地粉 (漆工)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/09 21:40 UTC 版)
地粉(じのこ)とは、漆工において漆の下地として用いられる粉末である[1]。地粉は粘土、火山灰層の土、瓦などの素材を粉末にしたのちに焼いて作られており、生漆と共に下地として用いられる[1][2]。産出地としては石川県の輪島や山科が知られる[3][2]。輪島のものはケイ酸アルミニウムを主成分としており、輪島塗では砥の粉など他の粉末は用いられない[2]。技法的には漆と混ぜてヘラで塗布するか、漆を刷毛塗りした上に蒔くかで用いられ[3]、おもに堅地や蒔地で用いられる技法である[4][5]。なお、砥の粉との違いは、砥の粉のほうがより粒子が細かい点である[6]。
地粉は古くから用いられており、奈良時代には「土漆」と呼ばれていた[1]。奈良時代の作例としては法隆寺献納宝物の漆皮箱があり、輪島で産出する地粉と同様に珪藻土が含まれていることが確認されている[3]。
出典
- ^ a b c 精選版 日本国語大辞典『地粉』 - コトバンク
- ^ a b c 佐々木 2014, p. 4章7.
- ^ a b c 小松 & 加藤 1997, p. 174.
- ^ 小松 & 加藤 1997, p. 168.
- ^ 小松 & 加藤 1997, p. 170.
- ^ “【金継ぎ・風景】「みんなの金継ぎ」朝と午後のふうけい - てならい堂”. てならい堂 (2017年4月24日). 2025年4月9日閲覧。
参考文献
- 小松大秀、加藤寛『漆芸品の鑑賞基礎知識』至文堂、1997年。ISBN 4-7843-0160-7。
- 佐々木英『漆芸の伝統技法』オーム社、2014年。 ISBN 978-4-274-05031-2。
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