M_(1931年の映画)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > M_(1931年の映画)の意味・解説 

M (1931年の映画)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/22 08:07 UTC 版)

M
M – Eine Stadt sucht einen Mörder
監督 フリッツ・ラング
脚本 テア・フォン・ハルボウ
フリッツ・ラング
製作 シーモア・ネベンザル
出演者 ピーター・ローレ
オットー・ベルニッケ
グスタフ・グリュントゲンス
撮影 フリッツ・アルノ・ヴァグナー
編集 ポール・ファルケンバーグ
配給 パラマウント映画
地上映画社
公開 1931年5月11日
1932年4月
上映時間 117分(オリジナル版)
99分(アメリカ公開版)
製作国 ドイツ国
言語 ドイツ語
テンプレートを表示

M』(原題: M – Eine Stadt sucht einen Mörder)は1931年製作のドイツの映画フリッツ・ラング監督作品。ベルリンを舞台に、連続殺人犯が警察と犯罪者たちに追い詰められる様を描く。ラングの初のトーキーにして代表作であると同時に、サイコスリラー映画の始祖として高く評価されている。また、アメリカ合衆国におけるフィルム・ノワールの成立に大きな影響を与えた。

あらすじ

1930年代のベルリンで、幼い少女ばかりを狙った連続殺人事件が発生した。警察の必死の努力にもかかわらず犯人逮捕の目処は立たず、市民や暗黒街の犯罪者たちは彼ら自身の手で犯人を捕まえることを思い立つ。

手がかりはないかのように思えたが、被害者の一人エルジーが誘拐されたときに口笛が聞こえたことに気付いた盲目の売り子により、一人の男に焦点が絞られた。チョークで「M」(ドイツ語で殺人者を意味する「Mörder」の頭文字)のマークを付けられた男は、徐々に追い詰められていく。

キャスト

  • ピーター・ローレ:ハンス・ベッケルト
  • オットー・ベルニッケ:カール・ローマン警視正
  • グスタフ・グリュントゲンス:暗黒街の顔役

制作

映画の脚本は監督であるラングと、当時彼の妻であった女流作家のテア・フォン・ハルボウが執筆した。

主人公の殺人犯は、「デュッセルドルフの吸血鬼」と呼ばれたペーター・キュルテンをモデルにしたと言われている。その指摘に対してラング自身は、キュルテンら当時のドイツ社会を震撼させた実在の殺人鬼たちは映画製作のモチーフになったものの、作中に登場する殺人犯の明確なモデルと言えるような存在ではないと否定した[1]。現に映画に登場する殺人犯は少女のみを標的にしており、老若男女を問わず殺戮したキュルテンとは異なるタイプの犯罪者である。 また、作中で犯罪者たちのシンジケートや乞食組合が登場するなど、ラングと同時期に活躍したドイツ演劇界の巨匠ベルトルト・ブレヒトの代表作『三文オペラ』からの影響がしばしば指摘されている[2]。本作品のテーマについて映画評論家のロジャー・イーバートは、国家社会主義ドイツ労働者党が台頭しつつあった1930年代の病んだドイツ社会に対する批判であると述べた[3]

映画中にBGMは存在しないものの、エドヴァルド・グリーグが作曲した劇音楽ペール・ギュント』第一組曲の一節である「山の魔王の宮殿にて」が、殺人犯が好んで吹く口笛として効果的に使用されている。また、映画中で一人の登場人物がしゃべっているセリフを、他の場所にいる別の登場人物がそのまま引き継ぐ演出(映画中盤において、犯罪者たちの会合と刑事たちの捜査会議が同時進行するのがその顕著な例である)は当時としては画期的なものだった。

脚注

  1. ^ “Fritz Lang on M: An Interview”(クライテリオン・コレクション版DVD付録の小冊子より)
  2. ^ Stanley Kauffmann、“The Mark of M”(クライテリオン・コレクション版DVD付録の小冊子より)
  3. ^ Roger Ebert、“Great Movies – M”、1997年8月3日。(参照:2009年5月11日)

外部リンク


「M (1931年の映画)」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「M_(1931年の映画)」の関連用語

M_(1931年の映画)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



M_(1931年の映画)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのM (1931年の映画) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS