功利主義と権利論の対比
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 01:20 UTC 版)
「動物の権利」の記事における「功利主義と権利論の対比」の解説
帰結主義のひとつである功利主義においては、行為の結果が重要視されるのに対し、権利論(義務論)においては結果は問題とならない。動物実験の例で言うと、権利論においては動物が生の主体と認められる限り実験に使用することは(実験の有用性を問題にしないので)一切、認められない。一方、功利主義では動物がこうむる苦痛の総和と、人間が受ける恩恵の総和の比較において、動物実験が正当化される場合がある可能性を否定しない。しかし、現実の動物実験に対しては正当化される条件を満たす場合は極めてまれであるとし、事実上の全廃に近い要請をしている。肉食を廃止すべきであるという点でも、両者はほぼ一致している。動物の権利(解放)論としての功利主義と権利論は、道徳理論という点では大きく異なるが、目指すものという点だけを見れば、大きな違いは見いだせない。 シンガーをはじめとし、R.M.ヘア、ジョン・ロールズ、ロバート・ノージック、ゲイリー・フランシオン、ジェームズ・レイチェルズ、マーサ・ヌスバウム、クリスティン・コースガード、ロザリンド・ハートハウス、ネル・ノディングズなど、現代の代表的な倫理学者は理論的方向性は異なるものの、動物が直接の配慮の対象となるべきであるという点では一致している。
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