か‐しつ〔クワ‐〕【過失】
過失(かしつ)
”過失”とは、自分の行為から一定の結果が生じることの認識(予見可能性)があって、結果の回避が可能だったにもかかわらず、回避するための行為を怠ったことをいう。
損害の賠償を請求する場合、相手方の故意や過失によって損害を被ったことを立証しなければならない(民法709条)。民法の原則によれば、特許品を無断で製造したという特許権侵害の場合であれば、「侵害者がその製造行為によって特許権を侵害することを予見できたこと」などを権利者が証明しなければならない。したがって、侵害者が特許権があることを知らない場合には証明が難しく、損害賠償を請求することも難しくなる。
しかし、特許権、意匠権、商標権が侵害された場合には、侵害者に過失があったものと推定される(特許法第103条等)。これら権利の内容は、特許公報によって公開されるため、「業として」実施をする場合には過失があるものと推定することにしている。したがって、侵害を行った側が無過失である場合には、侵害者がその旨を証明しなければならない(立証責任の転換)。
(執筆:弁理士 古谷栄男)
過失
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/23 07:28 UTC 版)
過失(かしつ)とは、注意義務に違反する状態や不注意をいい、特に民事責任あるいは刑事責任の成立要件としては、ある結果を認識・予見することができたにもかかわらず、注意を怠って認識・予見しなかった心理状態、あるいは結果の回避が可能だったにもかかわらず、回避するための行為を怠ったことをいう。
- ^ 篠塚昭次 & 前田達明 1992, p. 245.
- ^ a b c d e f g 福田清明「民法 (債権法) 改正案における債務不履行損害賠償の要件構成」『明治学院大学法科大学院ローレビュー』第25巻、明治学院大学大学院法務職研究科、2017年1月、95-111頁、CRID 1050001339222470912、hdl:10723/3097、ISSN 1349-4376、2023年12月29日閲覧。
- ^ a b c d 篠塚昭次 & 前田達明 1993, p. 1.
- ^ a b c 篠塚昭次 & 前田達明 1993, p. 11.
- ^ a b c 篠塚昭次 & 前田達明 1993, p. 12.
- ^ a b 大塚仁 2008, p. 203.
- ^ 大塚仁 2008, p. 183.
過失
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/25 15:18 UTC 版)
両罪とも暴行や傷害の故意がなく、死傷の結果について過失があることが要件となっている。暴行や傷害の故意があれば傷害罪・傷害致死罪が成立する。 また、業務上の過失である場合には業務上過失致死傷罪に、重過失があれば重過失致死傷罪に該当し、従来よりも重く処罰される。もっとも、「業務」の範囲が広く認められているため、また業務でなくとも(立件されるほどの事案であれば)重大な過失があったと認定する傾向がある。 さらに一定の類型の作為、不作為により死傷の結果を惹起した場合は結果的加重犯として処罰されるため(例:往来危険汽車転覆致死傷罪)、過失致死傷罪に該当する事例は狭い範囲に限られている。多くの類型は自転車事故や火気、燃料の誤取扱などによる死傷であるが、情状や結果が重かった場合には重過失致死傷罪として立件される事が多い。 なお、自動車(原動機付自転車を含む)の運転上必要な注意を怠り、過失により死傷に至った場合には、従来は業務上過失致死傷罪に問われていたが、自動車運転過失致死傷罪への改正を経て、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の過失運転致死傷により処罰されるようになった。
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「過失」の例文・使い方・用例・文例
- 彼は事故を人為的過失のせいだとした
- 業務上過失
- 過失致死
- 彼は自分の過失を認めるのをいやがった
- 彼は社長が犯した数々の過失を挙げて,みんなが社長に敵対するように仕向けた
- 重過失がない個人に責任を負わせない
- あの過失までは彼は実にうまくやっていた。
- 支払われる保険金額は過失割合によって異なる。
- 本件に関する賠償金は過失相殺により減額された。
- 事故後、会社は過失責任を認めた。
- 無過失補償制度は医師が長期的な訴訟に巻き込まれるのを避けるのに役立つ。
- 返送時の毀損はお客様側の過失となります。保証の付く配送サービスをご利用下さい。
- 僕が過失を犯した時、彼は弁護してくれた。
- 彼をその過失で責めるな。
- 彼は自分自身の過失に気付いていない。
- 彼は自分の過失の責任を認めた。
- 彼は私の過失を責めた。
- 彼の過失を許した。
- 他の人の過失を責めるな!
- 私は彼の過失を指摘している。
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