工芸品とは? わかりやすく解説

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こうげい‐ひん【工芸品】

読み方:こうげいひん

工芸によって制作され作品漆器陶磁器染織品・木工品など。

「工芸品」に似た言葉

工芸

(工芸品 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/02 09:21 UTC 版)

工芸(こうげい)とは、高度の熟練技術を駆使して作られた美的器物またはそれを制作する分野。応用美術装飾美術などともいう。材料や技術に指定はなく、全てが該当するが、工業生産美術を結びつけ機能性を重視したものは「近代工芸」と呼ばれる[1]。他、産業や工業につながらない鑑賞性を主体に美術面を重視した物は、絵画彫刻と同様の展開をみせており、また両者のいずれの傾向にも加わらない古来の手工芸の分野も再評価され、世界的に盛行をみせている。

篆刻 エルストナー・ヒルトン撮影(1914年~1918年)

概要

工芸は、今日では大量生産など工業手法の発達にもよって、一般向けの安価で実用のみを求める器物は大量生産品で賄い、特に趣味性や意匠性、あるいは美術性が求められる分野などで多大なコストを掛けて製作される器物を工芸品、それを作る行為を工芸といった具合に住み分けが行われている。

ただ、時代を遡り、産業が今よりもっと素朴であった頃には、全ての工業製品家内制手工業マニュファクチュアなど、職人(徒弟からジャーニーマン名工となった者)が一点一点制作するものしかなかった訳で、この時代においては趣味性や美術性を求める高価な工芸品から、実用一辺倒の安価な工芸品まで様々なものが存在していた。

現代における工芸では、それを制作する行為そのものを実利を求めない趣味と位置付けて行うもの、あるいは高度な美術性を実用品に盛り込むための創作活動(工芸家による美術工芸)、また伝統文化として過去の伝統工芸の工芸技術の伝承復興などが行われている。また、過去に一度衰退して失われた工芸技術の再現などの活動も見られる。

「キルティング・ビー」と呼ばれるキルトを作る女性の社交的な集まり(1910s)

いずれにしても、工芸はこと伝統産業などの確立された分野では、ある程度の分業体制がとられることもあるが、幾つもの工程を一人の職人が通して行ったり、ものによってはそのほとんどを独力の手作業で製品が作られる。趣味によるものは兎も角としても、業態としての工芸では素材(材料)の選定から様々な工程において人件費が多く掛かる傾向にあり、故にその製品も高価となりがちである。しかし工芸によって成される高度な美術性や精巧さ、あるいは素朴であったり個性的であったりといった要素が好まれ、これに対して対価を惜しまない愛好者好事家などに求められている。

日本の歴史

かねてから美術性を求めた高価な一品品から、実用一辺倒の安価な量産品まで様々なものが存在しており、鑑賞に堪えるものを(じょうてもの)と呼び、簡素な一般向けのものをゲテモノ)と呼んでいた。

江戸時代には実用品を作る職人は仕事を求め『渡り職人』として様々な土地へ赴き技術を広めていった。現在の新潟県燕市では仙台からの渡り職人により鎚起銅器の技術がもたらされ、現代でも玉川堂が技術を受け継いでいるなど、地場産業へ影響を与えた例がある[2]

欄間制作。大正時代(Elstner Hilton撮影)

近代工芸の本格的な研究と産業育成は、1928年昭和3年)に商工省宮城県仙台市にある仙台陸軍幼年学校の跡地に国井喜太郎を所長とする「国立工芸指導所」を設立したことに始まる。これは商工省の官僚だった岸信介とその上司で宮城県出身の吉野信次が、世界恐慌で悪化した地方経済対策として打ち出したとされる。指導所はブルーノ・タウトなどを指導者として招聘し、工芸に携わる技術者を育成した。また剣持勇などが研究者として在籍していたほか、工芸ニュースを発行し、工芸の紹介なども行われていた。

1940年(昭和15年)に本所が東京に移転され、指導所が各地に設立。1959年(昭和34年)には「産業工芸試験所」となり、工業技術の研究も行われるようになった。しかし1967年(昭和42年)に工業技術試験所へ改組されると研究は工業分野が主流となり、主導の工芸研究は終了した。なお同所は後に産業技術総合研究所へと改組されているが工芸やデザインの研究は行われていない[3]。仙台の指導所も産総研東北センターに統合されているが、設立当時の資料や試作品が保存されており、東北センター内の「工芸試作品展示室」で展示されている。また指導所の跡地に建てられた仙台市立宮城野中学校の敷地内。「近代工芸発祥の地」を記念したプレートが残されている。

伝統的な民具など、実利的な使われ方をしながら世代を超えて使い続けられた物の中には、骨董品として現存するものも少なくなく、いわゆる「生活骨董」の分野ではこういう時代を経て利用されてきた工芸品を珍重、高値で売買する市場も存在する。

素材による分類

ガラス(ガラス工芸)

ガラス工芸の技法

金工

金細工職人銀細工職人銅細工職人等が金属素材に様々な金属加工法を施し、芸術的要素加えたもの。例:自在置物甲冑刀工による等。

日本金工の歴史

弥生時代中国大陸朝鮮半島より九州へ伝わった金工品に、などがある。世界的な金工技術進歩よりかなり遅れて日本に入ってきたことから、青銅器とともに鉄器も同時期に流入したと推測される。その後、祭器としての(どうたく)・(どうきょう)などを中心に、日本独自の発展を遂げた。

金工の技法

  • 鋳金 - を主に耐熱素材で形作られた鋳型に、溶解した金属素材を流し冷え固め成形する技法。
  • 彫金 - (たがね)と称する刃物を用い金属素地を彫り、様々な装飾を施す技法。
  • 鍛金 - 金属塊、金属板を打ち延べ絞り、成形する技法。

陶芸

磁器の絵付け。明治時代。京都

宝石(宝飾品)

指輪ネックレスペンダントイヤリングなど、衣類と合わせて身を飾るため、 金細工師銀細工師銅細工師が金属素材に様々な金属加工法を施し、宝飾デザイナー宝石彫刻師貴石を用いて装飾価値並びに市場価値・芸術的要素を加えたもの、装身具

木竹

皮革

合成樹脂

楽器

その他

象牙彫刻。明治時代。東京

工芸の博物館・美術館

脚注

  1. ^ 日本大百科全書(ニッポニカ)「工芸」の解説『工芸』 - コトバンク
  2. ^ 玉川堂の歴史 | 玉川堂について - 玉川堂
  3. ^ 1984年に陶芸家井口峰幸が名古屋工業技術研究所の特別研究生として釉薬の研究に従事した事例がある。
  4. ^ コトバンク パン・フラワー

関連項目

外部リンク


工芸品(アーティファクト)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/09 02:43 UTC 版)

ARTIFACT;RED」の記事における「工芸品(アーティファクト)」の解説

浮遊環(フローティングワン) 足に取り付けるタイプの工芸品。浮遊したり、キック力を強化した出来る。 隠され真の能力瞬間移動能力『虎歩』。 颶風扇(ぐふうせん巨大なタイプの工芸品。突風巻き起こす。ハリセンモードと呼ばれる接近戦形態や、相手攻撃反射する反射リフレクション)(裏技と言われているが、おそらく隠され能力である)を持つ。 格闘甲(グラップラーワン) 手に付けタイプの工芸品。パンチ力強化し、さらにエネルギー出来た拳を飛ばすことが出来る。 隠され能力は、飛ばしたエネルギー遠隔操作光盾環(シールドリング) 指輪型の工芸品。使用者を囲むように球のバリヤ発生する。工芸品による直接攻撃でないとほぼ破壊不能光銃レイガン指輪型の工芸品。指の先に方陣現れ、そこからエネルギー弾発射する奇獣球(キメラボール) 生物肉体埋め込むタイプの工芸品。埋め込まれ肉体様々な生物怪物へと変化する能力を得る。 万☆装膏バンソーコー使い捨てタイプの工芸品。使用方法見た目絆創膏そのままだが、効力絶大一日でどんな傷も完治する幽玄剣ファントムブレード) 刀型の工芸品。幽霊のように物体素通りし、「斬りたい物だけを斬る能力を持つ。 隠され能力は剣を巨大化させる泰山幽玄剣(セイクリッドファントムブレード。 影縫剣(シャドウバインダー) 剣型の工芸品。影に刺すことで相手動き封じる複数存在影斬剣(シャドウブレード) 剣型の工芸品。影を斬ることで影を作り出している物を切ることが出来る、 替身衣(デコイ・ビジョン) 形状など不明立体映像作り出し本体変わり身とする工芸品。 光剣レイブレードライトセーバー状の工芸品。 煌盾(ラテルンシールド) 通常の盾に似た工芸品。収納可能。 天翔翼セラフィックフェザー使用者背中取り付け天使の翼生み出し飛行する工芸品。 隠され能力は翼をシールドとして周りを覆う天翼赫光殻(エンジェリックシェル)。 神槍ピナカ 通称伝説の工芸品(アーティファクトレッド)。その力は以上と言われるが、並みの工芸品使いでは触れるだけで死ぬほど扱いが困難。また工芸品の熟練者でも、起動させると工芸品の内部から押し寄せる殺戮衝動襲われ、強い意志が無い限り暴走してしまう。マギ暴走させた後はマギの家の押入れにしまわれていた。 意思ある工芸品 天女の羽衣思わせる布に似た形状の工芸品。その通り名の通り自らの意思持ち一度起動してしまえば自分望まない限り活動止めることは無い。 第一双眸能力オーロラ状のシールド放ち、それに触れたものに七つダメージ与える天翼七光陣(プラズマティックシュード)。第二の瞳の能力光線のように撃ち出す星光弾雨(シャイニング・レイン)。第三の瞳の能力肉体支配第三の瞳の能力使い手同化し、使い手肉体強化する肉体変成」である。

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