デジャヴ
「デジャヴ」とは、既視感のことを意味する表現である。
「デジャヴ」とは・「デジャヴ」の意味
「デジャヴ」とは、フランスの「déjà-vu」のカタカナ語で、「既視感」という意味で用いられている。「デジャヴ」だけでなく、「デジャヴュ」や「デジャブ」と呼ばれることもある。「初めて見るものなのになんとなく見覚えがある」、「初めて訪れた場所なのに前に来たことがあるような気がする」、などの感覚が「デジャヴ」である。なぜ「デジャヴ」が起こるのか?
「デジャヴ」が起こる原因ははっきり解明されてはいないが、脳の錯覚ではないかといわれている。脳は毎日膨大な量の情報や知識を処理しているため、その過程で何らかの伝達ミスが起こり、今経験したことを過去に経験したこととして伝えてしまうという説である。脳の機能が低下しているわけではなく、誰にでも起こりうるちょっとした脳の誤作動だという。また、心理学において、「デジャヴ」は既に見た夢であるという説が唱えられている。夢の中で見た光景であるため「以前に見た気がする」という感覚に陥るが、無意識の中で見た夢であるため意識的に思い出すことはできず「既視感」として感じられる説である。
そして、右目と左目で見る情報が異なることが、「デジャヴ」を引き起こすとも言われている。右目と左目の視覚情報の伝達の誤差により、先に情報を入手した方の目の情報が過去の情報として記憶され、もう片方の目が情報を入手した時に以前見た光景として既視感が起こるという説である。
スピリチュアルにおいての「デジャヴ」
スピリチュアルの世界において、「デジャヴ」は守護霊からのメッセージや前世の記憶、魂の記憶として受け止められている。正しい道を歩いていることをスピリチュアルなメッセージとして「デジャヴ」で受け取ったり、前世でかかわりの深かった人と出会った時に「デジャヴ」を感じたりするという。
「デジャヴ」が起こりやすい人
「デジャヴ」が起こりやすい人には特徴がある。ストレスが多い人は、脳が疲弊しており記憶障害や伝達障害が起こりやすいため、「デジャヴ」が起こる可能性が高くなる。また、10代~20代前半の若者は、初めて体験することが多く脳内で処理する情報量も膨大になるため、記憶障害が起こりやすくなり「デジャヴ」が起こる確率も高くなる。そのほか、頻繁に旅行に行く人も視覚的な情報量が多く、脳の記憶や伝達ミスが起こりやすくなるため「デジャヴ」が起こりやすい。
若者言葉の「デジャヴ」
「デジャヴ」は「初めて見たのに以前から知っているように感じる、初めて訪れた場所なのに前に来たことがある気がする」という意味である。しかし、若者言葉の「デジャヴ」は、「前に見たり聞いたりしたことがまた繰り返されること」という意味である。既視感ではなく、再体験という意味合いになる。年代によって、「デジャヴ」の意味合いが少し違ってくるため注意が必要である。
「デジャヴ」の熟語・言い回し
デジャヴを見たとは
「デジャヴを見た」とは、既視感を体験したということである。初めて旅行で訪れた街に行き、「この風景を前に見たことがある」と感じた場合、「デジャヴを見た」と表現することができる。
「デジャヴ」の使い方・例文
・彼女と初めて会った時、デジャヴを感じた。・街を歩くとデジャヴのように脱毛クリニックの看板を目にする。
・デジャヴを見ても心配する必要はない。
・彼女はデジャヴを見てスピリチュアルなメッセージを感じた。
・旅行に行って初めてデジャヴを体験した。
・彼はデジャヴをよく見るため、自分に秘めたパワーがあると思っている。
・脳を休めることでデジャヴを見る頻度が減る可能性が高い。
・デジャヴを見ない人も多い。
・最近デジャヴをよく見るので疲れているのだと感じた。
・30代になってからデジャヴを見なくなった。
デジャブ
「デジャブ」とは・「デジャブ」の意味
「デジャブ」とは未経験の事柄にもかかわらず、過去に経験したことがあると錯覚する現象のことである。日本語では、「既視感」が同じ意味を持つ。デジャブは他にもデジャヴやデジャヴュ、デジャビュなどと表記されることがあるが、どれも同じ意味である。また、若者言葉では過去に経験したことを思い出し、「デジャブを感じる」と使うこともあるが、デジャブは未経験の事柄に対して使う語であるため、間違った使い方にならないように注意が必要である。デジャブが起こる原因は諸説あるが、心理学的研究では記憶における類似性認知メカニズムの働きと考えられている。例えば、新しい経験をした時に、過去に類似した経験をしていると人はその時のことを思い出す。しかし、何らかの原因で脳にエラーが起こり、記憶の中でその経験がなかったことになる。そうすると、デジャブ現象が起こるのである。一方で、デジャブの原因をスピリチュアルな意味と考えることもできる。「前世で経験した記憶が思い出されている」や、「守護霊や神様からのメッセージである」、「夢の中でこれから起こるであろう出来事を予知した」という考えなどがある。
デジャブが起こりやすい人は、10代後半から20代前半の若者や、強いストレスを感じている人、頭の回転が速く視野が広い人、旅行などで初めての場所によく行く人が挙げられる。10代後半から20代前半の若者は、身体的にも精神的にも成長途中である。そのため、気分の浮き沈みや脳の勘違いなどからデジャブが起こりやすいと考えられている。強いストレスを感じている人のデジャブ現象は、脳に過度のストレスがかかることによって、脳が記憶していた情報を消したり誤認したりすることが原因である。また、頭の回転が速く視野が広い人は、情報を収集し様々な可能性を考えられ、これから起こるかもしれない出来事についていくつも予測できるため、デジャブが起こりやすいだろう。さらに、旅行などで初めての場所によく行く人は、初めて行った場所に似た場所や経験を脳が過去の経験から探すため、デジャブ現象が起こりやすくなると考えられる。
「デジャブ」の語源・由来
デジャブはフランス語の「déjà vu」に由来している。「déjà vu」は、「すでに」という意味を持つ「déjà」と、「見た」という意味を持つ「vu」から成り立っていて、二語を合わせることで「すでに見たことがある」という意味の語になる。また、「déjà vu」という語は、フランスの超心理学者エミール・ブワラックが1917年に提唱し、世界中に広がったとされている。「デジャブ」の使い方・例文
・今日の朝、会社の先輩と話している時に、先輩の発言にデジャブを覚えた。・友だちとの旅行で初めて行った奈良のお寺にデジャブを感じた。
・休みの日何気なく細い路地に入ってみたら、デジャブを感じた。
・友だちとデジャブを感じたことがあるか話していたら、全員デジャブを感じたことがあった。
・隣を歩いていた友だちが、「この景色、昨日夢で見た。」とデジャブを感じていた。
・仲間内で自分が経験したことがあるデジャブについて語り合い盛り上がった。
・若い頃はよくデジャブを感じていたが、50代になった現在はほとんど感じなくなった。
・高校の入学式で会場に入った瞬間、デジャブを覚えた。
・単身赴任が決まり引っ越し場所を探していたらデジャブを感じた。
・二日続けてデジャブを感じ、守護霊からのメッセージだと思った。
間違った使い方の例としては、以下のような例文が挙げられる。
・店長が昨日も同じ事を言っていたため、デジャブを感じた。
・小学生の頃よく通っていた道を10年経った今通ってみたら、デジャブを感じた。
既視感
過去に経験・体験したことのない、初体験の事柄であるはずにも関わらず、かつて同じような事を体験したことがあるかのような感覚に包まれること。「前にもどこかで一度これと同じものを見たような気がする」という感覚。
「デジャブ」はフランス語の「déjà vu」をそのままカタカナ表記にした表現である。あえて英語に訳すと「already seen」となるが、英語でも「déjà vu」のまま(外来語として)扱われている。日本語では「既視感」あるいは「既知感」と訳されることもままある。
デジャブの発生原理は、脳科学的に完全に解明されたわけではないが、「過去に体験した事象の記憶が現在の体験と関連する事柄として呼び起こされるが、その記憶は場所や時期などの具体的情報を伴わない断片的な情報にすぎず、過去の体験として認識できずにいる状態」というように説明されることが多い。
デジャブとは反対に、見慣れているはずの事柄が初めて体験するものであるかのように感じられることを「ジャメヴュ」(jamais vu)という。これは日本語では「未視感」と訳されることが多い。
既視感
(デジャブ から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/13 02:06 UTC 版)
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既視感(きしかん)は、実際は一度も体験したことがないのに、すでにどこかで体験したことのように感じる現象である。フランス語: "déjà-vu"[† 1]よりデジャヴュ、フランス語由来の英語 "déjà vu"[† 2]よりデジャヴ、デジャブ、デジャビュ、デジャビュー、デジャヴー、デジャヴューなどとも呼ばれる。
フランス語の vu (「見る」を意味する動詞 voir の過去分詞)、および、訳語の「視」は、いずれも視覚を意味するものであるが、聴覚、触覚など視覚以外の要素もここでいう「体験」のうちに含まれる。既知感ともいう。
既視感と逆に、見慣れたはずのものが未知のものに感じられることを未視感という。フランス語 "jamais vu"[† 3][† 4]よりジャメヴュ、と呼ぶ。他の表記において、ジャメヴ、ジャメヴュー、ジャメブ、ジャメビュ、ジャメビューなどとも呼ばれる。
概要
一般的な既視感は、その体験を「よく知っている」という感覚だけでなく、「確かに見た覚えがあるが、いつ、どこでのことか思い出せない」というような違和感を伴う場合が多い。過去の体験は夢に属するものであると考えられるが、多くの場合、既視感は過去に実際に体験したという確固たる感覚があり、夢や単なる物忘れとは異なる。デジャヴは神経の“通り道”が違ってくることで起こる脳内の情報処理プロセスに起因するものである。
過去の文学作品においても言及が見られ、近年現れ始めた現象ではないことを示している。一般大学生の72%が経験しているという調査結果がある[1]。記憶喪失や夢などのギミックと組み合わせて、物語の伏線として利用されることもある。日本では映画『君の名は』や[2]、夏目漱石のエッセイなどにも描かれている。
歴史
déjà vu という語は、超能力研究をしていたフランスの超心理学者エミール・ブワラックがシカゴ大学在学中に執筆した『超心理学の将来』(L'Avenir des sciences psychiques, 1917年)の中で提唱されている。
説明の試み
この現象を説明しようとする試みが多数ある。
既視感は、統合失調症の発病初期段階の人や、側頭葉てんかん症状を持つ人に現れることも一部でありはするが、かといって既視感全般を精神疾患に結びつけて説明しようとするのは無理がある。既視感は健全な人に多発することも稀ではなく、健常人が持っている、ごく一般的な感覚である。すでに言及したように、一般大学生の72%が経験しているという調査結果もある[1]。
フロイト
ジークムント・フロイトはPsychopathologie de la vie quotidienne 『日常生活の精神病理学』(1901年)において、デジャヴというのは既に見た夢なのだ、とした。同著では、以前見た夢がよみがえったのだが、無意識のうちに見たものだから意識的には思い出すことができないものなのだ、とした。
超心理学
超心理学的な見方を好む者などでは、しばしば予知夢と関連づけて考察することがある。
だが「実際にはそうした夢すら見ていない場合が多く、別の内容である場合も多い」とする批判、また「体験するのと同時に、過去に同じ体験を夢で見たという記憶を作り上げ、その場合でも夢を見たと感じるためだ」という批判もある。[要出典]
心理学・脳神経学など
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20世紀末から、既視感は心理学や脳神経学的研究対象として注目された。しかし、実験で既視感を再現することは非常に困難であるため、実験を通しての研究法は確立していない。
これらの領域では、既視感は予知・予言ではなく、「記憶が呼び覚まされるような強い印象を与える記憶異常」と考えられている。
ほとんどのケースではその瞬間の記憶のみが強く、その記憶を体験した状況(いつ、どこで、など)についてははっきりしないことが多い。同様に時間の経過により、既視感の経験自体が落ち着かない経験として強く記憶に残り、既視感を引き起こした事象や状況の記憶はほとんど残らない。これは「短期記憶と長期記憶の重なり合いが原因」と考えられている。体験している事象は、脳の意識的に働いている部分が情報を受け取る前に記憶に蓄えられ、処理されるからである。
他の視覚に関連づけた説明もある。「片目がもう片方の目よりわずかに早く見た部分的な視覚が記憶され、ミリ秒後にもう片方の目で見た、同じ光景が強い既視感を引き起こす」というものである。しかしこの説明では、既視感のきっかけが聴覚によるものや指先によるものである場合を説明できない。また、隻眼の者も既視感を経験することが報告されており、これも説明できない。
「人間の感覚から神経を通ってきた信号が、脳内で認識し記憶される段階で、脳内で認識される作業以前に、別ルートを通り記憶として直接脳内に記憶として蓄えられ、脳が認識をした段階で、既に記憶として存在するという事実を再認識することによりおこる現象ではないか」とする説がある。
統合失調症の発病初期や側頭葉てんかんの症状として発現することも多く、かつては精神疾患や脳疾患などを原因とする「記憶異常の問題」と考えられた時期もあった。認知心理学が専門の京都大学・大学院教育学研究科教授楠見孝よれば、約7割の人が経験するほど普遍的な体験で、記憶異常現象ではなく、人の認知における「類似性認知メカニズム」の働きによって生じる現象と考えられている。例えば、場所についてのデジャビュを引き起こすのは、ごくありふれた公園、並木道、町並みなどが多いが、これらがどこも似たような類似する光景であるために、反復して経験を重ねることで記憶の重層化が引き起こされ、細部の忘却が重なって「典型的光景」が形成される。この典型的光景が、眼前の光景と類似することでデジャヴが引き起こされるという。この際、どの記憶なのかが特定できないことで不思議な気分が引き起こされる。一方、人についてのデジャヴでは、通りすがりの人物については起こらず、例えば「初対面の同級生」などのように、私的な関係の始まりにおいて起こりやすい。この際の「よく似ている」とする印象に関連付けられる人物は、長くあっていない過去の同級生や遠い親戚程度の知人である場合が多く、外観・雰囲気なども含め「漠然としたイメージ」的な、全体的な類似性に起因する。楠見は、デジャビュは「現前の光景と類似性の高い光景を長期記憶から自動的に思い出すプロセス」に関係し、「人の記憶は似ている出来事同士が強く結びついていること」や「人は、眼前の風景や人と似ているものを記憶から探し出すことに優れている」ことから生じる現象と説明した[3]。
既視感を題材とした作品
- ポストの中の明日 - 藤子・F・不二雄のSF短編、主人公が明日の新聞を見る描写がある。
- マトリックス - 作中、バグ(黒猫の登場する場面)として登場する。
- 恋はデジャ・ブ(1993年のアメリカ映画)
- デジャヴ(2006年のアメリカ映画)
- 時をかける少女
- 涼宮ハルヒの憂鬱
- STEINS;GATE 線形拘束のフェノグラムおよび劇場版 STEINS;GATE 負荷領域のデジャヴ
- パノラマ島奇談 - 江戸川乱歩の中編小説。
- 空飛ぶモンティ・パイソン 第16話(第2シリーズ第3話) 「デジャヴュ」
- 共同幻想論 - 吉本隆明。「禁制論」に入眠幻覚の概念と共に紹介されている。
雑学
- 日常会話の中では、「新しい要素がない」ということの例えとして、否定的に使われることがある。
脚注
注釈
- ^ フランス語発音: [deʒavy] デジャヴュ。英語への直訳は already seenとなり、「既に見た」の意味。
- ^ 英語発音: [ˌdeɪʒɑː ˈvuː] デイジャー・ヴー
- ^ フランス語発音: [ʒamɛvy] ジャメヴュ。英語への直訳はnever seen (before)となり、「まだ見てない」の意味。
- ^ 英語発音: [ˌʒɑːmeɪ ˈvuː] ジャーメイ・ヴー
出典
- ^ a b 楠見 孝「類似性に基づく記憶の自己組織化 - アナロジー,メタファ,デジャビュ -」1996年。『シンポジウム「知識の自己組織化」』
- ^ “「君の名は」- 既視体験(デジャブ)-”. 熊本大学脳神経内科. 2023年1月4日閲覧。
- ^ “デジャブはどうして起こるのか?過去の「似た経験」が記憶から「自動的に思い出される」働き過去の「似た経験」が記憶から「自動的に思い出される」働き”. 2023年1月4日閲覧。
参考文献
- 楠見孝「類似性に基づく事例検索の認知的分析-アナロジー・メタファ・デジャブ」1995年。 人工知能学会32回知識ベータシステム研究会, 1995
- 泉山秋『ずっと不思議だった夢の秘密: 予知夢・デジャヴ・自覚夢』双葉社、2000年。
- 郡司ペギオ-幸夫『時間の正体: デジャブ・因果論・量子論』講談社、2008年。
関連項目
外部リンク
- デジャブのページへのリンク