発注とは? わかりやすく解説

発注

発注とは、発注の意味

発注(はっちゅう)は「注文すること」「注文を出すこと」であり、とりわけ商取引において商品サービス調達依頼することを指す意味で用いられる語。所定の手続き発注書作成等)を経て正式に調達依頼する、という場面を指す意味合いが強い。 「発注」の対義語は「受注」。なお「発注」はもっぱら事業者間の商取引において用いられ一般消費者店舗において注文するという場面指して用いられることは基本的にない。

発注の使い方

「発注」は名詞もしくはサ変動詞として扱われる。「発注-を-する」か「発注-する」か、どちらの言い方使えるビジネスシーンでは「発注」と「注文」はほぼ同義語として扱える基本的にビジネスシーンで、注文という言葉が発注に代わる考えて問題はないだろう注文取消しは発注取り消し注文書発注書という風にそのまま置き換えることができる。ビジネスであれば使用できる場面限定されないため、色々なところで使われる。「卸売り業者品物発注する」「工事発注する」というのが、その一例である。

発注の類語と使い分け

発注の類語として代表的なのは、同じ意味を持つ注文だ。相手ビジネス業者であれば発注、個人だと注文使用する。そして、オーダーという言葉も、類語として使用されることが多い。どちらかというと注文ニュアンス使用されがちだが、発注の意味使用して問題はない。その他には「誂える」、「依頼する」といった類語がある。どちらも頼んだ命令したりして、相手を動かす言葉である。ただ、使用する場面は発注の方が限定的で、基本的に依頼内容決まっている。それに対して誂える」や「依頼する」は、漠然とした内容場合使用することが多い。

発注の語源

発注は注文発するという意味なので、語源注文と同じである。そして、注文は元々、註文という単語だった。註文の「註」は記すという意味を持っており、註文依頼され内容やその量を文として記すという意味となる。本来註文依頼だけでなく、様々なことを書き記すという意味で使われた。それが時間の経過と共に依頼という意味に限定された形である。そして、常用漢字として註が注に統一された。そのような背景で、発注は依頼内容や量を記した注文を出すという意味となる。

発注のよくある間違い

「発注」と「注文」は場面に応じて使い分け求められる場合があり、使い方によっては誤りもしくは不適切)と捉えられかねない具体的には、一般消費者動向について「レストラン料理発注すると言ったり、事業者動向について「自治体地元企業工事注文したと言ったりすると、違和感持たれやすい。

はっ‐ちゅう【発注/発×註】

読み方:はっちゅう

[名](スル)注文を出すこと。「必要な備品を—する」⇔受注


注文

(発注 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/04 01:44 UTC 版)

注文(ちゅうもん/しるしぶみ)とは、日本古文書のひとつ。

人名や物品の種類・数量を一つ書き形式で記したもの。

概要

主に依頼を受けて物事を調査する際に控えもしくは明細などの副進文書として作成されるもので、注進状と違い正式に提出されることを前提にした文書ではない。

中世に発達し、人名を記した「交名注文」や調達すべき物資の明細を記した「支度注文」、合戦時に負傷した者や負傷の状況を記した「合戦手負注文」、討ち取った敵の首について記した「分捕頸注文」などがあった。

文献的には軍記物である『源平盛衰記』27巻(14世紀)に「おのおの聞書きの注文に~」と記され、確認される。

注文による研究

軍事

「合戦手負注文」の研究によって、中世当時の戦傷率が解明でき、南北朝14世紀)の合戦においては、7 - 8割が弓矢による負傷とわかっている[1][2]。全31頭の軍馬の戦傷も記録されているが、その内、61%は矢、白兵戦による切り傷は35%、刺し傷は3%となっており、こちらも矢による負傷率が高い。一方、致死率は矢の場合は低く、太刀・薙刀による切り傷や槍による刺し傷は高くなっている[3]

また、後世の軍忠状との比較によって、鉄砲登場後の戦傷率の変化もわかり、永禄6年から慶長5年の間(1563年 - 1600年)の軍忠状による分析では、鉄砲による負傷が45%、弓矢・が27%、[・は28%[4]と、注文の記述は合戦での武器の主流の変化の解明に貢献している。

しかし、受け身側のみの記録であり、死因はほとんど不明で、特に攻撃側の状況に関しては一切不明である。そのため戦闘法の変化などを解明するのには不完全であり、攻撃側の状況を把握する必要がある[5]。また記録対象は士分以上に限られ、雑兵や足軽、軍夫は対象外であること、亡国敗軍側は基本的に合戦手負注文や軍忠状を作成しない[6]など記録内容に偏りがある。

「首取り注文」に関しては、鎌倉終期から南北朝期(14世紀)にかけての『毛利家文書』を調べた本郷和人によれば、そのほとんどが「首一つ○○(人名、誰々が取った)」とあり、「首二つ○○」といった注文は稀であり、例外中の例外としており[7]、それが14世紀の実態であったと個人的な見解を述べている。ただし、中世における首級は数ではなく、誰を討ち取ったかを重視した点や頭部と兜の重さ(合わせて10kgは軽く超える)を考慮すれば、多く運べたとは考えにくい。[8][9]

軍事以外

中世において、何らかの理由で家財道具を差し押さえられた場合、差し押さえた側がどういったものを差し押さえるかを検討し、目録として記した文書、または、差し押さえられた側が不当に感じて、どういったものを差し押さえられたかを書いた文書を、「雑物注文」、「色々物注文」という[10]。一種の財産目録であり、時代時代の変化を研究できるが、近畿周辺のものが残り、東国九州にはほとんど見られない[11]平安末期から鎌倉初期(12世紀末)では、烏帽子なども記されている[12]。鎌倉末期から室町初期(14世紀)では、注文から若狭国で女性名主が多いことなどがわかっている[13]。この時代となると農具・武具が多様化している[14]網野善彦が注目している点として、が記述されていることであり、庶民の常食としての位置が確認できる資料である[15]。また14世紀中頃の百姓の注文の中には、太刀はないが、が現れている一方、女性名主の注文の方には武具が無く、この時期に(少なくとも近畿圏の)女性の武装が無くなった可能性が示唆されている[16]

近代の商業

注文は、後には動詞化して、特定の物品の調達を依頼する(結果として依頼した相手によって依頼に関する注文を作成される)ことを「注文する」と言うようになった。近代の商取引では、物品の調達を依頼する一般用語として用いられる。なお、注文を出すことを「発注(はっちゅう)する」、注文を受けることを「受注(じゅちゅう)する」という。

『広辞苑』(岩波書店)には、「注文生産」や「注文帳」の項目がある。

脚注

  1. ^ 近藤好和『中世的武具の成立と武士』吉川弘文館 
  2. ^ 鈴木眞哉『謎とき日本合戦史 日本人はどう戦ってきたか』講談社 
  3. ^ トマス・D・コンラン『図説 戦国時代 武器・防具・戦術百科』原書房、80頁。 
  4. ^ 鈴木眞哉『鉄砲と日本人』洋泉社 
  5. ^ 近藤好和『騎兵と歩兵の中世史』吉川弘文館、99-100頁。 
  6. ^ 笹間良彦『図説 日本戦陣作法辞典』柏木書房、280頁。 
  7. ^ 本郷和人『軍事の日本史 鎌倉・南北朝・室町・戦国時代のリアル』〈朝日新書〉2018年、31頁。 
  8. ^ 『訓閲集』
  9. ^ 山口博『日本人の給与明細』〈角川ソフィア文庫〉2015年、192頁。 
  10. ^ 網野善彦『中世再考 列島の地域と社会』〈講談社学術文庫〉2000年、73頁。 
  11. ^ 網野善彦『中世再考 列島の地域と社会』〈講談社学術文庫〉2000年、100頁。 
  12. ^ 網野善彦『中世再考 列島の地域と社会』〈講談社学術文庫〉2000年、74頁。 
  13. ^ 網野善彦『中世再考 列島の地域と社会』〈講談社学術文庫〉2000年、82頁。 
  14. ^ 網野善彦『中世再考 列島の地域と社会』〈講談社学術文庫〉2000年、82,85頁。 
  15. ^ 網野善彦『中世再考 列島の地域と社会』〈講談社学術文庫〉2000年、85頁。 
  16. ^ 網野善彦『中世再考 列島の地域と社会』〈講談社学術文庫〉2000年、85-86頁。 

参考文献

関連項目


発注

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/04 14:54 UTC 版)

ヴォーリャ (戦艦)」の記事における「発注」の解説

ヴォーリャは、日露戦争後ロシアにおける海軍強化政策一環としてバルト海ガングート級セヴァストーポリ級)に続いて建造されインペラトリーツァ・マリーヤ級戦艦3番であった当初艦名は、ロシア語で「皇帝アレクサンドル3世」という意味のインペラートル・アレクサンドル3世(Император Александр Третийイムピラータル・アリクサーンドル・トリェーチイ)であった

※この「発注」の解説は、「ヴォーリャ (戦艦)」の解説の一部です。
「発注」を含む「ヴォーリャ (戦艦)」の記事については、「ヴォーリャ (戦艦)」の概要を参照ください。

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発注

出典:『Wiktionary』 (2021/10/20 09:26 UTC 版)

名詞

はっちゅう

  1. 注文を出すこと。

動詞

活用

サ行変格活用
発注-する

対義語


「発注」の例文・使い方・用例・文例

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