こうり‐しゅぎ【功利主義】
功利主義
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功利主義(こうりしゅぎ、英: utilitarianism)は、行為や制度の正しさは、その結果として生じる効用(功利、有用性、英: utility)によって決定されるとする立場[1]。帰結主義(結果主義・成果主義)の一種であり、規範主義と対置される[1]。ジェレミ・ベンサムやJ.S.ミルにより構築された[1]。法学、政治学、経済学の分野にも応用される[2]。公益主義、大福主義とも訳される(#名称)。
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英語版ウィキソースに本記事に関連した原文があります:Utilitarianism 脚注1
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- ^ 一ノ瀬正樹『功利主義と分析哲学』日本放送出版協会、2010年。および同書の増訂版『英米哲学史講義』ちくま学芸文庫、2016年
- ^ これらに関連して、修正功利主義として「優先主義」「十分主義」が提唱されているが、本文で指摘したような問題点は解決できていないように思われる。広瀬巌(齊藤拓[訳])『平等主義の哲学 ロールズから健康の分配まで』(勁草書房、2016年)等を参照。
功利主義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 01:20 UTC 版)
シンガーの主張は、最大幸福や平等な配慮という功利主義の原則は動物に対してもあてはまるというものである。人間ではないという理由でそうした原則が適用されないという見解は、「種差別」にあたるとしてしりぞけられる。ある生き物が配慮の対象になる基準は、功利主義者のベンサムが、「問題は、理性があるか、話す事ができるか、ということではなく、苦痛を感じるということである」と述べているように、痛みや苦しみを感じる存在 (sentient being) であるかどうかという点になる。どこまでがそうした配慮の対象となるかについてシンガーは、『動物の解放』の中で (食べるものに関して)「ひとつの境界線にすべての人が賛成するわけではないことは認めよう」と言いつつ「もし線引きをするとすれば、小えびとカキのあいだのどこかで線をひくのが一番妥当であろう」と述べている。 同じく功利主義者であるジェレミー・ベンサムと同様、動物を苦しめずに殺すことは問題にならないという立場である。人間などの高等な生物は生活計画を持ち、それを殺して妨げるのは不正だが、そういったものを持たない生物を苦しめずに殺すのは不正ではないとしている。
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功利主義
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功利主義の起源はエピクロスまで遡れるものの、学派としてのこの思想の創始者はジェレミー・ベンサムであるとされており、彼は快と不快という二つの支配者の下にあることが人間の自然であると主張し、そして道徳的洞察から功利性の支配(Rule of Utility)という説を展開し、「@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}善は何であれ最大多数の最大幸福である[要出典]」とした。彼は生きる意味を「最大幸福の原理」[要出典]として定義した。なお、ジェレミー・ベンサムの第一の支持者は彼の時代の著名な哲学者であるジョン・ステュアート・ミルの父であるジェイムズ・ミルである。ジョン・ステュアート・ミルは父の仕事の多くからの転写と要約を含むベンサムの原理によって教育された。
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功利主義
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社会学者の大澤真幸によれば、ベーシックインカムは「修正版功利主義」を体現する原理とみなすことができるという。功利主義とは、「最大多数の最大幸福」を目標として社会設計を行う思想であるが、「最大多数」と「最大幸福」という2つを同時に達成しようとすると「幸福の総和さえ大きくなれば個人の権利は軽視される」という難点が生じる。そこで目標を「最大多数の一定幸福」というように切り替えた修正版の功利主義を考えれば、最低限の生活水準をおくれるだけの資金(=一定幸福)を無条件に国民全員へ(=最大多数)給付するベーシックインカムの思想と結びつくことになる。
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功利主義
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快楽主義を主張し社会の原理として提唱したのがベンサムの功利主義である。彼は、快楽を強度、持続性、確実性、遠近性など七つの尺度で計算できるとし、その総計を社会全体において最大化する(最大多数の最大幸福)行為を善悪の基準とみなした。 J.S.ミルはベンサムの快楽主義を修正し、快楽にも質の差(高卑)があり単純には計算できないとする質的快楽主義を主張した。
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功利主義
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ジェレミー・ベンサムは、経験を重視し、快楽と苦痛に支配される人間という冷厳な事実を直視し、倫理学において、功利性の原理を基礎に「最大多数の最大幸福」、ある行為が道徳的に善いか悪いかの判断基準はその行為が人々の幸福を全体として増大させるか否かにあると主張した。
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功利主義
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最初に産業革命に成功し、「世界の工場」として発達したイギリスでは早くから諸個人間の利益、または個人と社会の利益とをいかに調和させるかが問題となっていた。この問題を解決するために生まれた道徳理論が必要となった。そこで発生したテーゼこそ「最大多数の最大幸福」であり、それを実現するために生まれた哲学が功利主義である。
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功利主義
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政治シリーズ記事からの派生 功利主義先行者 エピクロス デイヴィッド・ヒューム ウィリアム・ゴドウィンフランシス・ハッチソン 人物 ジェレミ・ベンサム ジョン・スチュアート・ミル ヘンリー・シジウィック · R.M.ヘア ピーター・シンガー 種類 選好 · 規則 · 行為 二層理論 · 総量 · 平均 消極的 · 快楽主義 見識ある自己利益 キーコンセプト 痛み/疼痛 · 苦しみ · 快楽 効用 · 幸福 · 幸福主義 帰結主義 · 幸福計算 課題 単純追加のパラドクス 快楽主義のパラドクス 効用のモンスター 関連項目 合理的選択理論 · ゲーム理論 社会選択理論新古典派経済学 Portal:政治学 表 話 編 歴 ベンサムは法や社会の改革を多く提案しただけでなく、改革の根底に据えられるべき道徳的原理を考案した。「快楽や幸福をもたらす行為が善である」というベンサムの哲学は功利主義と呼ばれる。ベンサムの基本的な考え方は、『正しい行い』とは、「効用」を最大化するあらゆるものだと言うもの。ベンサムは、正しい行為や政策とは「最大多数個人の最大幸福」(the greatest happiness of the greatest number)をもたらすものであると論じた。「最大多数個人の最大幸福」とは、「個人の幸福の総計が社会全体の幸福であり、社会全体の幸福を最大化すべきである」という意味である。しかし彼は後に、「最大多数」という要件を落として「最大幸福原理」(the greatest happiness principle)と彼が呼ぶものを採用した。ベンサムはまた、幸福計算と呼ばれる手続きを提案した。これは、ある行為がもたらす快楽の量を計算することによって、その行為の善悪の程度を決定するものである。功利主義は、ベンサムの門弟であるジョン・ステュアート・ミルによって、修正され拡張された。ベンサムの理論には、ミルの理論とは異なり、公正さの原理が欠落している、としばしば言われる。例えば、拷問される個人の不幸よりも、その拷問によって産出される他の人々の幸福の総計の方が大きいならば、道徳的ということになる、という批判がある。しかしながら、P. J. ケリーが著作『功利主義と配分的正義―ジェレミ・ベンサムと市民法』(Utilitarianism and Distributive Justice: Jeremy Bentham and the Civil Law)の中で論じているように、ベンサムはそのような望ましくない帰結を防ぐような正義論をもっていた。ケリーによれば、ベンサムにとって法とは、「個々人が幸福と考えるものを形成し追求できるような私的不可侵領域を定めることによって、社会的な相互作用の基本的枠組みを提供する」(op. cit.、p. 81)ものなのである。私的不可侵領域は安全を提供するが、この安全は期待を形成するための前提条件である。幸福計算によれば、「期待効用」(expectation utilities)は「自然効用」よりもはるかに高くなるので、ベンサムは多数者の利益のために少数者を犠牲にすることを支持しないのである。 功利主義が肯定的に語られる例として、当時のイギリスでは禁止されていた同性愛の擁護が挙げられる。ベンサムは、同性愛は誰に対しても実害を与えず、むしろ当事者の間には快楽さえもたらすとして、合法化を提唱した。この他、功利主義によれば被害者なき犯罪はいずれも犯罪とならない。
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