インスタレーションとは? わかりやすく解説

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インスタレーション【installation】

読み方:いんすたれーしょん

取り付け設置の意》現代美術の手法の一。作品単体としてではなく展示する環境有機的に関連づけることによって構想し、その総体一つ芸術的空間として呈示すること。また、その空間


インスタレーション

【英】:installation

立体作品を壁や床に設置して空間意識的に表現する方法,およびその作品のこと。

インスタレーション

元々は据付とか架設という意味の言葉伝統的な彫刻絵画という分類組み込めないスタイル作品指しそうした作品作品それ自体自己完結するのに対し、インスタレーションは空間全体対象視している為、作品とそれが置かれた場との関係性がより強く意識される比較短時間展示の後解体されることが多く、そこでは表現の「一回性」ということ問題となる。

インスタレーション

読み】:インスタレーション
【英】:INSTALLATION

設置」、「取り付け」という意味。芸術作品展示するに際してその場としての空間一つ一つ作品を単に展示するというのでなく、いくつかの作品用いて意識的表現加えて空間構成ようとする展示試み工夫をいう。よって展示会期中観者示されるが、会期終われば解体される運命にあるもので、ふつう一時的な作品考えられる。壁や床の配置だけでなく、時には天井から吊り下げられるものもあって、壁・床天井などに囲まれ空間全体に及ぶものである目新しく人目をひくようなものや、大がかりなものもあり、1970年代以降、しばしば用いられてきた試みである。

インスタレーション

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/03 15:49 UTC 版)

ロンドンの現代美術館テート・モダンでのレイチェル・ホワイトリードによるインスタレーション作品『エンバンクメント』

インスタレーション (英語: installation art) は、1970年代以降一般化した、絵画彫刻・映像(動画)・写真などと並ぶ現代美術における表現手法・ジャンルの一つ。ある特定の室内や屋外などにオブジェや装置を置いて、作家の意向に沿って空間を構成し変化・異化させ、場所や空間全体を作品として体験させる芸術。

空間全体が作品であるため、鑑賞者は一点一点の作品を「鑑賞」するというより、作品に全身を囲まれて空間全体を「体験」することになる。鑑賞者がその空間を体験(見たり、聞いたり、感じたり、考えたり)する方法をどのように変化させるかを要点とする芸術手法である。

ビデオ映像を上映して空間を構成することもあれば(ビデオ・インスタレーション)、音響などを用いて空間を構成する(サウンド・インスタレーション)こともある。最初はおもに彫刻作品の展示方法の工夫や、ランドアート環境芸術の制作、パフォーマンスアートの演出に対する試行錯誤から誕生したが、次第に彫刻などの枠組みから離れ、独自の傾向を見せるようになったため、独立した表現手法として扱われるようになった。

概要

デジタル・アーティスト、パスカル・ドンビス英語版 によるインスタレーション、『Irrationnal Geometrics』

インスタレーションとは、元の意味は「設置」「取付」「インストールする」という意味であり、古くから美術館の壁面などへの作品展示も「インスタレーション (installation) 」と呼ばれていたが、壁や床一面に絵画や彫刻を飾り付けていた時代はインスタレーション(設置)の方法はあまり問われなかった。ヴォルフ・フォステルは、1963年にニューヨークのスモーリン・ギャラリーで、インスタレーションを展示した[1]

展示方法の工夫を通して鑑賞者への見せ方を意識することはロダンら一部の彫刻家が先駆的に取り組んだが、やがて展示方法によって空間自体を作品化することが美術の一手法として認識されはじめ、彫刻や絵画などから独立した。

中国韓国では「装置芸術」「設置芸術」などと呼ばれることもあるが、日本では一般に「インスタレーション」の名称が用いられる。

インスタレーションを制作するにあたり、映像、彫刻、絵画、日常的な既製品(レディメイド)や廃物、音響、スライドショーパフォーマンスアートコンピュータなど、どのようなメディアを使用するか、また美術館画廊などのギャラリースペース、住宅など私的空間、広場ビルディングなどの公的空間、人のいない自然の中などどのような場所を用いるか、などは特に制約はない。

詳細

オタワのノートルダム大聖堂前に出現したルイーズ・ブルジョワの作品「ママン

インスタレーションは下記の例外を除き一時的(テンポラリー)なものであり、展覧会期が終われば撤去されてしまい人々の記憶の中にしか残らない。鑑賞や体験をするにはインスタレーションが展示されている場所まで行く必要がある。写真や映像記録で追体験する方法もあるが、彫刻などと同様に写真を見るだけではその作品を体験したとはいえない。ただしその写真や映像は独立した作品で有り、一般的な写真や映像と同様に魅力を発揮する作品になることもある。

また、インスタレーションは設置場所に固有サイトスペシフィック)のものという見解もある。近代以降の西洋の芸術作品は、額に入った絵画や台座に乗った彫刻などのスタイルになり教会などの建築物から自立し、世界中のどこに置いても同じように成立すると考えられるようになった。しかしこれに対して、インスタレーション作品は設置場所の形状や周囲の壁面・建築・地形との関係、その場所にかかわる歴史や記憶などから発想して制作され、これらと結びついている。

作家や美術商がインスタレーション制作前に習作として描いたドローイングや試作模型、インスタレーション制作後の記録写真、使用済みの部材などを販売することもある(ただし、これらはインスタレーションそのものでは無い)。

歴史

ドイツの芸術家、HA シュルト英語版 によるインスタレーション『ごみ人間』 (Trash people) 。ケルン大聖堂前広場にて

もともと西洋の現代美術の一ジャンルで、1970年代以降に盛んになったものである。絵画や彫刻など既存のジャンルに収まりきらない作品をまとめてこのように呼ぶようになった。起源ははっきりとはしていないが、イタリア・ローマアカデミーの舞台美術科を卒業し、その後舞台美術を応用した作品群を発表しているピーノ・パスカーリ英語版(1960年代)がインスタレーションの創成期のもっとも早い作家の一人である。そのながれは今日のアルテ・ポーヴェラへと引き継がれている。

またアメリカにおいて1950年代末にハプニングを創始し理論化したアラン・カプローらも、ハプニングにおいてパフォーマンスを演じる際の装置や作品をゲリラ設置したりする環境を考える中で、環境芸術やインスタレーションに通じる問題意識を持つようになり、後のインスタレーションに影響を与えている。ほかにも1960年代コンセプチュアル・アートなどに起源をもつ、形態に焦点を置く伝統的な彫刻概念から離れた立体作品群が、現在のインスタレーション・アートに強い影響を与えている。

西洋以外でのもっとも早い時期のインスタレーション・アートの例として、日本の「具体美術協会」の、1954年ごろの初期の野外(芦屋公園)における美術展やサンケイホール・草月ホール等の舞台に於けるパフォーマンスがあり、カプローらも後にハプニングやインスタレーションの初期の例として評価している。

さらに古い起源をたどれば、伝統的な彫刻などの系譜よりも、マルセル・デュシャンが行ったレディメイド(既製品をそのまま作品とする)やクルト・シュヴィッタースメルツ芸術(廃物などを集めて再構成して作品を作る彼流のダダイスム。代表的なものに、自分の住宅内に作った巨大構造物メルツバウ(メルツ建築)など)にたどり着く。

主要なインスタレーション作家

ドイツのゲルゼンキルヒェンにある科学公園 (de:Wissenschaftspark Gelsenkirchen) の夜景。ダン・フレヴィンによる光のインスタレーション
"Design Miami/ Designer of the Year/ Tornado (2007)"吉岡徳仁

ギャラリー

脚注

  1. ^ Wolf Vostell 6 TV Dé-coll/age 1963 2022年11月30日閲覧
  2. ^ [1]
  3. ^ [2]
  4. ^ Milton Becerra Book Analysis of a process over time - 2007 - ISBN 980-6472-21-7

関連項目


インスタレーション

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/08/22 06:10 UTC 版)

ダニエル・ビュラン」の記事における「インスタレーション」の解説

1960年代からビュランアメリカベルギーフランスドイツなどにおいて恒久的なサイトスペシフィックインスタレーションを制作してきた。1986年にはパレ・ロワイヤル中庭に3,000平方メートルのインスタレーション作品Les deux plateaux を制作通称「Colonnes de Buren(ビュラン円柱)」と呼ばれているこの作品歴史的建造物コンテンポラリー・アート統合に関して議論巻き起こした1993年ジャン=ピエール・レイノーとのコラボレーションルーブル美術館のカフェ・リシュリューにおいてインスタレーション作品Poser/Déposer/Exposerを制作1990年代からはさらに建築的なインスタレーションへと発展し展示場所はシティーセンター (A Colored Square in the Sky (2007))、公園 (La Cabane Éclatée aux 4 Salles (2005))、美術館全体 (The Eye of the Storm (2005))、浜辺 (Le Vent soufle où il veut (2009)) にまで及ぶ。ニュージーランドGibbs Farm制作されGreen and White Fence (1999/2000)では牧場起伏沿ってフェンス役目を果たすポール状の立体作品4mごとに設置した2004年フランス中国文化年において北京天壇De l'azur au Temple du CIel制作2009年にはカリフォルニア州パサデナにおいて二千上のフラッグ用いたA Rainbow in the Sky制作した。 ビュレンはエルメス繰り返しコラボレーション行ってきた。2000年ブリュッセルにてエルメス最初ギャラリー「ラ・ヴェリエール」のオープニング飾りその後ソウルの「アトリエ・エルメス」のオープニングにあたってFiltres colorésというカラーパネル使った作品制作した2010年には「カレ」の限定版として写真ストライプ模様によるスカーフデザインした。これには1950年代からphotos-souvenirsシリーズ撮影されてきた世界中自身の作品旅行膨大なドキュメンタリー写真使用されている。 2013年春コレクションにおいてルイ・ヴィトンコラボレーション行った

※この「インスタレーション」の解説は、「ダニエル・ビュラン」の解説の一部です。
「インスタレーション」を含む「ダニエル・ビュラン」の記事については、「ダニエル・ビュラン」の概要を参照ください。

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インスタレーション

出典:『Wiktionary』 (2021/08/14 01:16 UTC 版)

語源

英語 installation転写

発音(?)

い↗んすたれ↘ーしょん

名詞

インスタレーション

  1. 取り付けられたもの、機械一式装置設備
  2. 美術芸術作品展示設置物、展覧品。

「インスタレーション」の例文・使い方・用例・文例

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