受注とは? わかりやすく解説

じゅ‐ちゅう【受注/受×註】

読み方:じゅちゅう

[名](スル)注文を受けること。「鉄道会社から車両を—する」⇔発注


注文

(受注 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/04 01:44 UTC 版)

注文(ちゅうもん/しるしぶみ)とは、日本古文書のひとつ。

人名や物品の種類・数量を一つ書き形式で記したもの。

概要

主に依頼を受けて物事を調査する際に控えもしくは明細などの副進文書として作成されるもので、注進状と違い正式に提出されることを前提にした文書ではない。

中世に発達し、人名を記した「交名注文」や調達すべき物資の明細を記した「支度注文」、合戦時に負傷した者や負傷の状況を記した「合戦手負注文」、討ち取った敵の首について記した「分捕頸注文」などがあった。

文献的には軍記物である『源平盛衰記』27巻(14世紀)に「おのおの聞書きの注文に~」と記され、確認される。

注文による研究

軍事

「合戦手負注文」の研究によって、中世当時の戦傷率が解明でき、南北朝14世紀)の合戦においては、7 - 8割が弓矢による負傷とわかっている[1][2]。全31頭の軍馬の戦傷も記録されているが、その内、61%は矢、白兵戦による切り傷は35%、刺し傷は3%となっており、こちらも矢による負傷率が高い。一方、致死率は矢の場合は低く、太刀・薙刀による切り傷や槍による刺し傷は高くなっている[3]

また、後世の軍忠状との比較によって、鉄砲登場後の戦傷率の変化もわかり、永禄6年から慶長5年の間(1563年 - 1600年)の軍忠状による分析では、鉄砲による負傷が45%、弓矢・が27%、[・は28%[4]と、注文の記述は合戦での武器の主流の変化の解明に貢献している。

しかし、受け身側のみの記録であり、死因はほとんど不明で、特に攻撃側の状況に関しては一切不明である。そのため戦闘法の変化などを解明するのには不完全であり、攻撃側の状況を把握する必要がある[5]。また記録対象は士分以上に限られ、雑兵や足軽、軍夫は対象外であること、亡国敗軍側は基本的に合戦手負注文や軍忠状を作成しない[6]など記録内容に偏りがある。

「首取り注文」に関しては、鎌倉終期から南北朝期(14世紀)にかけての『毛利家文書』を調べた本郷和人によれば、そのほとんどが「首一つ○○(人名、誰々が取った)」とあり、「首二つ○○」といった注文は稀であり、例外中の例外としており[7]、それが14世紀の実態であったと個人的な見解を述べている。ただし、中世における首級は数ではなく、誰を討ち取ったかを重視した点や頭部と兜の重さ(合わせて10kgは軽く超える)を考慮すれば、多く運べたとは考えにくい。[8][9]

軍事以外

中世において、何らかの理由で家財道具を差し押さえられた場合、差し押さえた側がどういったものを差し押さえるかを検討し、目録として記した文書、または、差し押さえられた側が不当に感じて、どういったものを差し押さえられたかを書いた文書を、「雑物注文」、「色々物注文」という[10]。一種の財産目録であり、時代時代の変化を研究できるが、近畿周辺のものが残り、東国九州にはほとんど見られない[11]平安末期から鎌倉初期(12世紀末)では、烏帽子なども記されている[12]。鎌倉末期から室町初期(14世紀)では、注文から若狭国で女性名主が多いことなどがわかっている[13]。この時代となると農具・武具が多様化している[14]網野善彦が注目している点として、が記述されていることであり、庶民の常食としての位置が確認できる資料である[15]。また14世紀中頃の百姓の注文の中には、太刀はないが、が現れている一方、女性名主の注文の方には武具が無く、この時期に(少なくとも近畿圏の)女性の武装が無くなった可能性が示唆されている[16]

近代の商業

注文は、後には動詞化して、特定の物品の調達を依頼する(結果として依頼した相手によって依頼に関する注文を作成される)ことを「注文する」と言うようになった。近代の商取引では、物品の調達を依頼する一般用語として用いられる。なお、注文を出すことを「発注(はっちゅう)する」、注文を受けることを「受注(じゅちゅう)する」という。

『広辞苑』(岩波書店)には、「注文生産」や「注文帳」の項目がある。

脚注

  1. ^ 近藤好和『中世的武具の成立と武士』吉川弘文館 
  2. ^ 鈴木眞哉『謎とき日本合戦史 日本人はどう戦ってきたか』講談社 
  3. ^ トマス・D・コンラン『図説 戦国時代 武器・防具・戦術百科』原書房、80頁。 
  4. ^ 鈴木眞哉『鉄砲と日本人』洋泉社 
  5. ^ 近藤好和『騎兵と歩兵の中世史』吉川弘文館、99-100頁。 
  6. ^ 笹間良彦『図説 日本戦陣作法辞典』柏木書房、280頁。 
  7. ^ 本郷和人『軍事の日本史 鎌倉・南北朝・室町・戦国時代のリアル』〈朝日新書〉2018年、31頁。 
  8. ^ 『訓閲集』
  9. ^ 山口博『日本人の給与明細』〈角川ソフィア文庫〉2015年、192頁。 
  10. ^ 網野善彦『中世再考 列島の地域と社会』〈講談社学術文庫〉2000年、73頁。 
  11. ^ 網野善彦『中世再考 列島の地域と社会』〈講談社学術文庫〉2000年、100頁。 
  12. ^ 網野善彦『中世再考 列島の地域と社会』〈講談社学術文庫〉2000年、74頁。 
  13. ^ 網野善彦『中世再考 列島の地域と社会』〈講談社学術文庫〉2000年、82頁。 
  14. ^ 網野善彦『中世再考 列島の地域と社会』〈講談社学術文庫〉2000年、82,85頁。 
  15. ^ 網野善彦『中世再考 列島の地域と社会』〈講談社学術文庫〉2000年、85頁。 
  16. ^ 網野善彦『中世再考 列島の地域と社会』〈講談社学術文庫〉2000年、85-86頁。 

参考文献

関連項目


受注

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/07 04:46 UTC 版)

ボーイング777X」の記事における「受注」の解説

2022年5月現在 ボーイング777X ファームオーダー日付顧客受注備考-8-9F 計000000002013-11-17-00002013年11月17日 ドイツ ルフトハンザドイツ航空 0 20 7 27 000000002013-11-17-00002013年11月17日 アラブ首長国連邦 エティハド航空 8(後にキャンセル) 17(後に11キャンセル) 25 尚、経営不振により2019年に777-8X全てと777-9Xの一部キャンセルした。 000000002013-12-20-00002013年12月20日 香港 キャセイパシフィック航空 0 21 21 000000002014-07-09-00002014年7月9日 アラブ首長国連邦 エミレーツ航空 35 115 115 000000002014-07-16-00002014年7月16日 カタール カタール航空 10 50 34(16機のオプション付き) 74 000000002014-07-31-00002014年7月31日 日本 全日本空輸 0 18 2 20 当初777-920発注していたが、2機を777-8Fへ変更。 000000002015-06-04-00002015年6月4日公表顧客 0 10 10 000000002017-02-09-00002017年2月9日 シンガポール シンガポール航空 0 31 31 000000002019-02-28-00002019年2月28日 イギリス ブリティッシュ・エアウェイズ 0 42 42 2022年3月4日 エチオピア エチオピア航空 0 0 5 5 合計 45 309 39 351

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受注

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/10/23 14:53 UTC 版)

RQ-15 (航空機)」の記事における「受注」の解説

2002年3月アメリカ特殊作戦軍から初期生産契約得た次いで2003年3月アメリカ合衆国海軍からの受注を一式5百万ドル得た内訳は、3機のネプチューン地上機材一式であった2004年納入開始し2007年2月21日にRQ-15の型番与えられた。同年中頃には15機が登録されていた。

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受注

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 23:48 UTC 版)

レック制御」の記事における「受注」の解説

産業用巻取機の製造販売が主であるが、金属箔リサイクル装置測定器プログラム開発など、開発型の設備を得意とする研究開発型の受注を多く請け負う。 2軸ターレット自動巻取機(自動切断自動巻き付け基材フィルムセパレーター銅箔アルミ箔電極電極材の剥離装置リチウムイオン二次電池電極カーボン アルミ酸化物からカーボン剥がし単体化 アルミから酸化物剥がし単体化 非常用電源装置震災などにより電源絶たれ場合有効な装置本装置内に、がれき(木屑)を入れ静かに燃やして電気作る照明携帯電話充電に有効。

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