池谷裕二とは? わかりやすく解説

池谷裕二

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/23 02:07 UTC 版)

池谷裕二
人物情報
生誕 (1970-08-16) 1970年8月16日(54歳)
日本 静岡県藤枝市
国籍 日本
出身校 コロンビア大学
東京大学大学院薬学系研究科
東京大学薬学部
学問
研究分野 神経科学
薬理学
人工知能
研究機関 東京大学大学院薬学系研究科
学位 薬学博士
主要な作品 記憶力を強くする
海馬
進化しすぎた脳
脳には妙なクセがある
受験脳の作り方
学会 日本薬理学会
日本薬学会
日本神経科学学会
人工知能学会
北米神経科学学会
主な受賞歴 日本学士院学術奨励賞
日本薬学会賞
江橋節郎賞
小林秀雄賞
公式サイト
池谷裕二のホームページ
脚注
テンプレートを表示

池谷 裕二[1](いけがや ゆうじ[1]、Yuuji IKEGAYA、1970年8月16日 - )は、日本薬剤師薬学者脳研究者[2]学位薬学博士東京大学大学院1998年)。東京大学大学院薬学系研究科教授静岡県藤枝市出身[3]

神経科学および薬理学を専門とし、海馬大脳皮質可塑性を研究する。脳科学の知見を紹介する一般向けの著作も執筆している。代表的な著作は『海馬』(2005年)、『進化しすぎた脳』(2007年)、『脳には妙なクセがある』(2012年)、『単純な脳、複雑な「私」』(2013年)など。『夢を叶えるために脳はある』(2024年)は小林秀雄賞を受賞。

略歴

人物

研究活動

光学的画像電気生理学などの計測技術を用いて研究を行っている。6報の米科学誌『Science』をはじめ、300報を超える学術論文を発表している[9]。神経回路の動作原理に関する研究は、日本薬学会賞日本学士院学術奨励賞日本学術振興会賞などの学術賞を受けている。2018年から神経科学と機械学習の融合を試みるERATO池谷脳AI融合プロジェクトの代表を務めている。

執筆・講演活動

販売部数が10万部を超える書籍が9冊ある。累積部数は200万部を超え、ほとんどの著書が中国語韓国語に翻訳出版されている。継続的に執筆活動を行う現役の科学者は珍しく、活動スタイルは「ネオ理系」と評された[10]。サイエンスライターの森健は「特筆すべきは、池谷氏の著作については同じ研究者の間でも非常に評価が高いということだ。たとえば今回の取材でも、理化学研究所のある研究者が『普段の研究活動がありながら、よくあれだけの(質の高い)本が出せていると感心する』と手放しで讃えていた」と述べている[11]

エピソード

  • 九九や漢字は苦手で、小学校の成績は並以下だった[12]
  • しかし、中学以降の成績は突出しており、東京大学薬学部へ首席で進学しただけでなく、卒業時も首席で卒業した。また東京大学大学院の入学試験にも首席で合格している[13]
  • 人の顔をうまく認識できない先天性相貌失認症であることをカミングアウトしている。顔と名前を一致させる苦労を「道端の石コロに名前が付いていて、微妙な形を区別しながら覚えていくといえばイメージが湧きますか?」と述べている[14]

受賞歴

  • 2004年 日本薬学会薬学研究ビジョン部会賞
  • 2006年 コニカミノルタ画像科学奨励賞
  • 2006年 日本薬理学会学術奨励賞
  • 2006年 日本神経科学学会奨励賞
  • 2008年 日本薬学会奨励賞
  • 2008年 文部科学大臣表彰若手科学者賞
  • 2009年 ニューロクリアティブ研究会創造性研究褒賞
  • 2013年 日本学術振興会賞
  • 2013年 日本学士院学術奨励賞
  • 2015年 塚原仲晃記念賞
  • 2017年 江橋節郎賞
  • 2024年 小林秀雄賞
  • 2025年 日本薬学会賞

著書

  • 『記憶力を強くする』(講談社ブルーバックス 2001)ISBN 978-4062573153
  • 『最新脳科学が教える高校生の勉強法』(ナガセ 2002)ISBN 978-4890852420
  • 『受験脳の作り方』(ナガセ 2002 のち新潮文庫 2011)ISBN 978-4101329222
  • 『進化しすぎた脳』(朝日出版社 2004 のち講談社ブルーバックス 2004)ISBN 978-4062575386
  • 『怖いくらい通じるカタカナ英語の法則』(講談社 2004 のち講談社ブルーバックス 2008)ISBN 978-4062575744
  • 『脳はなにかと言い訳する』(祥伝社 2006 のち新潮文庫 2010)ISBN 978-4396681135
  • 『単純な脳、複雑な「私」』(朝日出版社 2009 のち講談社ブルーバックス 2013)ISBN 978-4255004327
  • 『脳には妙なクセがある』(扶桑社 2012 のち扶桑社新書 2013)新潮文庫
  • 『ココロの盲点』(朝日出版社 2013)ISBN 978-4255007595
  • 『自分では気づかない、ココロの盲点 完全版』(講談社ブルーバックス 2016)ISBN 978-4-06-257953-7
  • 『脳はなにげに不公平 パテカトルの万脳薬』朝日新聞出版, 2016.3 のち文庫
  • 『メンタルローテーション "回転脳"をつくる』扶桑社, 2019.6
  • 『脳はすこぶる快楽主義 (パテカトルの万脳薬)』朝日新聞出版, 2020.10
  • 『パパは脳研究者 子どもを育てる脳科学』扶桑社新書 2020.7 のち文庫(『脳研究者 育つ娘の脳に驚く』)
  • 『回転させるだけで脳が覚醒するドリル』扶桑社, 2021.2
  • 『できない脳ほど自信過剰 パテカトルの万脳薬』朝日文庫 2021.3
  • 『寝る脳は風邪をひかない』扶桑社 2022.1 のち文庫(『脳は意外とタフである』)
  • 『夢を叶えるために脳はある』講談社 2024.3
  • 『生成AIと脳』扶桑社新書 2024.11
  • 『すごい科学論文』新潮新書 2025.4

共著

翻訳

  • J.アラン・ホブソン『夢に迷う脳: 夜ごと心はどこへ行く?』監訳 池谷香訳(朝日出版社 2007)
  • G.K.カンジ『「逆」引き統計学』著 久我奈穂子共訳(講談社 2009)

教科書

  • 国語(中学1年) 「笑顔という魔法」(教育出版 2012-2019)
  • 国語(中学3年) 「海馬」(三省堂 2012-2015)
  • 国語(中学1年)「自分の脳を知っていますか」(教育出版 2020-現在)

連載

  • VISA(VISA)「ビジネス脳のすすめ」2004-2008
  • Field(エムエフディ)2005-2007
  • 日本経済新聞(日本経済新聞)夕刊一面「あすへの話題」2007
  • エコノミスト(毎日新聞)巻頭エッセイ「闘論席」2008-現在
  • 日経ビジネスAssocie(日経BP)Web連載「潜在“脳力”を活かす仕事術」2008年-2009年
  • 週刊現代(講談社)「リレー読書日記」2009-2010
  • 読売新聞(読売新聞)読書委員 2011-2012
  • 週刊朝日(朝日新聞出版)「パテカトルの万脳薬」 2012-2023
  • 読売新聞(読売新聞)文化面「ビタミンBOOK」 2013-2014
  • クーヨン(クレヨンハウス)「脳研究者パパの悩める子育て」 2013-2017
  • 家の光(家の光協会)「脳ピカドリル」 2014-2015
  • 婦人画報(ハースト婦人画報社)「宇宙の一皿」 2016-2017
  • RETHINK(日本たばこ産業)「Rethink LABO ~“新視点”発見ラボ」 2016-2017
  • 週刊新潮(新潮社)「池谷裕二の全知全脳」 2023-現在

テレビ出演

出典

  1. ^ a b c 『新訂 現代日本人名録 2002 1.あーかと』日外アソシエーツ、432頁。 
  2. ^ 池谷裕二、木村俊介『ゆらぐ脳』文藝春秋、13頁。 
  3. ^ 前掲書『新訂 現代日本人名録 2002 1.あーかと』
  4. ^ 池谷裕二『単純な脳、複雑な「私」』講談社〈講談社ブルーバックス〉、16頁。 
  5. ^ 薬剤師資格確認検索システム - 厚生労働省
  6. ^ 博士論文書誌データベース
  7. ^ 池谷裕二、木村俊介『ゆらぐ脳』文藝春秋、162頁。 
  8. ^ 「人事異動(教員)」『学内広報』NO.1363、東京大学広報委員会、2007年9月14日、42頁。
  9. ^ 「池谷裕二の研究業績」 (池谷裕二のホームページより) http://gaya.jp/publication/paper_in.html
  10. ^ 日本経済新聞「NIKKEIプラス1」. (2005年5月14日)  {{cite news}}: |title=は必須です。 (説明)
  11. ^ 森健『脳にいい本だけを読みなさい!』光文社、80頁。 ISBN 978-4334976026 
  12. ^ 池谷裕二、糸井重里『海馬』新潮社〈新潮文庫〉、236頁。 
  13. ^ 池谷裕二『受験脳の作り方』新潮社〈新潮文庫〉、239頁。 
  14. ^ 池谷裕二『脳はこんなに悩ましい』新潮社、250頁。 

外部リンク





固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「池谷裕二」の関連用語

池谷裕二のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



池谷裕二のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの池谷裕二 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS