装飾写本とは? わかりやすく解説

装飾写本

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/08 14:06 UTC 版)

装飾写本(そうしょくしゃほん、仏語: enluminures、英語:illuminated manuscript) は、多くの場合、宗教的なテクスト写本に装飾頭文字(イニシャル)や装飾的な縁取り、装飾頁(カーペット頁)などの華麗な飾りを付けたものである。


  1. ^ 視覚デザイン研究所編『ヨーロッパの文様事典』視覚デザイン研究所、2000年、224–226頁。ISBN 4-88108-151-9
  2. ^ UNESCO - Art of illumination: Təzhib/Tazhib/Zarhalkori/Tezhip/Naqqoshlik” (英語). ich.unesco.org. 2023年12月8日閲覧。


「装飾写本」の続きの解説一覧

装飾写本

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/31 23:45 UTC 版)

シモン・マルミオン」の記事における「装飾写本」の解説

マルミオンの最高傑作とされているのはサンクトペテルブルクロシア国立図書館所蔵されている『フランス大年代記 (en:Grandes Chroniques de France)』で、大きめ(215mm x 258mm)のミニアチュール挿絵)が25、より小さめミニアチュール60描かれた装飾写本である。美し彩色描かれ戦闘場面からグリザイユのようなモノクローム描かれ落ち着いたものまでさまざまな挿絵描かれている。ネーデルラント事象重点置いて書かれており、フランス王位を要求するフィリップ3世正当化する目的作成されたと考えられるまた、医学に関するテキストもあり、内容図示する見事な挿絵宗教的な縁飾り施されフィリップ3世肖像とともに描かれている。 J・ポール・ゲティ美術館所蔵の『トンダルのヴィジョン (en:Getty Les Visions du chevalier Tondal)』も重要な作品である。1475年作成された装飾写本で、マルミオンは他にも伝統的な時祷書や装飾写本を制作しており、大英図書館所蔵1480年ごろの『フース時祷書 (Huth Hours)』は24ページ大の挿絵74小さめ挿絵装飾された、現存するマルミオンの作品のうちでもっとも精巧な時祷書となっている。現在ナポリにある22ページ挿絵を持つ『ラ・フローラ (la Flora)』は複数半身肖像画描いた最初時祷書で、「非常によくマルミオンの特色表現され写本装飾で、もっとも優れた作品だろう」ともいわれている。ほかにもニューヨークモルガン・ライブラリーカリフォルニアハンティントン・ライブラリーがマルミオンの優れた時祷書所蔵している。 ロンドンヴィクトリア&アルバート博物館所蔵するシモン・マルミオン時祷書」は1475年から1481年作成され時祷書で、11cm x 7.6cmのページ構成されており、時祷書細密画技法しての好例といえる縁飾りは特にすばらしく通常の時祷書草花装飾されているのに対し象牙エナメル額が用いられている。この時祷書特定の依頼者のために作成されたとは考えられていない依頼受けて作成され時祷書には通常縁飾り依頼者の紋章があるが、この時祷書には紋章がなく、また暦に記載されている聖人の記念日特定の所有者意識した聖人ではなく当時ブルッヘや北フランスで信仰されていた汎用的聖人記載されている。これは当時時祷書一般向けにも市販されていたことを示唆するが、この時祷書ほど高級なものは珍しい。一枚だけ縁飾りがないページ大の挿絵があり、そこにはあまり例のない天国と地獄光景描かれ反対側のページには「最後の審判」描かれている。下部2/3には炎に満ちた煉獄描かれその上には湖にけられた、草花満ちた公園のような天国へ続く細長い渡ろうとしている裸体肖像描かれている。『トンダルのヴィジョン』にもさまざまな天国と地獄光景描かれており、ペテルブルクにある『年代記 (Chroniques)』の挿絵シャルル禿頭王の夢 (Dream of Charles the Bald)」も同様に天国と地獄描かれている。これらはヒエロニムス・ボスが『快楽の園』などで地獄光景を描く以前作品である。

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装飾写本

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/07 06:17 UTC 版)

バーテルミー・デック」の記事における「装飾写本」の解説

デック作品ではないかとされてい装飾写本のなかに、ニューヨークモルガン・ライブラリー所蔵する時祷書があり、この時祷書作成にはアンゲラン・カルトンも関わっている。カルトンは他にも大英図書館所蔵している『ルネ・ダンジューロンドン時祷書(The London Hours of René of Anjou)』に5ミニアチュール描いている。これらの時祷書ディジョン虜囚となっていたルネ境遇と密接に関係しており、時祷書に関する書物著しているジョン・ハーサンは、ルネ自身ミニアチュールスケッチ描きデック仕上げさせたのではないか考え、「デックは王(ルネ)の高邁なアイディア忠実に解釈することができる、二人とはいない十分に信頼できる有能な友人であり、おそらく共同芸術活動行ったのだろう」としている。 もっともよく知られているデックの装飾写本は、ウィーンオーストリア国立図書館所蔵されている1460年 - 1470年作成年度が入った『Livre du cueur d'amour esprit』と『Théséide』で、それぞれデックの手による16と7挿絵装飾されている。『Livre du cueur d'amour esprit』は宮廷舞台にした寓意満ちた物語で、これを書いたのはまず間違いなくルネだと考えられている。この写本にはさらに29分の挿絵スペースがあるが、ここに描かれる予定だった挿絵は他の写本流用されている。これらの挿絵デックよりも技術的に劣る芸術家手掛けているが、デックスケッチをもとにして描いたとされている。デックの光の表現方法は非常に優れており、16挿絵のうち4が夜で、その他は夜明け夕暮れ描いた優れたものとなっている。 もう少し初期の作品の、同じくルネ文章書きデック挿絵描いたen:King René's Tournament Book』では、珍しいことに羊皮紙テンペラではなく、紙に水彩描かれている。 多く美術史家15世紀中頃に『ベリー公のいとも豪華なる時祷書』に挿絵追加した「影の画家Master of the Shadows)」と呼ばれる画家デックであると指摘している。この時祷書1419年依頼主ベリー公挿絵描いた画家リンブルク兄弟死去したため、その後長い間未完成のままになっていた。当時この時祷書ルネ所有していたと考えられている。 9月の暦にルネ居城で、1460年代大部分過ごしたソミュール城館描かれており、この部分を「影の画家」が描いたとされている。他に3月10月12月の暦にも「影の画家」が大部分(あるいは一部分)を描いた挿絵がある。「影の画家」が描いた空間奥行き表現リンブルク兄弟よりも優れており、この表現デック描いた写本挿絵顕著な特徴一つである。「影の画家」が描いた人々肖像は、その身体描写洗練されているとは言えないのに比べ、とくに農夫表情際立って個性あふれるものとなっている。 『ベリー公のいとも豪華なる時祷書』のなかで、これらの暦に描かれ情景と、もしかしたら『聖グレゴリー行進Procession of St Gregory)』に描かれている顔だけが、デック作品であると考えられ、他の多く挿絵後世フランスの装飾写本作家ジャン・コロンブ(英語版)が描いたものとなっている。

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