バロック美術とは? わかりやすく解説

バロック美術

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/14 12:01 UTC 版)

バロック美術(バロックびじゅつ)は、16世紀末から18世紀初頭にかけヨーロッパ各国に広まったバロックと総称される様式にもとづいた絵画や彫刻などの美術のことである。ルネサンス期の美術の理想とされた均衡のある構成より、意図的にバランスを崩した動的でダイナミックな表現が好まれた。ルネサンス後期のミケランジェロの晩年の作品はマニエリスムとも、バロックの先駆になったとも評される。宗教改革を経たカトリック教会の対抗改革(反宗教改革運動)や絶対王政の確立を背景にした美術様式であるといわれている。




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バロック美術

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西洋美術史」の記事における「バロック美術」の解説

詳細は「バロック美術」を参照 異論はあるものの17世紀西洋美術時代様式一般にバロック美術と称するバロックという言葉の意味については諸説あるが、「規範からの逸脱」を示す形容詞として18世紀末ごろより使用されはじめ、建築中心とした17世紀美術に対して否定的な意味で適用された。また、狭義には17世紀美術傾向一つという意味で使用され劇的奔放な特徴を持つ17世紀作品に対してのみ適用される場合もある。 この時代盛期ルネサンス伝統受け継ぎつつも、より現実即した表現強調されるようになり、時間の概念取り入れた風俗画風景画静物画など、実社会により密着したテーマ選定する様式確立する活動舞台ローマ中心に展開されていたが、18世紀初頭にかけてルイ14世治世には、フランス政治面とともに文化面でも中心的役割を果たすうになる16世紀後半イタリア美術活動はそのほとんどをヴェネツィア依拠していたが、この状況打破しようアンニーバレ・カラッチによって1580年代ボローニャアカデミア画塾)が設立される古代美術盛期ルネサンス美術理想性とモデル写生素描という現実性融合試みた追究広く支持されボローニャ派呼ばれる新し作風体現成功したまた、カラッチ理想化されローマ近郊風景中に聖書人物描き込む「古典主義風景画」を創始したことでも知られている。 カラッチ影響を受け、宗教画人物現実的な庶民の姿で描き出したミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ作品は、その斬新な主題描き方大きな議論巻き起こした冒涜的とみなされ、『聖母の死』の例のように教会引き取り拒否される場合もあれば、カラヴァジェスキと呼ばれる狂信的な追従者生み出す結果にも繋がっており、西欧絵画全体大きな影響及ぼした人物の一人であったことは疑いが無い。 彫刻および建築分野ではジャン・ロレンツォ・ベルニーニがこの時代代表的な美術家として名が挙げられる若くして名声確立したベリニーニは『聖テレジアの法悦』で現実の光を巧みに取り入れた彫刻建築組み合わせた作品制作している。その他、多く噴水彫刻設計にも携わりローマ景観作り変えたと言われるほどの影響残したベルニーニ師事し終生ライバルでもあったフランチェスコ・ボッロミーニも、独創的な建築表現名を残した一人である。代表的な建築物としてはサン・カルロ・アッレ・クワトロ・フォンターネ聖堂があり、絵画浮彫による装飾を必要最低限抑え波打つようなカーブ圧力歪んでいる様な緊張感じさせる特異な壁面構成効果引き出すことに成功している。 フランドルではリュベンス登場により新し絵画様式確立される10年近くの間イタリア滞在し盛期ルネサンス美術習得したリュベンスは、ネーデルラント帰国した後に制作したキリスト昇架』によって、ヘレニズム彫刻ミケランジェロ想起させる人体表現カラヴァッジオ見られる明暗法見事に融合させ、壮麗活力漲る独自の方式完成させた。リュベンスカトリック復興気運高まる当時の社会背景から多数祭壇画制作する一方で各国宮廷向けた大規模な建築装飾画を創出し国際的な評価獲得したまた、晩年にはブリューゲル伝統発展させたフランドルの自然を描き出し風景画新たな局面生み出した。 その他、フランドル代表する画家としてはアンソニー・ヴァン・ダイクヤーコブ・ヨルダーンスなどがいる。リュベンス助手として出発しチャールズ1世宮廷画家として半生イングランド全うしたヴァン・ダイクは、優雅で細線な自身特徴活かして肖像画分野において独自性発揮し貴族的肖像画規範築き上げたヨルダーンス宗教画神話画を風俗画観点描き出すことを得意とし、庶民的な活力溢れ作品残している。また、17世紀美術愛好家蒐集描き出した画廊画」という画種も、フランドル特徴ひとつとして取り上げられる16世紀末にオランダ共和国として独立したネーデルラント北部では、国際貿易による経済発展背景として市民層に向けた作品大い発達した市場競争での勝ち残りをかけた熾烈な技巧発達見られ卓越した技術持った画家数多く輩出した点は特筆価するアムステルダム活動拠点においたレンブラント・ファン・レインはその最たる例である。その他集団肖像画半身像風俗画を得意としたフランス・ハルス寓意や諺、民間行事主題とした作品描き続けたヤン・ステーン日常行為携わる人物静物画タッチ捉えて風俗画新たな境地開拓したヨハネス・フェルメールなどが代表的な画家として挙げられるとりわけフェルメール19世紀入ってその近代性大い注目集め17世紀最大画家として評価される至った他方写実的傾向強まった17世紀スペインでは黄金時代呼ばれるほどの美術繁栄もたらされディエゴ・ベラスケスフランシスコ・デ・スルバランバルトロメ・エステバン・ムリーリョといった巨匠登場したベラスケスカラヴァッジオ影響著し活動初期経てヴェネツィア絵画リュベンスとの接触によって自身技法様式洗練させ、視覚的印象的確に捉える新し描法編み出し『ラス・メニーナス』始めとする多く作品誕生させた。スルバラン同じくカラヴァッジオ強く影響受けたセビーリャ画家であるが、素神秘主義的な様式確立させ、静物画宗教画厳格な筆致描き上げたムリーリョフランドル絵画影響を受けた画家で、華麗な色彩甘美な宗教画制作するとともに風俗画においても人気博した写実的傾向推進下地となったイスラム美術影響相俟ってバロック美術が内包する装飾性強化繋がり、この時代スペイン美術特徴として表されるようになったスペイン黄金時代美術 フランス絵画では終生ローマで活動したニコラ・プッサンクロード・ロラン代表的な画家として取り上げられるラファエロカラッチ影響強く受け、厳格な古典主義様式確立させたプッサンは『アルカディアの牧人』を筆頭に、古典神話聖書主題考古学的時代考証交えて描き出すという理知的な作品創出注力した。また、ロラン古典主義風景画の展開に大きな足跡残した人物として知られローマ郊外田園ナポリ湾風景理想化して古代情景として登場させ、過去への郷愁想起させる詩的風景画誕生させた。両名芸術イタリアフランスの上階級層に広く受け入れられルイ14世設立した王立アカデミーにおいてはラファエロカラッチとともに規範として仰がれるまでの影響与えた一方で建築分野においてはイタリア起源バロック建築に対して古典主義建築フランス様式であるとする考え広まりクロード・ペロールーヴル宮殿筆頭古代様式に基づく建設各地行われたまた、ジュール・アルドゥアン=マンサールルイ・ル・ヴォーアンドレ・ル・ノートルらによって造営されヴェルサイユ宮殿宮殿建築範例として大きな影響与えた

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