業務上の過失
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刑法上、業務上の過失が構成要件とされている例がある。 業務とは、本来人が社会生活上の地位に基づき反復継続して行う行為をいい、かつその行為は他人の身体生命等に危害を加えるおそれのあるものであることを必要とするとされる(最高裁昭和33年4月18日判決・刑集12巻6号1090頁)。 業務上失火罪、業務上過失激発物破裂罪 失火罪又は激発物破裂罪の行為が業務上必要な注意を怠ったことによるときは、3年以下の禁錮又は150万円以下の罰金に処する(刑法117条の2)。 業務上過失致傷罪 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する(刑法211条前段)。 業務上過失往来危険・業務上過失汽車転覆等 業務上の過失により汽車、電車、もしくは艦船の往来の危険を生じさせ、または汽車もしくは電車を転覆させ、もしくは破壊し、もしくは艦船を転覆させ、沈没させ、もしくは破壊した者は3年以下の禁錮または50万円以下の罰金に処せられる。(刑法129条2項)
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業務上の過失
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/19 06:37 UTC 版)
日常用語における「業務」とはいわゆる「職業として継続して行われる仕事」の事を指すが、本罪の要件たる「業務」はこれと異なる。厳密な定義には争いがあるが、本罪にいう「業務」は、社会生活上の地位に基づき反復継続して行う行為であって、生命身体に危険を生じ得るものをいう(最判昭和33年4月18日刑集12巻6号1090頁)。 したがって、自動車運転過失致死傷罪の新設前は、自動車事故で人を死傷させると、業務上過失致死罪や業務上過失傷害罪が成立した(実際上、業過事件のほとんどが自動車事故であった)。すなわち、自動車の運転は反復継続性があり、また他人に危害を与える可能性があるものであるから、私用による運転であっても業務に当たるのである。 日常用語にいう「業務」と業務上過失致死傷罪にいう「業務」とが一致する分野もある。代表的なものは医療過誤による業務上過失致死傷罪である。医師の医療行為は、医師という社会生活上の地位に基づいて継続反復して行われるものであり、その過誤によっては患者の生命身体に危険を生じるものだからである。 なお、本罪にいう「業務」は適法である必要はない。自動車運転免許証の一時停止処分を受け、法定の運転資格がない場合でも業務に当たるとした判例がある(最決昭和32年4月11日刑集11巻4号1360頁)。
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