功利主義とは? わかりやすく解説

こうり‐しゅぎ【功利主義】

読み方:こうりしゅぎ

功利第一とする考え方

幸福を人生社会最大目的とする倫理政治学説。「最大多数の最大幸福」を原理とする。英国ベンサムミルによって唱えられた。功利説。


功利主義

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/06 19:47 UTC 版)

功利主義(こうりしゅぎ、: utilitarianism)は、行為制度の正しさは、その結果として生じる効用(功利、有用性、: utility)によって決定されるとする立場[1]帰結主義(結果主義・成果主義)の一種であり、規範主義と対置される[1]ジェレミ・ベンサムJ.S.ミルにより構築された[1]法学政治学経済学の分野にも応用される[2]公益主義大福主義とも訳される(#名称)。


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  15. ^ Simões, Mauro Cardoso (2013-08). “Hare's preference utilitarianism: an overview and critique”. Trans/Form/Ação 36 (2): 123–134. doi:10.1590/S0101-31732013000200008. ISSN 0101-3173. http://www.scielo.br/scielo.php?script=sci_arttext&pid=S0101-31732013000200008&lng=en&tlng=en. 
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  17. ^ 英語版ウィキソースに本記事に関連した原文があります:Utilitarianism 脚注1
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  19. ^ a b 小林武「清末におけるutilityと功利観」『京都産業大学論集 人文科学系列』第41巻、京都産業大学、2010年3月、52–76頁、ISSN 02879727NAID 110007523043 
  20. ^ a b c 小林武、佐藤豊 『清末功利思想と日本』(第1版)研文出版、2011年。ISBN 9784876363193NCID BB05455199 
  21. ^ a b 佐藤豊「清末の功利主義受容に関連して見たところの前近代における功利概念」『愛知教育大学研究報告 人文・社会科学編』第51巻、愛知教育大学、2002年3月、9–17頁、ISSN 13414615NAID 110000576102 
  22. ^ 深貝保則「永井義雄『イギリス近代社会思想史研究』未来社, 1996, 299+ixp.」『経済学史学会年報』第35巻第35号、経済学史学会、1997年、171-173頁、doi:10.11498/jshet1963.35.171ISSN 0453-4786NAID 130004246210 
  23. ^ 一ノ瀬正樹『功利主義と分析哲学』日本放送出版協会、2010年。および同書の増訂版『英米哲学史講義』ちくま学芸文庫、2016年
  24. ^ これらに関連して、修正功利主義として「優先主義」「十分主義」が提唱されているが、本文で指摘したような問題点は解決できていないように思われる。広瀬巌(齊藤拓[訳])『平等主義の哲学 ロールズから健康の分配まで』(勁草書房、2016年)等を参照。


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功利主義

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 01:20 UTC 版)

動物の権利」の記事における「功利主義」の解説

シンガー主張は、最大幸福平等な配慮という功利主義の原則動物に対してあてはまるというものである人間ではないという理由でそうした原則適用されないという見解は、「種差別にあたるとしてしりぞけられる。ある生き物配慮対象になる基準は、功利主義者ベンサムが、「問題は理性があるか、話す事ができるか、ということではなく、苦痛を感じるということである」と述べているように、痛み苦しみ感じ存在 (sentient being) であるかどうかという点になる。どこまでそうした配慮対象となるかについてシンガーは、『動物の解放の中で (食べるものに関して)「ひとつの境界線すべての人賛成するわけではないことは認めようと言いつつ「もし線引きするとすれば小えびカキのあいだのどこかで線をひくのが一番妥当であろう」と述べている。 同じく功利主義者であるジェレミー・ベンサムと同様動物苦しめず殺すこと問題にならないという立場である。人間など高等な生物は生活計画を持ち、それを殺して妨げるのは不正だが、そういったものを持たない生物苦しめずに殺すのは不正ではないとしている。

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功利主義

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人生の意義」の記事における「功利主義」の解説

功利主義の起源はエピクロスまで遡れるものの、学派としてのこの思想創始者ジェレミー・ベンサムであるとされており、彼は快と不快という二つ支配者下にあること人間自然である主張し、そして道徳的洞察から功利性の支配Rule of Utility)という説を展開し、「@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}善は何であれ最大多数の最大幸福である[要出典]」とした。彼は生きる意味を「最大幸福原理」[要出典]として定義した。なお、ジェレミー・ベンサム第一支持者彼の時代著名な哲学者であるジョン・ステュアート・ミルの父であるジェイムズ・ミルである。ジョン・ステュアート・ミル父の仕事多くからの転写要約を含むベンサム原理によって教育された。

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功利主義

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ベーシックインカム」の記事における「功利主義」の解説

社会学者大澤真幸によればベーシックインカムは「修正版功利主義」を体現する原理とみなすことができるという。功利主義とは、「最大多数の最大幸福」を目標として社会設計を行う思想であるが、「最大多数」と「最大幸福」という2つ同時に達成しようとすると「幸福の総和さえ大きくなれば個人の権利軽視される」という難点生じる。そこで目標を「最大多数一定幸福」というように切り替えた修正版の功利主義を考えれば最低限の生活水準をおくれるだけの資金(=一定幸福)を無条件に国民全員へ(=最大多数給付するベーシックインカム思想結びつくことになる。

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功利主義

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快楽主義」の記事における「功利主義」の解説

快楽主義主張し社会原理として提唱したのがベンサムの功利主義である。彼は快楽強度持続性確実性遠近性など七つ尺度計算できるとし、その総計社会全体において最大化する(最大多数の最大幸福行為善悪基準みなしたJ.S.ミルベンサム快楽主義修正し快楽にも質の差(高卑)があり単純には計算できないとする質的快楽主義主張した

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経験論」の記事における「功利主義」の解説

ジェレミー・ベンサムは、経験を重視し快楽苦痛に支配される人間という冷厳な事実直視し倫理学において、功利性の原理基礎に「最大多数の最大幸福」、ある行為道徳的に善いか悪いかの判断基準はその行為人々の幸福を全体として増大させるか否かにあると主張した

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功利主義

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19世紀の哲学」の記事における「功利主義」の解説

最初に産業革命成功し「世界の工場」として発達したイギリスでは早くから個人間の利益、または個人社会利益とをいかに調和させるかが問題となっていた。この問題を解決するために生まれた道徳理論が必要となった。そこで発生したテーゼこそ「最大多数の最大幸福」であり、それを実現するために生まれた哲学が功利主義である。

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功利主義

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ジェレミ・ベンサム」の記事における「功利主義」の解説

政治シリーズ記事からの派生 功利主義先行者 エピクロス デイヴィッド・ヒューム ウィリアム・ゴドウィンフランシス・ハッチソン 人物 ジェレミ・ベンサム ジョン・スチュアート・ミル ヘンリー・シジウィック · R.M.ヘア ピーター・シンガー 種類 選好 · 規則 · 行為 二層理論 · 総量 · 平均 消極的 · 快楽主義 見識ある自己利益 キーコンセプト 痛み/疼痛 · 苦しみ · 快楽 効用 · 幸福 · 幸福主義 帰結主義 · 幸福計算 課題 単純追加パラドクス 快楽主義のパラドクス 効用モンスター 関連項目 合理的選択理論 · ゲーム理論 社会選択理論新古典派経済学 Portal:政治学 表 話 編 歴 ベンサムは法や社会改革多く提案しただけでなく、改革根底据えられるき道徳的原理考案した。「快楽や幸福をもたらす行為が善である」というベンサム哲学は功利主義と呼ばれるベンサム基本的な考え方は、『正しい行い』とは、「効用」を最大化するあらゆるものと言うものベンサムは、正しい行為政策とは「最大多数個人最大幸福」(the greatest happiness of the greatest number)をもたらすものである論じた。「最大多数個人最大幸福」とは、「個人の幸福の総計社会全体の幸福であり、社会全体の幸福最大化すべきであるという意味である。しかし彼は後に、「最大多数」という要件落として最大幸福原理」(the greatest happiness principle)と彼が呼ぶものを採用したベンサムまた、幸福計算呼ばれる手続き提案した。これは、ある行為もたらす快楽の量を計算することによって、その行為善悪の程度を決定するものである。功利主義は、ベンサム門弟であるジョン・ステュアート・ミルによって、修正され拡張された。ベンサム理論には、ミル理論とは異なり公正さ原理欠落している、としばしば言われる例えば、拷問され個人の不幸よりも、その拷問によって産出される他の人々の幸福の総計の方大きいならば道徳的ということになる、という批判がある。しかしながらP. J. ケリー著作『功利主義と配分的正義ジェレミ・ベンサム市民法』(Utilitarianism and Distributive Justice: Jeremy Bentham and the Civil Lawの中で論じているように、ベンサムそのような望ましくない帰結を防ぐような正義論をもっていた。ケリーによればベンサムにとって法とは、「個々人が幸福と考えるものを形成し追求できるような私的不可侵領域定めることによって、社会的な相互作用基本的枠組み提供する」(op. cit.、p. 81)ものなのである私的不可侵領域は安全を提供するが、この安全は期待形成するための前提条件である。幸福計算によれば、「期待効用」(expectation utilities)は「自然効用」よりもはるかに高くなるので、ベンサム多数者利益のために少数者犠牲にすることを支持しないのである。 功利主義が肯定的に語られる例として当時イギリスでは禁止されていた同性愛擁護挙げられるベンサムは、同性愛は誰に対して実害与えず、むしろ当事者間に快楽さえもたらすとして、合法化提唱したこの他、功利主義によれば被害者なき犯罪はいずれ犯罪とならない

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