズン1の各話のあらすじ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 16:56 UTC 版)
「オスマン帝国外伝〜愛と欲望のハレム〜」の記事における「シーズン1の各話のあらすじ」の解説
以下、「回」はトルコ語オリジナル版の回数を、「話」は日本語版の話数を、「サブタイトル」は日本語版の副題を示す。 回話サブタイトル各話のあらすじ1 1新帝の誕生西暦1520年、領地のマニサにいたオスマン帝国の皇太子スレイマンは、父帝崩御の知らせを受け、帝都のトプカプ宮殿で第10代皇帝に即位する。同年9月、ルテニア(現在のウクライナ)からクリミアに拉致されていたキリスト教徒の娘アレクサンドラとマリアは、海路で帝都に送られて皇帝に奴隷として献上される。強制徴用によりイスラムに改宗していた皇帝の鷹匠頭イブラヒムは、宮廷の小姓頭に任じられる。側女の一人に選ばれたアレクサンドラ(後のヒュッレム)は、皇帝の前で失神のふりをして気を引こうとする。 2皇帝の宴新帝スレイマンは、宰相たちの前で欧州や東方を征服する意思を表明。さらに初めての御前会議で、海軍提督ジャフェルの不正を断罪し、ジャフェルは斬首される。マニサから、皇帝妃マヒデブランが息子のムスタファ皇子を連れて宮殿に到着。その晩、妃を呼ばずに皇帝の宴が催され、側女たちが踊りを披露するが、アレクサンドラは狙い通り皇帝を魅了し、夜伽の印である紫色の手巾を与えられる。母后付き女官ダイェを通じて、アレクサンドラが図に乗っていることを知った母后ハフサは、アレクサンドラの夜伽を阻止するためにマヒデブランを皇帝の寝所へ送り込む。 2 3初めての夜伽夜伽にアレクサンドラではなくマヒデブランが来たことに唖然としたスレイマンは、伽を済ませた妃を息子の元へ返し、小姓頭イブラヒムに「招かれざる者」が来たことを厳しく叱責。母后の差し金と察して、翌朝母后に「私生活に干渉するな。私を操ろうとすれば仕返しがある」と釘を刺す。シリアの県軍政官ガザーリ が旧マムルーク朝残党とともに謀反を起こしたと報告され、御前会議で第二宰相フェルハトらを鎮圧に差し向けること、さらに朝貢が滞っているハンガリーのラヨシュ2世へ勅使ベフラムが遣わされる事が決められる。水曜日、夜伽に呼ばれたアレクサンドラは、浴場で身を清め、美しく着飾る。夜伽でスレイマンを喜ばせたアレクサンドラは、皇帝が妃や息子と過ごす予定だった「神聖な」木曜日も皇帝の寝所に留まり、マヒデブランを悲嘆させる。 4ヒュッレム二晩続けて夜伽でスレイマンを喜ばせたアレクサンドラは、皇帝から「陽気で人を笑顔にする者」を意味するヒュッレムという名を与えられ(以後はヒュッレム・ハートゥン Hürrem hatun と呼ばれる)、個室を与えられる(ただし、側女アイシェと相部屋)。皇帝は息子らを伴って、アヤ・ソフィア礼拝堂に金曜礼拝に出かける。側女たちの大部屋に母后・皇女や妃たちが来場して宴が催されるが、アレクサンドラはマヒデブランの挑発に乗って無礼な態度を取り、入牢を命じられる。イブラヒムは、街で記録者・数学者・棒術遣いのマトラークチュ・ナスーフと知り合い、皇帝に紹介する。ヒュッレムが入牢させられたと知った皇帝スレイマンは、直ちに放免させ、自分が作った見事なエメラルドの指輪を彼女に授ける。 3 5皇帝の指輪ハンガリー王国のブダ王宮で、オスマン帝国の勅使ベフラムが、朝貢せよとの皇帝スレイマンの親書を渡すが、激昂した王ラヨシュ2世によって斬殺されてしまう。一方、御前会議には、第二宰相フェルハトがガザーリを討伐したとの吉報が届く。マヒデブランは、自分が賜るものとばかり思っていた皇帝自作のエメラルドの指輪をヒュッレムがはめているのを見て、半狂乱になる。マヒデブランは具合が悪くなり寝込んでしまうが、医女の診察により懐妊だと判り、後宮は慶事を祝う。皇女ハティジェは、小姓頭イブラヒムを秘かに想っていたが、ギュルフェム妃に背中を押されて、互いの距離を縮めようとする。マヒデブランの意を受けた女官ギュルシャーは、側女アイシェをそそのかして、ヒュッレムから皇帝の指輪を奪い取ることを企てる。 6渦巻く陰謀ヒュッレムは、宦官長スンビュル(ヒヤシンスの意)に妃になるために力を貸して欲しいと頼むが、妃になるには改宗が必要だと言われてしまう。ヒュッレムは浴場で外しておいた皇帝の指輪をうっかり奪われていまい、後宮は大騒ぎになる。一方、スレイマンとイブラヒムらは街をお忍びで視察し、大砲製造所で製造について指示する。ハティジェは、ギュルフェムを仲介役として、小姓頭イブラヒムと逢い引きする。御前会議の席にハンガリー王ラヨシュ2世からの貢ぎ物が届くが、その壺を満たした蜂蜜の中から勅使ベフラムの斬首された首が見つかる。激怒した皇帝スレイマンは、ラヨシュの討伐を誓う。イブラヒムは、ニギャール女官長が見当を付けた側女アイシェを呼び出し、指輪がマヒデブランの手元にあることを知る。そこで事態を内密にするため、母后がマヒデブランを呼び出している間に、ダイェ女官長がギュルシャーを問い詰めて指輪を取り戻し、側女の一人をスケープゴートに仕立てて、指輪をヒュッレムに返す。ヒュッレムは、夜伽に召されると改宗を申し出て、皇帝の前でイスラムに改宗する。指輪のことで母后から叱責されたマヒデブランは、指輪を失ったと知り慟哭するが、翌朝、流産していることが判る。自暴自棄になったマヒデブランは、改宗して嬉しそうなヒュッレムに出くわすと、つかみかかり、ヒュッレムの顔面が損傷するほど激しく殴打し、半殺しにしてしまう。 4 7命運を分かつ決断マヒデブランがヒュッレムに暴行した現場をニギャール女官長が通りがかり、ダイェ女官長、スンビュル宦官長と3人で個室に運び込み、この恥ずべき暴行事件を表沙汰にしてはまずいと忖度して、秘かに看病する。マヒデブランは、流産したため皇帝から見舞いを受けるが、暴行を知らされた母后から厳しく叱られる。スレイマンのマニサでの恩師カスム師が宮殿に呼ばれ、御前会議が催される。ハンガリーとの開戦について全会一致で、帝国の命運を分かつ決断が下される。開戦準備が着々と進められる。意識を取り戻したヒュッレムは、鏡で自分の無残な顔を見て泣き叫ぶ。皇帝が夜伽にヒュッレムを召すとイブラヒムが宦官長に伝えるが、スンビュルは何とか拒もうとする。ヒュッレムが夜伽を拒んでいると聞かされたスレイマンは、無礼だと怒り、後宮の個室へ押しかけると、ヒュッレムが待っていた。 8燃える野望ヒュッレムの傷だらけの顔に驚いたスレイマンは、マヒデブランの仕業と知ると、マヒデブランに我々の関係は終わりだと告げる。マヒデブランを旧宮殿(エスキ・サライ)に追放しようとするが、母后の取りなしにより追放は免れる。スレイマンは、ヒュッレムを自分の寝所に移させて、自ら看病する。やがて、ヒュッレムは全快し、皇帝から豪華な品々を贈られる。有頂天のヒュッレムはマリアに「私は宮殿を支配する。…あんたは私のダイェね」などと放言して、立ち聞きしているダイェを敵に回す。ダイェは、ヒュッレムが図に乗っていると母后に報告し、母后は策を練る。イブラヒムのせいで皇帝を独占できないと感じたヒュッレムは、イブラヒムともぶつかる。スレイマン、イブラヒム、マトラークチュらは、大砲の開発など開戦準備に余念がない。さらに、御前会議で作戦が取り決められ、カスム師が遠征で留守中の宰相に任命される。1521年5月18日、ついに皇帝スレイマンは軍を率いて、ハンガリー遠征に出陣する。 5 9母后の計略母后は、スレイマンの遠征中にヒュッレムを宮殿から追い出すために、カスム師の子息バトゥルに嫁がせようと企てる。1521年6月17日、ソフィアに野営するスレイマンらは作戦を検討し、まずはビイェルデレン要塞を攻略してからベオグラード城塞を攻める策を採ることにする。ヒュッレムは、スンビュル宦官長に皇帝遠征中の指導を頼み、まず母后に気に入られてから皇子を産むことにし、皇帝への手紙をニギャール女官長に代筆してもらう。だが、母后は、ヒュッレムを宮殿の庭園に呼び出してバラを摘ませ、その様子を見せられたバトゥルは一目で気に入ってしまう。母后は宴を催す一方で、ダイェを通じてヒュッレムに降嫁してエディルネに行く件を告げるが、ヒュッレムは泣き叫び大騒ぎで抵抗する。さらに翌朝、母后から改めて降嫁を命じられたヒュッレムは、皇帝の御子を身ごもっていると口からでまかせを言ってしまい、部屋で謹慎させられる。スレイマンは、ボスニアの県軍政官バリ・ベイとスメデルボの県軍政官ヒュスレブ・メフメトから情勢を聞き、その晩にゼムン城で敵軍司令官の婚礼があることを知り、夜襲をかけることにする。 10ハンガリー進攻宰相カスム師と子息バトゥルは、ヒュッレムの降嫁準備を今か今かと待ちわびている。スンビュル宦官長とニギャール女官長は、妊娠してると言いだして部屋に謹慎中のヒュッレムの口を割らせようとするが、うまくいかない。カスム師の催促に、母后は日延べを伝える。ハンガリーのゼムン城では、国王ラヨシュ2世を招待して、アリエル伯爵とビクトリア嬢の結婚を祝う宴が催されていた。ビイェルデレン要塞が陥ち、いまゼムン城にラヨシュがいると知ったスレイマンは、火矢と大砲で総攻撃を開始させる。城は陥落し、ラヨシュは逃亡するが、アリエル伯爵はスレイマンにより絶命し、ビクトリアは新郎を失った。ヒュッレムは、母后の指示で、医女による内診を受けさせられるが、医女は懐妊と診断した。ヒュッレムの懐妊を知らされたマヒデブランは卒倒したものの、その後ヒュッレムを薬で流産させることを思い付く。母后は、バトゥルに何と伝えさせようか思い悩むが、ヒュッレムを呼び出して妊娠中の事について教え諭し、懐妊を祝って後宮の者たちにソルベと菓子を配らせる。他方で、ヒュッレムの親友マリアは、宦官長にイスラムに改宗したいと申し出る。スレイマンは、大宰相が包囲していた「ドナウの心臓」ベオグラードの攻略に本腰を入れ、砲撃を開始する。 6 11男の戦、女の戦1521年8月29日、スレイマンはオスマン軍の総攻撃によってベオグラード城塞を陥落させ、オスマン帝国領とすると宣言し、降伏した者に危害を加えないこと、1年間の免税、街の修復、モスクや学校の建設などを指示した。バリ・ベイをスメデレボとベオグラードの県軍政官に任じる。勝報は帝都にも届き、母后はカスム師に皇帝凱旋の宴について話すが、ヒュッレムについては重体と偽る。そのヒュッレムとマヒデブランは、相変わらず憎まれ口の応酬を繰り返している。ニギャール女官長がヒュッレムを強く諌めるが、耳を貸そうとしない。遠征中のイブラヒムは、ハティジェからの恋文を読み、ヒュッレムの懐妊を知る。スレイマンが語る戦果を、書記官ジェラールザーデが「征服の書」に記す。スレイマンは厳しい冬が訪れる前に軍の帰還を命じ、ヒュッレム懐妊の朗報に喜ぶが、ラヨシュ2世はスレイマンがブダ進軍に怖気づいて逃げ帰ったとうそぶく。1521年10月19日、スレイマンが帰還して家族に挨拶するが、無視されたマヒデブランは、お付き女官ギュルシャーに、ヒュッレムの毒殺を命じる。ギュルシャーは、その晩の料理を皇帝の寝所に運ぶ役だった側女ハシベをそそのかして、デザート(マルメロの蜜煮)に毒を仕込ませる。イブラヒムの方は、皇女ハティジェとイチジク園で密会している。夜伽に召されたヒュッレムは、毒入りのデザートを喜んで頬張る。 12後宮の毒ヒュッレムは、皇帝の寝所に運ばれた毒入りデザートを食べてしまい、意識を失う。急いで呼ばれた医女が食べたものを吐かせるが、なお高熱が続く。ハティジェと密会していたイブラヒムは、皇帝のもとへ呼び出され、料理に毒を盛って暗殺を企てた者を捕らえよ、と命じられる。後宮は大騒ぎになり、イブラヒムは腹立ちのあまり、ニギャール女官長の首を激しく絞め上げる。思わぬ大事に、毒を盛った側女ハシベが一人で泣きじゃくっていると、ギュルシャーに見つかり、その後、首吊り死体で発見される。ハシベを殺害したギュルシャーは、マヒデブランの前で泣きじゃくるが、妃から「お前一人の罪よ」と冷酷にも突き放される。現場近くにいたギュルシャーは、イブラヒムに呼び出され、泣きながら、マヒデブランの意を受けて毒を盛らせたこと、ハシベを殺害したことを自供する。皇帝に訊かれたイブラヒムは妃の名を伏せるが、ギュルシャーを見かけたスレイマンは毒を盛らせた張本人がマヒデブランだと確信するが、本人にではなく、母后に対して「あの女を制御できないなら、私が(処罰を)やる」と警告する。スレイマンは、ムスタファ皇子のことを思い、母親であるマヒデブランの処罰を思いとどまったのだ。翌朝、マヒデブランはイブラヒムに呼ばれて、ヒュッレムと関わらず、皇子の養育に専念するように忠告される。ヒュッレムの快復に安心したスレイマンは政務に向かうが、ヒュッレムはまたもやイブラヒムと対立する。 7 13秘めた思いヒュッレムは、臨月が近いため、母后の計らいで世話係が付き、ニギャール女官長の指揮のもとで角部屋へ引っ越すことになった。御前会議の場では、ベネチア大使モチェニーゴが皇帝に戦勝の祝辞を述べるが、スレイマンはハンガリー王ラヨシュ2世に対して「臣従しなければ、ブダへ進軍する」との声明を発してベネチア大使をおびえさせる。ムスタファ皇子は、会議の場に戯れようとする。ロシアの大公ワシーリー3世の大使が戦勝を祝う書簡を差し出す。マヒデブランがヒュッレム毒殺を企てたことは秘せられたが、お付きの女官ギュルシャーは旧宮殿(エスキ・サライ)へ追放処分となる。ヒュッレムは、親友マリアが世話係になって喜ぶが、彼女からイスラムに改宗してギュルニハル(「若くて細身の美人」)という名になったと告げられると、急に警戒心が頭をもたげて、怒り出す。スレイマンは、翌年の春にロードス島へ遠征することを計画し、側近たちとロードス島の詳細を検討する。島は大おじジェムを人質にし、彼の子孫が今も捕虜になっていると憤る。スレイマンは、ロードス島騎士団長フィリップ・ド・リラダンに書簡で外交戦を仕掛ける。ヒュッレムは、皇女ハティジェとは仲良くし、お守りをもらう。が、ハティジェは、イブラヒムのことをペラペラ話してしまい、秘めた思いを知られたのではと、後悔する。母后は、寡婦であるハティジェを心配し、縁談について皇帝に相談するが、ハティジェは、年寄りに嫁ぐくらいなら死ぬ、とギュルフェムにぶちまける。皇帝はカスム師に、来年のロードス島遠征の間の留守を頼むが、師から先に母后に持ちかけられた縁談について問い合わせられて唖然とし、母后に釘を刺す。ヒュッレムは、イブラヒムとハティジェの仲睦まじい光景を目撃して、2人の秘めた思いを察してしまう。密会をヒュッレムに見られたことを知ったイブラヒムは、ヒュッレムの排除に傾き、皇帝の夜伽にヒュッレムの親友ギュルニハルを召すように宦官長に指示する。支度を整えたギュルニハルが皇帝の寝所に赴いたのと同じ頃、ヒュッレムが産気づいてのたうち回る。 14危険な出産ヒュッレムが陣痛のため叫び声を上げ続ける難産となり、医女やニギャール女官長たちがお産の世話をする。ヒュッレムと反目する小姓頭イブラヒムは、ヒュッレムの世話係になっていた側女ギュルニハルを皇帝の夜伽に差し向ける。やがて、玉のような皇子が無事に産声を上げ、ヒュッレムはやっと安堵する。が、駆け付けた母后は、ヒュッレムが赤子を抱こうとするのを妨げ、皇子にお清めをせよと命じる。出産の報告を受けた皇帝スレイマンは、息子を抱いて皇子メフメトと名付ける。気落ちしていたマヒデブランも祝いに訪れた。母后らは、ヒュッレムの出産の付き添いをするはずだったギュルニハルが、お産の晩にイブラヒムの差し金で夜伽に召されていたことを知り、ヒュッレムが気付いたら大騒ぎになるだろうと声をひそめる。ギュルニハルは、夜伽のことをスンビュル宦官長から口止めされ、ヒュッレムからは出産の昨晩にどこにいたと責められて苦悩する。出産後、眠っている間に悪夢にうなされたヒュッレムは、目覚めてから息子がいないと大騒ぎしながら後宮をうろつきまわり、母后のもとで医女の診察などの世話を受けていた息子を見つけて、母后に対して「息子をさらった」と無礼な態度を取るが、逆に母后から「メフメトは帝国に属する皇族の一員であり、側女一人には任せられぬ」と諭されてしまい、しょげかえって引き下がる。母后の指示で、メフメト皇子の誕生を祝って、後宮の女たちに金貨が配られる。一方、皇帝スレイマンと宰相たちのもとへロードス島騎士団長フィリップ・ド・リラダンからの挑発的な書簡が届く。宰相カスム師は、前に母后から息子とヒュッレムの縁談を持ちかけられていたので、ヒュッレムが皇子の母として妃になったと知って愕然とするが、後ほど皇帝から大金と耕地を贈られて隠居する羽目になった。皇帝妃となったヒュッレム妃に、クロテンの毛皮などの品々を贈られ、皇帝から妃と認められて喜ぶが、後で側女エスマから出産の晩に皇帝が側女の誰かと同衾していたと聞き知って激昂し、事もあろうにそのギュルニハル当人に向かって、皇帝と同衾した女が誰なのか調べるように迫り、勢い余って彼女の首を激しく締め上げる。 8 15裏切りロードス島侵攻の事前準備として、イブラヒムは宮廷史家マトラークチュに潜入調査を命じる。砦を視察して細密画を描かせるのだ。ロードス島騎士団長リラダンから援護を求められたバチカンの枢機卿は、オスマン帝国が地中海の制海権を得てしまう重要な地を易々と明け渡せないとはいえ、帝国との貿易協定も捨てがたい様子。一方で窮地に陥ったギュルニハルはニギャール女官長に相談する。ヒュッレムは皇子を抱き皇族の毛皮を得意げに身に付け、母后ハフサの許を訪れる。母后とマヒデブランからはメフメト皇子と引き離すため乳母に託すよう勧められるが毒殺を恐れて断る。産後40日経過しないと夜伽に上がれない産褥中の慣習にも焦りを抱えている。ハティジェは服従と慣習としきたりに従うようヒュッレムに諭すが、自らも強いられた婚約に従えず内に秘めたイブラヒムへの思いを断ち切れない。イブラヒムは来たる遠征での別離を思い、ギュルフェムの助けでハティジェに蝶のブローチと恋文を贈る。明け方の寒冷の中、ご寝所から忍び足で戻ったギュルニハルが皇帝スレイマンの温情で毛皮をまとっているのを見て逆上したヒュッレムは騒動を起こしてしまう。母后はこれを機に皇子を奪う罰を与えようとしたが思いとどまる。ギュルニハルは側女アイシェとの相部屋の個室に一時退避された。本意ではなく命令に服従しただけの者や傍観者を含め周囲が皆で親友の夜伽に共謀したことに感付いたヒュッレムは、指輪の盗難、毒殺未遂、牢屋行きの経験を経て、秘密裏に計略を謀ることを覚えてしまい、皮膚に炎症を起こす毒を手に取ってしまう。 16汚れた手ハティジェは母后から大宰相ピリーメフメトの息子でムスタファ皇子の教師としても博識を誇る人物チェレビーとの縁組みを知らされ、思い悩んだテラスで雪が降りしきる中倒れて高熱を出す。縁談に浮かない様子に母后は首を傾げる。産褥が開けたヒュッレムはスレイマンに螺鈿鏡の贈り物をして愛を伝える。一方でニギャール女官長に命じてギュルニハルには忘れ物の毛皮を届けさせる。実は毒が塗られていた毛皮を夜中巻いて寝たギュルニハルは顔の皮膚がただれて溶けてしまう。調査に当たったダイェはヒュッレムの関与を知り、ニギャールに口止めして母后に報告する。ヒュッレムは夢で亡き母と再会するが、仇を討って欲しいとはいえ一度悪事に染めた手は止まらなくなると責められる。ニギャールは知らずに共犯の運び役とされたことをヒュッレムに詰め寄るがしらを切られ、ダイェからの口止めにも関わらずスンビュル宦官長を含め側女たち後宮中がヒュッレムの犯行を知るよう仕向ける。通路で母后とダイェに出くわしたヒュッレムは、自分の関与はニギャールの嘘でニギャールを罰するよう示唆するが、母后は顔をそむけ、メフメト皇子を乳母に託すよう命じる。最初に毒を盛ったマヒデブランは皆に庇われるが、自分は罰としてついに皇子と引き離され、ヒュッレムは待遇の差に慟哭する。 9 17王の刺客ヒュッレムはスレイマンに直談判を試みるがイブラヒムに阻止され、マヒデブラン側に付く者と確信する。ハティジェの看病中に胸中を知ったマヒデブランはイブラヒムとの逢瀬に進んで加担する。その頃ハンガリーのブダ王宮ではラヨシュ2世がスレイマン暗殺の企てを図っていた。婚礼の夜にゼムン城で新郎を殺されたビクトリアを帝国の後宮に送る算段だった。後宮ではギュルニハルがヒュッレム付きに復帰する。ヒュッレムは祈祷師を呼び、スレイマンが他の女によそ見をせず、次期皇帝にはメフメト皇子を、自分は母后になれるよう祈りのお守りを作るよう命じる。御前会議でアフメト宰相はフェルハト宰相を謗ることに余念がない。ベネチア大使からラヨシュ2世の報復の可能性を指摘されたスレイマンだが一笑に付した。ビクトリアは宮殿の内通者の斧槍持ち(衛兵の一種)ボンジュクとの港での待ち合わせに失敗したが、ロードス島の視察から戻ったばかりの宮廷史家マトラークチュに保護され、イブラヒムの推薦でニギャール監督のもとに側女アイシェ付きの女官として後宮に上がった。マトラークチュは持ち帰った細密画を手に、スレイマンにロードス島の城塞は強固なため坑道を掘り内部の協力者を得て城内に到達する策を提案する。 18皇女の婚約皇帝スレイマンは病気から快復した妹ハティジェにロードス島遠征後の婚儀の挙行を通告した。正式に婚約中となったハティジェは毒薬を飲んでしまう。知らせを受けて駆け付けたダイェによってハティジェは食あたりとされ母后には自害を伏せられる。ビクトリアは奴隷ではないという出身についての嘘を側女アイシェに怪しまれる。完成したお守りを持って参上した祈祷師から第二子懐妊を予見されたヒュッレムは喜びに沸く。婚約勅状を自らの手で筆したイブラヒムは愛用のバイオリンを叩き壊す。マヒデブランの差し金で毒を盛ったギュルシャーは追放を解かれ後宮に戻る。ハティジェの婚約式で大宰相の息子チェレビーは咳が出ている。婚約式でスレイマンの近くに控えたビクトリアはゼムン城の落城を回想し、皇子たちの別部屋にわざと放火する。 10 19ロードス島への出陣火災騒ぎの中、第一皇子ムスタファと第二皇子メフメトを抱えて煙立つ中現れたビクトリアは偽りの手柄を立て母后付き女官となる。気が動転したヒュッレムはムスタファが火事を起こしたと言い放ちスレイマンの不興を買う。疑心暗鬼になったヒュッレムはギュルニハルにメフメト皇子の小守を厳命し、ニギャールに祈祷師を呼ぶよう命じる。ロードス島の遠征中は頼るべきスレイマンも不在となり何が起こるか分からない。スレイマンに許しを懇願する恋文を書くが、メフメト皇子のみ呼ばれ、ヒュッレムは自室に取り残される。スレイマンは島民の命と財産を保証する降伏勧告を書くが、ロードス島騎士団長リラダンは破り捨て、バチカン枢機卿に救援を要請する。1522年6月18日出陣前の別れの挨拶時、スレイマンはマヒデブランに手を差し伸べ、ヒュッレムを無視する。地中海を航海中、追憶に囚われたイブラヒムは思わず故郷の話をして遠征後の帰郷を許可される。ヒュッレムは自室から出られない幽閉状態で遠征中を過ごす。スレイマンとイブラヒムは真夜中の海上で砲撃に遭う。 20皇帝の命(いのち)母后ハフサは皇帝スレイマンの乗った船が沈んだとフェルハト宰相から報告を受ける。後宮は悲しみに包まれ、スンビュルから知らされた懐妊中のヒュッレムは姿見を割り気絶してしまう。スレイマンはオスマン帝国の前線基地に戻り、船や人員など数か月の準備を水泡に帰した大宰相ピリーメフメトの失策を詰る。ピリーは国璽を返上して辞職を願い出るが戦時中のため保留となる。アフメト宰相はチョバンの発案であり、ピリーの戦略の失敗ではないと擁護する。スレイマンはチョバンのロードス島遠征の総司令官の職を解任し、アフメト宰相に兼任させる。皇帝の代が変わると側女は全員追放になる習わしから側女たちは口さがない。スレイマン生存の追報を受け後宮中が安堵する中、見せかけの改宗を行ってイスラム名でサドゥカ(貞淑)と名付けられたビクトリアだけが顔を曇らせている。様子がおかしいと訝しむ同室の側女アイシェ。ロードス島では騎士団長リラダンが皇帝スレイマンの大おじジェムの息子ムラトと親しく言葉を交わしている。ヒュッレムはニギャールに手紙の代筆を頼む。ギュルシャーを使い、ニギャールを呼び出したマヒデブランはヒュッレムと親しくし過ぎていることを叱責する。ヒュッレムとマヒデブランの板挟みに悩むニギャールは、告げ口したギュルシャーを責め、スンビュルに助言を求める。ロードス島騎士団長リラダンは再三要請したバチカンからの援軍が来ないことに諦念を固め、ムラトに降伏の意を伝える。ムラトはスレイマンを害しようと使いを出す。 11 21勝者と敗者ロードス島の教会で最初のイスラム礼拝を行う中、ムラトから差し向けられた刺客がスレイマンを狙うが、イブラヒムが命を賭して助ける。ヒュッレムは皇女を出産する。母后は皇女ミフリマーフ(月と太陽)と名付ける。マヒデブランは安堵して側女たちに金貨と菓子を配る。戦火を経て騎士団長リラダンと対面したスレイマンは約束通り命と財産と宗教上の自由を保障し、兵士たちの略奪を禁じ、降伏したリラダンに長衣(カフタン)を授けムラトを差し出すよう命じる。イスラム教徒のオスマン帝国の皇族でありながらキリスト教徒としてロードス島に育ったムラトと対峙し、スレイマンは深くため息をつく。側女アイシェはサドゥカが十字架に祈っている姿を発見してニギャールに告げ口する。大宰相ピリーメフメトの息子チェレビーはムスタファ皇子の授業中、咳が止まらなくなってしまう。 22煉獄の住人チェレビーが倒れた報告を受けたスンビュルは母后に報告する。母后は教師の任を解き人を手配する。第二子として皇女を産むも側女たちからも敬意を払われず状況の変わらないヒュッレムはニギャールに助言を求める。マトラークチュはサドゥカ(ビクトリア)を忘れられない。サドゥカと斧槍持ちホンジュクが言葉を交わしているところを目撃したスンビュルとニギャールは訝しむ。スレイマンは遠征から帰還してヒュッレムと再会し、父帝セリムが母后ハフサに贈った詩を詠む。ニギャールは帰還したイブラヒムに後宮の様子を報告する。イブラヒムはチェレビーを見舞い、吐血を見てしまう。ギュルフェムに頼み、ハティジェに会うため危険を冒して夜のイチジク園に誘う。ダンテの神曲を読みながら、天国と地獄の間の煉獄の住人であることを思う。スレイマンは改めて大宰相ピリーメフメトを解任し、イブラヒムの姿を探すが、小姓頭の居室で天国と地獄について書かれた文を発見する。ヒュッレムが宴を開いているところにマヒデブランが現れる。 12 23イブラヒムの運命マヒデブランは誰の許可で宴を開いたかとヒュッレムを叱責する。ヒュッレム・スルタン(Hürrem Sultan)である自分の命だと返答する。マヒデブランは皇帝妃を自称するとは厚かましいと一蹴するが、皇女ハティジェ・スルタンが割って入り威厳をもって双方ともにきつく注意する。皇帝スレイマンは短刀(地獄)を片手に国璽(天国)とどちらを選ぶか、どちらを選んでも命に関わるとイブラヒムに覚悟を迫り、ピリーメフメトに代わりイブラヒムが大宰相となるよう言い渡す。ピリーメフメトは息子の病気を知らない。ニギャールは一朝一夕では皇帝妃になれないと言い、ヒュッレムに少し慎むよう諭す。御前会議でイブラヒムの就任が正式に発表されると、昇進を期待していたフェルハト宰相、アフメト宰相、元宰相チョバン、イスラムの長老ゼンビリ一同が驚愕する。赤い礼服(ヒラット)を賜ったイブラヒムはアフメト宰相と対立する。ヒュッレムはスルタン(皇帝妃)と呼ぶ手本を示すようニギャールに言いつける。チェレビーが結核を患っていることをイブラヒムから知らされたマヒデブランは血相を変え母后に相談する。母后はハティジェには秘密にするよう言い渡す。 24神聖な木曜日イブラヒムは約束された故郷パルガへの帰郷をスレイマンに嘆願する。ムスタファ皇子が高熱を出し、勉強中にチェレビーと長く過ごした息子が結核に感染した可能性に思い当たりマヒデブランは心を痛める。前夫を亡くした寡婦ハティジェを思い、スレイマンに縁組みを考え直させるため、母后はチェレビーを診察した医師の診断結果を奏上する。だがスレイマンはチェレビーが快復するまで婚儀は延期するとしただけだった。ロードス島からの凱旋後に夜伽のお召しがないため、スレイマンがムスタファの容態を心配して一晩中マヒデブランの部屋で過ごしたことを伝え聞くと、ヒュッレムは心穏やかでいられない。スレイマンは前大宰相ピリーメフメトが息子チェレビーの病気を知らせなかったと指摘する。サドゥカは母后に呼ばれて来たスレイマンと部屋で二人きりの状況になったが、短刀を所持しておらず手が出せない。母后はスレイマンに家族と過ごす慣習の神聖な木曜日はマヒデブランを夜伽に呼ぶよう諭す。ハティジェはチェレビーが結核であっても結婚が撤回されないことを嘆く。イブラヒムは故郷へ旅立つ前にスレイマンの部屋に手紙を残し、スンビュルにマヒデブランを最優先に考えるよう命じる。ヒュッレムは久々にご寝所に召されたのはマヒデブランと知る。 13 25故郷へ皇帝の寝所から戻ったマヒデブランの機嫌が悪く、ギュルシャーは冷たくあしらわれる。実態は手も触れられず皇帝スレイマンから一晩無視されていた。スレイマンはイブラヒムの手紙を発見し、イブラヒムがパルガから戻らない決意であることを知る。ハティジェへの愛のためイブラヒムは己の将来を投げ打ったのだった。母后の計らいで木曜の夜をマヒデブランに渡した経緯を知ったヒュッレムは、ハティジェがイブラヒムに恋煩いしていることを母后に密告する。長く思い悩んでいた理由をよりによってヒュッレムから聞かされた母后はハティジェを詰問し、ハティジェはイブラヒムの命乞いのためスレイマンに目通りを願い出るが叶わず憔悴する。次第に対立していた側女アイシェさえもヒュッレム・スルタン(皇帝妃)と呼ぶようになるが、母后の影響力は大きく、スレイマンは次の木曜もマヒデブランを寝所に召す。第三宰相アフメトは第二宰相フェルハトが不正をしているとスレイマンに奏上する。 26ぬれぎぬイブラヒムはパルガで父マノリスと双子の兄ニコと再会する。ニコは亡き母のバイオリンをイブラヒム(クリスチャン・ネームはテオ)に贈る。ヒュッレムはアイシェと側女たちの大部屋で激しく言い合うところを皆に目撃される。ギュルニハルはアイシェにヒュッレムと対立しないよう諫言する。夜中に起き出した同室のサドゥカを怪しみ尾行したアイシェは、サドゥカが斧槍持ちボンジュクに文を渡すところを目撃する。サドゥカは発覚を恐れ、以前から脅迫を受けていたこともあり、アイシェを殺してしまう。アイシェの擁護を叱責されたために昨夜はヒュッレムと部屋を共にしていなかったギュルニハルを始めとして、後宮中がアイシェを殺したのはヒュッレムと思い込む。調査が行われる中、アイシェとの犬猿の仲を知られていたサドゥカも犯人候補となるが言い逃れる。イスラムの長老ゼンビリの許にフェルハト宰相の傍若無人な振る舞いを訴え出る投書が舞い込む。フェルハトはアフメトが指摘したようにハティジェの姉皇女ベイハンを娶っており皇帝家の婿だった。母后は皇子皇女をヒュッレムから取り上げて軟禁状態とする。イブラヒムの許へスレイマンから拝謁するよう手紙が届く。スレイマンは母后から犯人としてヒュッレムの名を挙げられる。 14 27聖断イブラヒムの家族はイブラヒムがオスマン帝国に戻る付き添う決意をする。スレイマンはヒュッレムを旧宮殿(エスキ・サライ)に追放するよう母后に言い渡す。スレイマンの許に参内したイブラヒムとハティジェはついに結婚の許可を得る。ヒュッレムは無実を訴えるが母后の冷淡な応対を浴び、スンビュル、ニギャール、ギュルニハルに全財産を差し出して助けを求める。子供たちとも引き離され泣きじゃくるヒュッレムを、さすがに側女たちも同情する。ハティジェからイブラヒムとの結婚を知らされた母后は最愛の娘ハティジェに秘密を打ち明けられずに疎まれていた心の距離を感じる。息子スレイマンともハティジェの婿選びのことで判断を誤った謗りを感じ受けている。母后の判断に全面的な信頼を置けなくなったスレイマンは逡巡してヒュッレムの件も思い直し、イブラヒムにアイシェ殺人の調査を担当させる。 28ヒュッレムの追放ヒュッレムはハティジェに無実を訴える。マヒデブランはヒュッレムを信じるなと言うが、皇女ハティジェたる私に命令するつもりかと逆に叱責を受ける。ヒュッレムはルテニア時代の恋人レオの夢を見るが、奇しくもレオは帝都に上陸しておりマトラークチュと親交を得ていた。イブラヒムは故郷から持ち帰ったバイオリンをテラスで奏でる。甘く哀しい調べはハティジェのテラスにも届き最上の時を過ごす。ヒュッレムは対立しているイブラヒムにさえも無実を訴え出た。母后はハティジェの結婚の件で意見が尊重されなかったことをスレイマンに漏らすが言い返されてしまう。結婚式を前に皇女ベイハンが訪れる。夫たるフェルハト宰相の命乞いを母后に頼むためだ。ヒュッレム追放の日ギュルニハルはヒュッレムと共に後宮を去る覚悟を決め、ヒュッレムは自分にも酷い仕打ちをしたにも関わらず心からの味方が一人だけいたことを知り哀しく微笑む。ヒュッレムのいない後宮はスンビュルとニギャールにも退屈に思われ、メフメト皇子との別離の悲嘆に心動かされた側女ルフサルがずっと黙っていたヒュッレムに有利になる目撃情報を伝える決心をする。イブラヒムは初の御前会議で議決権をスレイマンから一任され、第二宰相フェルハトのスメデレボ軍政官、第三宰相アフメトのエジプト州軍政官への左遷をそれぞれ言い渡す。イブラヒムはルメリ軍政官アヤスと元宰相チョバンを新たに宰相とする。イブラヒムは旧宮殿(エスキ・サライ)を訪れ、無実の罪からヒュッレムを救う代わりに交換条件を提示する。 15 29服従か死かイブラヒムの交換条件はヒュッレムがマヒデブランに服従することだった。スレイマンは第一皇妃となりながら御子を得て失い、スレイマンの寵愛も失ったギュルフェムを呼び出し語り合う。ギュルフェムのお召しを知ったマヒデブランはスレイマンとの距離が自分よりも近いことに心中葛藤する。メフメト皇子が母を恋しがって泣き通しであることに心を痛めたハティジェは、夜中にお忍びで旧宮殿(エスキ・サライ)を訪れる。アイシェの死後、夜伽を務めてもいないサドゥカが個室を占有していることに側女たちが憤り、大部屋に入ることを余儀なくされる。行動に周囲の目の制限がつくことを恐れたサドゥカは黄金の道を通り夜伽を望むようになる。皇位継承権を持つ孫を伴った夜の外出を知った母后はハティジェを咎める。ハティジェの婚約発表の宴の招待がないヒュッレムは、決意を固め馬車に乗り込む。皇帝家の婿となることが発表されたイブラヒムは、エジプトに左遷されたアフメトの恨みを買う。 30美しき悪魔イブラヒムの交換条件を飲んだヒュッレムは後宮に戻る。母后はまたしても自分の許可なく決定が下されたと知る。ヒュッレムはマヒデブランの服の裾に接吻をして敬意を見せスレイマンを喜ばせる。後宮の闘争に終わりを告げるかのように見え、安堵を覚える一同だったが、ヒュッレムは秘めた決意を抱えて後宮に戻って来たのだった。ヒュッレムの改悛を快く受け止めたスレイマンは帰還したヒュッレムと一夜を過ごし木曜の約束を反故とした。ヒュッレムの天下にさせないため母后は新しく対抗馬となりうる側女としてサドゥカを用意する。アヤスが第二宰相となったため空席中のルメリ(ヨーロッパ)軍政官の任命について、イブラヒムはスレイマンの沙汰を仰ぐが、スレイマンはベネチア(現在のイタリア)のパルガ出身のイブラヒムの兼担が適任だと言う。ハティジェとの新居の下見に訪れたイブラヒムはマトラークチュに天使の壁画制作の手配を依頼して推挙されたレオと会う。ヒュッレム不在中にサドゥカの夜伽を敢行するべく、母后はヒュッレムを連れて大宰相邸に赴く。自分が呼ばれなかったことを知ったマヒデブランは失意に陥る。壁画制作のためハティジェの屋敷に訪れていたレオはヒュッレムとすれ違う。 16 31心の嵐レオは大宰相邸で忘れもしないアレクサンドラことヒュッレム(「朗らかな声」の意味)の声を聞く。後宮ではサドゥカがご寝所で復讐を実行に移す寸前のところで、メフメト皇子が庭園の池に落ち、血相を変えメフメトの許に向かったスレイマンの背中を見送る。ヒュッレムは不在中のメフメト皇子の不慮の事故にマヒデブランの関与を疑わず完璧な服従の態度をスレイマンを含め、改めて皆に見せてスレイマンの寵愛が深まる。実は本心を隠し通すことを学んだだけなのだが、成長を素直に喜んだニギャールはサドゥカが不在中にご寝所に上がった情報を提供してしまう。ベネチア大使モチェニーゴはヨーロッパ情勢に明るいイブラヒムの就任を祝福する。ハティジェがイブラヒムとの結婚により後宮を去る際ギュルフェムも伴えないことをこぼす中、ヒュッレムは皇子たちを火難から救ったサドゥカを大宰相邸に連れて行くよう示唆する。大使から情報を得たイブラヒムとスレイマンはバチカンが目下躍起になっているプロテスタント系ルターに密かに肩入れし、キリスト教世界の対抗構造を生み出すよう策案する。またイブラヒムはアフメトのエジプト赴任にあたり、自らの息がかかった補佐を密使とする。ヒュッレムの後宮復帰、ギュルフェムの召喚、ハティジェの新居下見に母后が自分を伴わなかったこと、木曜夜伽でスレイマンに無視され続けた等々の心痛が重なりマヒデブランは体調を崩す。マヒデブラン付き女官ギュルシャーはもしや懐妊ではないかと言う。 32クリミアの恋人ハティジェは母后に新居に伴う側女としてサドゥカを賜る。大宰相邸に送られる決定を聞いたサドゥカは焦燥し、内通者の斧槍持ちボンジュクと相談するが、ボンジュクは後宮を去る運命と分かった美しいサドゥカに乱暴する。ギュルシャーはマヒデブランの体調不調について懐妊だと側女たちに先走って話してしまう。懐妊の噂を聞きつけた母后の祝福を受けるが、木曜の夜は触れられることもなく同室しているだけの真実を打ち明けられないマヒデブランはギュルシャーを叱責する。辱められたサドゥカの悲鳴にスンビュルが駆けつけ、ボンジュクは斬首刑となる。イブラヒムは大宰相邸に飾る絵画にスレイマンの肖像画を願い出る。イスラム教徒にとって偶像崇拝につながる禁忌(ハラム)に近いものであったが、他ならぬイブラヒムの頼みであり、メフメト2世もベリーニに肖像画を描かせたと言ってスレイマンは快諾する。イブラヒムはレオに肖像画を描くことを命じる。大好物のウズラのピラフを際限なく食べたがるヒュッレムにニギャールは妊娠中みたいと言い、ヒュッレムは医女を呼んで確認させる。結果は第三子懐妊だった。マヒデブランの涙を見たギュルシャーはヒュッレムの命を奪うことを誓う。 17 33壮麗な祝宴マヒデブランはギュルシャーに思い留まるよう命令する。サドゥカは寵臣イブラヒムの大宰相邸であれば皇帝自らの訪問もあると納得する。ハティジェとの婚礼の前夜、庭園で会えるよう手引きをしたニギャールはイブラヒムに頬をなでられ動揺する。祝典は9日間続く壮麗なもので国の威信をかけて行われるが、先のロードス遠征で得た国費を費やしたと言って一般庶民と歩兵常備軍(イェニチェリ)は反感を持つ。ベネチア大使は親欧派のイブラヒムに取り入り、婚礼祝いとして欧州風テーブルを贈る。祝宴に馳せ参じる馬車の中、ヒュッレムは産気づき、三度目の出産も皇帝スレイマン不在の中で行わねばならなかった我が身と、壮麗な祝宴を挙げてもらっている皇女ハティジェとの身分の違いを痛感する。第三子は第三皇子の誕生でマヒデブランが産んだ皇子の数をついに超す運びとなった。 34蜜月皇子誕生の命名式への参加に気が乗らないマヒデブランだが皇妃の矜持をかけて出席する。第三皇子は父帝に倣ってセリム皇子と名付けられる。ハティジェとの婚礼の夜を迎えたイブラヒムは思いを遂げる。マトラークチュはサドゥカが大宰相邸にいることに気が付く。マヒデブランは重要なのは皇子の数ではなく皇帝の地位に就くかどうかだと言い放つ。スレイマンは皇子を2人産んだ褒美にヒュッレムを外出に誘って森で籠に入った小鳥を贈り共に自然の中で一晩を過ごす。母后以外の、奴隷として強制連行された全ての側女、女官、宦官、またイブラヒムを含む宰相たちにとっても前例のない外遊は禍根を掘り起こす。ハティジェはイブラヒムから欧州風テーブルを使った食事習慣を求められ戸惑う。エジプトに左遷されたアフメトがマムルーク朝のスルタンと接触したとイブラヒムは報告を受ける。ハティジェの夕食会に招待された一同のうち、特に母后と皇帝は欧州風テーブルを使った食事に眉をひそめる。サドゥカは自分に恋心を寄せるマトラークチュに、処刑されたボンジュクの代わりに港に行きハンガリーとの連絡係となるよう謀る。サドゥカの正体を知らないマトラークチュは受けてしまう。夕食会の席にて大宰相邸に欧州風壁画を描いた絵師として正式にレオを紹介されたヒュッレムは顔色を変える。 18 35再会ヒュッレムは大宰相邸の別室で昏倒してしまう。ハティジェはサドゥカを呼び介抱させる。イブラヒムとの結婚を当初から良く思わない母后は欧州風の暮らしに疑念を持つ。夕食会の席でスレイマンはヒュッレムとの肖像画を描くようレオに命じる。マトラークチュはサドゥカに得意げに連絡手段が整ったと伝える。エジプト州軍政官として赴任したアフメトは皇帝を自称して独自に新たな金貨の鋳造と人事を命じる。肖像画の制作時にレオと顔を合わせることを懸念したヒュッレムだが、レオを目前にして思わず母国語ロシア語で密かに会話を交わす。実はロシア語を解するニギャールは訝しむ。マヒデブランはハティジェが後宮を去ったことで空室となったテラス付きの部屋を母后に請う。イブラヒムは自ら後見役を務めるマヒデブランの産んだ第一皇子ムスタファを歩兵常備軍(イェニチェリ)の訪問に伴う。マヒデブランがテラス付きの部屋を母后に請願していることを知ったヒュッレムは、母后に先んじて皇帝スレイマンに直訴して部屋を賜る。 36争いの火種エジプトの密使からアフメトの謀反を知らされたイブラヒムはスレイマンに伝達する。スレイマンはイブラヒムに反逆者(ハーイン)アフメトの討伐を命ずる。母后の命で元ハティジェの部屋を新しく整えるよう命じられていたスンビュルは、スレイマン直々の命令との板挟みに陥るが、マヒデブランの前で覚悟を決め皇帝の命を明白に優先させる。スレイマンとイブラヒムとムスタファ皇子は連れ立って歩兵常備軍(イェニチェリ)の棒給の儀に出席する。イブラヒムはエジプトへアフメトの討伐に向かうことをハティジェに告げ、万が一の安全のため父マノリスと双子の兄ニコをミストラ県に送る手配を第二宰相アヤスに命じる。ヒュッレムは肖像画やイブラヒム邸の壁画制作にかこつけてレオと個人的な言葉を交わす。ハティジェはイブラヒムとの別離を嘆くがイブラヒムとの子を身籠り幸福の絶頂を味わう。 19 37反逆者(ハーイン)の末路ヒュッレム有利と見て次第に肩入れを深めるニギャールだったが、マヒデブラン付き女官ギュルシャーに見咎められ袋を頭に被せられ暴行を受け、マヒデブランに自分の側に付くよう二重間諜(スパイ)を命じられる。反逆者(ハーイン)アフメトを手際よく斬首の後晒し首の刑に葬ったイブラヒムはスレイマンに朗報を伝え、遠く離れたハティジェへの思いを霊鳥(シームルグ)になぞらえて恋文をしたためる。皇帝スレイマンが第一皇子ムスタファとエディルネ宮へ狩りに赴くことを知ったヒュッレムは、マヒデブランに代わり第二皇子メフメトとともに相伴に与るよう画策する。エディルネ宮にて皇帝のエメラルドの指輪がないことに気付いたヒュッレムは必死に探し、小守の側女エスマにも問うが見つからない。後宮に残ったマヒデブランはテラス付きの元ハティジェの部屋で指輪を発見する。 38不吉な兆し帝都イスタンブルでは、異教徒からの改宗者イブラヒムが最高要職に就き良い暮らしをしていること、皇帝スレイマンが遊びの狩りに出て不在であることに、歩兵常備軍(イェニチェリ)が不満を溜めていた。ニギャールはイブラヒムとの情事を夢見るようになる。イブラヒムは一人エジプトで法整備を進めている。エディルネ宮では可愛がっていた小鳥が死んだことと指輪の紛失に不吉の兆しを見たヒュッレムがスレイマンに先んじてムスタファ皇子とメフメト皇子と共に後宮へ戻ることにする。だが既に皇帝不在を機と見た歩兵常備軍(イェニチェリ)の暴動が始まっており市場が略奪され今にも後宮に押し入らんとしていた。後宮では第二宰相アヤスから報告を受けた母后がハティジェを心配して気を失いかける。ハティジェは歩兵常備軍(イェニチェリ)が憎悪を向ける大宰相邸にギュルフェムと取り残されているのだ。マヒデブランは緊急事態で失念しておりエメラルドの指輪を嵌めたまま避難していたところをニギャールに目撃される。後宮への道が封鎖されたヒュッレムは大宰相邸に向かう。サドゥカを思うマトラークチュ、ヒュッレムを思うレオも合流するが、ハティジェは気が動転して足を滑らせ階段から落ちてしまう。 20 39反逆の代償第二宰相アヤスの使者から報告を受けたスレイマンは迅速に行動を起こす。海路を取り帝都イスタンブル入りを果たし、歩兵常備軍(イェニチェリ)の要求を聞き暴動を抑えつける。後宮に戻ったスレイマンは母后と再会するが、自分に先立って出発したヒュッレムの姿がないため、二人の皇位継承権を持つ皇子たちの行方不明を伝える。母后から第一皇子ムスタファの消息を聞かされたマヒデブランは卒倒してしまう。20万金貨(ドゥカ)の臨時金を勝ち取った歩兵常備軍(イェニチェリ)だったが、暴動を先導した長官はスレイマン自らの手で斬首される。手引きをした書記官長も処される。ハティジェの腹の子は流れてしまっていた。大宰相邸にハティジェを迎えに行ったスレイマンは、ヒュッレムと皇子たちと再会する。無事に戻ったムスタファから、ヒュッレムが自分を守ってくれたことを聞いたマヒデブランは、エメラルドの指輪を返そうとヒュッレムの部屋を訪れるが決心をつけられない。ギュルシャーとニギャールが対立する。イブラヒムが宮殿へと戻る。 40痛みの記憶イブラヒムと再会したハティジェは流産を伝える。スレイマンは再びヒュッレムに籠の小鳥を贈る。ヒュッレムはエメラルドの指輪を探すため大部屋の側女たちに情報提供を呼びかけ、ニギャールにも問うがニギャールは知らないふりをする。マヒデブランに呼び出されたニギャールは指輪の返却を言いつけられる。ヒュッレムはレオへの手紙を報奨金に紛れ込ませニギャールに届けさせるが、感付いたニギャールは手紙をこっそりと読んでしまう。ヒュッレムの秘密の過去の恋を知ったニギャールはギュルシャーを浴場の桶に沈めてやり返す。イブラヒムは新しい書記官長にジェラールザーデを任命する。ハティジェを心配したスレイマンは大宰相邸に外泊するが、見覚えのあるサドゥカを見つけ果たせずにいた夜伽を迫る。 21 41疑惑突然のことでサドゥカは武器を所持しておらず意のままになってしまう。新郎を殺した憎き皇帝に抱かれてしまった無力さに一人むせび泣く。イブラヒムはレオを帝国に留めおくため宮廷工房に送る。マヒデブランに呼び出されたニギャールは情報を持ち込めば役職の昇格を約束される。一度は母后からの懇願により左遷のみで済まされたフェルハトの税金の不正徴収と賄賂の横行が、再び取り沙汰され御前会議の議題に上がる。ニギャールは報奨金を返却するという名目で忍ばされたレオの手紙を今回も読んでしまう。フェルハトと皇女ベイハンが勝手に任地スメデレボを離れ母后を訪れる。依頼された母后はスレイマンに再度命乞いをするが跳ね除けられる。 42悲しみと死の宮殿アッケルマン(現在のウクライナ)軍政官が送って来た特別扱いの2人の側女ニーナとターニャが到着する。自分の出身に近いロシア方面ウクライナ出身であり明るい色の髪と肌を持つことにヒュッレム(史実では「ロシア女」を意味するロクセラーナという通り名が欧州では有名)は憂慮する。徐々にイブラヒムへの懸想を深めるニギャールは、ヒュッレムとマヒデブランとイブラヒムの三者に挟まれ困惑する。誰の奴隷でもなく自分自身であれと言われたニギャールは思わずイブラヒムに迫ってしまうが突き放される。もはやスレイマンの意思が揺るがぬことを確信した母后は、フェルハトの処刑予定時間にベイハンをハティジェと共に大宰相邸へ誘い出す。後宮に戻ったベイハンはフェルハトの処刑をスレイマンから伝えられる。ベイハンは悲しみの余り錯乱し、兄としての温情を持たないとスレイマンに非難の言葉を、処刑時間に連れ出した母后への不信を、慰めの言葉をかけたハティジェには「いつか皇帝である兄が夫を処刑したときに初めて私の気持ちが分かる」と言い放ち、後宮を後にする。ダイェがターニャの夜伽の準備をニギャールに命じ、ニギャールは即ヒュッレムに情報提供する。心痛のヒュッレムは籠の鳥をテラスから空に放ち、スレイマンの寝所に乗り込み、他の女と寝るなら私を先に殺してと嘆願する。 22 43愛の反乱私の忍耐と良心を試すなとスレイマンは言うが、愛と貞節ゆえに懇願するのだとヒュッレムは言い募る。もし明日中に自分とは別のロシア女を追放しなければ後宮を出て行くと主張する。立派な皇帝ではあるが近辺の者への感情が無いと他ならぬ妹皇女ベイハンに言われたばかりのスレイマンは葛藤を抱える。親兄弟を皆殺しにされ投獄され殺人の濡れ衣を着せられ親友が夜伽に差し出され私物が盗難されても服従の態度を見せ、素行が落ち着いていたヒュッレムを思い、奴隷はどこへも行けぬ子供たちにも合わせぬと迫るが、ヒュッレムは死体になってでも後宮を出て行くという。ロシアの側女たちが出て行くか、自分が死ぬかの二者択一を曲げない。後宮中がヒュッレムの敗北を確信するが、スレイマンは大方の予想に反しロシアの側女を送り返すよう命じ、後宮中がついにヒュッレムの愛の勝利を知る。母后は愛など存在せぬと自室で息巻く一方、スレイマンもまた自室でイブラヒムを相手に命懸けの愛を平定するための妥協に不満はないと宣っていた。ギュルシャーは再度ヒュッレムを廃することをマヒデブランに誓う。ベネチア大使は元首の私生児アルヴィーゼ・グリッティを擁立する。 44悪夢ムスタファ皇子とメフメト皇子を教室から連れ帰ったギュルシャーは「ムスタファ皇子のついで」「私はムスタファ皇子に使える者」との差別発言をする。無礼を聞き咎めたヒュッレムは叱責する。ヒュッレム以上に嫌われ者のギュルシャーを大部屋の側女たちも笑う。グリッティを気に入ったスレイマンは礼服(ヒラット)を贈る。ギュルシャーはマヒデブランにヒュッレム殺害許可を請う。サドゥカは近々欧州への遠征があることを立ち聞きし本国ハンガリーとの連絡手段を模索する。ムスタファ皇子は皇位継承権を持つ皇子らしからぬ振る舞いでスレイマンに叱られる。ヒュッレムはスレイマンから贈られた、本来であれば皇族にしか許されないモチーフである帝国国花チューリップのブローチを付けて母后の茶会(サロン)に出席する。得意気なヒュッレムが憎くてならないギュルシャーはその夜、闇に紛れてヒュッレムとセリム皇子が就寝する寝台(ベッド)のふくらみに向け憎悪を込めて何度も短刀を振り下ろして突き立てた。 23 45後宮の凶行ヒュッレム付きの小守エスマがセリム皇子の泣き声を聞きつけ寝台を確認すると血が流れている。仰天したエスマが大声で人を呼び騒ぎとなる。スンビュルとニギャールが見るとふくらみの中に横たわる姿はヒュッレムではなくギュルニハルだった。刺されて重体となったギュルニハルはすぐさま治療院へ送られる。人違いで殺人を犯し呆然自失の体で部屋に戻ったギュルシャーは、刺客がギュルシャー本人だとマヒデブランに見破られてしまう。命令を下してもいないのに殺人を疑われる立場となり激怒し血がのぼったマヒデブランはギュルシャーを折檻する。アイシェ殺害に続き皇帝妃を狙った殺人鬼が後宮に潜んでいる状況に母后もダイェも戦慄する。ギュルニハルの隣に臥せっており明らかに人為的な重傷を負っている不審に気付いたニギャールは、ギュルシャーの凶行を聞き出す。 46最後の手紙ムスタファ皇子からマヒデブランが自室で泣いて暴れたと聞かされたスレイマンは顔を曇らせる。マヒデブランはニギャールに弱みを握られた形となり、ヒュッレムの過失を情報提供すれば昇格させると約束していた役職を母后に請願せざるを得なくなる。両皇妃の部屋への出入りや恋心のため身綺麗に小まめに浴場に通うなど、仕事を疎かにしていたにも関わらず昇格したニギャールをスンビュルは訝しむ。ハティジェはマトラークチュがサドゥカに懸想していることを確信する。サドゥカから報告を受けたハンガリー王ラヨシュ2世はバチカンへ近々遠征があることを伝えるが、敗者に肩入れしない方針のバチカンは神聖ローマ皇帝カール5世のほうに保護を懇願するよう突き放し、ベネチア元首の息子グリッティは庶子に過ぎず教会の祝福を受けていないと言い放つ。ギュルニハルは一命を取り止めた。マヒデブランに疑念を抱いたスレイマンは自室を訪れる。グリッティに満足したスレイマンはカール5世の宿敵フランス王フランソワ1世に関する書簡を託す。フランソワはカールへの対抗心からプロテスタント派のルターを庇護していた。ニギャールの後を尾行したスンビュルはレオから手紙を受け取っているところを目撃してしまう。後宮の恋愛禁止の規則に則りスンビュルはイブラヒムに報告し、イブラヒムはレオの手紙を取り上げることに成功し、ヒュッレムの過去の恋愛を知ってしまう。 24 47命がけの密会思いを寄せるイブラヒムから詰問されるがニギャールはヒュッレムを可能な限り庇う。明日庭園で待ち合わせる手紙を何事もなかったかのようにヒュッレムへ届けるようイブラヒムは命令する。密会に来たところを検挙するための罠だった。当日ニギャールはヒュッレムが庭へ向かわないよう邪魔をする。それでも庭へ向かうヒュッレムだったが、母后とマヒデブランの前に現れたのみでレオは待ちぼうけとなる。痺れを切らしたイブラヒムは更に強硬手段を取り、レオを拘束して監禁脅迫する。 48死の宣告グリッティは妹モニカを伴って大宰相邸の夕食会に参加する。スレイマンの肖像画の完成披露もされたが、イブラヒムはレオがすでに帝国を去ったと嘘をつく。モニカはイスラム世界の女性の地位について意見を述べるが、キリスト教世界も同じだとヒュッレムにそつなくやり返される。ヒュッレムは第四子を懐妊していた。翌日ヒュッレムは大宰相邸でレオと引き合わされイブラヒムから脅迫を受け毒入りロクム(菓子)を手渡される。サドゥカはヒュッレムを追って来たスレイマンの首に短刀を押し当て復讐を遂げようとしていた。
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