装填操作
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/21 02:33 UTC 版)
銃に弾が無い時にボルト(オペレーティングロッド)をいっぱいに引くと常にオペレーティングロッドキャッチが動作し、ボルトはホールドされたオペレーティングロッドを介してオープン状態となる。弾を込めずにボルトを閉じる場合は、マガジンフォロワーを押し込みかつオペレーティングロッドをわずかに引くと、オペレーティングロッドキャッチが外れてボルトが前進する。クリップが無い場合は弾を一発だけ薬室に差し込んだうえで上記操作を行えば、単発銃としての運用は可能ではある。 弾薬を保持したクリップを挿入して、マガジンフォロワーを底までいっぱいに押し込むと、オペレーティングロッドキャッチに内蔵されたアクセラレーターという部品により、オペレーティングロッドキャッチが強制的に解除され、同時にクリップキャッチがクリップを弾倉内に保持する。ボルトストップ解除と同時にクリップキャッチが動作するとも言える。8連クリップを装填する時、はじめのうちはオペレーティングロッドを常に抑えている必要はなく、ホールドオープン状態を維持する。アクセラレーターによるクリップキャッチおよびオペレーティングロッドキャッチ動作直前までは、特にオペレーティングロッドを押えておく必要はない。新品のようなテンションのしっかり効いた8連クリップを使用する限りにおいては、クリップを押し込むと同時にオペレーティングロッドキャッチは強制解除されるが、ボルトの前進はクリップ上部の一発目に引っかかって止まる。ボルトのストッパーを、クリップ上部の一発目の弾が肩代わりする状態とも言える。その後オペレーティングロッドを手で前進させて、クリップ上部の一発目をクリップから押し抜きながら装填するという形になる。 米軍で初期に作られた操作マニュアルでは、8連クリップを押し込む時、小指の付け根ではオペロッドを押えておらず、手は握りしめたままであった。しかしながら、クリップのテンションを頼りにしたこの方法では、再使用などでテンションの緩んだクリップを使った場合はボルトは即時に前進し、親指が入っていれば当然のことながら挟まれることとなる。逆に言えばクリップテンションが効いた8連クリップを使用する限りにおいては、親指を挟む可能性は低いと言える。 多くの文献では、あらかじめオペレーティングロッドを少し引いた状態でクリップを押し込むとも取れる操作方法が紹介されている。一応可能ではあるが、その間前進しようとするボルトをなんとか開放状態で保持し続ける必要がある。 M1の装填要領を整理すると次のとおりとなる。 1.最初はオペレーティングロッドは引かず、クリップを押し込む。 2.アクセラレータが動作する直前、抵抗が大きくなる時点で初めて小指付け根でオペレーティングロッドを少し引くが、同時にクリップキャッチがクリップをホールドするまで押し込む(ここが重要となる)。 3.ボルトの前進が一発目の弾薬に妨げられて止まったら、オペレーティングロッドを前方に押し込む。 小指付け根でオペレーティングロッドを少し引くと、アクセラレーター動作に要する力が不要となる分、クリップキャッチがかかるまでの抵抗が軽くなる。また、アクセラレーターでオペレーティングロッドキャッチが強制解除された場合は急激にボルトが前進するが、小指付け根でオペレーティングロッドを抑えていればボルトの急激な閉鎖をある程度防止でき、クリップテンションによるボルトの即時閉鎖が防げる。すなわち、親指を挟む恐れがなくなる。 また、射撃、狩猟用として作られている2連クリップまたは5連クリップは、マガジンフォロワーが下がりきらないので、目いっぱい押し込んでもアクセラレーターが動作しない。アクセラレーターが動作しないと言う事は、クリップキャッチも掛からずオペレーティングロッドキャッチも解除しない。また、クリップテンション自体も8連用と比べるとはるかに弱いので、一発目がホールドオープン肩代わりという8連クリップの要領は期待できない。クリップをいっぱいに押し込んでボルトを少し引いたら、ボルト前進を阻むものは何も無いと考えるべきで、2連および5連クリップを使用する場合は、十分な注意が必要である。 M1ガーランドのトリガーガード(用心金)は、ウィンチェスターのレバーアクション銃と類似した機構であるため、用心金後部を強く下方に引き下ろし、バネの反発に逆らい前方一杯に押すと撃鉄を再コックすることができる。この動作は、機関部取り外しの手順でもあるため、再コックを目的として行う場合は、片手で弾倉底部と木部をしっかりと握っておく必要がある。射撃練習場での不発時には、この操作で発射に成功すれば不発弾の処置が不要になるため、積極的に推奨されていた手順である。
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