ドイツ表現主義とは? わかりやすく解説

ドイツ表現主義

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/26 09:48 UTC 版)

映画「カリガリ博士
フランツ・マルク「小さな青い馬」

ドイツ表現主義(ドイツひょうげんしゅぎ、: German Expressionism)は、ドイツにおいて第一次世界大戦前に始まり1920年代に最盛となった芸術運動で、客観的表現を排して内面の主観的な表現に主眼をおくことを特徴とした。建築、舞踊、絵画、彫刻、映画、音楽など各分野で流行し、「黄金の20年代」と呼ばれたベルリンを中心に花開いた。日本を含む世界各地の前衛芸術に影響を与え、現代芸術の先駆となった。

概要

ドレスデンドイツ帝国時代のザクセン王国)で1905年に、エルンスト・ルートヴィヒ・キルヒナーらの前衛絵画グループ「ブリュッケ」が生まれ、ドイツ表現主義と言われる運動の起点になった(表現主義の項目を参照のこと)。表現主義(Expressionism)は印象主義(Impressionism)に対する言葉で、不安の感情などを表現している。1911年にはミュンヘンカンディンスキーフランツ・マルク芸術家グループ「青騎士」が生まれ、彫刻や音楽などにも広がっていった。建築においても、メンデルゾーンのアインシュタイン塔などの作品がある。ドイツ表現主義の主な作家・作品については以下のカテゴリーを参照。

ドイツ古典主義の美術を模範とするナチス・ドイツ時代には、「退廃芸術」の一つと規定され、激しい弾圧を受けた。ヴァイマル文化の項参照。

「ドイツ表現主義」「ドイツ表現派」という呼び方について

日本においては、単なる「表現主義」(「表現派」)ではなく「ドイツ表現主義」(「ドイツ表現派」)という言い方がなされることがあるが、これがどのような経緯で使われるようになったかについて明確に記載している文献は存在しない。ただ、 第二次世界大戦前から日本で「ドイツ表現派」という呼び方が用いられていたことを示す、次のような文献が存在する。

  1. 大正11年(1922年)11月雑誌『解放』:山岸光宣「独逸表現派の社会革命劇 トルレルの『転変』を中心として」
  2. 大正12年(1923年)1月3日-2月2日『東京朝日新聞』:田中總一郎「独逸表現派戯曲家」

なお、『カラー版20世紀の美術』(監修・末永照和、美術出版社、2000年)においては、見出しにおいて(「ドイツ表現主義」という表現ではなく)「ドイツの表現主義」という表現を用いている(11ページ)。

ドイツ表現主義(映画)

ドイツ表現主義映画の代表作としては『プラーグの大学生』、『カリガリ博士』、『ゲニーネ』、『巨人ゴーレム』、『死滅の谷』、『吸血鬼ノスフェラトゥ』、『ファントム英語版』、『メトロポリス』、『M』などがある。

関連書籍

  • 早崎守俊『ドイツ表現主義の誕生』三修社、1996 年
  • 神林恒道・編『ドイツ表現主義の世界:美術と音楽をめぐって』法律文化社、1995年
  • 土肥美夫『ドイツ表現主義の芸術』岩波書店、1991 年

関連項目

外部リンク


ドイツ表現主義

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/03 00:31 UTC 版)

表現主義」の記事における「ドイツ表現主義」の解説

詳細は「ドイツ表現主義」を参照 ドイツ表現主義は、20世紀初頭にドイツ起こった一大芸術運動である。この感情表現中心とする手法は、当時、他のヨーロッパの国々で盛んであった印象派物事外面的な特徴描写する)とは対極位置する表現主義は、第一次世界大戦後すぐに、他の運動へと受け継がれていった例えば、構成主義新即物主義、そして後の抽象表現主義、超写実主義である。 ドイツ表現主義の作品において、よく扱われるテーマは、生活の矛盾性的なもの家族間のものなど)から、革命戦争社会矛盾など、いわば既存秩序市民生活対す反逆目指したものが多い。ドイツ表現主義においては伝統的な芸術様式破壊され、また自然主義とは正反対立場をとる。表現主義者は、ニーチェ思想的影響受けているとされる

※この「ドイツ表現主義」の解説は、「表現主義」の解説の一部です。
「ドイツ表現主義」を含む「表現主義」の記事については、「表現主義」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「ドイツ表現主義」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



ドイツ表現主義と同じ種類の言葉


固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ドイツ表現主義」の関連用語

ドイツ表現主義のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ドイツ表現主義のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのドイツ表現主義 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの表現主義 (改訂履歴)、ドイツ表現主義 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS