螺鈿とは? わかりやすく解説

ら‐でん【××鈿】

読み方:らでん

ヤコウガイ・オウムガイなどの貝殻真珠色に光る部分磨いて薄片にし、種々の形に切って漆器木地表面はめ込み、または貼(は)りつけて装飾する工芸技法日本には奈良時代中国から伝えられ平安時代には蒔絵(まきえ)にも併用された。摺(す)り貝。

[補説] 書名別項。→螺鈿


らでん【螺鈿】

読み方:らでん

太田水穂歌集昭和15年1940刊行


螺鈿

読み方:ラデンraden

貝・蝶貝などの真珠光を放つ部分薄片にして種々の形に切り、漆器などの面に填め込んで装飾とするもの


螺鈿

読み方:ラデンraden

漆工芸の一技法


らでん〔螺鈿〕

あわびなどの貝の真珠色に光る部分薄片とし、種々の形に切って、ひな道具屏風、又は布などに埋めつける技法のこと、古くインド起り中国経てわが国渡来した

螺鈿

名称: 螺鈿
ふりがな らでん
芸能工芸区分 工芸技術
種別 漆芸
認定区分 各個認定
指定年月日 1999.06.21(平成11.06.21)
解除年月日
指定要件
備考
解説文: 螺鈿は漆芸加飾装飾技法で、夜光貝やこうがい】、【あわび】貝、蝶貝などを模様の形に切り、木地や漆地に埋め込むかまたは貼り付けるのであるわが国には奈良時代に唐から伝えられ正倉院多く遺品伝存する。平安時代以降蒔絵【まきえ】に次ぐ主要な加飾技法として多く遺例今日伝え工芸品のほか平等院鳳凰堂など建造物内部装飾にも応用された。
 近世以降は、薄い貝を貼り付ける薄貝うすがい】螺鈿技法盛んになり、現在でも薄貝蒔絵併用するものが多いが、近年再び、伝統的な厚貝あつがい】螺鈿技法主とする優れた制作活動が行われるようになっている
 螺鈿は、わが国工芸史上重要な地位占めとともに芸術価値の高い、主要な漆芸技法である。

螺鈿

名称: 螺鈿
ふりがな らでん
芸能工芸区分 工芸技術
種別 漆芸
選択年月日 1957.03.30(昭和32.03.30)
選択要件
備考
解説文:
工芸技術のほかの用語一覧
漆芸:  粟野春慶  能代春慶  蒔絵用具  螺鈿  飛騨春慶
金工:  加賀象嵌  南部茶の湯釜南部鉄瓶

螺鈿

読み方:ラデンraden

作者 太田水穂

初出 昭和15年

ジャンル 歌集


螺鈿

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/09 14:04 UTC 版)

国宝 片輪車螺鈿蒔絵手箱、平安時代後期、12世紀東京国立博物館。(蒔絵も使われている)
国宝 八橋蒔絵螺鈿硯箱、尾形光琳作。江戸時代18世紀。東京国立博物館蔵。(蒔絵も使われている)
小紋螺鈿印籠。切金と切貝が施された杣田細工の印籠。江戸時代作、19世紀、東京国立博物館蔵。(蒔絵も使われている)

螺鈿(らでん)は、広義にはをもって飾ること(貝飾り)をいうが[1]、狭義には貝片を器物等の木地や漆面に装着して施す装飾法をいう[1]

使用される貝には、ヤコウガイ(夜光貝)、シロチョウガイ(白蝶貝)、クロチョウガイ(黒蝶貝)、カワシンジュガイ(青貝)、アワビアコヤガイなどがある。

歴史

貝片を用いた装飾法は古代メソポタミアや中国の時代にはみられた[1]

中国

貝片を用いた装飾法は中国の殷周時代にはみられ[1]、螺鈿工芸は周代に流行したという[2]

唐代には螺鈿法が著しく発達したが、発見例は少ないものの、日本正倉院宝物からは厚貝(後述)の螺鈿法や多様な装着法などをみることができる[1](正倉院宝物として伝来する螺鈿紫檀五絃琵琶、螺鈿紫檀阮咸(げんかん)など)。ただし「螺鈿」の語が何によって記録されたか問題点があるとされており、唐代の記録には「寶鈿鏡」や「寶鈿枕」の用例はあるが、「螺鈿」は見当たらないとされる[1]

螺鈿の技術は宋代にはほとんど継承されず衰退してしまい、日本や高麗の螺鈿が中国でも評価された記録が残されている[1]

元代になると薄貝による新たな螺鈿法が出現し、発生伝来の経路は不明とされるが、以後中国では薄貝螺鈿法が主流になった[1]

日本

黒蝋色花丸紋蒔絵螺鈿鞘大小拵。蒔絵と螺鈿で豪華に装飾された大小打刀脇差)の拵。

日本では、螺鈿は奈良時代から持ち込まれた。

平安時代になると、螺鈿の技術は急速に発達し、中国や高麗への贈物として螺鈿器が選ばれている[1]。生地螺鈿とその簡略法が引き続き行われる一方で、平安時代には当時の日本の代表的な工芸品となった黒漆螺鈿や螺鈿と蒔絵との併用などもみられるようになった[1]

中国の元明螺鈿や朝鮮半島の高麗・李朝螺鈿の輸入もあり「唐物」と称された[1]

16世紀半ばにはヨーロッパとの交易の影響を受けて、ヨーロッパ風の模様の漆芸品が作られたり、彼らの注文に応じて大量に漆芸品が輸出され、南蛮漆芸(南蛮漆器)と呼ばれている[1]。これらの品物はヨーロッパでは一つのステータス・シンボルとなる高級品として非常に人気があった。

江戸時代になっても螺鈿は引き続き人気を博したものの、鎖国政策によってヨーロッパとの貿易は大幅に縮小されたため、螺鈿職人は必然的に日本向けの商品に集中することとなった。江戸時代の螺鈿職人としては生島藤七、青貝長兵衛、杣田光正・杣田光明兄弟などが名高い。

本阿弥光悦の光悦蒔絵や尾形光琳の蒔絵など厚手の貝を用いた螺鈿も現れた[1]

琉球

螺鈿細工の原料となるヤコウガイは、かつて琉球弧の先史時代から古代(沖縄貝塚時代 - グスク時代)にかけて、日本本土との交易品として重要なものであった(「貝の道」の交易)。15世紀から16世紀になると螺殻(夜光貝の殻)や螺鈿器が多く輸出されるようになった[1]。15世紀の琉球の螺鈿法は明らかではないが、16世紀後半には貝摺奉行が設置され琉球の主要な工芸品となった[1]。琉球螺鈿は中国の薄貝螺鈿法が強く影響しているが、一方で紅漆螺鈿のように琉球螺鈿に独特の技法も生まれた[1]

朝鮮半島

朝鮮半島において、螺鈿の技法は、統一新羅時代にから伝わった[3][4]。正倉院で保管中の百済の木畵紫檀碁局、蒲柳雑樹水禽文螺鈿描金香箱[5]螺鈿漆花文箱などの作品がある。

高麗の時代には薄貝螺鈿を特徴とする高麗螺鈿がみられるが、技法の発生や伝来は不明で、遺例から中国の元代螺鈿よりも遡る可能性もあるとされている[1]

李氏朝鮮でも重要な漆工芸の技術だったが、高麗螺鈿を継承した形跡がなく、初期の李朝螺鈿はやや厚手の貝片を用いて独特の曲線をもつ牡丹唐草が主流であった[1]

種類

使用目的に応じて貝片の厚さは調整され、その厚さによって厚貝と薄貝に大別される[1]。厚貝と薄貝に明確な基準はないが、厚貝は1.5mmから3.0mm、薄貝は0.3mmから1.0mmに分類する例や、百枚を重ねた貝片の厚さを単位にする例がある[1]

技法

螺鈿の技法には切削法や装着法に各種の方法があるほか、毛彫、置貝、蒔貝、割貝、色貝、彫貝などの手法がある[1]

装着法

嵌入法と貼附法に大別される[1]

嵌入法
木地に模様を彫り込んで厚貝をはめ込む方法で、貝片との空隙を地粉等で充填する技法を大体彫という[1]
貼附法
下地か中塗の表面に薄貝を貼って、を塗ってから、研出または剥出して模様を浮き出す方法[1]

現代の工芸品

現代の日本では奈良漆器によく行われており、代表的な作家に北村昭斎樽井禧酔がいる。

他の伝統工芸と同じく、新たな用途開拓も試みられている。民谷螺鈿(京都府京丹後市)は貝片を貼った和紙を裁断したうえで糸で補強し、織物にする「螺鈿織」を開発。バッグなどを製造しているほか、欧米の大手ファッションブランド企業からも受託生産している[6]

ギャラリー

脚注

参考文献

関連項目

外部リンク


螺鈿(らでん)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/19 00:47 UTC 版)

漆工」の記事における「螺鈿(らでん)」の解説

文様の形に切った夜光貝等の貝殻貼り付け、さらに漆を塗り研ぎ出す技法

※この「螺鈿(らでん)」の解説は、「漆工」の解説の一部です。
「螺鈿(らでん)」を含む「漆工」の記事については、「漆工」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「螺鈿」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「螺鈿」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「螺鈿」の関連用語

螺鈿のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



螺鈿のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
文化庁文化庁
Copyright © 2025 The Agency for Cultural Affairs. All rights reserved.
社団法人日本人形協会社団法人日本人形協会
Copyright (C) 2025 社団法人日本人形協会 All rights reserved.
※このホームページに掲載されている文章・写真・イラストなどの無断転載を禁じます。
伝統的工芸品産業振興協会伝統的工芸品産業振興協会
Copyright (C) 2025 (財)伝統的工芸品産業振興協会 All rights reserved.
文化庁文化庁
Copyright (c) 1997-2025 The Agency for Cultural Affairs, All Rights Reserved.
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの螺鈿 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの漆工 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS