いりょう‐こうい〔イレウカウヰ〕【医療行為】
医療行為
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/09 07:59 UTC 版)
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医療行為(いりょうこうい、英語: healthcare practice、medical practice)とは、人間の傷病の治療・診断または予防のため、医学に基づいて行われる行為である。一般的には医行為と同義語として扱われ[1]、広義では代替医療や統合医療を含めた医療全般の行為を指す。
概要
体にメスを入れたり、エックス線を照射したりするように、他者の身体を傷つけたり体内に接触したりするような医療侵襲行為は、これが正当な業務でなければ傷害罪や暴行罪に該当する違法性がある。したがって、たとえ医療のためであってもこのような行為を行うには、正当な医療行為とされる後述の条件を満たす違法性阻却事由が必要である。医療従事者には、その行為が特別に許されるための要件として、資格(医師免許、歯科医師免許、看護師免許、助産師免許等)がある。医療行為には患者にとって不利益な事態をまねく恐れが大きいものもあるので、相応の知識と医療倫理が要求される。
医師・歯科医師のみが行える医業・歯科医業とは、医行為を反復継続の意思をもって行うこと(業)であり、医行為のうちの一部は医師などの指示の下、他の有資格者(看護師等)にも認められている。このほか、調剤を行う薬局も医療法で医療提供施設と定められていることから、薬剤師の調剤も医療行為に該当する。
医療行為の3条件
医師が行う行為が医療行為とみなされるためには、以下の要件をみたさなければならない。
- 治療を目的としていること
- 承認された方法で行われていること
- 患者本人の承諾があること
ただし、上記条件を満たさない例外的医療行為として、以下のようなものがあげられる。
- 輸血用血液の採血
- 実験的治療行為
- 先端医療
- 幼児、精神障害者、意識不明者など患者本人の承諾がとれないとき
- 緊急時の医療
医療行為が可能な者
医療行為は業として行わなければ、これを全面的に禁止する法令はない。無資格者であっても、前述の条件を満たすなどの上で正当性があれば、心肺蘇生法や自動体外式除細動器の使用などの応急処置を行うことができるのは、業として行うのではないからである。
また、医師以外の者に禁止されている「医業」は「医行為」を業(医業)として行うことと解されている。「医行為」は医療行為全てを指すものではなく、「歯科医業」のうちの口腔外科以外の歯科領域(咬合構築に関する医療行為)や、「調剤」は医療行為であるが医行為ではないため、歯科医師法、薬剤師法により医師が業として行うことはできない。ただし、調剤は医師も行うことができる例外が定められている。
なお、自分自身の体に行う行為は該当せず、家族は本人に準ずるとして家族に対する医療行為は事実上容認されている。
具体的範囲
患者の安全の為、医療行為を業として行う者を制限することは必要なことではあるが、その範囲が曖昧なため、在宅患者に対して簡単な行為でもホームヘルパーが行えないなど不利益も生じており、一部の行為については範囲が設定された。
医療行為に該当する行為
医療行為に該当しない行為
- 検温、血圧測定、パルスオキシメーターの装着、耳垢除去、つめ切り、点眼、湿布のはり付け、軟膏塗布、座薬挿入、一包化された薬の内服の介助、口腔内の清拭、浣腸[3][4]
- 身長体重計測、肺活量測定、抜毛、検尿、検便、心理カウンセリング
- 特定保健用食品、健康食品、ダイエット関連、健康体操各種
グレーゾーンとされる行為
- 喀痰吸引、経管栄養[5] - 2011年に介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律によって社会福祉士及び介護福祉士法が改正され、一定の研修を修了した介護職員や教員などが喀痰吸引や経管栄養を実施することについて、2012年4月から施行された[6]。
脚注
- ^ “医行為と医行為でないものの違いを理解する” (pdf). 日総健. 2015年11月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年3月27日閲覧。
- ^ 厚生労働省通知(平成13年11月8日医政医発第105号)
- ^ 厚生労働省通知(平成17年7月26日医政発第0726005号) - 医薬品にかかる箇所は医師、または歯科医による処方、および薬剤師による服薬指導が必要。
- ^ 医行為 - 医師法第17条、歯科医 師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について 医政発第0726005号 平成17年7月26日
- ^ 厚生労働省通知(平成15年7月17日医政発第0717001号、平成16年10月20日医政発第1020008号、平成17年3月24日医政発第0324006号、平成22年4月1日医政発0401第17号) - 医行為であるが当面のやむを得ない措置として許容されるとした(実質的違法性阻却論)。
- ^ 「介護職による医療行為の実態と研修がもたらす効果」
関連項目
医療行為
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/13 14:18 UTC 版)
ラヒホイタヤによる皮下注射、吸引など一部の医療行為については、医師や看護職へ技能を披露し、実施可能と判断されれば許可を受けて実施できる。 ラヒホイタヤの制度が”介護と看護の統合”かつ”施設と在宅サービスの統合”を目指すものであり、たとえば在宅ケアでは従来は別人が行っていた准看とホームヘルパーの業務を同一人物ができる。これが人件費の節約、ホームヘルパーの専門性と労働条件の向上につながった。サービス利用者も入れ替わり立ち代り複数の准看やホームヘルパーの訪問を受けるより、一人と持続的な関係が持てる。これらの結果、フィンランドのケアワーカーの地位はOECD諸国の中でもフルタイムが多いこと、教育レベルが高い事が特徴となった。 フィンランド社会保健省 『安全な薬事ケアガイド2006』 (Turvallinen lääkehoito valtakunnallinen opas 2006) におけるラヒホイタヤの薬事ケアへの参加許可ルール基礎資格のための教育で得られる準備追加講習によって確認されなければならない技能責任者/許可を与える者-患者ごとのポーションとしての配薬-自然経由で投与される薬剤ケア-皮下注射,筋肉注射 -薬品の発注-皮下注射,筋肉注射-非医薬性の基礎輸液を含む注入ボトルや輸液バッグの交換-救急ケア 許可:活動単位の医療ケア活動の指導医師または彼が任命する医師技能披露:法定の医療ケアの専門スタッフ 自然経由で投与される薬剤ケアとは、点眼剤・点耳剤の投与、錠剤の経口投与、舌下投与、座薬や膣挿入薬の投与、 経口、坐薬、錠剤、カプセル、点眼薬、軟膏、貼付剤、吸入薬。 皮下注射は主にインシュリン。
※この「医療行為」の解説は、「ラヒホイタヤ」の解説の一部です。
「医療行為」を含む「ラヒホイタヤ」の記事については、「ラヒホイタヤ」の概要を参照ください。
「医療行為」の例文・使い方・用例・文例
- その男は無免許でに、医療行為を行っていた。
- 医療行為にかかわること
- 世帯に重点を置くと同時に年令か性別にかかわらず健康管理を提供する医療行為
- 科学的調査を無視した観測と経験に基づいて行う医療行為と医療判断
- 器具を使用しての切開を伴う医療行為
- 倫理的な医療行為
- ほどこされる医療行為または治療
- 薬局で準備され配給され、医療行為に使用される薬または薬物
- 患者に医療行為をしない一般的仕事を行う男性の病院付添い人
- 医療専門家を補助し、緊急医療行為に当たる教育を受けた人
- 特定の病気に禁忌である医療行為
- 死期を早めるような医療行為を行って死亡させること
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