装幀とは? わかりやすく解説

そう‐てい〔サウ‐〕【装丁/装訂/装×釘/装×幀】

読み方:そうてい

[名](スル)製本仕上げとして、書物表紙・扉(とびら)・カバーなど体裁を整えること。また、その意匠。「凝った意匠で—する」

[補説] 装丁が書物外側デザイン意味するのに対し装本は、レイアウト材料選択印刷方法製本様式までの形式意味することが多い。


装幀

読み方:ソウテイ(soutei)

書物表紙・扉・カバー外箱などの意匠検討し、本としての体裁を整えること


装幀

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/12 02:27 UTC 版)

装幀(そうてい、装丁)とは、一般的にはを綴じて表紙などをつける作業を指す。

広義には、カバー、表紙、見返し、扉、、外箱のある本は箱のデザイン、材料の選択を含めた、造本の一連の工程またはその意匠を意味する。

和風装幀の一例(1962年出版)

また、装幀を担当する専門家のことを装幀家装丁家と呼ぶ。本文のデザインなどを含めた図書設計を行う専門家のことを、「図書設計家」と括る場合もある。

漢字表記について

「そうてい」「装幀」は、正しくは装(よそお)い訂(さだ)める意味の「装訂」である[1]。書画の表具を意味する「幀」(読み:トウ)[2]が好まれ、装訂の略用表記「装丁」とともに定着している。「装釘」は職人の間での同音による誤用である[1]

日本において、明治までは、造本作業は単に「製本」と呼ばれた。明治末年頃からの出版文化の発展とともに、装い釘(てい)じるという意味の「装釘」が使われ始めた[3]。「装釘」は「装い釘うつ」を意味する熟語として、中国古代より存在した[4]1920年代後半からは、釘との連想を避けて「装幀」と表記することが多くなった。1946年昭和21年)に発表された当用漢字表には幀・釘ともに入っていなかったため、1956年(昭和31年)の国語審議会報告「同音の漢字による書きかえ」では、装幀・装釘には「装丁」が置き換えられることとされたが、装幀や装釘も一般に用いられている。

“そうてい”逸話

大正から昭和初期に、民族学民俗学考古学の名著を多数世に送り出した岡書院店主の岡茂雄は、壊れない本造りにこだわり、「装釘」の表記を好んで用いた。ついには「装釘同好会」の創設に参加。機関誌『書物と装釘』(1930年刊)が刊行された。岡はでき上がった本を床に叩きつけ、堅牢に仕上がっているかを試したという[5]

岩波書店の創業者の岩波茂雄も、社長室で、でき上がったばかりの本を床に叩きつけ、試したという話が伝わっている[4]

装幀とブックデザイン

「装幀」と「ブックデザイン[6]」という言葉は、同じ意味で使われることも、そうでない場合もある。

たとえば、書籍そのもので、

と分けて表記されている場合もある。このような場合には、「ブックデザイン」はカバーを除いた部分、すなわち、書籍本体のデザインのみを意味する。

ブック・デザイナーの桂川潤によれば[7]

*装丁:たいていは「本のジャケット、表紙、本扉、帯」といった外まわりのデザイン(+装丁資材の指定)
  • ブック・デザイン:これら外まわりのデザインに加え、判型、版面、見出しや本文の書体、本文用紙の指定など編集的要素を含めた「本のトータル・デザイン」という語感が加わる

とのことである。

「13歳のハローワーク公式サイト」[8]には、以下のような記述がある。

ブックデザインには、表紙やブックカバーなど本の外観をデザインする装丁と、本文までを全てデザインする造本がある。ブックデザイナーには両方手がける人もいれば、装丁のみ手がける人もおり、装丁を専門とする人を装丁家とも言う。

ブックデザインを中心に活躍するグラフィックデザイナーの鈴木一誌は[9]、以下のように、装丁よりもブックデザインを広いものと考えている。

ブックデザインには、装丁だけやるブックデザインと、造本といって本文まで全部やるブックデザインがあるわけです。

1冊単位での「ルリユール」

多数印刷される本のブックデザインとは別に、ヨーロッパでは簡易製本で購入した本を、自分好みに職人に装幀してもらう「ルリユール」(reliure、「製本」を意味するフランス語)という伝統がある[10]。頑丈に装幀されることが多いため、中世ヨーロッパの書籍が後世へ残ることに貢献した面があるほか、その技術は古書の修復にも用いられる。現代ヨーロッパにも工房があり、日本にも10人程度の職人がいるほか、一般の読書家向けに技術を教える講座が開かれている[11]

主要な装幀家

グラフィックデザイナーなどと兼業している場合が多い。

世界

日本

脚注・出典

  1. ^ a b 長澤規矩也『図解書誌学入門』(汲古書院,1976.11)p.3
  2. ^ 康熙字典網上版334頁
  3. ^ 裝釘同好會編『書物と裝釘』創刊号、1930年。
  4. ^ a b 司馬遼太郎「三人の茂雄」『本所深川散歩・神田界隈』街道をゆく36、司馬遼太郎、朝日新聞社、1992年、427〜437頁。
  5. ^ 岡茂雄「落第本屋の手記」『本屋風情』、平凡社、1974年、264〜288頁。
  6. ^ 講談社出版文化賞 では「ブックデザイン」を設けている
  7. ^ [1][2]
  8. ^ 13歳のハローワーク公式サイト
  9. ^ [3]
  10. ^ 京都大学図書館資料保存ワークショップ[図書館に修復室をツクろう!]⑥ルリユールという仕事活版印刷研究所ウェブマガジン(2018年12月27日閲覧)。
  11. ^ 「ルリユール 本を着飾る」『日本経済新聞』朝刊2018年10月14日(NIKKEI The STYLE)。

関連項目

外部リンク


装幀

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/03 09:08 UTC 版)

寄藤文平」の記事における「装幀」の解説

海馬』(池谷裕二糸井重里著/朝日出版社2002年) 『エネマグラ教典 -ドライオーガズム完全マニュアル-』(クーロン黒沢ポッチン下条著/太田出版2004年) 『マングローブ教えてくれた働き方』(今野誠一著/ブルース・インターアクションズ2009年) ちびポリ(東ハト スナック菓子) 『MAIL』全3巻山崎峰水 角川書店) 『黒鷺死体宅配便』 1〜28巻(原作大塚英志 作画山崎峰水 角川書店) 『松岡國男妖怪退治』 1〜4巻原作大塚英志 作画山崎峰水 角川書店) 『アライアズキ、今宵小豆を洗う。』全3巻原作大塚英志 作画山崎峰水 角川書店) 『北神伝綺上下原作大塚英志 作画森美夏 角川書店) 『とでんか』 全7巻(原作大塚英志 作画樹生ナト 角川書店) 『三つ目夢二』 全2巻原作大塚英志 作画ひらりん 徳間書店) 『まんがでわかるまんがの歴史』 全1巻原作大塚英志 作画ひらりん 角川書店) 『サブカルチャー反戦論』(大塚英志 角川書店2001年角川文庫2003年) 『多重人格探偵サイコ・フェイク』 (大塚英志 角川書店2002年) 『「私」であるための憲法前文』(大塚英志 角川書店2003年) 『アトム命題――手塚治虫戦後まんがの主題』(大塚英志 アニメージュ叢書2003年) 『くもはち』 (大塚英志 角川書店2003年) 『読む。書く。護る。――「憲法前文」のつくり方』(大塚英志 角川書店2004年) 『多重人格探偵サイコ 雨宮一彦消滅大塚英志 角川書店2005年) 『戦後民主主義リハビリテーション――論壇でぼくは何を語ったか』(大塚英志 角川文庫2005年) 『キャラクター小説作り方』(大塚英志 角川文庫2006年) 『試作品神話』 (文:大塚英志、絵:西島大介角川書店2006年角川文庫2009年

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「装幀」を含む「寄藤文平」の記事については、「寄藤文平」の概要を参照ください。

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