道徳
「道徳」とは、人々が正しい行動をするために守らなければならないルールのことを意味する表現。
「道徳」の基本的な意味
「道徳」とは、人々が善悪をわきまえながら正しい行動をしていくために、守らなければならないルールや規範のことを示す言葉である。法律や規制のように強制されるものではなく、自発的に正しい行為をすることを促すための内面的な原理として存在するものである。日本では、「道徳」と同じ意味合いの言葉として、「モラル」という表現を用いることも多い。一方で、「道徳」は、日本の小学校・中学校教育における教科のことを意味する教育用語としても知られている。1958年から、教育課程における教科外活動として長らく「道徳」の授業が実施されてきたが、2015年の学習指導要領の一部改正によって、従来の道徳授業の廃止が盛り込まれる。その後、移行措置期間を経て、2018年から「道徳」に代わって「特別の教科」となる。従来の「道徳」の内容に、いじめ自殺問題への対応、個性の伸長、国際理解などの新たな内容が追加され、子供たちを取り巻く現代の情勢に合わせた指導に改善されている。
「道徳」の語源・由来
「道徳」は、老子の『道徳経』に代表される中国の古典を由来とする観念であり、「道」と「徳」の2つの考えが語源となっている。「道」は、世の中において人が従うべきルールのことを指し、「徳」は、体得してルールを守ることができる状態のことを意味する。この「道」と「徳」の2つの言葉が意味が合わさって、現在の「道徳」の概念につながっている。「道徳」を含む熟語・言い回し
道徳心とは
「道徳心」とは、「道徳」を守って行動しようとする心のことを指す。善悪をしっかりと判断した上で、ルールに従って正しい行いをしようとする心の働きを表している。教育現場に向けて文部省が示している「道徳心」には、自分自身の節度・向上心、人との関わりにおける思いやり・感謝、集団や社会との関わりにおける公徳心・家族愛・よりよい学校生活・国を愛する態度、生命や自然との関わりにおける自然愛護や畏敬の念といった20種類以上の概念が定義されている。
「道徳」を含む様々な用語の解説
道徳駅(愛知県にある駅)とは
「道徳駅(愛知県にある駅)」とは、愛知県名古屋市南区にある名古屋鉄道常滑線の駅である。2005年に駅集中管理システムが導入されて、駅員無配置駅となり有人駅ではなくなる。「道徳駅」の名前は周辺の地名に由来していて、名前の珍しい駅名としても知られている。
道徳公園(名古屋市の公園)とは
「道徳公園(名古屋市の公園)」とは、愛知県名古屋市南区にある公園である。尾張徳川家が所有していた道徳前神殿が売却された跡地にあり、1928年には皇太子殿下御降誕記念事業公園の一つとして議決される。「道徳公園(名古屋市の公園)」は、区内で最も歴史のある公園であり、シンボルにもなっている大きなクジラのモニュメントは、1927年に後藤鍬五郎によって作られ、2011年には市の認定地域建造物資産に指定されている。園内にはクジラ池と呼ばれる池のほか、道徳地区の歴史や歩みを解説する看板や重厚感あふれる石碑などもある。
「道徳」の使い方・例文
・彼はいつも正しい選択をする道徳的な人である・道徳の授業では色々なことを皆で話し合うのがおもしろい。
・学校指導要領の改訂に伴って道徳教育の内容が大きく変わった。
・人の悪口ばかり言うのは道徳的に問題があると思う。
・道徳を守ることができない大人の行動は、子供に悪い影響を与えてしまう。
・国や文化の違いによって道徳観にも差が出ると感じる
・生徒たちの道徳観を調べるためにアンケートを実施した
・道徳心に従って、道で拾ったお金を交番に届けた
・集団生活を送る上で各自が道徳心を持つことが大切である。
・道徳心が欠けている若者が増えてきている気がする。
「道徳」の英訳
「道徳」の英訳には、「ethic」「moral」などがある。「ethic」は道徳のほかに、倫理、道徳律、倫理的価値観などを意味する単語である。一方、「moral」は、道徳以外に教訓、金言、格言などの意味を持つ。どう‐とく〔ダウ‐〕【道徳】
どうとく 【道徳】
道徳
姓 | 読み方 |
---|---|
道徳 | どうとく |
道徳
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/09 08:40 UTC 版)
道徳(どうとく)は、英: morality(羅: moralitas, 原義は「習慣・適切な振舞い」)の訳語に当てられたものである。漢語における「道徳」は、もともとは中国の古典を由来とする観念であり、「道」と「徳」という2つの考えからなる。道とは、人が従うべきルールのことであり、徳とは、そのルールを守ることができる状態をいう[1]。道徳的規範(どうとくてききはん)や道徳性(どうとくせい)ともいう。あるいは類義語の倫理(りんり、英: ethics、エシクスまたはエシックス)はいくつかの意味をもち、道徳を表すことが多い。
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道徳
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/06 09:25 UTC 版)
ブッダの教えは500年以上後のキリスト教の道徳的な訓示との強い類似性を示している。:生命の神聖さ、他者への同情、暴力の拒絶、告解とチャリティー活動の強調、美徳の実践などが共通している。 ブッダの道徳的教えは、山上の垂訓と四つの驚くべき類似点を持つとバーネット・ヒルマン・ストリーターは主張している。
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道徳
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/16 15:38 UTC 版)
物質からなる肉体を悪とする結果、道徳に関して、2つの対極的な立場が現れた。一方では禁欲主義となって顕われ、他方では、放縦となって現れる。 前者は、マニ教に見られるように禁欲的な生き方を教える。後者は、霊は肉体とは別存在であるので、肉体において犯した罪悪の影響を受けないという論理の下に、不道徳を恣(ほしいまま)にするタイプである。 4世紀の神学者アウグスティヌスがキリストに回心する前に惹かれたのは、前者の禁欲的なタイプであったと言われる。
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道徳
出典:『Wiktionary』 (2021/07/31 13:58 UTC 版)
名詞
関連語
翻訳
- アフリカーンス語: eties (af)
- アラビア語: أَخْلَاق (ar), أَدَب (ar) 男性
- ベラルーシ語: э́тыка (be) 女性
- ブルガリア語: е́тика (bg) 女性
- カタルーニャ語: moralitat (ca) 女性, ètica (ca) 女性
- チェコ語: etika (cs) 女性
- デンマーク語: moral (da) 通性
- ドイツ語: Moral (de) 女性, Moralität (de) 女性, Verhaltenskodex (de) 男性, Ethik (de) 女性
- ギリシア語: ηθική (el) 女性
- 英語: morality (en), ethics (en)
- スペイン語: moralidad (es) 女性, ética (es) 女性
- ペルシア語: اخلاق (fa) (axlâq), ادب (fa) (adab)
- フィンランド語: moraali (fi)
- フランス語: moralité (fr) 女性, éthique (fr) 女性
- アイルランド語: eitic (ga) 女性
- スコットランド・ゲール語: moraltachd (gd) 女性
- マン島語: beasaght (gv) 女性
- ヘブライ語: אתיקה (he) (ehtikoh)
- ハンガリー語: erkölcs (hu)
- アルメニア語: էթիկա (hy)
- イタリア語: moralità (it) 女性, etica (it) 女性
- クメール語: អភិសមារចារ (km) (ak phi sak mar jar)
- 朝鮮語: 윤리 (ko) (yunni) (倫理 (ko))
- ラトヴィア語: morāle (lv) 女性, ētika (lv) 女性
- マオリ語: matatika (mi), tikanga matatika (mi)
- オランダ語: zedenkunde (nl) 女性, ethiek (nl) 女性
- ノルウェー語: etikk (no) 男性
- ポーランド語: moralność (pl) 女性
- ポルトガル語: moralidade (pt) 女性, ética (pt) 女性
- ルーマニア語: moralitate (ro)
- ロシア語: мора́ль (ru) 女性, э́тика (ru) 女性
- セルビア・クロアチア語: етика (sh)/ etika (sh) 女性
- タジク語: одоб (tg)
「道徳」の例文・使い方・用例・文例
- 彼は道徳的な面で欠落している
- 道徳律
- 国民の道徳意識
- 道徳の本質
- 道徳律,倫理規定
- 道徳的によい影響を与えるもの
- 彼のしたことが道徳的に間違っていることだけは確かだ
- 道徳観念,道義心
- 商業道徳
- 公衆道徳
- 道徳教育の必要性については私なりの意見を持っています
- 彼の行為は不道徳とは言わないまでも間違っている
- 高い道徳的基準
- 彼はどのような状況でも自分の道徳観に従った
- 彼の道徳的信念が彼の発言の土台となっている
- 悪いも正しいもないよ.それはもはや道徳の問題ではないんだから
- 大衆の道徳の矯正者
- 道徳的指標
道徳と同じ種類の言葉
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